今回はリアルに1年以上掛かった金剛山との一騎打ちとなります。こんな長ったらしい話を最新話まで読んで下さった読者に感謝感謝で御座います。
では、前回のあらすじを踏まえて…15000字数を超える今話をお楽しみください。
~前回のあらすじ~
仲間の死を乗り越え、啓はにこを乗せて龍像を走らせる。
ゾンビにされた国防部隊やリッカーを順々に始末していく桐生は、怒りを募らしていく。
そんな時、白い砲弾に追い込まれ…搬出エリアにようやく辿り着いた2人であるが…そこには、なんとteam”iflit”の組員もゾンビとなっていた。
それにより、にこは捕まった家族が何かあったのではないかと、涙を見せる。
落涙するにこを見た啓は、力を温存する事を止めて…足を解禁。瞬く間に敵を一掃する。
だが、金獅子会もまたラージリッカーを投入しており、啓の眼前に立ち塞がる。白い砲弾を撃ちだし、一筋縄ではいかない敵であった。
しかし、そこへ助け船が入ってくる。国防部隊もまた死線と仲間の死を乗り越えて、桐生を援護してくれるというのだ。
かくして…彼等の援護を経て、転生の龍は遂に最終到達地点”旧第三倉庫”へ辿り着くのであった…。
~東京港”旧第三倉庫”~(決闘の地)
”ザアア…”
穏やかな波はそれまでは静かだったというのに、少しづつ揺らごうとざわめき始めていた。海鳥が飛んでいる風景も無く、只大きな赤い夕焼けが今日一日の終わりを告げるように…港を紅く照らし出していた。
紅い港の中で、今2人の男が逢いまみえていた。
金剛山「よく来たな…桐生。そして、元μ’sメンバー…矢澤にこ。 ようやく…俺達が待ち望んでいた事が実現出来る。」
巨漢の転生者…金剛山は上から2人の到着に”大きく拍手”をした。
蒼羽「おッ、つよさん…到着したようだなァ? ”転生の龍”は…。」
「ええ、眼の前に来ております。」
「そうか、”転生の龍の闘い”を間近で観たかったが仕方ねェよい‥一度通信を切るぜィ。精々厳しくしてやれよい。」
「無論ですッ…では。」
金剛山は副総長との通信を切った。
「さて、片付けるか…ゴミ山を。」
そう言うと、今しがた自分が座っていたゴミ山を蹴り上げた。
空中へ投げ出される死したBOW達。それに対して、金剛山は拳を高速回転させた。
次の瞬間…拳を振り上げたと同時に、BOWはまるでミキサーの様に粉々の散り散りになった。
(これは…!?)
それを見た啓は、にこの視線に入れない様に目隠しをした。
「さてと…キメラの頭だけを残せたな。」
BOW”キメラ=フライトタイプ”の頭部を拾い上げた金剛山は、それを掴む。
”ジャグッ…!!!!”
何を思ったか…それを食したでは無いか!?
「ふむ‥会長が好みそうな味だな。 中々美味い。」
片手で綺麗に平らげた金剛山はゲップすると…口を拭いながら啓達の前に姿を現す。
「改めて、自己紹介だ。…俺は転龍会直系team”iflit”特攻隊長”金剛山 強”と言う。」
四大勢力 転龍会直系team”iflit”特攻隊長”金剛山 強” 二つ名”天山角の金剛山”ドン!!
にこ(こ、こいつが…ママ達を”誘拐”した奴っ…!!)
にこは小柄な身体である自身の数倍以上もある巨漢の大男を見上げると、家族を連れ去られた…怒りを込める様に視線を向けた。
しかし、にこの視線に気付いたのか…金剛山は何気なく視線を向けた。
「俺が憎いかッ…お嬢ちゃん。」
金剛山は一度…目を見開いた。
「…ひっ!!??」
只の人睨み…それだけだったにも関わらず、にこは無意識に腰が抜けてしまった。突如…気持ちは萎えて、震えが止まらなくなった。
只、相手と視線が向いただけと言うのに…眼の前に要るこの大男がそれまで自分の予想や見てきた光景を、
啓「待てよッ…テメェの相手は俺の筈だぜッ…!!」ドン!!
怯えたにこの前に桐生が立ち塞がった。
「け、啓…。」
腰が抜けてしまったにこを啓はお姫様抱っこの要領で抱えた。
「…にこはテメェらに家族を誘拐されてんだッ…。
「だから…危険な目に遭うのが分かっても此処まで着いてきてくれたんだッ。」
「家族を取り戻す為になッ…!!」
「…つまり、それは
「ああ…そうだ。」
金剛山の問いに即答で答える桐生。
「ダハハッ…この短期間でよくもまあ互いの事を大切に想えるモノだなッ…。」
そう言い終わった後…金剛山は少し高らかに笑ったが、直ぐに表情を戻した。
「ならば…お前がそこに居る”矢澤にこ”と同じくらい大切に想っている”娘達”を見せて貰おうかッ…?」ドン!!
「娘達…μ’sの事か。」
「そうだ…お前は今すぐにでも俺を闘おうと焦っているが、決闘を挑む前に見せなければならないだろうッ…? この決闘は娘達を見せてからだ。」
金剛山の言う東京港の決闘には、μ’s全員を連れていくことが条件なのだ。彼女達をこの旧第三倉庫へ集めなければならない。
しかし、今この場に居るのは…にこだけであり、他の8名は居ないのだ。金剛山はその事を指摘しているのだ。
「だが…あくまで、
そう言い、金剛山は後ろの海へ指差した。
「海に”潜水”してな…。」ドン!!
「‥!!!」
「全部…お見通しッて訳か…。」
「俺達転龍会は”戦い”を生業とする”転生者の組織”だ。広大な世界を行き来するには、
「…啓、皆の位置がバレてるって事?」
にこは啓へ質問を問う。
「どうやら、そうみてェだな…。奴と決闘するには、
桐生はそう言うと、懐から通信機を出した。
「桐生だ…ああ、浮上してくれ。」
啓はその旨を伝えた。
…暫くすると、海の中から水飛沫が発生する。その数は三つ…。
そして、大きな水飛沫が海面から出現した。
”ザバアッ…!!”
なんと、海中からは現れたのは…三つの潜水艇であった。
そこから、μ’sのリーダーである穂乃果の声が上がった。
穂乃果「にこちゃんっ!!啓君っ!!」
そう言い、オーバーに手を振るリーダーを嗜める幼なじみの姿があった。
海未「ちょっと、穂乃果っ!! あまり騒がないで下さいっ!!」
ことり「…ふぅ。やっぱり、外の空気はおいしいな。」
穂乃果を筆頭に潜水艇から続々と件の関係者が、中から出てきた。
「柿谷さん、悪いが…全員此処へ集めてくれないか?」
「了解だ、任せてくれ。」
そう言うと、通信を切った。
「成程…海中を潜水しながら此処へ辿り着いた訳か。」
「そうだ…それが俺達の作戦の一つだ。」
そう…なんと…にこ以外のμ’sメンバーとその家族は、潜水挺で潜航していたのであった。それこそが、
冊冊冊冊冊冊
東京港での決闘…警視総監を気絶させた後、そこへ辿り着くのは、
現に、これまでの短期間でかなりのペースで襲っているのが現状であった。
もし、μ’s全員を運搬車両で移動すれば…それこそ、μ’sを奪おうとする連中に略奪行為を許してしまう恐れがある。転生者達の強さと比べて、国防部隊には荷が重すぎるのだ。
それこそ…μ’sを全員奪われて、尚且つ矢澤家はどうなるか。最悪、世界全体が破滅へ向かうと言ってもいい。相手にしているのはそんな事が出来る連中ばっかりなのだ。
そんな中…ある意見が桐生達の間で纏まった。提案者は鷲尾や木ノ内率いる国防部隊であった。
そう…桐生啓という男には、国がそのまま味方をしてくれるという”最大のアドバンテージ”があった。最も早い段階で国と協力関係になり得た事で、ある作戦が立案された。それこそが、
目的地が”東京港”という海に面した場所。其処まで辿り着くならば、潜航した方が敵の妨害を避けれると考えられたのだ。
そうして、以下の手順で彼等は動いた。
まず、潜水艇に乗り込むのであるが…昨日に起こった黒の化身”悪魔風脚”との闘いを覚えているだろうか? あの闘いの後、啓の元へにこ達が駆け寄って来たのを…。
そう…実はこの時点で、にこ以外の彼女達はそのまま潜水艇がある”軍港”まで向かおうとしていたのだ。そして、啓は黒の化身との闘いを制した後、hunterたち総勢23匹を率いて夜の内にμ’sとその家族を軍港まで護衛して、無事に送り届けた。
そして、1人残ったにこは囮として名乗りを上げた。もし、万が一…μ’s全員が潜水挺で移動する事を知られたら、大変な事になる。
そこで、にこを敢えて1人だけ運搬車両に乗せて…見つかる事も含めて、あたかもμ’s全員が運搬車両に乗っている様にカモフラージュしたのだ。
そうする事で、敵の目を運搬車両に集中させて、潜水艇での潜航を悟らせない様にした転生の龍と国防部隊…そして、女神達の本気の作戦であった。そして、今その作戦が結果を為した瞬間でもあった。
…だが、これからが本番であった。
冊冊冊冊冊冊
同日某時刻…東京港”旧第三倉庫”
かくして、にこの周りには…μ’s全員が彼女の無事を喜んでいた。リーダーである穂乃果はモーレツに抱きしめて、花陽は無事を喜び涙を流した。にこもそうだが…彼女達も心細かったのだ。
希「にこっちが無事で…良かったわ。いや、ほんまに。」
真姫「そうよ…ホント大したものね。 流石、”世界のYAZAWA”ね。」
凛「それって、世界関係ある? 真姫ちゃん。」
それぞれが無事を喜んでいる中…海未と絵里は啓と軽く話をしていた。
絵里「啓、にこを此処まで護ってくれてありがとう…心から感謝するわ、本当にありがとう。」
「私からも重ねて礼を申します。啓さん、誠にありがとうございました。」
「いや、
啓はそう言うと、決闘相手である金剛山を見ていた。
「これからが…文字通り本番だ。それに
「”気掛かり”…あの人達の事ですね。」
「ああ…国防部隊の人達だ。まだ、戦ってるところだろう…。」
「全く、気掛かりな事ばっかりだ…。」
そう言い、啓は空を見上げた。夕陽は桐生達や港を紅く赤く染め上げている。
「…けど、今集中する事はあの大男なんでしょっ?」
三人の傍に、にこが声を掛けてきた。
「フッ…にこの言う通りだぜ。」
「人間どんなに凄くても、眼の前の事しか出来ねェからな…。」
そう言うと、桐生啓は…自身の赤いバンダナを
「だから、俺は先ずあの”堅物野郎”…いや、”金剛山 強”を絶対に倒さなければならない。」
「前へ進む為の…それが今俺の為すべき”現実”なんだ…。」
啓はそう言うと、後ろの人達…μ’sとその家族を見た。
「だから、皆も俺が闘う”現実”をしっかり見届けてくれ。 それが今あんた達がしなければならない事だ。」
啓の言葉に皆が一様に肯定する。大きな声を上げる訳でも無い…。
今から漢がする事は試合でもない…文字通りの”決闘”。…
「啓っ…!!」
その時、にこの声が啓の耳に届く。
「必ず…生きなさいよっ!!」
そう言うと、にこはbサインを出した。
「ああッ…。」
にこのbサインに対して、啓もbサインを返すと…真っ直ぐに金剛山の元へ歩み寄った。
「もう…話は済んだのかッ? ”転生の龍”よ。」
「そのつもりだ…随分待たせた。」
啓はファイティングポーズを構える。
「始めようぜ、俺とテメェの”決闘”をッ…!!」ドン!!
「良かろう…貴様は俺との決闘まで漕ぎつけた。」
金剛山もまた桐生と闘う態勢に入る。巨漢が…今、眼の前の龍を仕留める為に動き始める。
「この夕陽の港で…立っていられるのは”俺”か”貴様”かッ。」
「…。」
「行くぞッ!!”桐生”ッ!!!」
金剛山は、高い位置から啓へ拳を振り上げた。
「ウオオオオッ!!!」
桐生も負け時に、右脚に覇気を纏うと上段蹴りで蹴り返すッ‥!!
”ガキィンンッ!!!!”
♪ Ryu Ga Gotoku Kenzan! Swordplay
VS転龍会直系team”iflit”特攻隊長”金剛山 強”
(むッ…この蹴り方は。)
金剛山が啓の蹴り方に対して、”違和感”を覚えた刹那…啓は瞬時に金剛山の頭の両側部を自身の両脚で挟み込んだ。それもまるでハサミの如く…。
「ウオオッ!!」
そのまま、バク転しながら自慢の怪力で金剛山の巨体をトンカチの要領で地面に叩きつけたッ…!!
”ガゴンッ…!!”
叩きつけられた金剛山の頭部は固い地面にヒビが入った。それは正に脳天へ固き一撃がダイレクトに入る。
だが、転生の龍はそこで終わらない。ホルスターに備えた二丁のデザートイーグルを金剛山の頭部に容赦なく銃口を向けた。
”ダァーンッ!!…”
そして…
余りにも容赦無き行動に、μ’sだけでなく…それを見ていた家族も唖然とした。
雪穂「い、今のって‥啓さん…こ、殺したの…。」
雪穂が口を開く。その返答に対して、直ぐに誰も応じなかった。いや…それはそうだろう。人の殺害するのを生で見る人間は世の中圧倒的に少ない。殺害現場に出逢うなど、一生の内に滅多に遭わない方が自然だ。
昨日、今日まで比較的平和な生活を送れていた彼女達にとっては、余りにもショッキング過ぎるのだ。
ふと、柿谷が口を開く。
「いいや…まだ、あれでは死なないさ。」
柿谷の言葉に皆が一斉に彼の言動に注目した。
花陽「か、柿谷さん…それってどういう?」
近くに居た花陽が恐る恐る訊いた。
「此処からでも見えない事も無いが…奴の顔の周りを見てごらんッ。」
そう言い、指を指した。そして、ようやく気が付いた…。
「…ち、血が飛び出てないっ!!??」ドン!!
そう…人間の頭部を銃で撃ちぬけば、当然の如く…血も噴き出すだろう。
しかし、金剛山の周りには…血の一滴も出ていない。
むしろ…銃弾を
「…
啓は片手で跳ね返されたデザートイーグルの弾丸を握り潰すと、息を吐く様に呟く。
「能力すら使わねェのは、テメェの余裕の現われか…それとも。」
「好奇心だッ…。」ドン!!
巨漢は啓の問いに応えながら、その身体を起こす。
「”敵の容赦ない攻撃”…そういう経験は、強くなり名が広まれば、自然と減ってくるものでな。」
「そうなると…自分がどれ程の攻撃まで耐えうるのかも分からなくなる。…こればっかり、修行では確かめるには不足なのだ…。」
啓は舌打ちをする。
「チッ、成程な…どうりで俺の攻撃が通らねェ筈だ。」
(奴は弾丸を能力で防ぐ事をしなかった。…弾丸に覇気を込めない以上、ダメージは見込めねェ。)
啓の最初の攻撃と大型口径のheadshot…しかし、その攻撃は金剛山に掠り傷を負わせる事すら出来なかった。しかも、能力を使わずに攻撃を耐えてみせたのである。
眼の前に対峙するこの巨漢の男には、これまで戦ってきた男達とは違う…何か余裕の様なモノを桐生に感じさせた。
「さて、そろそろ…
「…小手調べだとッ?」
「そうだ…一昨日、貴様と俺は少しの間だが…戦っている。その時間も入れると相手の力量を知るにはもう充分なのだ。」
「つまり…俺を試すのは止めるッて言いてェのかッ…?」
「そう言う事だッ…今の貴様の実力は一昨日より上がっていると判断した。
(”今の俺”…?)
「だが…今の俺でも充分にこの地帯を破壊できる。…だからこそ、μ’sに危害を加えぬ様に時間と距離を与えたのだ。」
そう伝えると、金剛山はμ’sが集まっている場所へ振り向いた。
そして、彼女達に向かって大声で叫んだッ!!
「μ’sとその家族共ッ…!!よォく見ておけェいッッッッ!!今から見せるのが”転生者同士の戦”だッ…!!その眼に刻み込めッッ!!!!」
金剛山はそう言うと、上空へ大きく跳び上がったッ!!
その跳びように驚く面々…対する啓も少し驚いていた。
「なんて野郎だッ…あの図体であんなに高く飛びやがったッ…!!」
”驚愕飛天”…見る見るうちに金剛山は、高く舞い上がった。眼下に見える光景はまるで航空写真の様に、工業地帯が小さく見えている。
そうして、巨漢の男は丁度良い位置に滞空する。…次に月歩へ切り替えると、桐生が居る旧第三倉庫の地点をターゲットとして狙い絞っていく。
「この辺りだな…それにしても”奴の蹴り”。」
金剛山は最初の衝突で、桐生の蹴りに対して違和感を感じていた。
(蹴り技と言っても、蹴った速度や当たった箇所やその角度によって…その実、多種多様に成り得る。)
(…最初の蹴りで大体
(とは言え…一昨日の小競り合いで奴は俺がキラキラの実であるにも関わらず、躊躇うことなく…蹴りを繰り出して来た。)
一昨日の音乃木坂学院での小競り合いで、澤井を撃破した後…桐生が連戦でと自身と戦ったその時の事を思い出す。
(人間である以上…自分より硬い物を殴れば、逆に自分が怪我をする事は自明の理。…だが、奴はそんな事を構う事無く俺へ挑んできた。)
(あまつさえ、
「
…一方その頃、、、地上では、桐生が上空で滞空する金剛山を警戒していた。漢もまた、金剛山への攻め方と奴自身を思索していた。
(このまま、ゴリ押しで攻めてくると思ったが…まさか、空を飛びやがった…。)
空を飛ぶと書いたが…啓が驚いたのはそこでは無い。驚いたのは金剛山の攻め方の方だ。
奴の能力は超人系”キラキラの実”のダイヤモンドの転生者。その硬い身体を要いて、猪突猛進の如く攻め立てると思っていたが…。どうやら…ゴツイ外見と違って、言うほど単調な攻めをする脳筋では無いのかもしれない。
(一筋縄じゃいかねェかッ…それにやっぱり気掛かりなのは、キラキラの実が単なる硬化能力だけじゃねェのかもしれねェ。)
そう、啓が最も警戒しているのは…
原作でのダイヤモンド能力を有しているのは、白ひげ海賊団3番隊隊長”ダイヤモンド・ジョズ”。巨人族では無いにしろ、一般人から見れば巨漢な男である。そのジョズが戦っているシーンは頂上戦争でクロコダイル相手に”ブリリアント・パンク”なる体当たり技を喰らわせているのと、見た感じ直径50m程の氷塊を腕力だけで投げ飛ばした超怪力ぐらいで…主人公であるルフィと比べると極端に少ないのである。
頂上戦争での戦闘描写を見る限り、自身の身体をダイヤモンドの様に固めているしかしていない。
しかし…一昨日闘った澤井の様に有機物を破裂させてしまう様な、原作で有り得ない事を啓へ出して来た。その事を踏まえるなら…金剛山も単に身体をダイヤモンド体にするだけとは非常に考えにくい。
(ジョズが原作で繰り出したのは、”ブリリアント・パンク”って言う単なる体当たり技、もう一つはデカい氷塊を投げた怪力…。たったのそれだけだ。)
(あんな上空にまで滞空するって事は、あの位置から
(だが…
(それが分からねェ奴じゃない筈だッ…という事はッ!!)
そう、啓が上空の攻撃を察した時であったッ…!!
上空の金剛山の居る位置から、煌めく何かが見えた。
それも、幾つも点在し…まるで
それらが見えた時…啓は瞬時に回避行動を取っていた。両足に青い覇気を纏わせて、その場から攻撃を逃れるべく回避する。
”ドドドドッ…!!”
瞬間、啓の居た場所は凄まじい勢いで無くなりつつあった。それは着弾と同時に、周りの地面を抉っているからだ…まるで小さな削岩機であるそれらは啓の身体を削るべく、次々と降ってくる。
「ちィッ!!」
啓は舌打ちを打ちながら、回避行動を続け…反撃する事が出来なかった。しようと思えば、デザートイーグルを撃つことは出来るが…この位置からでは簡単に避けられる筈なので、無駄な射撃に終わるのがオチだ。
更に、銃弾を掴む人間離れな技が出来る啓であっても掴めない程、今振ってくる”煌めく物体”は銃弾以上に危険な威力であった。
極め付けは、、、啓本人は海の方へ逃れたいのだが、その事を見越されて海の方にもあの物体が降っているのだ。このままでは、海に入ろうが入る前だろうが…危険に極まりなかった。
(クソッ…!! このままじゃあ埒が明かねェッ!!)
避けてばかりでは一切の攻撃が出来やしないッ…!!
飛来する煌めく物体を跳ね返すべく、”転生の龍”は両脚に緑の覇気を纏わせ迎撃しようとしたその時であった。
?「”ハーフ・パンク”ッ…!!」ドン!!
”ドゴォンッッ!!”
不意の突進であった…。放たれた突進は、啓の顔面を正確に捉えられてしまい…そのままモロにその攻撃を喰らってしまった。
「ガッッ!?」
これまで、今日一日上手く攻撃を避け、銃撃、襲撃、集団攻撃に至るまで避けに避けてきた啓でさえも…転龍会の”特攻隊長”を名乗る巨漢の男の突撃には避ける事は出来なかった…。
吹っ飛ばされた啓は、そのまま勢いで旧第三倉庫の使われていないシャッターにぶつかった。だが…ぶつかった人間が一般人より遥かに身体を硬く出来る啓、そして衝撃がまるで大型トラック以上の衝撃だった為か…なんと、古いシャッターを貫通をしてしまい、啓は旧第三倉庫の中に入っていった…。
「け、啓っ…!?」
啓が吹っ飛ばされた光景を見ていたにこは溜まらず…その場に飛び出そうとするが、海未と凛が彼女を抑えた。
「待ってください、にこっ!? 今この場から動くのは危ないですよっ!!」
「ふっ、副会長の言う通りにゃっ!! ここは抑えて抑えてっ…。」
(うっ…にこちゃん思ったより力ある。 あんまり力が強くないのにどういう事にゃっ…。)
凛が内心にこの力の事を呟いているとは言え…2人掛かりに抑えられていては、にこにはどうする事も出来ない。にこもあそこへ行けば、危険である事は承知している事であるが…啓があんな風にぶつかれば、気が気でない。
にこが叫んでいる中…体当たりをかました金剛山は、にこ達の方を見ていた。
(あの叫び様…余程桐生の事を好いている様だ…。)
そうして、金剛山は飛ばした桐生の元を追って、倉庫内に入っていくのであった…。
冊冊冊冊冊冊冊
~東京港旧第三倉庫内”元外国籍貨物置場”~
此処は、旧第三倉庫内…。元々外国から輸入などされた貨物を一時的に貯蔵し、それぞれの工場や施設に搬入される場所だ。
そんな中…金剛山の体当たりによって吹っ飛ばされた桐生は、粉々に飛び散った破片の山から何とか起き上がる。
「ぐッ…。」
今日一日の中でも、今のところ最も強いダメージ…いや”ファーストダメージ”。中々”ノーダメージ”とはいかないものだ。
兎も角、身体を起こした啓は…フラフラと立ち上がる。
フラフラしてしまう原因は…どうやら、”脳震盪”を起こした為にあった。…その為に立位姿勢が定まらないのだ。
「グッ…クソッタレめッ…!!」
なんとか悪態を付きながら、絶対にダウンしない為に…自分自身に喝を入れる。
そうして、啓は周りの環境を見渡していく。
「倉庫の中かッ…。 うおッ!?」
突如、啓の頭が痛み出した。脳震盪によるダメージの余波かッ…!?
いや、違う…それはもっと内に潜むダメージであった。
”前世の回想”
~ある倉庫内~
「殺してやるッ!!」
物騒な言葉を敵1人に投げかける漢は、猛ダッシュで血濡れの硬い拳を直立不動の男に当てた。
”ドゴォンッ…!!”
そのパンチ力の衝撃波は凄まじかった。部屋の中に大型台風が出現したのかと言うほど…倉庫内の貨物は吹っ飛んでいった。
しかし、、、当てられた当の敵には全く喰らっていなかった…。
「!!??」
「今の全力がこれか…貴様は流し過ぎた。」
敵は啓の身体を指し示した。
その身体は、敵の血や身体の組織がこびり付き…自身の身体からも血が流れていた。
「弱っていくその血だらけの身体で、俺とやれるのか?」
「だからなんだッ…!!」
漢は今度は空中に跳び上がると、渾身の踵落としを振りかぶろうとした…。
~現世~
「はッ…!!」
眼を開き、啓は意識を取り戻した。…
「なんでだッ…どうしてこの状況で。」
脳震盪を来たす突進よりも…見知らぬイメージ映像の出現の方に気を取られる啓。何故に、この状況で出てしまったのか…。
「考え事かッ? 前世が”総合格闘家”なら、眼の前の闘いに集中しろッ!!」
「!!」
「嵐脚”金剛槍波”ッ!!」
金剛山の脚から放たれた煌めく物体の正体である…”ダイヤモンドで生成された結晶体”が啓へ襲い掛かるッ…!!
「調子に乗るんじゃねェッ…!!」
全身に守りの要である”緑の覇気”を纏った。
それを迫る槍を”見聞色の覇気”で、弾道予測をしながら両手で次々と掴み捨てていく。
「ほう…言動は荒々しいが、意外に冷静な男だな…桐生。」
桐生が自身が生み出した槍を掴み出したのが分かると、上記の言葉を投げ掛けながら…嵐脚を止める金剛山。
(空中からの金剛槍波は避けたが、地上での金剛槍波は受け止めるか…。)
「”赤い覇気”、”青い覇気”、そして…”緑の覇気”。三原色の覇気と言ったところか…?」
金剛山は桐生が扱う覇気を色の三大原色にちなんだ名前を命名すると、少し関心する素振りを見せた。
「ハァ…糞、余裕こきやがるッ…。」
悪態をつく啓は瞬時に緑の覇気を解除する。
「では…こういう芸当はどうだッ?」
金剛山は、地面に手を置いた。
「ダイヤ・クラフト”Ⅾ・wall”ッ!!」ドン!!
なんと、金剛山の手の平からダイヤモンドの結晶群が倉庫内へ広がっていた。
「なんだッ…ダイヤモンドの壁かッ!?」
「純度
周りは、金剛山の能力によって、壁一面が…ダイヤモンドによって、みすぼらしかった壁がまるで綺麗な工芸品の様にビフォー&アフターの様な変化を遂げる。
「クソッ…さっきの嵐脚といい、原作でこんな技はねェ筈だッ…!?
「驚いている様だな…1つ教えてやる、この能力の拡がりこそが転生者が世界を駆れる1つの強みなのだ。」
金剛山はそう言うと、上衣をかなぐり捨てて身を硬め出した。
「さぁ、
インファイトの態勢に入った。腰を屈め、一気に桐生の顔面に拳を振るっていく。
「チィッ…!!」
空を切る拳を済んでのところで避けていく啓。だが、避けた瞬間…仰々しい音と共に、自身の後ろに置かれていた貨物に穴が開いた。
「貨物に穴がッ…!?」
「徒手空拳も鍛えれば、この域に達する。…どうりゃあッ!!」
勢い良く金剛山は地面を踏みつけると、衝撃波が発生した。かなりの勢いを誇る衝撃は、能力で強化コーティングされた倉庫内を駆けまわる。
「グッ!!」
間近で衝撃波を受けた緑の覇気を纏った啓はなんとか堪えるも、その隙を金剛山に捉えられた
「どウッ!!」
”メリッ…!!”
啓が装備している鎧ごと、鳩尾への”強拳突き”…その威力は啓を吐かせる。
「ガハァッ…!!」
「一先ず吹き飛べッ…!! ”dia・smash”ッ!!」
”ドゴオオオォンッッッ!!!!”
打ち出された金剛石の正拳突きは、啓の鎧を砕いていった。
「ッッグアッ!!」
金剛山の正拳突きをモロに喰らった桐生…。その身体は、旧第三倉庫の奥まで吹っ飛んでいくッ‥!!
‥啓を吹き飛ばした金剛山は嵐脚の構えにすぐさまはいった。
「ダメ押しに…
「嵐脚”金剛槍貫”ッッ!!」
束ねられた…”金剛の槍”が桐生へ襲う。金剛の槍は啓の身体を貫くには充分な面積があった。如何に桐生と言えど、魔人ブウの様な細胞から再生出来る能力は有していない。
このまま、勝負を決する一撃となるのか…。
それは
”ジュッアッ…!!”
啓の諦めない”闘志の炎”が今…漢の両脚に灯した瞬間であった。
漢は雄叫びを倉庫内に響き渡せると、吹き飛ばされながらも…地面に両手を着いた。
そして、そのまま飛来する金剛の槍に対して、燃え滾るその脚で削る様に蹴り返した。
”バキィンッ!!”
燃え滾る蹴りを喰らった槍は軌道を変えられつつ、啓への直撃は免れた。そして、そのままダイヤモンド状に固まった
そんな中…啓の”悪魔風脚”を金剛山は目のあたりにする。
(会長が封印していた”悪魔風脚”…。やはり、昨日取り戻していたかッ…。)
金剛山は知っていた…。都内のビル街で大きな力が二つぶつかっている事を…その力の一つが会長の能力の産物である”黒の化身”であった事を…。
「それを繰り出して来たという事は、貴様も本調子が出てきた様だな…。」
「
そう言うと、、、金剛山は倉庫の地面に手を置いた。
「ダイヤ・クラフト”フリーランス”ッ!!」
なんと…金剛山の能力に鼓動し、ダイヤモンド体になった倉庫内の物が槍へ変化を遂げる。金剛体の槍…それも一つ二つでは無い。
それに対して、啓は両手に双銃twin・eaglesを構えた。両手にはそれぞれ、僅かな赤の覇気が弾丸へ供給され…両脚には青い覇気が纏われていく。
「構えたな…先ずは射出と行こうかッ!!」
”ドシュンッッ!!”
金剛山の威勢と共に、金剛体の槍が啓に目がけて飛び交ったッ!!
しかし、青き覇気を纏った啓はそれを避けていく。両脚の移動速度が上がった為に、それに準ずる回避速度も上がっているのだ。
更に啓は避けるだけに終わらなかった。単に避けるだけでは、いつまで経っても巨漢の男…金剛山へのダメージを与えられないのだ。
啓は迫りくる槍に対して、僅かな赤弾を撃ち込んでいった。すると、どうなるか…。
”ガキィンッ!!”
重厚な音がするものの…金剛体の槍の硬さは、削れるが…貫通はしなかった。つまり…完全に破壊する事が出来なかったのだ。
だが…
現に啓の赤弾によって、削られた金剛体の槍は啓へ当たる事無く失速していった…。
”覇気は消耗し、回復しなければならない”
それは啓がこの世界で覇気を持ち、実際に使用する事で露わになった事実であった。
原作で、覇気はNARUTOのチャクラやドラゴンボールでいう”気”の様な…使えば使う程に身体から無くなっていく”有限エネルギー”の様な物だと言及されなかった。しかし、覇気もまたチャクラと同様に回復を待たなければ、使用できない代物だと気付いた。原作で言及されなていないからといって、無限に使える代物ではなかったのである。
それを踏まえて、啓は覇気の消費を最小限に抑えて闘う事を選んだのである。それが今眼に見える形で、赤き弾丸として露わになったのだ…。
だが、、、桐生啓と闘う金剛山もまた啓の今の動きを捉えていた。先程の金剛槍波と金剛槍貫と今の”フリーランス”と言い、桐生は金剛山の遠距離技を回避、捌いていき…自分へのダメージを避けきっている…。
このまま、似たような遠距離技を繰り出しても…コツを掴んで来ている桐生にはダメージを与えられないッ…そう巨漢の男は考え付いた。
(俺の槍を捌くか…ならばッ!!)
”パキキッッ…”
金剛山は、能力で己の身体をダイヤモンドへとコーティングしていく…。そう、先程繰り出した”ハーフ・パンク”を啓へ当てようとする算段だ。
そして、同時に金剛山は桐生の”悪魔風脚”を警戒していた。
…鋭い読者なら分かると思うが、ダイヤモンドは炭素の集合体…非常に燃えやすい物質。それこそ、機関車に使われた石炭と同じ炭素体なのだ。単純に考えれば、”炎の脚”と言うのは…金剛山にとっては致命的な弱点とも言える。
恐らく、桐生はダイヤモンドに対して、炎が有効なのは…とっくに周知している事実の筈…。このままでは、燃え滾る足技を食らいかねない。
なればこそ‥此処で勝負を決してもいいッ!!
そうと決まった金剛山は、再度地面に手を翳すと…金剛体の槍は崩れ去った…。
「…なんだッ!?」
「ダイヤ・クラフト”ランスロット”ッ!!」
金剛体の槍は急速にダイヤモンドの人間体を為していき、そこに現れたのは槍を持った”騎士”の姿であった。
騎士は剣ではなく、槍を構えており…啓の元へ高速で移動していく。
「チィッ…!!」
啓が騎士の姿を捉えた今ッ…!!
「頭は貰ったアアアアアッッッ!!!!」
なんとなんと‥金剛山は啓の頭上に”ハーフ・パンク”をかまそうとしていた。正面の騎士は囮、ブラフッ!!
特徴的な騎士を召喚させ、視線を釘付けにした間…脚の関節可動域が届かない頭上へと高速移動ッッ!!
今度こそ、頭を粉々に破壊するべく…巨漢の男が転生の龍をその太い腕の餌食としようとした。
「ブラスト・ショットッ…!!」
だが…啓は態勢を変えたッ…!!
地面に赤き弾丸を数発撃ちこんで、その衝撃波で自身を地面に浮かせ…敵2人を衝撃波を喰らわせたッ…!!
衝撃波ではダイヤモンドの硬度は破壊出来ないッ…だが、衝力が喰らわない訳では無かったッ!!
金剛山は兎も角、騎士の方はその余波を食らい…攻撃の態勢が崩れた。その瞬間を”転生の龍”は見逃さなかったッ!!
「悪魔風脚”
啓は燃え滾る脚を騎士の頭ではなく、顔面を薄切りで落とす様に蹴っていったッ!!
”ジャキッ…!!”
それは、硬い敵をわざわざ破壊するのではなく、最小限の攻撃で敵のピンポイントを崩す桐生なりの作戦であった。
たった一つの蹴りで、騎士の顔面は削られ…槍を手放した。
「此処だッ!!」
”ガシッッ…!!”
啓はランスロットの槍を奪うと同時に片方の腕で、デザートイーグルの弾丸を撃ちだした。
「リフレク・ショットッッ!!」
撃ちだされた弾丸は、倉庫内を飛び交い金剛山へ襲っていくッ。
「小賢しいッ…!!」
金剛山は、弾丸の雨を弾き飛ばすと…正面を振り向いた。
「小賢しくねェよ…殺しの一歩だッ!!」
「なにィッ!?」
「
蹴りだされたランスは、綺麗に金剛山の顔面を抉った。
「ガッ…!!」
そのまま、金剛山は…貫通弾の如く、旧第三倉庫を突き破っていく…。
それを見た啓は一言述べた…。
「
続く…。
次回…第4章東京港決闘編、、、最終第60話 ”二つの決着”
次回も乞うご期待b