転生の龍が如く 〜女神の守護者~   作:kantarosu

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どうも、熱いですね。暑いですね。焼けますね。火属性用語を三連発つかう男kantarosuです。さて、今回は1万字数超えてしまいました。しおりを挟んだり、一気に読むなり各自のスタイルで読んでください。では、前回のあらすじをどうぞ。

~前回のあらすじ~
警視庁へ戻った啓は、明日の金剛山との闘いの為に最終調整を行っていた。クレーンから振りかぶった貨物を蹴りで粉砕していく啓。
それを眺めていた柿谷と転龍会の謎…そして先の闘いまで見据える啓。

…そこへ、入れ替わる様にやってきたのはにこ。
ベンチで話をしようと言い、席に座る2人。
そこで啓に心中を察されたにこは…自分の夢を語るのであった。

にこの夢はアイドルを続けていく事。アイドル専門学校に入り、そこで芸能界に入るのが目的であった。
だからこそ、にこはこの戦いを役に立てない自分の代わりに終わらして欲しいと啓に懇願するのであった。
しかし、その時…ある屋上から謎の覇気を感じた啓。
啓曰く転龍会会長とは逆の覇気を持つ人物。それを調査する為に、単身に乗り込むのであった。


第52話 ”助太刀少年”

 ~建設中の建物に向かい、謎の覇気使いの元へ急げ~

 

 啓(…ここか。)

 青い覇気を纏った啓は…問題の建物の元へ辿り着く。

 そして、その建物の全体像を下から見上げると、ふと感想を漏らす。

 

「建設中か…出来たらかなり高い建物になるな。」

 その建物は未だ完成しておらず‥どうやら建設中の建物のようだ。そこかしこに工事用の作業機械や重機械が目的の元に置かれており、ブルーシートの中に資材等もが見て取れる。雨を防ぐ為に覆われているのだろう‥。

 

 恐らく、この建物の屋上からで間違いないだろう…。今も見聞色の覇気から”謎の覇気”が啓を誘い込むかのように、自分に流れてくるのを感じる。

 

 この謎の覇気の持ち主が敵である可能性がある以上…その敵の正体を探る必要がある。

 早速、屋上を登るしかあるまい。

 

 …しかし。

 

空中歩行(スカイウォーク)が使えねェ今…登るしかねェな。)

 転龍会会長によって、六大武術が使えない今…”月歩”又の名は”空中歩行”が封印された武術に含まれているので、空中移動が現時点で出来ないのだ。かと言って、外側をパールクールの様に登れば、建設中の為に場所によっては…万が一壊す恐れもある。

 

 怪力を自覚している以上それをする訳にはいかない…。

 

「…階段で行くか。」

 そう決めた啓は、単身建設中の建物に乗り込んだ。

 屋上に何者かが待ち構えようともだ。

 

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 ~建設中の建物”屋上”~

 

「フゥ‥ここか。」

 屋上に辿り着いた啓は、一息つくと辺りを見回した。

 屋上も階下と同様に、まだ完成となっておらず‥鋭意工事中になっているようだ。

 

(ここに来るまで、敵と会わなかった。 妙だ、あれだけ転生者の組織がいれば‥”待ち伏せ”の1つや2つは考える奴がいるだろう。)

 此処に来て…敵のひとっこひとり居ないこの建物の中に対して、啓は気掛かりになった。

 

 例えば、啓をおびき寄せる為に一人が囮となり、自分の覇気を強めてわざと感知されやすくして、その場に誘い込み、集団で袋叩きにすればいい。

 なにせ‥あれだけの頭数がいるのだ。なにかしら襲撃を考える奴らが居ても可笑しくは無い。

 

 だが、現実は屋上まで上がってきたというのに、転龍会や蛇蝋や金獅子会の幹部どころか、組員の姿すらその場に居ない。

 そうなってくると‥単独で行動している転生者ではないかと思えてくる。もし‥群れずに単独で動く者であれば、その強さは計り知れない場合が多い…啓でも敵わない可能性だってある。

 

(もし…俺より強い奴であれば、不味いな。 だが、”味方”が居ねェ以上…俺1人で来るしかねェ状況だ。)

 嘆いていても…仕方がない。 挑発して、相手を出そう。

 

 

「見聞色の覇気で位置は解ってんだ…。 来るなら…来やがれッ!!」ドン!!

 

 

 謎の覇気の持ち主に対して、挑発の意を込めて啓は叫ぶ。

 啓の叫び声は、確実にこの階に居る存在へ確実に聞こえる声量で叫んでいる。敢えて、自身の存在をアピールさせ相手に意識させる為だ。

 なにより、相手に無視を決め込めさせる訳にはいかない…。

 

(デケェ声は出した。 後は奴がどう出るか…?)

 そう言い、啓は覇気を纏い…臨戦態勢に入った。

 

 時刻は既に‥暗夜。建設中の建物に明かりが灯っている筈が無く、月光だけが最上階を照らしていた。

 

 そう、照らしていたのは…月光だけであった。

 

 

 突然…啓が臨戦態勢を続けていた時、啓の眼前に眩い金色の光が照らしたのだ。

 

「うぉッ!?」

 啓は突然の眩い光を余計に喰らう前に、目を塞いだ。

 

「なんだッ!? 何もねぇところから光がッ!?」

 それは突然の事だった。照明もまだ設置されていない場所から…金色の光が照らし出されたのだ。

 よもや、空気中の気体が光った訳でもないし、明らかに異常現象だ。

 

 そして、金色の光は徐々にその正体を露わにし始めた。

 金色の光は、下から形作る様に…人間の姿を辿っていくではないか。

 足から、胴体、手先、首をみるみる内に完成させていく。

 

「これは…人間なのか?」

 啓は微かな指の隙間から、謎の対象を見定めてた。

 そうして居るうちに、遂に金色の光が消え…辺りはまたも暗夜に包まれた。

 

「あっ…間違いて消しちゃったぞ。 もう一回、点けなきゃな。」 

 何処からか、人間の声が聞こえてきた。 

 

 ”パチンッ”

 軽快な指パッチンの音ともに、辺りは明るく照らし出される。

 

 

「ホントすいませんね。 どうしても、光は消せないんで。」

 微かに聞こえる足音…。そして、共に聞こえる知らない声。

 その人物はやがて、光に照らし出されていたた啓の元へその姿を現した。

 

 

「…まさか、お前が”屋上”に居た覇気の持ち主か…!?」

 啓はその正体を少し驚きの声を上げる。

 

「はい。 出来たら、早く話したかったんですが…何分僕も色々と大変で。」

 その正体は頭を片手で搔きながら、バツが悪そうに啓に謝っていた。

 

「何はともあれ…初めまして、”女神の守護者”‥”桐生 啓”さん。 お会いできて良かったです。」

 誰に対しても腰が低そうな物言いをする謎の人物…その正体、つまり”屋上の覇気の持ち主”とは幸が薄そうな薄い金髪の少年だった…。

 

 

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 某日、某時刻~建設中の建物”屋上”~

 

 建設中の建物に辿り着いた啓は、未だ正体の現さない敵へ備えるために臨戦態勢に移っていた。

 誰が相手でも先に先手を打つべく、構えていたにも関わらず…現れたのは屈強な転生者達でも怪物hunterでも無かった。

 

(こいつが‥”屋上の覇気の正体”?)

 現れたのは…金髪の少年だった。年齢は啓より年下であり、穂乃果の妹…”雪穂”と同い年くらいの年齢だろうか。

 全身が白装束であり、現代的な服装ではなく‥どこか神秘的な印象を醸し出している。顔立ちも薄い金髪に黒い瞳…。言い換えるなら西洋と東洋が入り混じっており、その神秘的な印象に買って出ている。

 

「…それがなんだ?」

 

「えっ?」

 

 

「俺を油断させる気か? 何処の組織のモンだ、テメェは…。」

 

 ”キュインッッ…”

 そう言い、啓は赤い覇気を右腕に纏う。骨を鳴らして‥‥明らかに攻撃する気が満々だ。

 

「あれ? 僕の思ってる展開と違う…ここから話す流れz」

くたばれッッ…!!

 少年が戸惑ろうが、お構いなしに赤い正拳突きを突き出した。

 

 

 

 

 ”バチンッッ!!

「うわぁっ!?」

 思わず目を瞑った少年の…短い悲鳴が屋上に響いた。

 

 

 

 ‥‥だがしかし。

 

「あれ…痛くない? って!?」

 感想を述べる間も無く、眼前の光景に目を奪われた。

 

 その光景とは、右腕の赤い正拳突きを…緑の覇気を纏わせた左腕で右拳を止めている…。

 要は自分で拳を突き出しておきながら、自分で防いでいるという…なんとも自作自演な光景であった。

 

「俺の攻撃にビビってるだけか…。 なら、敵とはいえねェな。」

 啓は両腕の覇気を消し、傍のブロックに腰かけると言葉を続ける。

 

「ワリィな。 …いきなり、攻撃したのは本当に敵なのか判断する為だ。」

 

「‥‥。」

 

「もし、敵なら”真っ正面の攻撃”なんて避けるか反撃するからな。 そうなったら、闘りあってたが…。」

 

「俺の事を知りながら、何もやり返さない転生者なんてのは…俺の知る限りは居ないからな。」

 そう言い、啓は”驚かして済まねェ”と…深く少年に非礼を詫びた。

 

 

「さ、さいですか…。」

 少年は額の汗を拭い、今の心境を思う。

 

(これから、話を始めようと思ったのに…いきなり攻撃を浴びせるなんて、隙を見せない人だ。)

(…身体一つで、μ’sを護る男…”転生の龍”…この人が”桐生啓”か。)

 

(この人なら…成し遂げれるかもしれないっ!!)

 

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 少年は啓と対面して話す為に、同じ様なブロックに腰かけて正面を向いた。

 それを眺めていた啓は早速口を開いた。

 

「最初に聞きてェ事があるんだが…いいか?」

 

「ええ、構いませんよ。」

 少年は啓の問いに肯定を示した。

 

「じゃあ聞くが…さっきのを見て確信した。 …お前も俺と同じ転生者で間違いないな?」

 先程の覇気とそして、金色の光から少年がこの世界の人間ではないと啓には確信があった。

 

「はい、言葉通り…僕も貴方と同じ”転生者”です。」

 少年はハッキリと自分の正体を答えた。

 

「そうか…。 なら、それを踏まえた上で聞きてぇのは”もう一つの質問”だ。」

 

「と言いますと?」

 

 

「”俺の名前”だ。 俺の名前を知ってんのは、少なくとも…μ’sとその家族、音乃木坂学院の人間、警察関係者、それと俺を助けてくれた江田島親子ぐらいでな。」

「今言った人達以外で俺の名前を知る事が出来るのは…μ’sを襲う”転生者共”だ。 …お前は何処かの組織に居たから、俺の名前を知る事が出来たのか?」

 

「…成程、貴方はこの世界で自分の名前を世に知らしめていないし、実際の話…この世界に知れ渡っていない。」

 

「だからこそ、貴方の名前を知っている僕が()()()()()()()()()と思ったんですね。」

 

「ああ。 …で、どうなんだ?」

 

 

「ははっ、賢い人ですね。 …正解ですよ、桐生さん。」

 少年は態度を改めると、啓に向かって自己紹介を始めた。

 

「改めまして…僕は四大勢力”転龍会”直系team”iflit”所属の”元若衆”」

 

 

”上野 隆”と言う者です。」ドン!!

 

 四大勢力”転龍会”直系team”iflit” ”元若衆” ”上野 隆(かみの りゅう)

 

 少年は今まさに自分の所属を啓に向かって告白した。

 

 

「…お前が”転龍会”? しかも、あの”着火野郎”と”堅物野郎”にいるチームに居たのか!?」

 啓の脳内にはあのメラメラの実の転生者である”炎山 倉之助”と明日闘う”金剛山 強”が思い浮かんだ。あのゴツそうなバイカー軍団に…この身体の薄そうな少年が入っていたというのだ。

 

「はい…といっても、”若衆”は下っ端なので大した事は出来ないですけどね。」

 

「実は…海岸線や西木野病院で貴方に会おうと思っても、タイミングが合わなかったり…なかなかパワーが溜まらなくて。」

 

「そうなのか…!! 見聞色でも気配が解らなかったが。」

 

「ははっ、気配を消すのは僕の得意な事でして…。」

 

 少年改め、隆の言葉を受け少しづつ納得していく啓。

 そして、先程の気掛かりになっていた隆の言葉に追及していく。

 

「‥”隆”。 お前が転龍会に居たのは分かったが…だが、元って言う事はお前はもう転龍会の一員じゃないって事だよな?」

 

「そうですよ。」

 

「どうしてだ? 何の理由で組織を抜けたんだ…? 」

 

「下っ端と自分で言ってる割には‥あの凶悪な連中から逃げ切れたのも何か関係があるのか?」

 

「ああ、それです!!」

 隆は手を叩くと、啓の言葉を指差した。

 

 

「それについて話そうと思ってたんですよ、桐生さん。」

 

「…じゃあ、ワケを話してくれ。」

 そう言い、啓は隆に説明を促した。

 啓の言葉に隆は”分かりました”と言い、立ち上がった。

 

 

「最初に僕は転龍会の一員と言いましたが‥厳密に言えば、僕は”筆頭”から送り込まれたスパイなんです。」ドン!!

 

「…”スパイ”。 それが、お前の本当の正体なのか?」

 

「そうです、桐生さん。 そして、今から伝える事が本題です。 …出来るだけ覚えて於いて下さい。」

 隆は表情をより険しくすると、これから話す話題を念入りに覚えて貰うべく語気を強めだす。

 

「‥分かった。 集中するのは得意だ。」

 啓は隆の真剣な表情を汲み、これから伝えられる旨をしっかり覚える事にした。

 

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 啓の了承を汲んだ隆は”では、話しますね”と伝え、本題に入っていった。

 

「さっきの話で僕は”転龍会のスパイ”と伝えました。」

 

「その話で”筆頭に送り込まれている”と言ったのを…桐生さんは気が付きましたよね?」

 

「ああ、確かに”筆頭に送り込まれた”って聞いたぜ。 ”筆頭”って言うのは、どういう事だ?」

 

「ええっ…”筆頭”と言うのは、僕の口から言うなれば…。」

 隆は一考を置いて、しばらくして自分にとってその”筆頭”なる人物を評する言葉を示した。

 

 

「”一番最初に立ち上がり、皆を纏め上げた偉大な転生者”という事です。」

 隆はどこか誇らしげに謳った。

 

 

「大袈裟な言い方だな…その筆頭ってのは。」

 啓は隆の言葉とその表情から…感想を漏らした。

 

「ええ、僕の知る限り”筆頭”は…”最高の転生者”ですよ。」

 

「そうなのか? で、名前は?」

 

 

「本名は…”神龍地 天一郎(しんりゅうじ てんいちろう)”と言う男性です。」ドン!!

 

(神龍地 天一郎…。)

 

 

「つまり、僕…上野隆は、筆頭こと神龍地さんにスパイとして、転龍会へ送り込まれていたという事です。」

 

「‥成程な。」

 

「それでですね…桐生さん。 まず伝えたい事の3つの内1つは…筆頭の行動についてなんです。」

 

「筆頭の行動…。 それが俺に伝える事か?」

 啓は隆の言った言葉に疑問を投げかける。

 

 

「ええ、実を言うと…桐生さんは()()()()()()()()()()()()()()()。」ドン!!

 

「…!! もう、俺が筆頭に会ってんのか?」

 

 

 

 

「ええ、正確に言うと…転龍会会長に襲われていた時に。」

 

「まさか…!!」

 

 啓は芳林公園での闘いを思い出した。※第32話 闇夜の救世主参照

 その時、啓はにこを転龍会会長から奪取されるを阻止すべく、闘っていた。

 ‥しかし、倒したのも束の間。…偽物であった為に、逆に反撃を受けようとした時に…。

 

 ”そうはさせない。”

 

 そう言い…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「あの時の”金色の男”‥!! あの男の正体が…”筆頭”だったのか‥!!」ドン!!

 

 

「その通り。」

 

 隆の言葉を受けて、脳細胞に刺激を受けた啓は金色の男についての出来事を思い出す。

 

「…待てよ、思い出したぞ。 雪穂も麦野一家に襲われて、”金色の男”に助けられたと言っていた。」

 

「雪穂を助けた金色の男も…”筆頭”か!!」

 

 

「ええ、雪穂さんを助けたのも”筆頭”です。 つまり、別の場所に現れた”金色の男”とは同一人物だった訳です。」

 

「…そうだったのか。 ”金色の男”の正体が分かるとは思わなかったぜ。」

 

 啓は少し安堵する。 …なにも理由も無しに助けてくれた金色の男に対しても、感謝する間もなく去っていた事が気掛かりとなっていた。

 …だが、こうして隆という少年に出会ったことで少しづつ疑問が晴れている。素直に喜べる心情だ。

 

 しかし、疑問というのは…中々尽きないのも世の常だ。

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

「取り敢えず、三つの内の一つは伝えました。 それで‥2つめを話す前に、この2つをお腹に入れて下さい。」

 隆はそう言い、啓に”お茶”と”沢庵”を渡した。”その二つは筆頭がつくった物です。あの人、お茶と漬物を作るのが趣味なんです。”という一言を添えて。

 

「…そうなのか。」

 啓は礼をして、それらを受け取ると、茶を飲みつつ沢庵を喰らう。

 

 

「それで2つめってのは…?」

 啓は隆に貰った茶と沢庵を平らげると、次の話に移る。

 

 

「啓さん…ワンピースは大好きですよね?」

 

「ああ、一番好きで…俺にとっちゃ最高だ。」どーん

 啓は真顔でキッパリと断言する。

 

「じゃあ…マリンフォード頂上戦争でミホークとルフィが少し闘ったのは覚えてますか?」

 

 マリンフォード頂上戦争とは、白ひげ海賊団対海軍七武海の連合軍が全勢力を投入して戦った。…大海賊時代始まって以来の世界的大事件と作中で言われている。

 ワンピース好きな啓にとっては、世界に名だたる強豪達が揃い踏み、闘ったのは人並み以上に興奮したものだ。

 

「勿論だ、あのデケェ氷山を一撃で斬ったのは凄かったぜ。 …いつか俺も一撃で割れる様になりてェな。」

 

 

「ははっ‥なら、その後ミホークが内心ルフィを評価しているのもご存知ですよね。」

 

「ああ、ルフィがビスタに助けられた後、ミホークが内心言っていたな。」

 啓はそのシーンを思い出しながら、何を言ったのかを思い出す。

 

 そして、それらしき言葉を思い出した。

「そうだ‥。 ミホークはルフィの一番恐ろしいのは…次々とその場に居る人間を味方につける事だと言っていたな。」

 

 

「正解ッ!!」

 隆は声を上げ、立ち上がった。

 

「そうです‥ミホークの言うように、この世で最も恐ろしい力とは…”自分の周りに味方を引き寄せる力”。」

 

 

「言葉にすれば…”カリスマ”が正にそれですね。」ドン!!

 

「ズバリッ言いましょうッ!! 2つめとは自分の味方を増やせという事です。」

 

(…雰囲気が変わったな、この子。)

 

 

「”それら”を踏まえた上で、僕と筆頭の繋がりを教えましょう。」

 

「繋がり…?」

 

 

「はい。その繋がりというのが…僕は”神龍会”という組織に属しているんです。」

 

「”神龍会”…。 もしかして、筆頭がそれをつくったのか?」

 

「そうです。 …それに並行してある紙を説明しておきましょう。」

 

 隆は懐から”白い紙”を取り出して見せた。

 その紙には、”上野 隆”という名前が書きこまれている。

 それを見た啓は驚いて紙を指差した。

 

「…それって、まさか”ビブルカード”じゃあねェのかッ!!」

 ビブルカードとは、ワンピースの世界に存在する”命の紙”という意味を持つ不思議な紙の事である。対象者の爪から作り出され、携帯すると常にその人物に居る方角を向くと言う。

 また、その人物の生命力を表して…生命の危険に瀕すると、紙がどんどん崩れていくと言う性質を持った紙なのである。

 原作ではエースからルフィに手渡されたエースのビブルカードが…後にルフィをインペルダウンへ誘い、エースを救う事を決意させた。

 

「その通り…と言いたいんですけど、実はこれ‥少し違いがあるんです。」

 

 

「こいつは”SVC”…略さずに言うと”セキュリティービブルカード”と呼ばれる代物です。」

 

 

「”セキュリティービブルカード”? 普通のビブルカードとどう違うんだ?」

 

「‥簡単に言えば、僕たち神龍会の一員にしか居場所が分からないカードなんです。」

 

「ここで説明しておきますが…僕の属する神龍会のメンバーは様々な世界で闘っている転生者の一団なんです。」

 

「神龍会を中心として、傘下や同列の組織が集まり、悪事を働く転生者の始末やその世界の再建活動等を行っています。」

 

「…。」

 

「…中でも数多の世界を救った転生者はこうも呼ばれています。」

 

 

「”救世の転生者”。」ドン!!

 

 

「”救世の転生者”…。」

 

「はい、そして‥その”救世の転生者”と最初に呼ばれ、彼を中心に神龍会を立ち上げたのが筆頭こと”神龍地 天一郎”さんなんです。」

 

「…とんでもないな、筆頭は…”凄く良い意味”で。」

 

「なんか、すいませんね…筆頭自慢みたいになって。」

 

「いや、俺としてはそんな人物がいるのは心強いぜ。」

 

「それはどうもです。 …自分では気づかないですけど、よく皆から”ま~た筆頭自慢”かよと言われてましてね。」

 

 ”ゴホンッ”と隆は咳払いすると、話を続けた。

 

「それでえ~と、SVCの話でしたね。 これは筆頭を中心に僕や他のメンバーで改良したビブルカードなんですよ。」

 そう言い、隆は説明をしだした。

 話によれば…以前、ビブルカードを使用していた際に‥敵対する転生者に奪われてしまって、そのビブルカードを頼りに救援として駆けつけた転生者達が手ひどく襲われてしまったのだ。

 ビブルカードは世界を駆ける転生者達にとって、ナビゲーション的な役割を果たしており、ピンチの仲間を助ける為の救援等…神龍会を始めとして世界を行き来する転生者達にとって無くてはならない必需品なのだ。

 そこで、そのビブルカードを奪っての悪用を防ぐ為に改良されたのが、セキュリティービブルカードなのだ。

 

 これは登録された者のみに反応する仕組みになっており、登録されていない者や不適切な者等が触るだけで崩れてしまう性質を持つだけでなく、逆に防犯登録された弱い悪の転生者が触れば…その指を爆発四散する程の威力を発生させる。

 このSVCのおかげで、待ち伏せ等の悪用などが無くなり、負傷者などのマイナス要因も減っていたという。

 

 

「そして、桐生さん。 貴方は筆頭が別れ際に渡した紙を持っていますね。」

 

「ああ、やっとこの流れを理解したぜ。 俺が渡されたのは”SVC”だったという訳か…。」

 

 あの別れ際…筆頭に渡されたあの手紙の正体は…特別なビブルカードだったという事だ。

 

「ここまで言えば、鋭い貴方ならわかりますね‥?」

 

 

「応。 要はこれを頼りに他の仲間が来てくれると言う訳か。」

 

「はい、これを頼りに神龍会のメンバーに傘下組織も救援に加わってくれる筈です。」

 

「成程な…それはアリガてェ。」

 

「‥‥それを踏まえて、啓さん2つ目の話で最も大事な旨をよく聞いて下さい。」

 隆は2のハンドサインを作る。

 

 

「勿論、味方が来てくれるのもいいですが…。 自分の力で味方をつくるのも大事です。」

 

「自分の力で味方をか…。 それなら、もうやってるぜ。」ドン!!

 

「‥!! それは本当ですか? それなら、話が早い。」

 

「応。 イキの良い奴らがいたんだ。」

 そう言い、啓はその”正体達”を隆に話した。その旨を訊いた隆は思わずbのサインを示した。

 

 

「その通りです。 味方だけでなく、敵だろうが、怪物だろうが、機械生命体だろうが…ドンドン味方につけていくんです。」

 

「それに闘うだけの人材だけじゃありません。 技を伝授して貰ったり、訓練施設を設けたり、闘いのサポートもとても重要かつ大切です。」

 

「そして、一般市民の方々のケアも大切です。 当然、μ’sを含めて。」

 

「ケア…。」

 

 

「転生者達の闘いは街規模の被害なども当然予測されるし、たとえそうならなくともその人々の衣食住と楽にも悪影響が及ぼすでしょう。」

 

「小学生や幼稚園児…社会人やスポーツ選手に大統領…全ての人間にはそれぞれの生活があります。それを転生者達の魔の手から護っていく必要があります。」

 

「それはμ’sも然り、彼女達のμ’sとしての物語は終わりました…完全にね。 けど、それで終わりじゃありません。」

 

「彼女達の命も大事なのは勿論の事…その後の人生を僕たちの手助けが必要じゃなくなるまで助ける事も大切です。」

 

(μ’sの人生か…。 にこがアイドルを安心して目指せるように俺が支えねェとな。)

 

 2つめの内容を纏めると…1.戦闘員 2.サポート要員 3.ケア要員の3つが必要となってくる。

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 

「さてと…長々と話しましたが、最後の3つ目です。」

 隆は立ち上がると、白装束を取っ払うと軽装になる。

 

「桐生さん…今まで言った2つの本題は、筆頭が僕に言っておくように頼まれたんです。」

 

「…なら、3つ目は?」

 

 

「僕が話す”本題”の事です。 本来なら、2つの内容で事足りたんですが。」

 そう言うと、隆は”光の中心に移動して、その場で動かないでください”と啓を誘導した。

 

「なんだ…? 何を始める気だ…隆。」

 啓が隆に疑問を投げ掛けたその時であった…!!

 

 突然、啓の身体が金色に光始めた…!!

 

「なんだ、俺の身体が光ってるッ!?」

 突然の発光現象‥しかも、自分の身体が光るのだから意味が解らない。

 

「…光りましたね。 啓さん、失礼します。」

 隆は断りを入れると、啓の周りに印群を書いていき、更に啓の身体に札を貼っていく。

 

「よし‥下準備は出来たな。」

 

「隆…何をするつもりだ? ”儀式”みてェだが…。」

 

 

「言葉の通りです。 これは貴方の呪いを解く”解呪の儀”です。」ドン!!

 

「呪い…まさか!?」

 

「そうです。 貴方の身体に掛かっている(転龍会会長)が施した呪いから解放する為です。」

 そう、啓は芳林公園で転龍会会長が去り際に暗術”黒行封印”なるものを受けたのだ。

 

「‥3つ目はズバリ、貴方の呪いを解く事です。 貴方が神によって授けられた六大武術は今後の転生者達との闘いに絶対不可欠の技達。」

 

「例え、多くの味方や強運を持っていたとしても…最終的に世界を救うのは”己が拳”。」

 

 

拳は”最強の武器”ではない。己が持つ”最期の武器”であると‥‥筆頭が理念としている心得です。」ドドン!!

 そう言い、隆は熱く拳を握りしめた。

 

(”拳は最期の武器”…。)

 

「では始めますよ。 …照術”白行解印”ッ!!」

 隆の身体から金色の光が溢れんばかりに照らし出される。

 

 光はまるで光る龍が如く…啓の身体に向かい始めると、四方八方から啓に突進し始める。

 

「ぐあッ…!!」

 啓にダメージが入る。

 

「啓さん、ただ堪えて下さいッ!!」

 

(奴の暗術”黒行封印”は…下準備も無しに桐生さんの身体から技を封じ込めた。 あの短い動作でなんて奴だッ!!)

 隆は内心悔しい思いを吐きながらも、しっかり前を向く。

 

「だが…負ける訳にはいかないッ!!」

 隆は"うおおお…ッ!!!"と気合いの大声を出し、腰に力を入れた。

 

「うおおッ…出て来やがれェッッ!!!!」

 歯をギシギシ力みながら、憤怒の表情になった隆はいっきにスパートを駆けていった。

 このまま…解放出来るのだろうと思ったその時だった。

 

 

 

 

 ?「悪魔風脚”腹肉ストライク”ッ!!」

 

 ”メリメリッ…!!”

 突然の出来事であった…。

 

「げぼッ…!?」

 突如…啓の身体から”黒い人影”が飛び出すと、奴は燃える右脚で隆の腹を思いっ切り蹴り飛ばしたのだッ…!!

 蹴り飛ばされた隆の身体はそのまま屋上から落ちようとした時…。

 

 

「隆ッ!!」

 危機一髪ッ‥‥!!

 青い覇気を纏った啓が隆を抱きかかえ、落下を防ぐのであった。

 

「えほッ‥ゴホッ!!」

 血を吐き…痛みに苦しむ隆。

 

(くそッ‥隆!!)

 

 啓は正面から歩み迫ってくる黒い人影を歯をむき出しにして、睨みつける。

 

「あいつは…一体ッッ!?」

 

 ”ガシッ‥!!”

 隆が啓の肩を強く掴み、声を出す。

 

「あ、あれです。…あの黒の化身が貴方の”悪魔風脚”を奪い、自分のモノにした封印術ですッ…!!」

 

「!! あの野郎がッ…!!」

 

「や、奴を倒して下さい…。 奴を倒せば…”悪魔風脚”が戻る筈。」

 そう言うと、隆は意識を手放した。

 

「‥‥。」

 啓は無言のまま、隆を下ろした瞬間。

 

 ”キュインッ…!!”

 

「”青脚”…”反行儀キックコース”ッ!!」

 啓はおもくそ…怒りのドロップキックを神懸かり的な速さで蹴り出し、黒の化身を屋上から地上に落とした。

 

「…隆、ここで待ってな。」

 意識を失った隆を見て、下を見る。

 

 

 

 

「行儀のワリィ奴を蹴り飛ばしてくるッ。」ドン!!

 怒りに燃える”転生の龍”は屋上から、追撃に向かう為に飛び降りるのであった…。

 

 続く…。

 




色々と長くなり、用語も出てきましたが、今回の話で金色の男の正体と謎の少年についての伏線的なのものを明かしました。
う~ん!!やっぱり、謎を明かすのは楽しいねッ!!
さて、次回は戦闘回。第53話 VS黒の化身”悪魔風脚” 次回も乞うご期待b
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