転生の龍が如く 〜女神の守護者~   作:kantarosu

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~前回のあらすじ~

東京港工業地帯まで辿り着き、hunterγやキメラを倒していく啓。その表情は普段より力強い表情となった。

その原因とは…簡易指令室での、ある言い争いに原因があった。
それは、啓がμ’sとその家族だけでなく…国防部隊をも護ろうとしていたからだ。
啓はμ’sを護る為にラブライブの世界に転生してきたが…彼女達を助ける為に、警察関係者も傷付く事を理解し、今回の東京港交渉でも誰が死なない様に自分一人の力でフォローしようとしていた。

その独善とした態度を改めさせたのは…にこと国防部隊であった。啓一人で背負わせることなく…皆で闘う事を決意するのであった。

だが…今日のこの戦いは生と死を決する戦いである事を彼等はまだ知らない。



第57話 VS”???”軍団 ・・・そして 前編

 同日某時刻 ~東京港工業地帯”決闘へ至る工通路”~

 

 桐生達は、東京港”旧第3倉庫”に向かう為に…部隊を分散して攻める事になった。桐生とにこの2人を部隊の中に隠して、それ以外の部隊が東京港の奥地を制圧しながら…最深部である目的地の倉庫まで辿り着く事になっている。

 

 …”桐生 啓”の力を考えれば、彼を先頭に立たせ”無双”させた方が…最も安全に進める事だろう。なにより、今の啓には”悪魔風脚”を取り戻した事により、”対生物戦”では敵に蹴りを浴びせれば…大火傷を負わせる程の威力を発揮出来る様になっているのだ。

 

 しかし、()()()()()()()()()()()()()()…。最深部にはキラキラの実の転生者である”金剛山 強”が待ち構えており、この巨漢の堅物男と矢澤一家の解放を懸けて、決闘せねばならないのだ。

 

 つまり、事実上今日の作戦で最も重要なのはその決闘であり、”金剛山を倒し、この戦いの先へ向かう事”が桐生達の目的なのだ。 

 啓を前線で闘わせた方が苦労に越した事では無いが…その考えで突き進んでしまうと、金剛山に辿り着く前にして…体力を消耗させた状態で決闘に臨まなければならず、勝つ可能性が己等で低くしてしまう。

 

 なにより、一番の厄介な問題は…桐生にとって金剛山は”天敵”という事だ。金剛山が所有するキラキラの実の能力は、己の肉体をダイヤモンドの硬度へ変化させる能力。それも瞬時に行える。

 そんな超硬度の肉体に対して、現状の啓の攻撃手段は転龍会会長に六大武術を奪われ、残された一武術…”黒足”による格闘攻撃のみ…。

 ”格闘攻撃”という事はつまるところ…自分の肉体を使って、攻撃する事になる訳だが…前途の通り、金剛山はダイヤモンドの転生者。

 

 物凄く硬くなれるのが理解していながら、己の手足で攻撃する…。そんな事をすれば、寧ろ自分の方が深手を負う事は間違いなしだ。

 

 だが…現状、金剛山に有効なダメージを与えるにはやはり()()()()()()()()で攻撃するしかないというのが結論。仮に啓が嵐脚などが使え、遠距離技を当てたとしても…有効打になるとは言えない。弾かれるのが関の山だ。(当然、銃器にも同じ事が言える。) 

 

 兎も角、来る金剛山との決闘は桐生啓の体力や筋力を出来るだけ消耗させずにしなければならない。体力を消耗してもしなくても、結局のところ金剛山は”強敵”でしかない。

 

 いや、桐生には敵が強敵だと分かっていても引かぬ訳にはいかない。もし自分が勝てなければ…()()()()()()知っているからこそ、命懸けで突き進もうとしているのだ。

 

 そして、桐生だけでなく…国防部隊の人達もまた同様に命を懸けていた。桐生を決闘の地へ向かわせるべく。

 

 

 …だが、今日を生きられる人間と生きられない人間が無残にも決定されようとしていた…。()()()()()()()()()()

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 啓とにこは国防部隊の内の一つ…隠れ蓑として、第三倉庫へ近付いていた。

 

 その移動には…大型バイク”龍像”へにこを乗せ、啓は目的地へ向かう。龍像を用意したのは、啓が己の脚で移動しようとするのを防ぎ、金剛山戦を有利に進める為にあった。

 これも脚に負担を掛けないようにする為であるが…そんな比較的、楽な状態を続けれている己の脚と比べて心中は穏やかでは無かった。

 

(ヤベェぞ…待ち構えてる敵は厄介な化け物共いに違いねェッ…!!)

 

 …それもこれも、先程にあった”定期連絡”が途絶えたせいにあった。

 

 ”定期連絡”とは文字通り…互いに連絡し合い、状況報告を兼ねて互いの安否確認をするという事である。

 しかし、最後に取った連絡からそれ程時間が経っていないにも関わらず…次の連絡が一向に来ないのだ…。

 

 事態が事態だけにあまり時間の感覚を空けない様にしているのにも関わらず、無事の連絡が来ない…それはつまり、その部隊が何かしらのトラブルに巻き込まれた可能性が大いに高いと考えられるのだ…。

 

 …先行した部隊から連絡が無い。そこから導き出された啓の答えは…金獅子会のB.O.Wに襲われたのでは無いかという事であった。

 啓が考えられる限り、その根拠は2つある。

 

 1つ目は、簡易指令室を襲い掛かって来たBOW達が…東京港から来たという事だ。

 恐らく、BOW達は…東京港を占拠、そこを拠点として、簡易指令室へ襲ってきたのではないのだろうか?

 そして、簡易指令室へ襲い掛かって来たBOWはキメラ=フライトタイプとhunter”γ”の2種であった。

 

 だが…その強さはhunterと比べると明らかに格が落ちており、国防部隊の全力での援護もあって、そこまでの脅威では無かった。

 となると…キメラやγ共は切り札というべき強さでは無かったのかもしれない。むしろ、先兵というべき強さであれば…東京港はまだ”なにか”が待ち構えている可能性が高い。

 

 2つめは、BOWは”啓の見聞色の覇気”に殆ど引っ掛からないと言う事だ。

 

 見聞色の覇気は、啓を基点と発せられるいわば”レーダー”の様なモノだ。敵が啓の”レーダー”の範囲に入れば、即座にその存在をキャッチされ迎撃出来るという優れた探知装置そのものと言っていい。

 しかし、どういう訳か…BOWに関してはあまり効果が無いのだ。

 

 以前、hunter達がμ’s達を襲い掛かって来た際…その接近に気付いたのはかなり距離を詰められて、やっとその存在を確認出来たのだ。

 なにせ、体調が優れていない訳でも無いのに”見聞色の覇気”が発揮されないのだから…啓としてはかなり焦ってしまった。もし、hunter達の接近を早く感じる事が出来なければ…強敵に食い止められ、その間にμ’sが襲われる可能性が無きにしも非ずなのだ。 

 

 つまり、前途の通り…見聞色の覇気に引っ掛からないと仮定すれば、国防部隊を襲ったのは…啓にその存在を悟らせず、凶行を及ぶ事が出来る存在…BOWであると考えられる。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() 

 

(今までの事件…死人はゼロだった。 本当に運が良かったとしか言えねェ…。) 

 

(だが…今日この日、間違いなく死人が出るッ!! μ()()s()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 啓の胸中に、黒い感情が染み込んでいるその時であった。

 暗い通行路に…うつ伏せで倒れた血まみれの隊員が眼に入り込んで来たのだ。

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 「皆、一旦停まってくれッ!!」 

 啓は大声で叫ぶと、急いでその倒れた隊員に近寄って来た。

 

「おい、アンタッ!! 意識はあるかッ!!」

 啓は隊員を丁寧に抱えると、うつ伏せで見えなかった胸部が見えてきた…。

 

(この傷は…()()()な。)

 

 にこ「どうなの…啓。」

 恐る恐る尋ねるにこに対して、啓は無言で制した。それは”お前は見るな”と言うサインであった。

 

「そんなに酷いの…その人の怪我。」

 

「ああ、お前は見ねェ方が良い…吐くぞ。」

 啓は余計な事を一言も加えず、端的にそう告げた…。その言葉を聞いて、にこは思わずビクついてしまった。

 

 問題の隊員の胸部はまるで腐ったかのように、皮膚が壊死し…身体の中の露出してはいけない部分が見えており、まさにグロいという表現がピッタリであった。

 

「う…あ・・・。」

 隊員は苦しそうであるが、なんとか意識はあった…。

 

(意識はあるが…これはもう。)

 

 そこへ、啓とにこと共に進軍していた医療キットを携えた中澤隊員が駆けつけてきた。

 

 中澤「桐生君ッ!! そいつは無事なのかッ!?」

 だが、中澤は隊員の顔を驚愕し、叫んだ。

 

 「お前…大久保ッ!!??」

 

「その名前…そうか、この人は鷲尾さんに命令されてた人か…!!」

 

 ”中澤、大久保ッ!! 待機していた消防隊へ連絡しろッ!!”

 ※第55話 急行、東京港へ急げッ!!より抜粋

 

「中澤に桐生君達か…よ、良かった…。 ゲホッ!!」

 

「クソッ大久保!! 待ってろッ!!」

 

「にこ、お前は万が一に備えて車に隠れてろッ。」

 

「は、はいッ!!」

 啓の指示を受けたにこは車の方へ駆けて行った…。

 

「お、お前一体どうして…こんな‥こんな怪我を。」

 簡易的な治療を施しながら、中澤は荒い呼吸をする大久保に対して、心配するように声を掛けるが…彼はそれを否定する。

 

「それより…聞いてくれ、俺達は敵の罠に嵌ったんだッ‥!! それをつ、伝えに来た…。」

 大久保は、自ら息を整えると…あるがままの報告をするのであった。

 

「俺達を襲ってきたあのハエとアオガエルの化け物は只の先兵だったんだッ…。」

 

「先兵ッ…!?」

 

「…奴等の目的はさ、最初から俺達を倒すんじゃなくて、弾や体力を使わせることにあったんだ…。」

 

「大勢で襲って、あたかも”総攻撃”にみ、見せかける為にッ…!! ゲホッ…!!」

 

「!!??」

 

「と、東京港に辿り着いた頃には、()()()()()()()()()()()…俺達は奴等の攻撃が総攻撃であると、判断した…。」

 

「い、いやせざる負えなかった。 俺達の目的地はあ、あくまで第三倉庫ッ‥!! 弾や体力を使ってしまった以上、時間を掛ける余裕が無かった‥‥。」

 

「だが…今考えれば…お、俺達は奴等のお、思う壺だった…。」

 

奴等…? そいつ等に襲われたのかッ!!」

 

 「そ、そうだッ…!!」ドン!!

 

「生々しい赤茶色の化け物だった…そいつは長い舌や鉤爪を使って襲ってきた。」

 

「…な、なんだって…そんな化け物がまだ居るのか。」

 

(長い舌の化け物…まさか。)

 

「た、多分…()()()h()u()n()t()e()r()()()()()()()()()()()。」

 

「…なにッ!?」

 

そ、それに…。

 

 その時であった…!!

 

 

 「嫌ああああっ!!!!!」

 「!!!!」

 

 にこの悲鳴が聞こえてきたッ!!

 その悲鳴の先には、車に恐ろしい化け物が鉤爪を立てて、車を破ろうとしていた。

 

「guooooo!!!!」

 

「クソッ!! この化け物共めッ!!」

 

  更には、既に”刻まれ”が他の化け物二匹と同時に交戦しようとしており、他の隊員も同様であった。

 

「にこッ!! 皆ッ!!」

 

「やめろッ!! 化け物ッ!!」 

 中澤が携行していた銃を構えるとにこへ襲おうとする化け物に向けて、発砲した。

 

 ”ドドドッ!!”

 化け物の身体に命中するが…致命傷にならず、今度は啓達の方へ目標を変えた。

 

 「rrrruooooooo!!!!」

 耳障りな咆哮を辺りに木霊し、辺りを騒めかす。

 

「…ruoo!!!」

 化け物は自身を撃った中澤へ向きを変え、跳躍して襲い掛かったッ!!

 

「…うおわッ!?」

 余りの速さと迫力に中澤は一瞬、回避に反応が回らなかった…!!

 やられるとそう思った時ッ!!

 

 

 

 

 

 

 ”ガキンッ…!!”

「…!!??」

 

「相手を間違えてるぜッ!! ()()()()()()()() フンッ!!!」

 啓は化け物の本名を呼ぶと、そのまま思いっきり背負い投げで地面に叩きつけたッ…!!

 

 ”ドゴォンッ!!”

「ruooo!?」

 赤茶色の化け物…リッカーは思いっきり地面に激突してしまい、思わず吐血しダメージが通った。

 

 地面に叩きつけられた際に生じた音と壊れっぷりは、他のリッカー計4匹が瞬時に啓の方へ向いた。

 1匹のリッカーが他のリッカーに咆哮を掛けると、四匹が同時に啓へ襲い掛かった。

 

 しかし、hunterこと刻まれが…襲い掛かった2匹へ急いで攻撃し、隊員達も同時射撃で他の2匹を狙い撃った。

 そのせいで、リッカー達の同時攻撃は失敗し、4匹とも同じ位置に一旦姿勢を立て直した。それと同じタイミングで、啓に投げられたリッカーも遅れつつ隊列に加わった。

 

「あの投げでもくたばらねェか…。」

 

 そこへ刻まれが啓の横へ並んだ。 

「guooo!!」 

 

「!!…お前もヤル気か、刻まれ。」

 

 それだけではない…。

「桐生君!! 俺達も一緒に闘うぞ!!」

 

「そうだッ!! 俺達は君を送り届ける義務があるんだッ…!! 嫌とは言わせないぞッ!!」

 後列に構える国防部隊もまた、共に闘う覚悟を選んだ。

 

「‥分かった、頼む。」

 啓の視線の先には、生物兵器リッカー達…その狙いはやはり”矢澤にこ”その少女だろう…。

 

(け、啓…。)

 不安そうな眼でその闘いを見守るにこ。

 

「おい、テメェら…後ろの矢澤にこはやれねェな…。 こいつには待ってる人間が大勢居るんだッ…!!」

 

「ruuooooooooo!!!!!」

 

「文句があんなら…かかって来いッッ!!!

 

 「ruoooooooooo!!!!!」

 敵を血に染め上げるべく、リッカー達は盛大な咆哮を轟かせた…。

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 ~東京港工業地帯”太洋コンビナート工通路”~

 ♪Yakuza Dead Souls OST - Long Battle

 

 VS”リッカー軍団”

 

「桐生君、刻まれッ!! 一旦下がるんだッ!!」

 国防部隊の1人が、啓と刻まれに下がる様に命じた。それに啓と刻まれは応答すると大きく後方へ下がった。

 

 下がったと同時に国防部隊は一斉射撃の構えを取る。

 

 「撃てェェェッ!!」

 ”ドドドッッ!!!”

 国防部隊はそれぞれ携行する銃器で眼前のリッカー達に銃弾を浴びせていく。啓や刻まれが直接闘うよりこれなら距離を置いて戦う事が出来る。

 数多くの銃弾を撃った事でリッカー達に当たったのだが…。

 

 

 

「ruooooooo!!」

 …しかし、これに対してリッカー達は身体を黒く変色させて、防御した。

 そのせいで、銃弾はなんと弾かれてしまった。弾は敵の身体を貫通する事無く、力尽きる様に地面に落ちていく。 

 

 銃撃が通用しない事実に隊員達は驚愕する。

「効いてないッ…!?」

 

「嘘だろッ…!!」

 

 (武装色の覇気かッ…!!)

 眼の前のリッカーの頑強さに啓も思わず驚いた。

 

 …明らかにリッカーは自分達に見える形で覇気を身体に纏った。本来ならば、ワンピースの世界にしか存在しえないモノが全く関係無い世界の生物兵器が使っているのだ。

 改めて、眼の前にいる化け物達が”原作”より更に異端な存在とも言えるなら…それを有する金獅子会という組織が如何に恐ろしい組織と言えよう。

 

 兎も角、リッカー達が覇気を纏って銃弾を弾く程の頑強な身体の為に…国防部隊の攻撃ではまともにダメージが与えれない。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ”武装色硬化”による硬質化を会得したリッカーはそれぞれの個体が敏捷性を駆使し、一気に攻め込んできた。

 もし、あの鉤爪が刺されば…即死に繋がるッ!!

 

 だが…それを桐生が許すはずが無かった。

 

(やるかッ‥!!)

 啓は青い覇気を瞬時に発動させると、自身が装備している”yoroi”に搭載された二つのホルスターから、素早く()()()()を取り出した。

 

 ”ドウンッ!!”

 重い銃声が辺りに響いた。放たれた弾丸は、啓によって()()()()()()()()()

 

 それは…”覇気弾”とも言うべきか。飛び掛かろうとしていた2匹のリッカーを貫いたのだ。

 

「rggaa!!」 

 リッカーは覇気を展開する事無く…地面にぶつかった。まさか、さっき国防部隊が撃った弾丸を弾いたばかりだというのに、”弾丸”で倒れるとは…リッカー達も思いもよらなかっただろう。

 

 「刻まれッ!! 皆は援護だッ!!」

 

「!!」

 啓は覇王色の覇気を発揮させつつ、刻まれの名前を呼ぶ。

 その意図を汲んだ刻まれは…すぐさま倒れたリッカー二体へ止めを刺そうとする。更に国防部隊に対して、掩護する様に大声で叫んだ。

 

「もう一度撃てェッ!!」 

 隊員達は今度こそはと、もう一度射撃を開始する。啓の”覇王色の覇気”を当てられた隊員達はまるで啓に同調するかの様に、鋭い視線で残りのリッカー達を攻撃した。

 

 一方、リッカー達は最初の啓の”覇気弾”の威力に少し怯んでしまった。なんとか、態勢を立て直して…今しがた撃って来た国防部隊の弾丸に対応する。…どうせ、効く筈が無いと高を括っていた。

 

 だが…今度ばかりは違った。先程弾かれていた弾丸とは嘘の様に大多数の弾丸がリッカー達にダメージを与えた。ハッキリとリッカー達の痛覚に痛みが生じたのだ。

 

 ”ドウンッ!!”

 またも、重い銃声が火を噴いた。今度は集中砲火と共に、三体のリッカーの身体を貫いた。

 

 ”ザシュッ…!!”

 そして、最期の一匹まで…鋭利な刻まれの爪によってあっけなく絶命するのであった。

 

「よし、終わったな…。」

 啓は呟くと、自身が携行していた二丁の大口径拳銃…”デザートイーグルcustom.model”を見るのであった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ”桐生…銃を使ってみないか?”

 

 木ノ内からその一言がきっかけになる。明日の東京港での闘いを見越して、どうしても啓自身の強化が必要不可欠となったのだ。

 啓には嵐脚を始めとする技のレパートリー…。特に遠距離技が一切出来なくなっていた。

 

 能力者でもない元格闘家の啓は必ず接近戦になる。それはつまり敵の相性によっては最悪となる。それこそ、金剛山の”硬化能力”は正に最悪となった。

 そこで考えられたのは、元総合格闘家”桐生啓”に銃器を使わせるという方法であった。

 

 そして、選ばれたのは”デザートイーグル”。…本来なら片手で撃つような銃では無いが、超人並みの怪力を持つ啓にはさほどの問題にならず採用に至ったのだ。

 

(隊長…あんたのおかげで色々と闘う方法が出てきそうだ。) 

 啓は隊長へ感謝を述べ、二丁をホルスターにしまった。

 

 

 ”ズズウンンンッ‥‥!!”

  

 突如、啓達の居る場所に大きな轟音が聞こえてきた。なにかとなにかが衝突する様な音。

 

「な、なんだ…!? 地震か!?」

 

「いや、地面は揺れてないッ!! どうやら、この工業地帯で戦ってるのは俺達だけじゃないらしい。」

 国防部隊の隊員は口々にそう話した。

 

 啓もまたここから遠くの方へ…なにか大気の震えを見聞色の覇気で感じた。

 

(各地に何人かが戦っているのを感じるッ…!! 多分、国防部隊だけじゃねェ…転龍会の奴らもッ…!!。)

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

「け、啓ッ‥!! 怪我は無いのっ!?」

 車からにこが啓の元へ駆け寄って来た。そして思わず、啓へ抱き付く。余程怖かったのか…その身体は震えていた。

 

「怪我はねェ。…大丈夫だ。」

 

「ほ、本当? う…嘘じゃないわよねっ!!」

 

「ああ。」

 

「・・・良かった。」

 そう言うと、にこは少し安堵の顔を見せた。…その顔は戦った啓よりも()()()()()()()()()()()()()

 

「すまねェな。…迷惑懸けてよ。」

 

「だが…これから()()()()()()()()()()()()()。」

 

「…!! …わ、分かってるわよ。」

 啓の言葉の意味を知り、にこは首を垂れる。

 

隊員A「桐生君、すまない…助かったよ。」

 

隊員B「それにしても、凄い威力だな…手首は平気なのかい?」

 

「大丈夫だ、なんともない。 それよりも他の部隊が心配だ。」

 

「俺達の部隊でこの化け物を倒せても、他の部隊が倒せるかどうか…。」

 

「!! た、確かに…。皆急ごうぜッ!!」

 

「よし、にこ。 バイクに乗れ。」

 

 

 

 

 ”bpbpbp”

 …その時であった!!…啓の無線へ直接繋ぐ連絡が入ったのだ。

 

「…これはッ!!」

 

「ど、どうしたのっ!? 誰からなのよっ!?」

 

 

 

「…木ノ内隊長からだッ‥‥。」ドン!! 

「!!!!????」 

 啓の言葉に周りの隊員は騒然とした。定期連絡から詳細が分からなかった他の国防部隊の安否が分かった瞬間であった。

 

「き、桐生君ッ!! 早くッ!!」

 中澤が気を失った大久保を抱きかかえ、早く出る様に急かす。

 急かされた啓は、そのまま無線へアクセスした。

 

「隊長ッ!! 桐生だ、無事なのかッ!?」

 啓が呼び掛けるも、直ぐに返事は来なかった…。

 

 「隊長ッ!!!

 

 

「き…聞こえている…。」

 返事は遅れながらも聞こえてきた。その言葉に国防部隊は皆一様にガッツポーズを出す。

 

「今、どこに居るんだッ!? すぐに‥」

 

 「オエッッ!!‥‥ゴホッゲホッ!!」

 

「…オイ、あんた怪我してるのかッ!?」

 

 「そんな事はどうでもいいッ…!!」

 

 

「…!?」

 

「桐生…お、俺のチャンネルを全員へ聞こえる様にしてくれ。」

 

「…了解。」

 啓は直ぐに意識を変えた。木ノ内が声を荒げる事がどういう事かを…転生者である自分は早くも悟ってしまったのだ。

 

「出来たぜ。」

 

「よ、よし…生き残った全員に告げる。」

 

 

 「各隊員、”桐生啓と矢澤にこ”を‥‥何があっても、絶対に東京港へ連れていけ。」ドン!!

 

「それを踏まえた上で…き、聞け。」

 

 「怪我をした隊員はゾンビだ。…射殺しろ…ッ!!」ドン!!

 

 「!!!???」

 

「ゾ、ゾンビ‥‥って。」

 唐突過ぎる一言…そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ゾンビ「gaaaaaaaaaaaa!!!!!!」

 早々とした覚醒。眼光は白くなり、たちまち青い色になった。動く死体の色だ。 

 

「うわあッ!! 大久保ッ!?」

 抱えていた中澤は今まさに襲われようとしていた。

 

 ”ドウンッ‥‥!!”

 だが…ゾンビとしての覚醒は余りにも短い…数秒に満たない現実となった。

 引き金を引いたのは、啓。…デザートイーグルの銃口から放たれた硝煙を出し、にこは余りの光景に硬直する。

 

 しかし、たった()()()()()()()()が…どんな長話よりも説得力が凄まじ過ぎた。

 

「‥‥今のは”銃声”か。 桐生君…。」

 

「ああ…ゾンビだ。」

 啓はそう呟いた瞬間…頭の脳内にある事実が浮かんだ。

 

”T-ウィルスは人間をゾンビに変える”という恐ろしい事実。

 リッカーはT-ウィルスによって出来た怪物。その身体の至る所にはウィルスが蔓延している。

 万が一、鉤爪によって傷つけられればそこからTに感染。身体の隅々にウィルスが蔓延り…最終的には細胞は死に至り、肉を貪り尽くすおぞましい怪物(ゾンビ)に成り果てるのだ…。

  

「隊長…まさか、あんた以外の他の部隊も。」

 

「連絡が…今も取れない。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なら、助けに行かねェとッ!!」

 

 

「馬鹿ヤロウッ!!!」ドン!!

「!!!」

 

「目的を忘れるなッ!! お前の相手は港で待ち構えてる奴だッ!!」

 

「さっき、約束しただろうッ!! ゲホッ!! 俺達はお前を送り届ける義務があるんだッ!!」

 

「お前が…一度死んだ転生者として使命を持った様に、俺達も同じ様に使命を持ち、それを遂行しなければならないッ!!」

 

「そうだろうッ!! お前達ッ…!!。」

 隊員達は、一同敬礼した。

 

 

「はいッ!! 異存ありませんッ!!」

 

「桐生ッ!!」

 

「!!」

 

「心配するな…お前は1人じゃないッ。 後ろの奴等がついてるッ!!」

「だから…矢澤家を頼むッ…!!」

 

「‥‥ああ、任された。」

 啓は拳を強く握った。

 

「おい、探知は出来たかッ!!」

 

「ああ…他の部隊の安否も急ごうッ!!」

 

「桐生君。」

 中澤隊員が啓に近寄って来た。

 

「俺達は他の部隊の救出に向かう。旧第三倉庫へ行くまで、そのバイクなら直ぐに辿り着ける筈だ。」

 

「了解だ。…刻まれ。」

 

刻まれ「guoo!!」

 

「お前は、皆の援護を頼む。」

 

「guoo!!」

 啓の命令に刻まれは雄たけびを上げると、彼等の元へ駆け寄っていく。

 

「にこ、俺達も行くぞ。」

 

「…うん。」

 

「大丈夫か…?」

 啓はにこの体調を心配した。

 

「怖いわよ…。 けど、あんたの背中を見れば、大丈夫なんでしょ?」

 

「‥そういえばさっき言ったばかりだな。」

 啓はそう言うと、アクセルを握り締めた。

 

「行くぞ…。」

 エンジンを再始動し、2人は一気に目的地まで駆け抜けるのであった。

 

 後編に続く。

 




後編に続く。 to be continued…。
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