転生の龍が如く 〜女神の守護者~   作:kantarosu

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どうもどうも、考える事は楽しいですが、それを文章に出すのは難し。どうも、kantarosuです。
ワンピースの最新映画”スタンピード”楽しみですね…。鬼の跡目”ダグラス・バレット”奴は何者…?

では、前回のあらすじをどうぞ。

~前回のあらすじ~

μ’sがある人物に届けられている最中…転生の龍、天山角、蝋害の三者の戦いは既に消耗しながらも、膠着状態に陥っていた。

そんな競り合う戦いの中で、啓は以前倒した黒の化身と心の中で対話し、そこでヒントを掴んでいた…。
そして、痺れを切らした蝋が円獄蝋を生み出して、金剛山を撃破する。…完全に戦闘不能になる前に、金剛山は生き残った啓にコアを渡すのであった。

コアを受け取った啓はそのままヒントを得た悪魔風脚を蝋へとお見舞いするが、金獅子会のタイラントが立ちふさがった。

そのまま攻撃される啓であったが、そこへ火球を落とし、生きていた炎山倉之助がその姿を現していた。

炎山はタイラントの取引を一蹴し、明日の18時に会食をして、落としどころを話すといい去っていた。

だが、その去り際に啓へ話があるというのであった。


第64話 焼け落ちの港にて

 四月二日…炎上事変からおよそ二時間後~東京港”旧第3埠頭”~

 

 此処は東京港旧第3埠頭…かつては貿易の中心として海外製品の輸入等の海運事業を行っていたが、老朽化の為に旧第3倉庫と同様に使われなくなっていた。そして、肝心の港は啓や金剛山といった転生者達の激しい戦闘によって見るも無残な姿になっており、しかも…上空には恐るべきものがあった。

 

 ”ボオォォォ…”

 炎山の”落火星”…目に見える火球がまるで着弾間近な爆雷の如く…上空へ滞空していた。

 

 それを下から眺める啓。

(…上にあれがある限り、俺も下手に動けねェ訳か。)

 悪魔風脚といった炎の蹴りを繰り出せる啓であっても、上にあるアレの様に流石に火球を無数に滞空させる事は出来ない…。そこはやはり正真正銘”炎の能力者”といったところだ。

 

(炎山…アイツが転龍会のメンバーである以外、分かってるのは俺と同い年ぐらいの炎の能力者という事。)

 

 炎山と相まみえたのは、自身が転生したばかりだった馬羅垣組による”矢澤にこ誘拐事件”解決後…馬羅垣を尋問するつもりが、麦野と炎山…雷同という転生者達に阻まれてしまった。そして、火拳とエルトールをその身に受けて、何とか通りがかった江田島によって事なきを得た。

 

 その次は江田島邸から都内高速道路、そして一夜限りのμ’s復活ライブでμ’sを奪おうとした麦野とタイマンにて激突。なんとか勝利を収めたが、又も炎山によって阻まれてしまった。

 

 これらの事により、炎山という男は馬羅垣や麦野よりも実力は高いと考えられる…転生者なのだ。問題は…上の火球を作り出した張本人が一体自分に何の用があるというのか?

 

「おッ、先に来てたのか…桐生。」

 そう考えているうちに…件の”炎の能力者”が軽い足取りでやってきた。背中に厳つい白銀の髑髏のシルバーアクセサリーに黒いレザージャケットと身を包み、啓よりも髪が長いミディアムな髪型をした青年”炎山 倉之助”であった。

 

「よっと…。」

 炎山はポケットから煙草を取り出すと、先に火を灯して一服する。

 

「テメェ…俺を呼び出しておいて、一服するとはいい度胸じゃねェかッ…!!」

 啓は炎山の一挙手一投足に苛立ちを募らせた。それも当然だ…相手はμ’sを奪おうと公言し、先程も「強奪に限る。」と堂々と言ってのける転生者、しかも一度啓を雷堂と共に”ロギアの技”で倒そうとしていた…イラつかない方が可笑しい話だ。

 

「ハハッ…強気な物言いの割には、さっき俺を倒そうとしなかったじゃねェか。」

 

「当たり前だ…幾ら何でもあの状況でこれ以上闘っても俺はやられていた。」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そう啓は言った…啓は確かに強い人間であるが、それでも転生者相手に一騎当千出来る程の実力は伴っていなかったし、現にあのままタイラントと蝋の二人を相手にした場合…問答無用でやられていただろう。

 

「オッ…成程なァ、自惚れ屋じゃねェッてことかい。」

 啓自身の自惚れではないことが言葉ではなく、その態度で分かった炎山は納得すると、海の方を向いて座り始める。

 

 

 「安心しろ…今はお前と事を荒立てるつもりはねェからよ。」ドン!!

 

 闘う気が無いと答える炎山に対して、啓は憤慨する。

「なんだとッ…、今まで事を荒立てた野郎が何を言いやがるッ。」

 

「俺らの事情が変わったからだ…まぁ聞けや、桐生。」

 炎山は手で啓を落ち着かせるように身振りをした。どうやら、本当に話をするつもりの様に見受けられる。

 

(…こいつ、戦う気はねェのか?…騙すつもりも。)

 どうも、啓は調子が狂う様であった…。何故にこの目の前の男の一挙手一投足にイラつくのかはハッキリした理由が無いが…傍に部下や幹部連中を置いていない、本当に一対一で話がしたいという事なのか?

 

 そう考えて啓は出す拳を引っ込めた。

「…分かった、今は聞くだけ聞いてやる。」

 

「それが利口だぜ…なんにせよ、お前とは落ち着いて話が出来るのはこれが初めてだからな…。」

 フィルターまで目一杯煙草を吸った炎山はそのまま燃やし尽くすと…本題に入っていた。

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 言葉を紡ごうとしていうる炎山の前に啓は思う。

(炎山…コイツは何を俺に聞き出そうとしていやがる。)

 

 啓と炎山の周り以外、人影はなく…近寄る人影や気配もない。どうやら、本当に二人だけでの話をするようであった…。伏兵がいないという事は啓を闇討ちにするつもりはないようである。

 

(この二時間の間で、俺もダメージは兎も角として疲労は無くなった…。だが、問題はコイツが話そうとする事だな。)

 

 先程が文字通りの戦いとすれば、今度は情報戦だ。勿論啓の専門外であるが、そうは言ってはいられない…。少しでも今の状況の足しになる事を増やしておきたいと思うのは、啓が女神の守護者である他ならないのだ。

 

 だからこそ、啓は…炎山が話そうとした事を集中して聞いた。何を話題にするというのか…?

 

 

「桐生…お前、神龍会の”上野 隆”と接触したな…?」ドン!!

 

「…!!」

 それは啓が出会った少年…”上野の事”であった。

 

「”接触したな”と言い切ったのには…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()

 

 炎山が話そうとしている中…啓は待ったを掛けた。

「待ちやがれッ…いきなり神龍会やら言われても、俺にはサッパリだ。」

 既に啓は隆と接触し、SVCや神龍会の事や会長に掛けられた暗術”黒行封印”で封じられた”悪魔風脚”を取り戻す事に成功した。更に、隆が元々team”iflit”に所属していたことも。

 

 だが、今此処で隆と接触する事を悟られるのは不味い事態だ。その為に、啓は咄嗟に隆を庇う為に嘘をついた。

 

「当然、庇うよな…なら、これはどう説明する?」

 そういい、炎山が懐に持ち出したのは…白い紙であった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「”ビブルカード”…それがどうしたッてんだ。」

 

「しらばっくれるなよ、桐生? この紙は持ち主の所へ移動する性質を持つ…ワンピース好きなお前なら良く知ってる筈だぜ?」

 …そう、炎山の言う通りだ。ビブルカードには離れたカードを引き寄せられる性質を持ち、航海が困難なワンピースの世界ではGPS信号の様な仕事をしてくれるのだ。

 

「このビブルカードを持っていたのは…お前が崩壊ライブでぶちのめした転生者”真根乃”というマヌケの物だ。」ドン!!

 真根乃とは、崩壊ライブで啓のフリをしてμ’sを奪おうとしたマヌケである…啓本人に化けれたものの、バンダナの事に気づかずにそのまま啓にブッ飛ばされた転生者である。

 

 しかし、何故に此処でそのマヌケな転生者が関わってくるのか?…それは炎山の言葉に紡がれる。

 

「お前がぶちのめした”マヌケ”は俺が回収したのさ…そして、そこで疑問が出来た。マネマネの実の能力の発動条件には、相手を触らないといけない…しかも、お前は転生初日でマヌケと接触してないにも関わらずマヌケはお前になれた。何故だ?」

 

「…答えは、マヌケにサンプルを渡した奴がいたからだ…例え、本人の顔を見てなくても、真似る事が出来る様にな。」

 

「マヌケの二つ名は”百面相の真根乃”。だからそう、利用した訳だ。戦力になる人間が居ない以上、使うしか無かったんだな、隆の野郎はな。

 

「何が言いてェんだ…テメェ。」

 啓は先程からまるで犯行を暴こうとしている炎山に啓は苛立ちを感じた。

 

 

「…俺が言いたいのは”マヌケが持っているビブルカードとお前の懐にあるビブルカードと共鳴している理由さ”」ドン!!

 

「お前とマヌケは一度会っただけでブッ飛ばしたとブッ飛ばされたの接点でしかなく、当然ビブルカードの受け渡し等起こる筈もない…。」

 

「共鳴が起こっているアイツは、ただ一つ…お前とマヌケの接点を作ろうとしている第三者…つまり”上野 隆”の存在だ。」

 

 

 炎山が推察を続けた。

 

「恐らくの話だが…奴はお前と接触するのは不味いと考えた。敵同士であるアイツとお前が会う訳にいかねェ。」

 

「そこで考えたのが…マヌケの存在だ、お前は知らんと思うが…マヌケは”マネマネの実”を活用した諜報を得意とする転生者でな。何処の勢力に属さずに、諜報として雇われながら利益を獲得してきたらしい。」

 

「そう、自分の利益を考えるだけの奴なら隆の奴でも御しやすい…それを見越して、マヌケをお前へ情報を届けるメッセンジャーとして利用しようとした訳だろうな。

 

 

「だが、誤算があった…マヌケは女たらしの能力者だった。奴は能力を使い、ハーレム主人公やらに成り代わってその甘い汁をすすうゲス。」

 

「μ’sの事を知るやいなや、お前に成り代わって…μ’sを独占しようとした訳だ。まぁ、お前にぶちのめされたがな…ゲスは。」

 

 

「真根乃が使えないと知った隆は、バレる前に…転龍会から逃げ出して…お前と出会うしかなかった。まぁこんなところだろう。」

 そう言うと、炎山は煙草をまた吹かし始めた。

 

(…野郎。)

 息もつくことをせずに、自身の推察を喋った炎山の口頭に息をまいた。よもや、探偵張りに喋ってくるとは夢にも思うまい。最初に証拠である共鳴するビブルカードを出された以上、否応でも事実として炎山にしまい込まれるだろう。

 

「それにお前のその反応と解除された技が悪魔風脚だけと考えると、隆の野郎と接触出来たとしてもあまり時間が無かったな。現に隆がこの場に現れていない。」

 炎山がそう言い終えると、それまであまり言葉を発していなかった啓も口を開きざる負えなかった。下手な嘘を言っても、コイツは信用しないだろう。

 

 ならば、認めたうえでコイツから話を聞いてやろうと思った。 

「…そこまで口にするって事は、テメェに嘘をついても仕方がねェか。分かった認めるぜ…。」

 

「へェ…意外だなもっと喰い下がると思ったぜ。」

 

「それよりも聞かせろ…テメェが俺一人呼び寄せたのは、真の本題を言うためだろ?…俺と隆が会ったことを解き明かすのが本題じゃない筈だッ…!!」

 啓を突き動かしたのは、何故にこの状況で自分を呼び寄せたのか…?

 

「そして俺にとって一番大事なのは…金剛山がμ’sを閉じ込めたという事だッ…!! テメェらの手中にμ’sとその家族が居るッ、違うかッ!!!」ドン!!!

 そう、その通りだ。啓にとって今何より大事なのはこの戦いに巻き込まれたμ’sとその家族と国防関係者…それらの人物が今何処にいるのか?それを今度はこちらが解き明かさなければならない。

 

「ああ…そうだ。μ’sは俺達の中にある。」ドン!!

 

「クソッ…!!」

 啓は自身の感情をその一言に力を入れると、自身の不甲斐なさに心底情けなくなった。

 

(これじゃあ…アイツらはッ!!)

 そんな啓を他所に…炎山は言葉を続けた。

 

「桐生…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 その言葉に反応を示した啓は炎山へ吠えた。

 

「事が上手く運ばないだとッ…今μ’sを手に入れたテメェらが一番上手くいってるじゃねェのかッ!?

 話が噛み合っているが、互いの感情は怒号と冷静と心底対極の感情を示している。

 

「まぁ聞けよ桐生、俺が此処に呼んだのは…お前がさっき言った真の本題を話す為だ。」

 

「…それを話すにはお前が神龍会と本当に会ったか?その真実を知る必要があったからなんだよ。

 炎山は言葉を速めた。

 

「お前が神龍会とどの程度接触した事を知れば、俺とお前としても出来る事が増えるからよゥ。そして今その裏付けが取れた。」

 炎山は煙草を一瞬で灰として燃やすと、啓に言ってのけた…。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「今、転龍会は最高峰の救世の転生者が集まる神龍会との戦争をおっぱじめている。」ドン!!

 

 

 冊冊冊冊冊冊

”驚愕必至”…それまでの会話の流れを吹っ飛ばす程の衝撃…。それ程の衝撃がこの言葉にあった。

 

 「…戦争だとッ!? 転龍会と神龍会とがッ…!!!」

 成程、炎山が啓に対して此処へ呼んだのは…この事を話す為だと…瞬時に理解した。ならば先程話していた事やμ’sの事を一気に頭へしまい込み、炎山の話を聞き逃さない様に耳を揃えた。

 

「開戦の切っ掛けは…もう隆の野郎に会ったお前なら分かるよな。会長の攻撃から神龍地がお前や矢澤にこを助けたからに他ならねェんだ。」

 

 炎山の開戦の理由を聞き、啓は口を挟む。

「待て、俺やにこを助けた事が戦争に繋がるのかッ…?」

 

…繋がるさ。俺から見ればお前がやって来たことは”救世の転生者”とやっている事が同じだからだ。」

 

「…!!」

 

 炎山が啓が助けられる所以を話す。

「お前が最初に馬羅垣をブッ飛ばしてからつよさんや蝋の野郎との乱戦を経て、μ’sやその関係者の為に俺等と戦ってきた。神龍会の奴等からすれば、充分”救世の転生者”として働いていると言ってもいい。」

 

「だからこそだ…神龍地が直接お前を助けてくるのは何も可笑しい話じゃねェ…そもそも会長と張れるのはそういねェしな。」

 

 成程、神龍地にとって今の”桐生 啓”は同胞も同じ。その同胞が四大勢力の”頂点”に坐する実力者なら、助けるのは自身と思うのは自然な考えだ。

「待ちやがれ…なら、その二人はどうなってんだ。()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「そのトーリ…今もトップ同士が闘ってんのさ。」ドン!!

 

「まだ決着がついてねェのか…()()()()()()()()()()()()()()()

 そう…今は四月二日。神龍地と会長がぶつかったのは三月二十八日になったばかりの深夜帯…それからこの世界の時間軸では五日経っている話だ。

 

「飲み込みが良くて助かるな…流石当事者。ならよゥ…互いのトップが闘っているッて俺の次に言いてェ事が分かるかよな?

 …炎山はまるで自分に言わせるような口ぶりで話をしてきた…ならば言ってやるまで。

 

「部下である幹部も戦いに出てるって事か…!!」ドン!!

 

 炎山は頷くと、懐から再び取り出した煙草に火を灯して、夕日が落ち…紅くではなく青くなろうとする海上を眺めながら、煙を上げた。

 

「…神龍会はさっきも言ったが、”最高峰の救世の転生者が集まった”組織だ。その中でも頂点が”神龍地 天一郎”己の腕力を武器に数々の世界を救った神話そのものといってもいいぜ。…。」

 

「そんな奴の元に集まった他の転生者共も、鍛え上げられた強い奴等ばかり…そうなると、俺達ももう出し惜しみは出来ねェ。」

 

「会長が神龍地と闘う事になった後…最高幹部と幹部とそれに連なる構成員は神龍会との戦争に駆り出される事になった。」

 

 

「”駆り出された?”…テメェはその戦争に加わってないじゃねェか、同じ幹部なんだろうがッ…。」

 啓の言う事は至極最もな言葉だ。幹部格とするなら、直系組長である炎山。そして馬羅垣と麦野も同じ直系組長も戦争に加わるのが妥当といえる。だが、現に炎山達はこの世界にいて、神龍会と直に闘っている訳ではない。

 

「それはな…現時点で俺がμ’s奪取任務の最高責任者だからだ。」ドン!!

 

「責任者、テメェがッ…!?」

 

「この世界に残っている幹部クラスは俺と馬羅垣と麦野の三人だけでな…それ以外の幹部は神龍会と戦争を主として動いている。」

 

「…そして、俺は今のところはその任を果たした。だが、さっき俺は事が上手く運ばねェと言っている…何故かはお前には分かるだろう?

 これが炎山への啓に対して、最後の質疑応答であった。

 

 その答えは啓の中でハッキリと分かった…戦い以外に於いても、頭を働かさなければいけない”転生の龍”はその答えを堂々と言いのけた。

 

 

 

 

「神龍会と戦争している以上…テメェらの本部にμ’sを連れてきたとしても、奪われるからだろう?」ドン!!

 

「…早い正解だぜ、流石は転生の龍。」

 啓は二本目の一服を拳の中で燃やし尽くすと、最後の下りを話し始めた。

 

「これだけ正解が早く出るお前だ…お前もずっと考えていたと思うが、俺達がμ’sを奪うのに全力を出さないのは可笑しいと思っていただろう?

 

「…テメェら転龍会の強さは本物だ。あの野郎なら兎も角、お前独りでもμ’sを奪う事は充分可能だ、それをしないのは…今ならハッキリ言ってやるぜ。」

 

 

「μ’sを奪うよりも…他の転生者共からμ’sを護る方がテメェらにとって最優先だったからだろうが、違うか?

 

「”護る”ねェ…へッ、皮肉な話だ。」

 

このラブライブの世界は…あくまで現代日本の作品だ。どっかの漫画やアニメや特撮やゲームとラノベと違って…外敵から自分の身を守れるほどの自衛力が俺達からしてみれば、皆無。」

 

「だからこそ、μ’sを奪う事に力を入れる必要はない…。俺達転龍会以外の三大勢力も、傘下組織に命令してμ’s強奪を指示された筈だろう。」

 

「…確か、崩壊ライブの時に牛尾というバイソンになれる転生者がいたな…アイツもそういう口か。」

 

「そのトーリ。μ’sを奪う事に力を割くよりも外敵と闘う事の方が最優先…奪えたとしても、本隊に奪われるのが関の山。」

 

 

「それは俺等も同様…神龍会と闘っている他の幹部達にμ’sを届ける事は、”最強の救世の転生者達”に奪われるということなんだよ。」

 

「…。」 

 

なんとも皮肉な話である…奪う事よりも、護り抜く方が重要。その点に取っては、啓と転龍会と言えど…同じ大切なことなのだ。

 

 

「なら、これからどうするんだ…今の状態じゃテメェらは此処に缶詰めになるんじゃねェのか。」

 そう、本部に戻ったとしても、神龍会と戦争している以上…μ’sをそこへ連れていく訳にはいかなくなった。転龍会とて、μ’sを死なせる訳にいかないのだ。

 

「そうさ…もし俺達の前に立ちはだかる敵がhunterを率いただけのお前だけなら兎も角…此処には災厄の転生者”蝋 家龍”と”T-103”が居る。」

 

 

「あの化け物共か…。」

 啓は化け物と称した…そう言ったのは、啓が苦戦した相手、”金剛山”や”麦野”がやられてしまったという事だ。つまり、一筋縄ではいかない敵という頃になる。

 

 そんな中…炎山が意を決して、ある話を切り出した。

 

「桐生…そこでお前に決めて貰いてェ事がある…。」

 

「…なんだ?」

 

「今この時間で、俺はお前に転龍会の現在と俺の立場を話した…どうして、此処にお前一人だけ呼んだのか…分かるよな?」 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そのトーリ…()()μ()()s()()()()()()()()()()()()()()()μ()()s()()()()()()()()()()違わねェだろ?」

 

(…。)

 啓は内心思った…今の炎山が話した事を思ったのでない。

 

 今思ったことは、炎山がわざわざ此処へ呼んで話をしてきた”話の裏”にある。炎山が今しがた言った転龍会の現在の状況、炎山の立場…”μ’s護衛”の立場である啓からすれば、そんな情報を知らせる事が可笑しい。身内ではないのにである。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「炎山…もういい、充分だ。」

 

「…充分? 俺の話は腹一杯かよッ?」

 

「決めつけるんじゃねェ…俺が言いてェのは此処にどうして呼ばれたのか、確信を得たからだッ。

 

「確信…なら、言ってみな。」

 

「いいか…。」

 そういうと、今度は啓の方から話を進め始めた…。

 

 

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 啓の話から数分後…”旧第三埠頭”

 

「…フゥ。」

 埠頭に佇んでいるのは、炎山のみ。煙草を吹かし、海を眺めていた。

 

 其処へ大きな声で炎山に声を掛ける男が近付いてきた。

 

?「ヨゥ、”エンゾーちゃんッ”。」

 気軽に声かけるのはバラバラの転生者”馬羅垣 治”。メラメラの実の転生者である”炎山 蔵之介”と同門であり、転龍会に於いては…此処にいない”麦野 ダン”を含めた三者の転生者は()()()()()()()()()。 

 

「馬羅垣か…ダンはどうだ?」

 

 炎山の心配に、麦野の現状を把握している馬羅垣が教えた。

「ああ…傷は”姐さん”が治してくれてるが、()()()()()()()()()()()。」

 

目覚めてねェ…? そいつは可笑しいなァ、俺のイメージじゃ、アイツは傷が治った途端にバク転でもかましそうだけどな。」

 

 炎山の言葉に、肯定の意を示す馬羅垣。

「俺も可笑しいと思うぜ…だが、原因は分かってるぜ。」

 

「原因…そうか、タイラントの奴か。」

 炎山の頭に浮かび上がったのは、タイラントが持つ…T-ウィルスの存在。

 

 そう、T-103の体内にはT-ウィルスが入っており、タイラントに外傷を受けるという事は…場合によれば、ゾンビになるという事だ。現に今日の騒動に於いて、リッカーやキメラアントによって、多数のゾンビを作り出してしまった。そして今、直系組長である麦野にもその症状が現れているのだ。

 

「”T-103”…チッ、四凶の最古参組織は伊達じゃねェッて事か。」

 

「治療はある程度終わったが…麦ちゃんには頑張って貰うしかねェ。…そっちの首尾はどうだったんだぜ?」

 

 

「…駄目だったよ。」

 

「!!…あちゃ~やっぱりアイツは頑固者だぜ。」

 頭に手を当てた。

 

「全く、姐さんには顔向け出来ねェな…。」

 

「ならもう…アレで行くしかねェか。」

 馬羅垣はそう言うと、隣の炎山は煙草を燃やし尽くした。すっかり薄暗くなった海を後ろに、停めてあった自身のバイクに向った。

 

「…じゃあ、料亭に向かうとするか。そこで落としどころ…決めようじゃねェか。」ドン!!

 

 続く…。

 




今回は啓と炎山の話で終わりましたが…。次の話に啓が話そうとした事は持ち越しです。

では、次回第65話”決めようぜ、落としどころ。”次回も乞うご期待b
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