転生の龍が如く 〜女神の守護者~   作:kantarosu

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作中に出てくる冊冊冊冊冊冊というのは、区切りとして使ってますが…。
丁度、この”冊”と言う字が絵記号で牧場にありげな雰囲気を醸し出していので、使用した次第で御座います。では、前回のあらすじをどうぞ。(本当は”柵”が正解やけど。)


冊冊冊冊冊冊

~前回のあらすじ~
冒頭からteam”iflit”が話をしている中…警視庁から東京港へ出発した啓は、蛇蝋による爆破工作に遭う。
だが、啓は一早く叱咤激励すると…すぐさま瓦礫を破壊し前進する事を示す。
その後、蛇蝋の作戦は桐生啓を天敵とみなし、狙撃による作戦を展開するが‥。

啓が前に仲間にしたhunter総勢23匹により、首狩りをされ撃沈される始末。
さて…戦力upを図った啓達は、ビジネス街を抜け目的の東京港へ向かうのであった。



第56話 工業地帯の”金獅子モデル”

 …東京港へ上陸する前 ~簡易指令室前~

 

 それまで熱気が帯びていた空気は、”件の男”が周りの人間に諭され抵抗していたが…遂に彼等の覚悟に負けた。

 負けたと同時に空気は徐々に冷えていき熱気を生み出した”件の漢”は…口を開いた。

 

 啓「分かった…。 俺にも決心がついた。」

 女神の守護者…”桐生啓”は歯を喰いしばりながら、拳を握り締める。

 その言葉を聴いて、鷲尾は安堵の声を出す。

 

「ようやく、決心がついてくれたか…。 よし、お前の取るべき行動を教える。」

 そう言い、鷲尾は手早く話し始めた。

 

「いいか? お前はμ’sやこの国に生きる人間にとっての最高戦力…金剛山との決闘の前に出来るだけ体力や筋力を使わせないようにしたい。特にお前の切り札である”脚”に負担を掛けさせるわけにはいかないからな。」

 

「だから、お前が到達するまで…先行して、俺も含めた警察と軍を混ぜた混合部隊で時間稼ぎをする。 …お前と矢澤さんはその間に他の部隊を隠れ蓑に動いてくれ。」

 

「そして、東京港へ着いたら…船に乗せておいたお前の”相棒”で一気に目的地まで到達しろ。以上。…これは時間との勝負だ。」 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「…。 今の俺達は”今日の戦い”に集中する方が優先順位だ。」

 

 鷲尾を含んだ国防関係者達の覚悟は周囲を重い空気に変えていた。

 そこへ、緊急の一報が投じられる。

 

「警部…大変ですッ、東京港から見たことも無い化け物がこちらに近づいておりますッ!!」

 その一報は()()()()()()()であった…。この一報により、桐生達は死を招く闘いに突入する事になる。

 

 

 同日、現在時刻 ~東京港工業地帯”上陸ポイント”~ ♪One Piece Burning Blood BMG 6

 

 現在地…此処は、東京港工業地帯。普段の日常なら、工業用のタンカーや運搬車両が行き交う忙しない工業地帯は今や見る影もない。戦場地帯に移り変わっていた。この上陸ポイントからは見える橋は…蛇蝋の爆破工作によって、見るも無残に”完全崩落”していた。

 

 …つまり陸からの侵入は事実上不可能となってしまった。

 

 残された侵入方法は海と空しかない…国防に関わる精鋭達はあるものは船に乗り、またあるものはヘリに乗った。突入時には、装備を整えて…。

 そして、精鋭の傍らには…桐生啓が仲間にした”hunter達”の姿もあった。

 彼らは桐生の命令を聞き入れ、散開して精鋭達のサポートに回って戦場を行き来する。

 

 

 「敵を倒して、港内に進めッ!!!」ドン!!

 

 その言葉を胸に上陸に成功した部隊は、続々と工業地帯へ侵入していった。到達する前に…辿り着く事が出来なかった仲間の無念と共に…。

 …そんな混乱した状況で、一人の漢と一人の少女が乗船していた船もまた辿り着いた。

 

 そこへ、船が着いたのに気が付いたある生物が…自慢の羽を羽ばたかせ、一気に急降下で攻めて来た。

 飛来するその姿はなんとも言い難い醜悪な姿であった。所どころに黒い毛が颯爽と生え茂っており、黒い皮膚から覗く筋組織がグロテスクな印象を与えた。

 極めつけはその顔であり、黒い頭蓋骨に白目が埋め込まれたインパクトの強い顔面が見る人を本能的な恐怖に苛まれるだろう…。

 

 一言で言えば、決してこの世界から生まれる筈もない…グロテスククリーチャーが、船を襲おうとしているのだ今。

 

「kkkkkk!!!」

 雄たけびを上げ、眼球に捉えたターゲットを確保しようとしたその時であった。

 

 ”ビクッ!!”

 身体が硬直する…だが意識は奪われない。そんな、身体が止まった矢先であった。

 

 「くたばれッ!! キメラ野郎ッ!!」

 船内から勢い良く飛び出してきた漢は、その固めた拳で化け物の顔面を殴打した。

 

 ”バキッッ!!”

 骨と肉が一瞬で破壊される音…。その拳は黒く変色し、脚は青く変色している。紛れもなく、滞空迎撃といったところだろう…。

 

「ggggg!?」

 漢の拳を受けたハエの化け物こと…金獅子会のBOW”キメラ=フライトタイプ”は空中から一転、地面に激突されたのだった。普通の生物よりも強靭に造られている筈のキメラ。

 本来であれば、銃火器を要いた銃撃であってもそう簡単に倒せない筈の強さと凶暴性を秘めている。現に原作では決して素手ゴロで倒せる筈がないのだ。

 

 だが、あろうことか…キメラの醜悪な顔面を怖気つくどころか、逆に怯えさせてその顔面に強力な一発を与える男が居た。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ”グチャッ!! ビチャビチャビチャッッ!!”

 

 技でもなんでもないタダの踏みつけ…だが威力は瀕死のキメラには絶大、彼奴の頭部は踏みつけによって()()()()()()()()()()となった。

 

 踏みつけた啓はそのまま跳躍すると、スタンバイしていたバイクの座席に着地した。

 そう、このバイクこそ…啓が江田島から授かった”相棒”こと大型バイク”龍像”であった。

 

 ”ドルルルッ‥!!”

 エンジンが始動し、龍像は火を噴いた。そして、座席の後ろにはにこが座っていた。

 

にこ…今は無理に理解しようとするな。 只、俺の背中を見てろ。」

 

「うん…分かった。」

 そう言うと、にこは啓の背中を”ギュッ”と握った。

 

 「行くぜ…先へ。」ドン!!

 

 そう宣言する”転生の龍”の横には…国防部隊と刻まれを含んだ3体のhunter達が並び立つ。

 

 ~第3倉庫へ急げッ!!~ 

 

 

 

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 ~東京港工業地帯”太洋コンビナート”~

 

 一方その頃…桐生達より先行していた国防部隊は東京港工業地帯”太洋コンビナート”まで辿り着いていた。

 このコンビナートまで辿り着けば、東京港旧第3倉庫まで遠くない距離にある。

 

 つまり…team”iflit”が待ち構える場所までもう一息の距離なのだ。

 

 後、もう一息…。そんな中…木ノ内隊長は、鷲尾に話しかけていた。

 

 木ノ内「鷲尾、此処を抜ければ…もうすぐだな。」

 

 鷲尾「ああ、目的地まで目と鼻の先だ。」

 

「しかし、まぁ凄まじい強さだな。 ‥‥hunterというのは。」

 そう言い、眼の前で隊列を組み、前衛に当たっているhunter総勢22匹を眺めていた。

 一匹一匹がかなりの練度に達しているBOWことhunterは、悠々と地面に前進していく。その様相は熟練した部隊も顔負けであった。

 

「こいつらが全員…敵だと思うとゾッとするが、味方だとこうも頼もしいとは。」

 

「そうだな。 彼等が味方についているからこそ、無茶が出来るというものだ。」

 

 

 桐生より先行していた国防部隊は、ハッキリ言って戦力として…敵側と比べると明らかに劣っている。もし、単純な攻め合いに発展すれば、被害は甚大になるだろう。

 そこで考え付いたのは、前衛にhunter達の総勢22匹を配置させる事であった。

 

 既に蛇蝋の面々を始末する事に成功しており、他の敵の存在はなかった。とすると、後に闘う敵の軍勢は…東京港辺りで待ち構えていると考えられる。

 国防部隊は、真っ直ぐに東京港へ向かうので敵とぶつかるのは必ず”正面”という形になり、敵も同様。互いが正面からぶつかると予想された。

 

 だからこそ、前方にhunter達を配置させる事を選んだ。

 

 …そして選択は功を為したのだ。前衛に配置されたhunter達の強さはというと…頼もしい程の戦果を国防部隊に与えた。

 ぶつかり合った敵はというと…キメラ=フライトタイプと水色の狩人こと…hunter達の同種である”hunterγ”であった。

 

 hunterγは、水中行動を主としたBOWであり、水中からの奇襲や舌を使った攻撃を得意とする青い色をした蛙の化け物。

 キメラはというと、ハエと人間を合わせた様な醜悪な化け物で…本来なら天井を行き来するBOWなのだが、どういう訳か…ハエの羽を背中に携えて、空中行動を可能とした化け物となっていた。

 

 此処までの化け物2種に襲われれば、国防部隊だけでは一たまりもないが…hunter達の敵ではなかった。

 

 跳べる訳でも、舌を伸ばせられるという体技が無い彼等だが…発達した爪や脚力といった”狩人”に見合う身体能力が彼等にあった。

 敵を殺す際、必ず首を狙う”首狩り戦法”とそれぞれの個体同士の連携プレイが彼等を2種を圧倒した。

 

 同じBOW同士でも、ランクがあり…どうやらhunter達と比べるとこの2種の方が格下であったのだろう…。

 

 そして、後衛に当たる国防部隊はというと…直接の戦闘はhunterに任せ、徹底的に援護へと回った。

 しかし、彼等の銃器は単なる拳銃ではなく、大国の顔負けの装備をしていた。それはアサルトライフルやらサブマシンガン等と完全に戦争をおっぱじめる装備と言っても差支えないだろう…。

 

 これらの根回しは、鷲尾と木ノ内の友人である江田島の功績が大きかった。

 江田島は常日頃から、()()()()()()()()()()()()()()()という思いが根底にあり…武器商人の知識や軍人時代の経験を活かして、世界中から武器の調達ラインを模索していた。 

 

 それが功を為して、国防部隊の装備をかなりのパワーアップを果たした。

 

 つまり、国防部隊にしろ、hunter達の総勢22匹にしろ…互いが自分達の役割を果たした結果、此処まで辿り着いたという事だ。

 

 

「‥‥とはいえ、桐生君が俺達の進軍を理解してくれるとはな。」

 

「ああ…あいつにとって、俺達も護ると言う考えが”頭の底”にあったんだろう…。」

 

「だが、それじゃあ却って奴を追い込むだけなんだ…。」

 鷲尾の頭には先程の大きな言い合いが眼に浮かんだ。

 

 彼等の進軍は今の所はなんとかして、順調。

 だがしかし…彼等が進軍するという事自体が、本来なら桐生啓にとって意にそぐわない事であったのだ。

 

 話は遡る事…簡易指令室の話。

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊 

 前話 ”送り届ける意志”。 

 

「”独りで闘おうと思うな…桐生”。」ドン!!

 

「…!!」

 鷲尾のその言葉に啓は、少し険しくなった。

 

「どういう意味だ? ”俺が独りで闘う?” 見渡してみろ、あんた達も武装して戦っているじゃねェか。」

 

「それに直接奴等と戦うだけでなく、武器を用意したり、後方支援も戦ってるみたいなモンだろ。」

 

「それのどこが独りで闘うなと言えるんだ…?」

 啓はそう告げた。確かに発言だけ見れば、啓だけでなく‥皆同様に銃器や防具を装備しており、事件解決の為に戦ってるというのは間違えていない。

 だが、鷲尾は態度を崩さず、次の事を言い出した。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()。」

 

「ヘリで飛び立ち、東京港で降りれば済む話だ。 だがお前はそれを良しとしなかった。」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」ドン!!

 

「…!!」

 啓は目を見開けると、鷲尾の顔を凝視する。

 

 

「…お前は以前の様に、空中を自由自在に移動出来ないんだろ? 訊いたよ、矢澤さん経由から。」

 そう言い、にこの方へ視線を向ける。

 

「はい、啓は以前の様には跳べないんです。」

 

 江田島「えっ…そうなのか? 桐生君…。」

 

「…ああ、にこの言う通り。 今の俺は転龍会のボス”転龍会会長”に技を封じ込まれて、以前江田島のオヤッさんが見た様な闘いが出来ねェ。」

 

「そ、そうなのか…。」

 啓の答えに不安げな顔になる江田島。彼もまた桐生啓がこの戦いに於いて最高戦力である事を理解してるからこその発言であった。

 

「…鷲尾さんの言うように、ヘリでμ’sやその家族を運ぶ事自体は全く簡単な事だ。 ‥だが、始めから終わりまで無事で着くとは思わねェ。」

 

 

「この際だから敵の正体も言おう。‥敵の正体も俺と同じ”転生者”だ。」ドン!!

 

 

「!!?? ‥‥そうだったのか。」

 

「奴等はこの世界に居る様なタダの犯罪者と次元が違うのは…もうあんた達自身把握してるだろ?」

 

「何処から仕入れたのか分からない大量の武器、大型飛行機や戦闘機。 そして、明らかに超人染みた力に、手強い化け物ども…。奴等の力は決してこの世に生きていても手に入らない力ばかりを持っている。」

 

「そんな力を持った連中だ。 ただμ’sを乗せたヘリを落とすなんてのは造作もない筈だ。」

 

「覇王色の覇気でパイロットだけを気絶させたり、力押しでヘリを止めたり…μ’sの命を奪わずに手に入れる方法はいくらでもあるし、実際に奴等はそれを実行出来るだけの力を持ってる。」

 

「確かに蛇蝋から押収した武器の中には、携行型無反動砲やスティンガーらしき対空兵器もあったな。」

 

 啓とhunter達が始末した蛇蝋の簡易アジトには、それら重火器などが懐にあった。現在、国防部隊にも”銃火力”として使われる事になっている。

 

 

「兎も角、今の桐生君じゃあ…空中を飛びまわれない以上、空の戦いは不利になってしまうのか…。」

 

「ああ、月歩が使えない以上…空中じゃあ、身動きが上手く取れねェからな…。 もし、敵の攻撃が来れば闘うのは難しいぜ…。」

 

「だから、空よりも地上から港を目指した方が…俺の今の戦いには合ってたんだ。」

 

「そうだったのか…うむゥ。」

 

 

「‥‥んッ? ちょっと待ってくれやッ。」 

 此処に来て、江田島が待ったを掛けた。

 

「結局よ…桐生君に”独りで闘うな”って言うのは()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「”独りで闘うな”って事は、”皆で闘えばいい”って済む話じゃないのか…。」

 

そんな答えが分かり切ってる話を今更この場で問う必要があるのか…?

 

「‥‥。」

 その言葉に揺さぶられる空気…。

 

 

「確かに江田島のオヤッさんの言う通りだ。 それで済む話に…今更港に行く手段の話を付け加えて何の意味があるんだ…?」

 

「…そうよね。 もう、動き出してるんだし…今その話をする訳にはいかないわ。」

 

「おう2人の若人の言う通りだぜ、鷲尾。 この大事な局面でそんな話をしてどうするつもりなんだ?」

 

 それに対して、鷲尾の返答は…。

 

「…ああ、全く以ってその通りだ。 独りで闘うな、皆で闘えばいい。もう、答えは既に出ている。

 

 

 

 

 

だが…答えが出ても、桐生。 お前は実際に皆で闘おうとしているのか?ドン!!

 

 「…!!!」

 

「今のヘリの下りは…お前の”心構え”を確かめる為だ。」

 

「”俺の心構え”…?」

 

 

「そうだ…。 お前はμ’sだけでなく、俺達国防部隊も護ろうとしているんだろッ?」ドン!!

 

「ッ…!!」

 啓はその言葉に珍しく…動揺を見せた。

 

「国防部隊を護る…? それは啓が間違ってるって事ですか?」

 にこが鷲尾に対して発言する。

 

 「ああ…全くの間違いだ。」ドン!!

「…!!。」

 言い切った…。

 

「思い出してみろ…君が馬羅垣という男、いや…あの”転生者の男”に捕まった時の事を。」

 

「あっ…。」

 

 にこは思い出す。あの全く知らない男に捕まってしまい…国中が自分一人を救出するのに、どれだけ大変だったかという事を…。

 

「わ、私を助ける為に…名前も顔も知らない警察の人達が助けてくれようとしてくれました…。啓も私を助ける為に…。」

 

「そうだ、凶悪な犯罪者達から”一人の少女”を助けるだけでも非常に難しい事なんだ…。」

 

 

「確かに桐生は強いッ!! 俺達とは遥かにな…だが、それでも全ての人間を護る事は出来ない。 何故なら、人間は生まれた時から…”眼前の行動”しか起こせないからだ。」

 

「…!!」

 

「近くの人間を救えても、遥か遠くの人間の危機が救えない様に…一人の命を救うだけでやっとなんだ。」

 

「それを差し引いても…一人の命を救う事でさえ、非情に困難な事件があった。 それが”μ’s矢澤にこ誘拐事件”だった…そうだろう、矢澤さん?」

 

「・・・・・。」

 にこには何も言えなかった…。

 

 ”ズアッ…!!!”

 だが、此処に来て啓の身体から大量のオーラが噴き出したッ!!

 

それでも、俺がやるしかねェだろうがッッッ…!!!」ドン!!

 啓の身体から、覇気のオーラが迸る。

 

「け、啓!?」

(す、凄い気合い…!? 身体中からなにかが溢れてるっ!?)

 

「…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() …それは、あと一歩で死人が出そうだったからだ。」

 

「あの日、鷲尾さん…あんた達は警察として自衛隊と組んで出動したよな…。 それも俺やμ’sを助ける為に…。」

 

「だが、実際はどうだった!? 奴等と互角に戦えたのかッ!?」

 

 

チゲェよなッッ!! 只、意識を奪われただけで事件は終わった…!!

 

 

「け、啓…いくらなんでも、そこまでい」

 だが、鷲尾はにこの言葉を制止させる。

 

「止めなくてもいい、桐生が言いたい様に言わせてやろう…。」

 

「‥!! は、はい。」

 

「俺から見れば…あんた達は絶対に奴等へ太刀打ち出来ねェッ!! このままじゃあ、確実に死人が出るッ!!」

 

「俺は一度死んだ人間…”転生者”だッ…。 危険というのが分かっている以上…あんた達を巻き込む事はしたくねェんだよッッ!!」

 

「…啓。」

 にこは啓の心を案じた。先程、鷲尾に制止されたおかげで…にこは冷静に啓を思う事が案じる事が出来たのだ。

 

 

(啓は…一度死んだ人間、転生者。 ううん、自分が死んだことを()()()()()()()()。)

 

(誰よりも死を重く意識出来るから、自分の出来る範囲で…人が助けられるなら助けようとするし、その力も持ってるわ。)

 

(昨日、啓から聞いた作戦は…聞いた時はこの人は誰よりも()()()と思った。)

 

(それと同時に…寂しい人だなって…。 痛いのが分かってるのに、それでも戦おうとするんだから…普通の人より精神力が強いんだわ。)

 

 

(だから…意識してもしなくても、私達を助ける為に自分を追い詰める事を迷わず引き受けようとしてるんだわ…!!)

 

 にこと啓は会ってまだ間もない…しかし、2人の出会いは特別な出逢いにあった。本来なら出逢う筈が無い世界に居た漢とその少女。

 

 そんな出会いから端を発した2人には、早くも強い絆が芽生えていた…。

 そして、その芽はにこの発言によって…この場に咲き出す。

 

 「その言い方は”周り”が見えてないわっ!! …啓っ!!」ドン!!

 

「なんだとッ…。」

 にこの発言に、啓は喰いついた。

 

「俺が周りを見えてねェだって…? じゃあ、お前は俺より周りが見えてるのかッ?」

 

 

「そうよ。 今のにこの方が見えるもん。」ドン!!

 

 

「‥…どうしてそう言い切れる?」

 

「簡単よ…にこはあんたより()()()から決まってるからよ。」

 

()()()から…見える。 話が見えてこねェな…。」

 

「そりゃそうよ。 今のあんたは”図星”を突かれて、感情的になってるから見えてこないのよ。」

 

「…俺が”図星”?」

 

 

「啓、あんたは”今回の作戦”で誰も死なない様に考えて闘ってる。 人が死なない様に”自分の力”を信じて闘うって事自体は、にこも凄いと思うけど…。」

 

「けど、自分の力を信じるあまり…他の”皆の力”を信じようとしないとも取れるって訳…。」

 

「…。」

 

「…結局、あんたの心の中には転龍会を相手に闘えるのは”自分”だけしか居ない…。だからそれ以外の人間を弱いって決めつけて…独りだけでカッコつけようとしてる。」

 

 

「そんなので…前に進める筈がないじゃないっ!!だって”昔のにこ”と同じだもんっ!!」ドン!!

 

「‥昔だとッ!?」  

(昔のにこと今の俺が同じ…?)

 

「ちょっと昔の話になるけど…話してもイイですか?」

 

「ああ…矢澤さん 君に託そう。」

 そう言い、鷲尾は了承する。それに対して、にこはお礼を言うと…少し前の自分の過去を話始めた。

 

 その過去とは、μ’sに入る前の自分自身の”独りよがりな考え”の事であった。

 

「にこはね…。 μ’sに入る前は、独りでアイドル活動してたわ。」

 

「今はμ’sに入って卒業したから、解るけど…。 アイドル活動に関しては、本当に自分の事しかしてこなかったわ。…他の子達なんか見向きもしないで、自分しか磨いていなかったのよ。」

 

「ポーズとか、セールスポイントとか、ファッションとか…自分一人でも出来る事を時間を見つけて磨いてた。」

 

「それだけの努力をすれば、何人かのファンは出来ると思うじゃない。 けどね、上手くいかなかった…。」

 

 

「どうしてだろうって思ったの。そんな時、穂乃果達が結成したμ’sが出始めたの…。」

 

「にこより、ダンスや歌が特別上手い訳じゃないのに…皆から評価され始めて、凄く嫉妬したわ。どうして、”あんた達の方が評価されんのよ”って。」

 

「けど…今考えれば、評価に差が出るのは当然だったと今のにこなら言えるわ。 …それはね。」

 

 「人に頼る事をしてこなかったからなの…。」ドン!!

 

「・・・・。」

 

「今思えば…ものすごく現実的な事よね。 自分が出来ない事や自分一人じゃ出来ない事を他の人に頼る。出来具合を皆から評価して貰う。そんな誰にでも考え付く事が出来なかったのは。」

 

「一度挫折したからって、それだけで他人の力を頼らない‥それが過去の私。」

 

「けど、それは結局…()()()()()()()()()()()になったわ。それが…随分、続いたの。」

 

「…そんな事があったのか。」

 

(にこにそんな思い詰めた過去があるとは…。 μ’sの輝かしい歴史だけじゃなかったんだな…。)

 

 

 

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 ”人に歴史あり…。”

 啓は此処に来ての‥‥にこの過去話を聞いて、啓は気付かされた。

 

 その話は”転生の龍”を冷静にさせ…にこの過去話は、今の自分の”状況”と似ている事を関連付けたのだ。

 

 今の桐生啓は…転龍会に対抗出来るのは、現状…自分しかいないと確信している。つまり、他人を当てにせず自分一人だけで今日の戦いを切り開こうとしていたのだ。

 

 ()()()()()()()()()に至ってしまったにはワケがある。

 

 

 本来…この戦いが始まる前から、啓は”神のおっさん”から、”μ’sを護ってくれ”と託されて…この世界に転生してきた背景がある。

 

 当初はμ’sを護るという使命を持って、転生してきた。それこそがこの世界に転生してきた”原初の理由”なのだ。

 

 だが、転生したばかりの啓の眼に入って来たのは、にこを誘拐したドレッドヘアー軍団に大苦戦する”救出部隊”の姿であった。

 そう、初っ端から…警察では転生者達の組織に歯が立たないという現実が既に存在していたのだ…。

 

 その後…事件の顛末は暴挙をしでかすドレッドヘアー軍団自体は、主犯の”馬羅垣 治”共々、倒す事に成功した。

 実際、功績の内訳も…殆どが啓一人の活躍という事であった。

 

 そう、この時点で()()()()()()()()()()()()()()()()という”負の式”が出来てしまった。

 

 だが、その”負の式”だけでは無かった…。

 その後も”崩壊ライブ事件”や”白いドーム事件”等が起こり、μ’sは狙われる事になる。

 

 …ところが、その事件の傍らで大勢の人や建物問わず、被害に巻き込まれているというのも事実なのだ。

 

 例えば、麦野の覇王色の覇気でライブ会場の周辺に居たファンを大勢気絶させ、啓と麦野…両者の戦いでライブ会場を崩壊させてしまった。

 そして、音乃木坂白いドーム事件では遂に校舎どころか…龍感謝祭に出席していた関係者が蛇蝋総統”蝋 家龍”のドルドルの実によって、徐々に肉体へ蝋の脅威が蝕んでいく…生命の危機が起こってしまっている。彼女達はμ’sでは無いにも関わらず、その被害を受けてしまっているのだ…。

 

 μ’sを慕うファンなら兎も角…それ以上、無関係な人達が多く被害に遭っているのが事実なのである。

 

 今の時間軸にしても…本命である”東京港の決闘”が始まる前だというのに、ビジネス街は蛇蝋の爆破工作により…周囲が破壊し尽くされた事態に陥っていてしまった。

 

 纏めれば…転龍会にしろ、蛇蝋にしろ、金獅子会にしろ…組織自体の規模やそこに所属する組員達が、過剰な力を持ち過ぎているのだ。

 その為…μ’s9人を狙えば済む話が、組織のパワーが余りにも大き過ぎる為に…その余波が、大勢の無関係な人々や建物に被害が”飛び火”してしまっているのだ。 

 

 これ自体を負の式として起こせば、”転生者達のマンパワーが大き過ぎる為に、μ’s以外の人や物にも被害が及ぶ”という事が成り立ってしまうのだ。

 

 つまり…警察では勝ち目が無いという事は、転生者側と比べて余りにも強さの次元が違い過ぎる為に、啓と共に戦えるどころか…最悪”足手纏い”にもなりかねない。

 また、転生者達のマンパワーが大き過ぎて、無関係な人間に被害を及ばない様に護れるのも…啓以外は当てにならない事になるのだ。

 

 そもそも…”桐生 啓”という男は本来ならワンピースの世界に行きたいと公言していた男である。それも初対面の”神のおっさん”へ単刀直入に言うほどに好いた世界なのだ。

 それ程、自分が生きていきたい世界を棒に振ってまで…携帯サイトの広告に載っていたぐらいの認識しかないラブライブの世界に来たのも…。

 

 転生者達の魔の手からμ’sを護る為…只それだけであった。

 

 何度も言うが…桐生啓はμ’sのファンでも無いどころか、ラブライブという作品に興味があった訳では無いのだ。ただ、転生者達から少女達を護る為に海から転生してきたのだ。

 無鉄砲というか、正義漢というか…お人好しに富んだ漢である。

 

 そんな性格を持ってしまった漢だ。転生した初日に警察が歯が立たないと感じ、μ’s以外の人間も被害に及ぶ事が早い段階で分かっていたのなら…。

 

 

 その人達をも…護ると考えるのも、桐生の性格を知れば…何ら可笑しい事ではない。

 

 それが分かっていたからこそ、啓は自分一人で闘う気概を見せた。ライブ会場で麦野と激突した際、残って自分一人で闘ったのも…音乃木坂白いドーム事件で援軍を呼ぼうとしなかったのも、出来るだけ…弱い人間を前線に出さず、己の力のみで解決しようとした結果であった。

 

 全てはこの戦いで誰一人も死者を出さない様にする為。 

 

 …だが、啓が前線に出さないにしても…悪い事に警察や軍隊はこの国そのものなのだ。

 ”転生者達の襲撃”という未曽有の大事件に国が動かない筈が無い。

 

 …だからこそ、啓は今日の作戦…東京港で金剛山と闘うまで出来るだけ、警察や軍隊を戦わせない様に動いていた。

 

 ところが…啓の独善とした考えは今”ヒビ”が入ろうとしていた。

 

 

 

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 木ノ内「矢澤のお譲さんや鷲尾達の言う事は”至極当然”だぞ、桐生君。」ドン!!

 簡易指令室の入り口から堂々と入って来たのは、木ノ内隊長であった。

 

「…隊長、聴いてたのか?」

 啓がそう尋ねたが…木ノ内はそれを否定した。

 

「聴いているのは…俺だけじゃないさ。」

 

 

 「此処に居る皆が聞いたのさ。」ドン!!

 そこには、大勢の国防部隊の隊員達が啓達が居た簡易指令室の前に集まっていたのだ。

 

「これは…。」

 

「悪いな桐生君…鷲尾の命令で集めたんだ、こいつらには是非聴いて貰いたくてね。」

 そう言い、木ノ内は盗聴に使うマイクをポケットから見せた。

 

「…どういう事だ、鷲尾さん。」

 啓は鷲尾へ視線を移す。

 

「…もう、ここらで”ネタ晴らし”だな。 実を言うと…お前以外の此処に居る人間は、全員が”グル”なんだ。」

 

「”全員がグル”…!? まさか…にこ、お前も?」

 

「‥‥ごめんなさい。 警部さんに頼まれたのよ。」

 にこはそう言うと、申し訳ないように啓へ謝った。

 

「鷲尾さん…本当なのか。」

 

「すまない、矢澤さんには是非協力して貰いたかったんだ。 俺達の言葉より彼女の話の方がお前の心を動かせると踏んだんだ。」 

 

「俺の心を動かせる為だとッ…? …だが、何の為に。」

 

 

「はっはっは‥今更じゃあないか? 桐生君はもう答えを知ってるだろッ?」

 木ノ内は啓に歩み寄ると、啓の肩に手を置いた。

 

「君と一緒に闘う為に決まってるじゃないか…此処に居る隊員がそれを望んでいる。」

 

「…!?」

 

 啓が驚く間もなく、木ノ内は言い続けた。

「此処に居る全員はな。 君の闘う雄姿を見て勇気づけられた奴等ばかりなんだ。」

 

「馬鹿な…勇気なんて滅多な事を口にするもんじゃねェ。 奴等がどれくらいの強さが理k」

 そう言い、啓は早々と木ノ内の言葉を否定するが…。

 

 「それは君に言われなくても…俺達自身が良く理解出来てる。 あの日、転龍会に矢澤のお嬢さんが誘拐されたあの事件から、身に染みて痛感したからな。」

 

「!!」

 

「もし、あの場に君が現れなければ…今此処に居る隊員の何人かはこの世に居なかっただろう。μ’sだけでなく、俺達国防部隊にとっても君は救世主だったんだ。」

 

 

「…本当に助かったんだよ、俺は。 ドレッドヘアーの男達に銃口を向けられた時、俺は息子や妻の顔が一瞬で浮かんだ。…もう、一緒に買い物や海に行けないと思うとまだ死にたくねェって。」

 そう言い、涙を拭う木ノ内。

 

「しかし、死の淵に立とうとした俺を救ってくれたのはあの場に駆けつけただった。 …俺にとって君は”年下の大恩人”なんだ。」

 

「その”大恩人”である君が間違いを犯そうとしている…。 それを正す為、此処に居る俺達全員は”一丸”となって今回の話を考えたんだ。」

 

”俺の間違い”…?」

 

 

 「…その間違いは”君自身”が護る対象を増やして、自分を追い詰めようとしているからだ。」ドン!!

 

「‥!!!」 

 

「桐生君…もしも矢澤家の人達が助からなかったら…君は自分を許せるか?」

 

「‥いや、許せねェ。」

 

「なら、俺達国防部隊の内の一人が死んだ場合はどうだ?」

 

「同じ事だ。 この戦いが始まった以上…俺には”責任”がある。」

 

「そういうところが君の問題なんだ…桐生君。」

 

「…!!」

 

 

 「君は人の生き死に真面目過ぎるんだ…此処に居る誰よりも。」ドン!!

 

「先程の話で転生者だったか‥? 成程…”一度死んだ事がある”という事を常に意識している分、此処に居る誰よりも…真剣味が誰よりも強い。」

 

「だからこそ、君は…何があっても味方側の人間が死ぬ事を良しとしない…。 そう、今も考えているのだろう? 桐生君…。」

 

「‥‥ああ、あんたの言う通りだぜ…隊長。」

 視線を地面に移すと…啓は座り込んだ。

 

「そもそも、この東京港の交渉も…俺が矢澤一家をしっかり護っていたら起きる事は無かった筈だ…。」

 

「にこの話を聴けば…三人ともまだ10歳にもなってない子供ばっかりだ…。 そんな子達をにこの母親は独りで護ってるんだッ…!!」

 そう言い、啓は地面にヒビを入れた。

 

 ”ズドッ…!!”

 

 「此処に居る誰よりも強い俺が…その責任を独りで背負うべきなんだッ!!」ドン!!

 

「…そんな自分で、追い詰める事言わないでよ。」

 啓の前ににこがしゃがみ込んで話掛けていた。

 

「啓、あんたさぁ…自分自身を攻め過ぎなのよ。」

 

「‥‥。」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() 自分で自分を追い込むタイプでしょ?」

 

「…俺がか?」

 

「そうよ。 だって…今のあんた昔のにことそっくりよ。独りで抱え込んで…見ててこっちも辛くなるじゃない。」

 

「‥‥。」

 

「自分の事って、他人から言って貰わないと…気付かないものよ? 今まではにこが言えたわけじゃないけど…。」

 

 

 「けど、”今”なら分かるわ。 他人に頼るのも勇気の一つだって事よ。」

 

「‥‥!!」

 

「あっ…それ俺も言おうとした事なんだけd」

 木ノ内がそう言い掛けた事を鷲尾が止めた。

 

「…いいじゃないか? 今の彼女が言った方がタイムリーだろ?」

 

「…そうだな。」

 

 その時…周りの国防部隊の隊員が一斉に言い出した。

 

「そうさ、桐生君!! 君は今まで頑張ってくれたじゃないかッ!!」

 

「俺達だって国防部隊だッ!! 独りで背負うなんて言うんじゃないよッ!!」

 

「背負うッとは言ってないだろ? けど概ね正しいから、その通りだッ!!」

 

 

 「君は命懸けで救おうとしてくれたッ。!! だから今度は俺達が君を護るッ!!!!」ドン!!

 

「あんた達…。」

 啓は眼の奥に何か水分が出ようとしたが…それを無理矢理拭った。

 

「啓…どうするの?」

 眼の前のにこの問いに…転生の龍の答えは…。

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 同日某時刻”太洋コンビナート”

 

 鷲尾と木ノ内の2人の隊員、先程の言い合いをふと思い返し、口々に感想を言い出す。

 

「ひと悶着あったが…桐生君は結局”俺達の力”を頼ってくれたか。」

 木ノ内はそう言い、鼻をすすった。

 

「ああ…本来あいつが言う”責任”っていうのは、独りで背負う事自体が間違いだからな。」

 

「そうだな…だが、桐生君はその事を気付かない程…頭が悪いとは思えないが。 あッ、決して彼が頭が悪いと言ってるわけでは無いぞッ!!」

 

 

「ハハッ…。 多分、それは奴が”転生者”だからさ。」

 

「”転生者”だから? …どういう事だ?」

 

 

「恐らくの話だが…アイツは()()()()()()()()()()()からあまり時間が経っていないんだろう…。つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

自分が死んだとその事自体が”タイムリー”だから…。 今生きている人間よりも死を身近に考えてしまって、気負いしまいがちになる。」

 

「…そうかッ!! だから、彼はこの作戦で俺達を死なせない様に動こうとしていた訳か…。」

 

「そうだな…。 いくら強いと言ってもまだ18歳だからな。」

 

18歳ねェ…俺が軍に入った時と同い年か…。 んッ? ちょっと待てよ。」

 

「どうした、木ノ内ッ?」

 

 

「いやな、桐生君が今の年齢が18歳だとしたら…()()()()()()()()()()1()8()()()()()()()()…。」

 

「…それがどうしたんだッ?」

 

「可笑しくないかッ? 転生ッて事は文字通り生まれ変わる訳だろッ。少なくとも、桐生君は記憶喪失らしいが…自分の前世は総合格闘家だと言っている。」

 

「ああ、確かに言っていた。」

 

 

「だろッ…? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 「!!??」

 

 その時、一人の連絡役が声を上げたッ。

 

 「警部ッ…定期連絡がまだありませんッ!!」

 

「なにッ…!?」

 鷲尾は話を打ち切ると…連絡役に顔を向ける。

 

「先程から俺達より前に向かった隊からの連絡がまだないんですッ!!」

 

「馬鹿なッ…さっきの連絡からそんなに時間は経ってないぞッ…!?」

 

 

 ”ビュンッ…!!”

 その時であったッ…!!

 1人の隊員を目掛けて、彼の首に何かが巻き付いた。

 

「おえェッ…!!!???」

 隊員の首に巻き付かれたのは…気味悪いピンク色の触手であった。

 

「クソッなんだ、こりゃあッ!!??」

 

「下がれッ!! 俺がやるッ!!」

 木ノ内は装備していたMP5で目標に照準を合わせ、引き金を引いた。

 

 ”ドゥンッ…!!”

 

 放たれた銃弾は、隊員に絡まっていた触手を当たった。

 弾に当たった触手はビックリすると、隊員を離すのであった。

 

「ゲホッ‥ボエッ‥!!」

 

「大丈夫かッ…!! クソッ…これも化け物の仕業かッ!?」

 

 直後、周囲から咆哮が騒めいた…。 

 

 

?「rrrrrrruooooo!!!!」

 耳障りな…咆哮が周囲を覆いつくした。

 

 それから…桐生の元に連絡が入っていた。

 

中澤「桐生君…定期連絡が途絶えた。」

 

「…分かった。」

啓は言い知れぬ不安を抱えながら、東京港へ急ぐのであった…。

 

続く…。

 




今回は主人公である桐生啓の”ダメな部分”を書きました。
ズバリ、他人に頼らないという事です。独善とも言いますか。
まあ、彼の立場からするとしょうがないと言えばしょうがないのかもしれない。なにせ、自分と張り合える強さを持つ者が国防関係者に居ない…。しかも、警察と軍隊という立場上…国家の危機に見て見ぬ振りは出来ませんからね。

…要約すれば、桐生以外に転龍会へ対抗出来ない人間が1人も居ないという事実が啓を独善たらしめた最大の理由です。

だからこそ、転生者と戦う事になれば、国では歯が立ちませんから…どうにかして遠ざけようと考えていたようです。それが自分で自分を追い詰める事になってしまった‥。
それをにこや作中の人物が指摘し、改めさせたというのが今回の話です。

さて、次回は第57話 VS”???軍団”…そして。

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