転生の龍が如く 〜女神の守護者~   作:kantarosu

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~前回のあらすじ~
建設中の建物に、不審な覇気を察知した啓は単身そこへ乗り込むのであった。
そこに待ち受けていたのは…上野隆と名乗る薄い金髪の少年。彼は転龍会のスパイとして乗り込んだ神龍会の一員であり、少し前に啓やにこ、雪穂を救った金色の男…”神龍地 天一郎”が造った救世の転生者の一団であった。

啓へ数々の謎を説明していく隆は最後に転龍会会長によって封じ込められた”六大武術”を解印すべく、照術”白行解印”を実行。
しかし、そんな隆へ黒の化身と呼ばれる存在が襲い掛かる。隆の危機を救い、自身の技を取り戻すべく…啓はこの異形の存在を相手に闘う事になる…。


第53話 VS黒の化身”悪魔風脚”

 某日某時刻~建設中の建物~

 

 屋上から黒の化身を蹴り落した啓は、すぐさま追撃に向かうべく…夜の屋上から飛び降りた。

 何の命綱無しに夜の地面へ飛び降りる…。常人なら間違いなく凄惨な死体になる自滅行為も…この男には関係ない。

 

 眼下に迫る固いコンクリの地面。

 しかし、啓は冷静に対処する。

 落下時の態勢を一切変えずに、緑の覇気を身体全体に隅々まで纏う。

 そして、地面に両足が点くまでギリギリで待つ。

 

 啓(ここだッ!!)

 

 ”メリッ‥!!”

 陥没する地面。啓ではなく…逆に地面が壊されていく。

 両脚から地面に着地した啓は、衝撃を分散する為に身体を捻っていき、新体操の様に身体を回転していく。そうする事で落下の衝撃を上手く捌く事に成功する。

 

 更に、啓は落下中‥見聞色の覇気を発動させ先に階下へ落ちた黒の化身の位置を把握。

 つまり、啓は把握している上で…衝撃を分散させて移動しているのだ。

 

 ”黒の化身の位置までッッ!!”

 

「休憩してる場合じゃねェぞッ!! オラァッッ!!」

 まるで、戦闘機から放たれたミサイルの如く啓は、黒の化身へ右飛び込み蹴りをかます。

 

「‥!!」 

 啓の飛び蹴りを見た黒の化身は迎撃すべく、炎の蹴りで蹴り返した。

 

 VS黒の化身”悪魔風脚” ♪Scarlet Scar  

 

 ”ドゴォンッ…!!”

 

(チッ!! こいつはァ!?)

 両者の渾身の蹴りの衝突が衝撃を生むと否や、そのまま互いが蹴りの接戦を繰り広げる。

 

「首肉ッ!! 腹肉ッ!! もも肉ッ!! ‥‥んの野郎ッ!!」

 次々と黒足の技を絶え間なく、黒の化身に浴びせていく啓。

 

 …だが、啓の蹴りと合わせる様に敵もまた同じ様に蹴り技を繰り出して来る為、蹴り技が奴の身体に通らず…ダメージに発展していない。

 そして、問題なのは…敵の蹴りだす”悪魔風脚”であった。

 

「クソッ…!」

 啓は大きく後方返りをし、黒の化身の距離を置くと、自分の脚を見た。

 今の啓は先程まで、最終調整の為に防具を装備したまま此処に来ている。…だが、奴の使う”悪魔風脚”の燃える足技によって、下肢防具に火傷のダメージを受けてしまっている。

 

(もし、生身なら火傷どころで済まされねェか…。 それにしても、悪魔風脚がこんなに強力な足技だったとは…。)

 啓はそう思い、黒の化身の両脚を睨みつける。

 彼奴の両脚は今も延々と燃え続けており、今まさに自分を焼き蹴り殺そうとしている。

 

 短い間であったが…確かに啓は悪魔風脚を使って闘っていた。しかし、今こうして対峙していると…如何にサンジの”悪魔風脚”が強力なのが身に染みて伝わってくるようだ。

 

(このまま、蹴り合いになっても”焦げ野郎”の蹴り技で相打ちになる。 …奴が反応出来ない速度で”渾身の蹴り”を叩き込んでやるッッ!!)

 

 全てガードされるなら…それを上回る速度で蹴ればいい。そう決意した啓は対峙する黒の化身へ見据えた。

 黒の化身は啓と目線を合わせた瞬間…燃える右脚を大きく上に振りかぶった。

 

(あの力の入れ具合は…ヤバいッ!!)

 啓が黒の化身の仕掛ける技へ警戒を示した。

 

 

 黒の化身「”悪魔風脚”…”ウェーブ・リュライサー”。」

 

 ”ドゴォンッ!!”

 黒の化身は足元の地面を強力な力で蹴り上げ、‥‥なんと”炎の衝撃波”を啓に向かわせたッ!!

 

「あの焦げ野郎ッ!! 炎の波を出しやがったッ!?」

 

 驚愕する啓。何故なら、悪魔風脚には地面に”炎の衝撃波”を蹴りで編み出す技など存在しない。どう考えても、100パー奴のオリジナル技だ。

 

(迷ってる暇はねェ…!! 避けると後ろの隆があぶねェ!!)

 このまま避ければ、後ろの建設中の建物に甚大なダメージが喰らい、隆が危ない…!!

 すぐさま考えた啓は、緑の覇気纏うと、衝撃波に向かい打つ。

 

”緑脚”…ディフェンス・ストライクッ!!

 

 ”ズドンッ!!”

 啓は迫りくる炎の衝撃波を上から無理矢理抑えつけるべく…強力な踵落としで相殺に打って出た。

 後方を護るべく、前方の地形を犠牲にして炎の衝撃波を止める事にしたのだ。

 

「グッ!! クソがッ!!」

 啓の強引な技によって、衝撃波は相殺されたが…啓は炎によるダメ―ジを少々受けたが、強引に払いのけた。

 

 しかし、戦闘は続行中だ。

 黒の化身はまたも次の技の態勢に取り掛かる。

 

「…フンッ!!」

 黒の化身は大きく空へ飛び、そのまま滞空。その飛び方もサンジの空中歩行と同様であった。

 

(野郎…空中へ飛びやがった!?)

 上空に飛んだ黒の化身を目で追う啓。

 

 ジャンプで奴の高さまで飛べない訳ではない。しかし、空中歩行を使えない今の啓にとって、空中戦は分が悪い。

 空に利があるのは、明らかに黒の化身の方。…ここで追撃に打ってでれば、迎撃され地面に落下する確率が高い。

 結果…落下によるダメージを受けて、追い打ちに空からの加速度がある蹴りを喰らいかねない。

 

 なにより、黒の化身がどのような技を出すのか見極めて…決定的なダメージを与える機会を見つけなければならない。

 だからこそ、”転生の龍”は今は見極めの時であった。

 

 そして…黒の化身は次の技を啓へ仕掛けていく。

 

 彼奴は両脚の炎を充分な火力に上げ、照準を啓へ合わせる。

 

悪魔風脚”炎嵐(トルメディア・フォア-ゴ)”。

 

 ”ボオオオ…!!”

 炎が空を切る音が空中に響いていく。その技の様は、”炎の鎌イタチ”と言うべきか…その鎌イタチが一つ、二つと次々と燃える脚から解き放たれる。

 

「‥チィッ!!」

 啓は青い覇気を纏うと、今度はその場から一気に高速移動で避けていく。

 

(これじゃあ…燃える嵐脚ッ!! 当然か、あれだけの脚力‥出来ない方がおかしいか!!)

 

 直撃すれば、炎と斬撃の二重ダメージ。数も多く、当たり所次第で切断も容易。

 なににせよ、敵の攻撃にホイホイ喰らう様では勝つのは難しい。

 

 

「遅い。」ドン!!

 

(!!)

 

 ”バキィッ!!”

 

「ガッ!?」

 啓は一瞬で緑の覇気を背中に纏うが、蹴り自体を防ぐ事が出来なかった。そのまま、背面から強烈な蹴りが入ってしまう。

 吹っ飛ばされた啓はビルの一階フロアに突っ込んでいき、轟音と共に瓦礫やらガラスが辺りに飛び散っていく。

 

「ぐっ…焦げ野郎ッ…。」

 啓は悪態を付きながら、瓦礫を退かしていく。…ダメージこそ負ったが、防具と緑の覇気で抑える事は出来た。

 

(さっきまで、上から嵐脚を飛ばしていた筈だ。 瞬きした訳でもねェのに、一瞬で俺の背後を取りやがったッ…。)

 

 …啓の使う青い覇気は、自身の動きを速くする。

 そして、この青い覇気の働きによって、見聞色の覇気は大きい恩恵を得る事が出来る。

 何故かというと、見聞色の覇気は相手の次の攻撃を避ける一瞬の予測を感じ取れるが…あくまで感じ取れるだけで、避ける事が出来るのは本人の実力次第なのだ。

 

 原作で言えば、ルフィ達が空島で闘った神官サトリは、心網(見聞色の覇気と同質、呼び名が違うだけ。)を駆使し、ルフィの攻撃を避けていた。

 しかし、次の攻撃が予測出来ても、それに伴う速さが無ければ、避ける事に繋がらないのだ。その結果…サンジの”粉砕”をモロに頭に喰らった訳だが…。

 

 それを踏まえた上で、啓もまた見聞色の覇気と青い覇気を使ったとしても、敵の攻撃速度が自分より上回る。もしくは、別の攻撃を避けている最中だった場合。

 避けきれなかったのは、今回は後者だったようだ。  

 

(‥焦げ野郎は残像を使ったんだ。 嵐脚を放ってる残像を一瞬で作り出し、俺の背後に回り込みやがった。) 

 啓は先程の攻撃をその様に考えた。かなりスピードに自信があるのだろう。

 

 だが、やられぱなっしは性に合わない。啓はこれまでの黒の化身の闘いを少し振り返った。

 

(炎の衝撃波、燃える嵐脚、残像…どれもこれも脚力の要る技ばかりだ。 ちょっと違うが…まるでサンジと闘ってるみてェだ。)

 

(つまり…サンジの様に足技主体で闘うって事か。 いいだろう、やってみるかッ…!!)

 

 啓はそう考えると、右上腕から布を紐解き…”バンダナ”を巻いた。

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊 

 

 ~警視庁”一階ロビー”~

 

 ここは、警視庁一階ロビー…。そこには、にこと絵里と海未が座っていた。

 

 先程…にこは”謎の覇気”を感じたと言う啓から、”絵里に連絡して、皆に伝えてくれ。”と頼まれた。そして、それらを完了すると…啓が此処へ戻ってくるまで待つことにした。

 しかし、一向に戻ってくる気配が無く、内心いらいらと心配が入り混じっていた。

 

 にこ「もう、遅いっ!! 遅いのよっ!! なにやってんのよ、啓は‥にこ達を待たすなんて!!」

 そう言い、にこは衝動的に椅子から立ち上がっていた。

 

 海未「ちょっと…その様に怒らないで下さい!! 私達まで不安になってくるじゃないですか!!」

 傍に居た海未はぴっしゃりとにこの態度を改める様に、声を発した。

 普段から、真面目な性格である為か…μ’sの誰よりも語意の強さを感じる。

 

 ”パチンっ!!”

 そこへ熱くなる2人へ拍手の音が割り込んできた。 

 

 絵里「はい、終了っ!! これ以上、2人が熱くなっても疲れるだけ。」

 そう言い、絵里は2人がこれ以上言い合いしても…意味が無い事を示した。

 

「苛立つ気持ちも分からない訳じゃないけど…此処は我慢するべきよ。」

 絵里が2人を諭している時、そこへジュースを持ってきた穂乃果達が現れた。

 

 穂乃果「絵里ちゃんの言う通りだよ。 啓君が動いてるんだから、心配ないよ。」

 そう言い、穂乃果達は運んできたジュースをテーブルの上に置いていく。

 

「それに啓君言ってたよ。 屋上に頼れる子達?が見張ってくれてるから大丈夫だよっ!!」

 そう言い、穂乃果はサムズアップをするのであった。

 

 そこへ、穂乃果の頼れる子達という発言を聞いて花陽が隣の凛に尋ねた。

 

 花陽「凛ちゃん…その頼れる子達って誰の事? 啓さんが仲間を連れてきたって事?」

 

 凛「うーん、凛も詳しくは分からないにゃ。 三年生組はなにか聞いてるにゃ?」

 

 希「ううん、うちらも聞かされてへんよ。 啓君が言うには、今は自分の言う事しか聞かないって。」

 

「えっ? 自分の言う事しか聞かないって…どういう事にゃ?」

 

「え~と確か‥知り合って間もないから、まだ関係が浅いんとちゃうかな? 危険やから尚更って話やな。」

 

「危険って…凛達が会うと危ないって事?」

 

「そうだね…。 そう言う事にn。」

 

 

 

 その時であったッ!!

 

 ”ズズゥーンン‥!!”

 遠くの方でなにかが崩れる崩壊音がμ’sの耳に飛び込んできた。皆悲鳴を上げる。

 

「な、なに今の!? なにか崩れた音が聞こえてきたわっ!!」

 真姫が驚いた声を出した。

 

 そんな中…一早く音の出処に気が付いた凛が遠くへ指差した。

「遠くの方にゃっ!! 街に誰も居ないのに聞こえるなんて可笑しいにゃ!!」

 

 ことり「それって…もしかして、啓君が闘ってるんじゃ…。」

 ことりの言葉に皆が注目する。

 

(((そ、それって‥‥。)))

 μ’s一同がその言葉を受けて固まる。…可能性は高い。このゴーストタウンと化したこの街には、今や人っ子一人居ない。

 そんな…音もしない環境で建物が崩壊するという事は、先程調査に飛び出していき、この場に居ない啓が絡んでいるのも難しくない話だ。

 

「…早く、人に知らせましょうっ!!」

 海未の声に、皆が慌てながらも応じていく。その中で、にこは遠い方を見ていた。

 

(啓…。 無事で居なさいよ!!)

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 某日某時刻~都内某所”道路中央”~

 

 啓が吹っ飛ばされた…崩れたビルの中を静かに見つめる黒の化身。

 そんな見つめる先…彼奴の元へ瓦礫群が上から降り注いできた。

 

「…!!」

 黒の化身はそれを全て蹴り砕いていく。

 そして、破砕作業が終わる頃…彼は現れた。

 

「やはり、あの程度では絶命せんか…。」

 

「ああ…頑丈なのは、誰にも負ける気がしねェんだよ。」

 やはり…そこに立っていたのは…赤きバンダナを巻いた”転生の龍”であった。

 

「流石…マスターが本腰を入れるだけはある。 では、続きを。」

 そう言い、黒の化身は燃える両脚を構える。

 

 …だが対して…啓は構えていた両腕を下ろした。

 

 

「止めだ。」ドン!!

 啓は、黒の化身を前にハッキリと宣言した。

 

「止めだと…なにを言っている。 貴様のそのバンダナは()()()()()()()()()()()()()()?」

 黒の化身は啓のバンダナを指差しながら、指摘する。

 

「いや、これ以上‥続ける必要がねェ。」

 

 啓は人差し指で黒の化身を突き刺しながら、堂々と言ってのける。

「言っておくぜ…俺とテメェは互いの底が知れているからだ。」ドン!!

 

「‥互いの底だとッ?」

 

「そうだ。 …テメェの炎の衝撃波、燃える嵐脚。確かに当たれば、真っ二つか焼け死ぬかもな。」

 

「…だが、それだけの技を出していながら…俺は死んでない。」

 

「…。」

 

「それに隆の事だ。 あいつに悪魔風脚”腹肉ストライク”を当てた割には、隆は意識を失ったが…死んではいねェ。」

 

「さっきまでの蹴り合いも、テメェが強ければ()()()()が起こらねぇし…残像を使っての俺への蹴りもそれで勝負が決まってねぇ。」

 

「‥‥。」

 黒の化身は先程から、啓の話を黙って聞いてるが…明らかに不機嫌な様子であった。

 

 

「分かるか…テメェは俺よりそこまで強くねェんだよ。 俺から言えば、昨日闘った澤井以下ハンター以上がテメェのレベルだ。」ドン!!

 

 

「ククククッ…ディヤハハハッ…!!」

 啓の言葉を受け、黒の化身は高笑いを浮かべた。

 

「俺への高説を垂れてはいるが…貴様こそ底が知れているではないか?」

 

「足技と見たところ”覇気”を使っているようだが…。」

 

 

「神から授かった”六武術”を使えず…弱体化している貴様に言われたくはないッッ!!」ドン!!

 

「‥。」

 確かに黒の化身の言う通り、今の啓は転生したばかり時の戦闘方法と比べると…攻め手や決めてがかなり大幅に減ってしまっているのが厳然たる事実だ。

 だが‥啓は先程と表情が変わらず言い放つ。

 

 

「‥ああ、テメェの言う通りだ。」

 

「フン、肯定したか? あれだけの物言いを言ったが、やはりショックは隠しきれていないではないか?」

 黒の化身はそう言い、高らかに笑う。

 

 

「だから…”一撃勝負”だ。」ドン!!

 啓はそう言うと、準備運動をし始めた。

 

「一撃勝負ゥ…?」

 

「互いに底が知れている。 このまま、やり合っても埒が明かねェ。」

 

「だったら、互いの最強の技で勝負をつけようじゃねェか?」

 

 啓は黒の化身へ指差し挑発する。

 

「俺を殺す事がテメェらの目的なんだろ? 転龍会ッ!!」

 啓のこの挑戦宣言に黒の化身は…。

 

 

「ディヤハハハッ!! いいだろう、本気で勝負を決めて、貴様を倒すのは”封印術の俺”としても願ったり叶ったりよッ!!」

 

 黒の化身はそう言うと…瞬時に逆立ちを取った。そして、一気に脚の火力を上げていき‥そのまま回転を始める。

 

 ”ゴオオオオ‥‥!!”

 数分すら経たない内に、黒の化身は”炎の竜巻”を起こして見せた。

 

「悪魔風脚”炎の竜巻(トルネ―ディア・フォア―ゴ)”ッ!! 全てを破壊するッ!!」

 自然現象で発生した訳では無い。凄まじい赤い炎の竜巻は周囲を巻き込むだけでなく、周囲の気温すら高温地帯に変えようとしていた。

 

「どうだ、桐生? 脚力を極めていけば、身体一つで災害そのものを…!!」

 黒の化身が回る竜巻の中で啓へぶつけようとするが…。

 

 

 …既に啓の姿は無かった。

 

(馬鹿な…!? 逃げたというのか? いや、奴の気配があるッ!!)

 黒の化身が啓の姿を捜そうとしている時…!!

 

 ”ガキィンッ!!”

 突如、黒の化身が起した竜巻に何かが当たり、次第に竜巻全体が何かが攻撃を仕掛けていく。

 

(やはり、桐生めッ!! この竜巻に攻撃を仕掛けているな!!)

 

「止めさせんわ!! 竜巻がたかが”転生者一匹”に、災害が止められる筈はないのだアッ!! VOOOOOOOO!!!」

 黒の化身が竜巻の威力が上げていく。

 

 竜巻の規模が大きくなるのを見計らった啓は、両脚に力を入れた。

 

「そろそろだなッ…行くぜッ!!」

 啓は一気に力を入れ、ミサイルの如く飛び出した。勝負を決めるつもりでッ…!!

 

赤脚”切り裂き(セクタム)・ストライク”ッッ!!

 赤脚に染まった啓はそのままモロに炎の竜巻に突入したッ!!

 

「ディヤハハッ!! 流石だな、突入してきたか‥!! だが、パワーが落ちてるぞッ!!」

 黒の化身は一気に啓の身体に突入した。

 

「悪魔風脚”最上級挽き肉”ッ!!」

 啓の頭上へ大乱数の燃える脚を叩き込んだッ!!

 

「どうだッ、これで()だァ…!!」

 黒の化身が残念な洒落を吹き出し、高笑いした。

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間。

 

「残像だ。」

 黒の化身から背後から、一言。

 

「なざn」

 もう、遅い。

 

 

 

 

赤脚”切り裂き・ブーメラン”ッッ!!

 ”斬ッッ!!!”

 

「Gaaッ!?」

 ”ドチャッ…”

 

「やけになったら…勝負は終りだ。」ドン!!

 黒の化身”悪魔風脚”戦…勝者、桐生啓。ドドン!!

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 闘いの後…。

「身体が離れても生きてるのか…バラバラの実でもねェのに、つくづく人外か。」

 そう言い、啓は倒れている黒の化身”悪魔風脚”を見下ろしていた。

 

「フン、その人外に勝てる貴様は”怪物”だ…。」

 

「…。」

 

「1つ聞かせろ…どうやって勝ちに繋げた。」

 

「どうして、知りてェんだ?」

 

「貴様と俺にそこまでの差はあまりない筈だ。 だというのに、俺は負けた…。」

 

 

「それに‥‥もし教えれば、敗者として”ある事実”を教えてやる。」

 

「!!」

 

 

「安心しろ…説明するまでは消えんからな。」

 

(ある事実か…。 こいつが消える前に教えて貰うか。)

 

「分かった、教えてやる。」

 啓は情報を訊く為に、黒の化身へ説明をする事に決めた。

 

 

「俺が勝ちに繋げた作戦は…”脚力の使い方と予測”だ。」ドン!!

 そう言い、啓は二つの事柄を説明をした。

 

「先ず、脚力の使い方だ。 簡潔に言えば、速さだ。」

 

「俺は封印術(テメェ)の所為で、神のおっさんから”六武術”が使えなかったが…黒足は使う事が出来た。」

 

(…。)

 

「だが…六武術が使えなくなって、黒足が唯一の武術となった時‥()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 

「そこで神のおっさんの言葉を思い出した。 黒足は六武術の中でも、”最も速い武術”である事をな。」

 そう言い、啓は自分の両脚を指し示す。

 

「‥人間が蹴って攻撃する時、必ず敵へ近づかないといけない。 つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「実際の話…戦闘で敵が立ち止まる事は少ねェ。 そうなると、敵へ攻撃するには…移動しながら攻撃しなければならない。」

 

 

「…そうか。 蹴りで攻撃する場合なら…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 …これをサンジの闘いに置き換えてみよう。サンジは戦闘に於いて一切手を使わず、蹴りだけで闘っている。

 そして‥戦闘では高速移動しながら重い蹴りを入れているのだ。これをもっと詳しく言えば…高速で走っている加速度を取り入れて蹴っている事になる。

 尚且つ…移動中に殴打でなく、蹴撃で攻撃する方が()()()()()()()()()()()()()で、殴るより速く敵へ攻撃出来るのだ。

 

「理解したか。」

 

「つまり、貴様…移動しながら強力な蹴りを俺へ当てる為に、速さを上げていたのか…。」

 

「そうだ。 緑の覇気と青い覇気を組み合わせて、ベラミーの”スプリング・ホッパー”みてぇに速さを上げたんだ。」

 啓はそう言うと、両サイドのビルを指差した。

 

 青い覇気を両脚に纏わせ、ビルの壁面に当てる。だが、速度を上げるには…ビルの種類によって、損傷もある。

 そこで、激突する際に自身の両腕とビルの壁面に緑の覇気を纏わせて、防御力を上げる。

 そして、緑の覇気の反発力を利用して両腕で跳ぶのだ。両脚のバネだけで飛ぶベラミーと違ってわざわざ態勢を変える必要がないので、より短時間で速度を上げれるのだ。

 

「因みに、テメェの竜巻の回転も利用させて貰ったぜ。」

 

「‥なら、予測とは貴様の口からはなんだ?」

 

 

「ああ。俺にはテメェがどんな技を使い、どの位置に居るか予測する必要があった。」

 

「その為に、一度話かけて…一撃勝負で片を付ける様に仕掛けた。 乗ってくるように煽りを入れてな。」

 

「テメェは蹴り技に拘っていたから、大技は蹴り技に絞ってくるだろうと思った。」

 

 

「前にカポエラを使う馬羅垣と闘った時…奴は最後に竜巻を仕掛けてきたから、大技に竜巻を使ってくると思ったぜ。」

 

 

「案の定…竜巻を仕掛けてきたから、後は簡単だ。 竜巻を仕掛けるって事は中央に陣取ってる。」

 

「竜巻に侵入する時だけ…残像で入って、後はそこから後ろから斬った訳だ…。 これが俺の作戦だ。」

 

「思ったより、頭を使うのだな…貴様は。」

 黒の化身の言葉に啓はキッパリと言った。

 

「当たり前だ。 俺は元だが…総合格闘家だ。闘いに頭を使わない訳ねェだろッ。」ドン!!

 

 

「さあ、今度はテメェが話す番だ。」

 

「いいだろう…。」

 

 

「貴様が神から貰った”六武術”を取り戻すには…俺以外の黒の化身を”五体”倒さなければならないッ…。」ドン!!

 

「五体…。」

 

「後の五体は…あの小僧の解印術を唱えた際に…貴様の五体から解放されたのだ。」

 

「マスターは…解除される事を見越して、敢えて我らを造ったのだ。」

 

「何故だ、奴は俺にどうして拘るッ…答えろッ!!」

 啓は黒の化身の首元を力強く持ち上げた。

 

「フン、まだまだだ。 貴様はまだ俺一人しか倒してない…答えられるのは”真実”ではなく、”事実”のみだ。」

 

 

強者には強者の存在が必要なのだ。」ドン!!

 

「チッはぐらかしやがって…。」

 

「そろそろ、時間切れか…。 喜べ、これは自らが取り戻した貴様の技だ。」

 途端に、黒の化身の身体は啓の身体に徐々に取り込まれていく。

 

「これはッ…!!」

 

「更に力つける事だ…転生の龍よ。 ディヤハハハッ‥!!」

 その言葉を残し、黒の化身”悪魔風脚”は啓へ完全に取り込まれていった…。

 

 桐生啓は悪魔風脚(ディアブルジャンブ)を完全に取り戻したッ!! 

 

「…勝って取り戻したのか。」

 ”悪魔風脚”は取り戻した啓であるが‥だがまだまだ安心は出来ない。

 

(”悪魔風脚”は取り戻したが…後の五体を倒さないと完全に取り戻せないのか。)

 

(まだ、安心は出来ねぇな。)

 そんな、啓が一考を考えていると…。

 

 

 隆「桐生さん…どうやら勝ったようですね…。」

 そこへ、腹を抑えた隆が歩んできた。脚はふらついていた。

 

「隆ッ!! どうして、此処まで来た?」

 

「すいませんね。 時間が無くて…。」

 そう言うと、隆は呻き座り込む。啓は急いで隆の元へ駆けつける。

 そして、啓は事の顛末を話した。

 

「まさか…奴が解印される事を見越して、敢えて封印を弱くする事で封印術を擬人化させるとは予想外でした…。」

 

「ああ‥あの時、奴だけでなく…他の奴らも解放されているとはッ‥!!」

 啓は地面に拳を打ち付け、舌打ちする。

 

「ええっ…ですが、悪魔風脚を取り戻せてよかったです。」

 

「応…だが今度は明日の金剛山との闘いを考えないといけねェ。」

 

 

「そうだ…。その事ですが…金剛山は”闘粒拳(とりゅうけん)”という拳法を使います。」

 

「”闘粒拳”…奴も拳法を使うのか?」

 

 

「はい、僕も実際には見たことは無いですが…団員が言っていました。 ダイヤモンドの能力を拳法に使っているらしいです。」

 

「後…元々team”iflit”の先代teamは”idevil(イーデビル)”と呼ばれていて、その先代総長が…。」

 

 

天山角の金剛山と呼ばれていた男なんです。」ドン!!

 

「なんだとッ…!! 奴は元々総長だったのかッ…!?」

 

 

「ええ、それに忘れてならないのが…災厄の転生者”蝋害の蝋家龍”」ドン!!

 

「筆頭から聞いたんですが…今や四大勢力の頂点と言われている”砂山”と互角に渡り合っていた転生者です。」

 

「‥‥!!!」

 

 

「本当なら…奴の蝋人形や貴方の薙刀を直したり、僕もサポートしないといけないんですが…。」

 そう言うと、隆の身体は薄っすらと消え始めていた。

 

「おい、隆ッ!! お前…身体がッ!?」

 

「申し訳ありません…今の僕は分身体の様なもので、ここに居ないんです…。」

 

「でも、死ぬわけじゃありません…。 なんとか、時間を見つけてここに来るようにしないといけませんが…。」

隆は啓の肩を強く掴んだ。

 

「頼みますッ…!! 僕らが来るまで持ち堪えてくださいッ!!」ドン!!

 

「…ああ、分かったッ!! 約束するッ!!」

 啓と隆は互いに握手をした。

 

今ここに、ラブライブの世界を護るべく…男達の反撃の狼煙が今上がり始めようとしていたッ!!

 

「では、近い内に…また!!」

隆は笑顔で手を挙げると…静かに闇夜へ消えていった…。

 

「‥‥応。」

 

すると、そこへ啓の声を呼ぶ声がして来た。

 

?「啓っー!! 返事してよー!!」

()()()()()()()()()()()()()()()が辺りに響いてくる。

 

「…行くか、明日へ向けて休もう。」

啓は1人呟くと…右脚にを灯し、自身の居場所を知らせるのであった。

 

 

続く…。

 




次回 第54話 いざ、東京港へ 次回も乞うご期待b
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