転生の龍が如く 〜女神の守護者~   作:kantarosu

73 / 74
投稿から約四年”μ’s”から”アクアス”も終了しちゃいました。筆者は曜ちゃん推しです。

では、前回のあらすじをどうぞ。

~前回のあらすじ~

”東京港炎上事変”は終わってから、数時間後の”旧第三埠頭”へ呼ばれた啓は、μ’sは転龍会の手中に収まったと聞かされる。

だが、転龍会もまた事態を上手く対処出来ていなかった…それは”転龍会対神龍会”の”全面戦争”に突入したからだ。

そうなれば、如何にμ’sをゲットしても、奪い返されるのが危険があった。だからといって、此処にはタイラント蝋害がいる。

そんな状況で炎山は啓に決めて貰いたい事があるというが、その話はどうやら失敗に終わったようだ。

話はどうやら、ある料亭で持ち込まれようとしていた。


第65話”決めようぜ、落としどころ”前編

 ”東京港炎上事変”から翌日…2015年4月3日。 

 

 ビル街から起こった連鎖爆破…そして、国防勢力、転龍会、蛇蝋と金獅子会による同盟軍、三者の戦いによって燃やし尽くされた東京港港湾地帯。後に”東京港炎上事変”として語り継がれる事になるこの大事件。終息は一向に見られなかった。その一番の原因は、政府全体がこの事件に対して殆ど状況を公開出来ない現状にる。

 

 どうして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。余りに急すぎる政府の行動と隠蔽体質に対して、国民は怒り疑問を追及していた。

 

 日本政府は非常に困っていた。彼等の目的は転龍会や蛇蝋と金獅子会という途方もなく、強大な強さを誇る組織に対して、μ’sという9人の少女と”桐生 啓”という戦力を渡す事で何とかこれ以上の被害が出ない様にしたかった。

 だが、…それらの苦しい願いすら叶えられなかった…啓達が警視総監を気絶させ、国の真の狙いを知り未然に防いだのだ。

 

 それどころか、”炎上事変”によって増々日本という国は苦しい立場になった。世界でも屈指の治安を保てた国が先月の中旬頃から、超常とした事件が起こったばかりで、首謀者とその組織を捕まえる事が出来ていなかった。

 

 …だが、それは仕方ないのかもしれない。何故なら彼等が恐れている敵は秒単位で街全体を崩壊に陥れる”転生者”だからだ。

 

 しかし、今その転生者達ですら…難しい問題に陥っていた。

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 ~料亭”あずま”~

 

 料亭は日本文化に於ける高級料理店だ。古から伝わる料理や庭園や座敷や作法、現代にあって…その空間だけ時間が昔の大和の国の様なもの。少なくとも、其処へ訪れるのは、大物政治家や芸能人などの年収が破格の人物ばかりである。

 

 年収が破格の人物達となると…まず一般市民は立ち寄れないだろう。料亭は料理が万単位ばかり、とてもじゃないが…食事にそこまでの金は出すわけにはいかない…。そうなると、自然に料亭へ客として出入りする人間は少ない。

 

 つまり…人の出入りが少ないという事は同時に会話を聞き入れない可能性が小さいという事。そう、料亭の裏の顔には、”密会”の場としての役割があるのだ。よくあるドラマでは、偉そうな年配の男二人がそれこそ怪しい話をして、ニタリ顔で笑っているシーンを見たことはあるではないだろうか?

 

 詰まるところ…重大な話をするには持って来いの場所なのかもしれない。この世界に元からいない転生者にとっても…。

 

  ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…それはこの料亭に明らかに場違いな暴走族が勢揃いしていた事であった。背中に印象的な炎の髑髏を灯した男達は威圧的な態度でその場を支配しており、何があっても、この場に誰も通さないという無言の圧力があった。

 

 傍から見れば、料亭と暴走族…ちっとも接点がない二つの組み合わせが如何に可笑しいものか。だが可笑しいのは…いや、()()()()()()はこれからであった。

 

 ”キキィーーー!!!”

 料亭の前に大きな車両が綺麗に停まった。そこから、男二人が並んで車から出てきた…。

 

 一人は長い顎髭と長髪を蓄えた長身の男で、白いマオカラースーツが特徴の男だ。そして、もう一人は青い人肌、まるで死人の様な肌色をしており、丁寧にも黒いハット帽をオシャレに被っていた。

 

 降り立った長身の男二人を、料亭の前に並んでいた男達が中に入る様に支持。…二人は肩をすかせたまま、暴れる事はしないとアピールし、中に入っていた。

 

 二人が降り立った後…車の中にもう一人の青年が降り立った。丁寧にスーツに袖を通し、再度フォーマルな姿になった”桐生 啓”の姿があった。

 

 

 桐生(…此処が、料亭”あずま”か。)

 そう言う啓はそのまま料亭”あずま”を見定めた。

 

 何故に啓がフォーマルスーツを着ているかというと、昨日に炎山から明日の午後六時に”落としどころ”を決めると言われたからだ。会食の準備をしている間…燃やし尽くされた東京港に金獅子会と蛇蝋を共に缶詰めされ、上空の火球を滞空されたまま…一夜を過ごしたのだ。

 

 その後、スーツを支給され着替える様に言われた。”これから会う方に無礼な恰好は失礼に値するからな。”と暴走族風の男達に言われ、”テメェらの恰好でそれを言うのか”と言い返し来てやった転生の龍。

 

(此処に、()()()がいるのか…。)

 東京港炎上事変を乗り切った啓。よもや、今度は料亭での会食。戦闘から会食という妙な切り替えに驚く暇もなく、此処に立っているのだ。

 

 構成員「桐生、総長達が待っている、入れ。」 

 

「…。」  

 急かされた啓は、その言葉を聞き入れ料亭に入っていった…。

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 ~あずま内”落としどころ会場”

 

 炎山達によって、連れて来られた三人の男達…通されたのは、薄暗い和室であったが、部屋には掛け軸や花瓶や調度品などもなく…あるのは会食が置かれた卓があるだけであった。卓に関しては座布団ではなく、部屋に合わせられた四脚椅子がそれぞれのサイズに合う様に三つ並べられていた。

 

 そんな中…卓に並べられた会食を見て、啓は心の内で驚いていた。

(俺も大概だが、飯に関しては普通の人間と変わらねェ…コイツ等と比べたらな。

 

 啓以外の会食…つまり、蝋とタイラントに出された会食は率直に言えば、全てが青色の食べ物…つまりTウィルスが入っている会食と全ての材料が蝋性という人類が食べれない会食であった。今後のこの料亭でこれを超える会食は出てこないだろう。

 

 蝋「それで…此処へ呼んだ張本人は何処にいるのがね?」ドン!!

 

 蛇蝋総統”蝋害の蝋 家龍”ドン!!

 

 T‐103「蝋氏の言う通り…遅刻とは幹部の仕事なのですかな?」

 

 金獅子会先遣部隊隊長”T-103”ドン!!

 

 主催者である炎山がこの場に居ない事に、文句を取り合えず言う二人…。好物を前にしてか、気が緩んでいるとはいえ…一度行動を起こせば、この国自体に厄介このうえない存在だ。

 

 

炎山「待たせたな…。」ドン!!

 

転龍会直系team”iflit”総長、現μ’s奪取任務最高責任者”炎山 蔵之介”ドン!!

 

「まだ、本題に入ってねェのに…うるせェ野郎共だ。」

 先程の文句が聞こえてきたので、ぶっきらぼうに対応する炎山。

 

 炎山の対応に蝋は天井に指差す。

「フンッ…上に炎の爆弾を滞空する様な男に畏まる必要はないがねな。」

 

 ”ボオオオ…”

 そう、この”あずま”に連れて来られたのは、三人の男達だけではない…滞空していた”落火星”も同様に誘導されたのだ。

 

「へッ…言い返してェとこだが、そんな下らねェ物言いは終いにして、テメェらに紹介する方が要る。」

 炎山は扉を指し示した。

 

「ホゥ…成程、此処まで連れて来て我々と話がしたいのは貴方ではなく、襖の向こうにいる方でしたか。

 

「そのトーリだ…。」

 そう言った後…炎山が襖を開くと、一人の女性が入ってきた。

 

(いよいよ、始まるか…。)

 啓が気を引き締めているところ…此処で、時間を昨日の第64話へ戻そう。 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 昨日、~東京港旧第三埠頭~

 

 苛烈な闘いを終え、啓と炎山がサシで話していた埠頭での会話…。これにはまだ続きがあった。それまで聞き手に回っていた啓が今度は自身が話し手になった時だ。炎山は啓と接触した上野隆の所在と転龍会が神龍会との戦争に入っているという事等の状況を啓へ話した。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()味方である隆が啓に対して、話すのは分かるが、よりによって何故に炎山がその事を話すかという事にある。啓はその事について、自分なりの答えが出たので…炎山へ聞き出そうとした。

 

「いいか…単刀直入に言うぜ。此処へ俺を呼んだのはテメェら転龍会は俺を仲間にしようと考えてるんじゃねェのか。ドン!!

 桐生啓が口出した答え…それは転龍会の幹部である炎山が自身を仲間にしようと此処へ呼んだという事だった。

 

「…オイオイ、ありえねェだろ? お前が言ってるのは()()()()()()()()()()()()()()とするのと同じことだぜ。」

 炎山は的確な例えを口にした。原作において、白ひげ海賊団四番隊隊長のサッチを殺害し、”ヤミヤミの実”を手に入れた黒ひげは、海賊において最大のタブー”仲間殺し”を犯した事になる。二番隊隊長であるエースは激怒し、ケジメを取らせる為に、黒ひげをバナロ島にて見つけ出した。

 

 だが、そんな事も露知らずで黒ひげはエースに対して、「俺の仲間にならねェかッ!!」と言った。エースからしてみれば、ヤミヤミの実を手に入れる為に自ら仲間殺しを犯し、タブーを破って決定的な裏切りをしておきながらの”スカウト宣言”…真剣に取り合うのも馬鹿らしくなる程だ。

 

 そして、啓と炎山達の立場を見れば…μ’sを奪取する側とそれを阻止し守護する側という、だれが見ても明らかな敵対同士が仲間になるというのだから…ありえないというのは当然の言葉であった。

 

 しかし、啓は詰まることなく…自身の答えの続きを言い出した。

 

「いや、ありえねェ話じゃねェ筈だぜ…さっきテメェが言ったじゃねェか。転龍会対神龍会が戦争したせいで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 確かに前の話で炎山はこの世界にいる幹部は自身を含めて、三人しかいないと言ったのだ。

 

「それにテメェはμ’s奪取任務の責任者といったよな…増援が見込めない場合も含めて、戦力を増強しなきゃならねェ。」

 

「成程な…だから俺はお前を戦力と引き入れようとしているッて言いてェのか。」

 

それも一つの答えだ…。

 そう、啓が言ったが…今度は炎山が啓へ訊き返した。

 

「確かにな…戦力増強をするなら、強いお前を仲間に引き入れるのは悪い話じゃねェ。」

 それは炎山が啓の強さを認める発言であった。

 

「だが、普通に考えれば…俺が戦力を増強するなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ”援軍が見込めない以上…周囲の戦闘員から戦力を増強する。”…それも敵対するモノが複数いる場合なら、”桐生 啓”を仲間にするよりも、より強い戦闘員の確保するなら、蛇蝋や金獅子会と手を組んだ方が良いだろう。実質μ’s護衛側はやや桐生のワンマンチームなのだ…。

 

「なら…最初から何故それをしねェ。」ドン!!

 

俺がμ’sを守護する側とするなら、テメェら転龍会、金獅子会、蛇蝋…目的の違いで決裂が分かっていたとしても、それでも手を組んで俺を速攻で殺した方が早いだろうが。

 此処でいう目的の違いとは、転龍会がμ’sの強奪、対して蛇蝋総統である蝋は芸術品を作り出すことにある。

 

「…最初から手を組むと考えてたら…一昨日の音ノ木坂の事件もこの港の戦いも無かった。違うか?」

 そう、桐生啓をμ’sの守護者とするならば、転龍会、金獅子会、蛇蝋は共にμ’sを奪う側。いずれは必ず敵対するのは分かっていても、先んじてはまず桐生啓を始末しそこから奪い合いをすればいい話なのだ。

 

「…よくまぁそこまでポンポンとセリフが吐けるもんだぜ。()()()()()()()()()()()()()()()()

 炎山が言った矢先に啓は制止させる。

 

 

「…纏めるな、まだ話がある。」ドン!!

 

 

 転生の龍は頭をフルに回転させた。それもある方法を使って…。

「今わかってるのは、テメェ等が俺を仲間にしようとしている事を明らかにした。それと、蛇蝋と金獅子会とは組むことはねェッて事だけだ。」

 

「…だが肝心の誰が本当に俺を仲間にさせようとしたがっているのかと、それに対する俺の答えがまだだ。」 

 明らかにすべき答えは二つ…そう啓は言ったのだ。

 

 それに対して、炎山も待ったを掛けた。

「待て待て…今までの話を聞けば、俺がお前を仲間にしようッて聞こえるが?」

 炎山は啓の話を聞いていて、仲間にしようとしているのはさも自分の事を指していると思っていた。だから、待ったを掛けたのだ。

 

「いや、テメェが俺を仲間にしたがってる訳じゃない…本当は頼まれたんだろ?

 

「…!!」

 此処に来て、炎山が少し驚く顔を醸し出した。

 

「へッ、驚いた顔を見せたな…炎山。」

 

「俺が誰に頼まれたか…そう言うなら、お前には理由はあるのか。」

 炎山の言葉に啓は淡々と答えた。答えに辿り着く為に。

 

「二つある。一つはこの港にμ’sが居ねェ事だ。さっき、テメェはμ’s奪取任務最高責任者で幹部は三人しかいねェ以上、テメェが現場を取り仕切るアタマだ。」

 

「しかし、神龍会と転龍会が戦争している以上、本部にμ’sを送れねェとテメェは言った。そうなると、此処に留まる必要がある。」

 

「だが、実際にこの東京港にμ’sの気配がねェ。それにμ’sを預かる責任を持っている立場のテメェがその場から離れて、俺と話をしている。…つまり、誰かに送ったことになる。」

 

「二つ目は俺がソイツと実際に会ったからだ、既にな。」

 

「そして、、、提案を持ちかけられた…深夜の西木野病院でな。」

 溜息をついた炎山は徐に頭を掻いた…目の前の男の答えがもう分かるからだ。

 

 

「勿論、断ったぜ…転龍会の女の提案なんてなッ…!!」ドン!!

 

 啓のこれまで推論…全てはそうあの日、西木野病院で会った転龍会の女。この女に辿り着く事だったのだ。

 

「…そこまで言われたら言うしかねェよな。」

 炎山は座り込むと、煙草をもう一度吹かし始めた。

 

 炎山の反応と答えを見た啓は改めて訊き返す。

「やはり、認めるのか…あの女に命令されたって事を。」

 

「…”姐さん”はお前を仲間に引き入れようと考えていた人なんだよ。」

 そう言うと、炎山はその話をし始めた。

 

「病院でお前の勧誘を失敗した姐さんは、別の方法で仲間にしようと考えた。それがこの東京港での決闘に決まったッテ訳だ。」

 

「ここでの決闘が俺を仲間にさせる方法だと…何故だ?」

 

()()()()()()()()()()()()μ()()s()()()()()()()()()」ドン!!

 

「…どういうつもりだ、テメェ等は。」

 

「姐さんは病院での件でお前が簡単に折れない事を身を持って知った。なら、もう直接身体に分からせてやるしかない…。」

 

「音ノ木坂学院に向かっている矢澤家を誘拐し、つよさんがお前への言伝をして東京港への決闘を誘う。」

 

「義憤心の強いお前だ、間違いなく此処へ向かうよな?」

 炎山の言葉に啓は無言で頷いた。これから護ろうとしなければならないμ’s…ならば、当然その家族も見殺すなどあってはならない。

 

「当然だ、この世界に来た以上…μ()()s()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()鹿()()()。」

 

 啓の馬鹿野郎発言に、炎山は思わず笑みを表した。思った通りの男であると改めて知ったからだろうか。そして、炎山は笑みのまま、啓へ投げかける。

 

「…なら、これを聞いたら桐生。お前驚くよな?」

 

「なんだ、言ってみやがれ。」

 

「もう、終わったから言うがよ。お前がこの東京港でつよさんと決闘する時…俺達は決闘の邪魔をするつもりは無かったのさ。」ドン!?

 

「…人質を取ったテメェらがか? 俺への印象を良くしようってのか?」

 先程の自身が言った仲間にしようと企んでいる発言で、炎山達転龍会が己らの印象を良くしようとしていると思っての突き放した発言であった。炎山はその発言を意に介さずに言い返す。

 

「ちげェよ、さっき言っただろう? お前を屈服させるにはサシで闘うしかねェのさ、μ’sを悟らせる為にな。」

 

「μ’sを悟らせる…奪ったテメェ等がそんな事を考えて、何になりやがるッ。」

 転龍会はμ’sを奪った組織、それを悟らせる等と考えるのに、何の意味があるのか…。しかし、炎山はそのまま続けた。

 

「じゃあ、逆に聞くがよ…桐生、お前はずっとμ’sを護り続けれると本気で考えてるのかよ。

 

「…!!」

 炎山の言葉に、啓は眼を見開いた…。それはこれから起こし続けるであろう啓の守護への疑問を投げた。

 

「可笑しいじゃあねェか…μ’sを狙う転生者達はこの港にいるだけで、三勢力。対して、μ’sを護ってる転生者はお前だけだ。」

 淡々と事実を告げる炎山。この男の言う通り、この港には不届き者の転生者が三勢力を集っているのに対して、守護する側は啓のみだ。

 

 炎山は畳みかける様に言った。

「お前が此処にきて十日以上は経つが、実際どうだ?…隆はお前と会ったが、奴は仲間を連れてきてくれんのかッ…オッ?」 

 煽る様に炎山は啓を囃し立てた。  

 

 啓はそれまで、苛立ちを募らせていたが…とうとう我慢が出来なかった。μ’sを奪っておきながら、この期に及んで痛いところをついてくる事に対して切れたのだ。

「だからなァ…テメェにそんな事を言われる筋合いはねェんだよッ…!!」ドン!

 

 炎山へ苛立ちを見せつけた啓…それは意識的に”覇王色の覇気”を発揮し、それを含め”怒り”を表したのだ。

 

「…」

 …だが、炎山はまるで自分が扱う”メラメラの実”の炎の様に燃え滾る啓のこの”怒り”に対して、少し黙ると徐に上空のあるものへ指差して…こう言った。

 

 

「もし、お前が俺に従わなかったら…滞空している”落火星”をこの世界の主要都市に落とすとしたら、どうする?」ドン!?

 

「!?」

 それは余りにも、唐突な空襲宣言であった…!!

 

「俺の悪魔の実は”炎”…その気になりゃ、一人でもこの世界を燃やし尽くせる。」  

 ”メラメラの実”の延焼範囲は勿論の事…この転生者”炎山 蔵之介”の言葉にそれが可能だと言わんばかりの自信があってのセリフであった。

 

「じゃあ…μ’sを取るか、世界を取るか…お前の次の答えを言ってやろうか? 口では当然、”両方を取る”ッて言うだろうな。」

 啓の返答を待たずしてのこのセリフ、炎山は続ける。

 

()()()()()()()()()()()()さっきお前自身も言ったよな? ”俺達を圧倒出来る程の強さはない”ッてな…。」

 

「…。」

 啓は黙るしかなかった…μ’sか世界か、そんなものを決めれる筈がない。両方取るに決まっている…しかし、今の啓は上記の通り…両方は取る事など、とてもとても…。

 

「桐生、お前は俺達からμ’sを護れと神から頼まれてこの世界に転生してきた…だが、己と関係ない女を護ろうと即座に答えるお前の事だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「護る対象を拡大し、それをも護ろうとしている…それがお前の最大の弱点(ウィークポイント)だ」ドン!!

 

「…!!」

 ”最大の弱点”と言う言葉…それは啓の脳へダイレクトに当たった…。確かに思い返してみれば、自分のやっている事はμ’sを護る為に動いているのもあるが、と同時にそれ以外のμ’sの家族や国防関係者の命を護る事も考えていた。漢には既に護るべきものが多すぎたのだ。

 

「いいか…お前はμ’sを護るどころか、短い戦いを生き残った事で”この世界の守護者”となってしまっている…。なまじ強さがあるばかりな…。」

 

「姐さんはそれが分かっているからこそ、お前に仲間になって欲しいのさ…。それにさっき言った”決闘の邪魔を俺達がしない”それはμ’sを悟らせることに繋がる。その繋がりはなんだ、言ってみろ。」

 炎山がまたしても、啓を試す様に言い直したこのセリフ…その繋がりはこうだった。

 

「…邪魔をされない決闘で勝てない俺がより困難な戦いで勝てる訳がない、それがμ’sを悟らせる事だな…。」ドン!!

 

()()()()()…その答えこそが全てだ。」 

 

「大勢の敵に囲まれた場合は兎も角として、戦う相手がつよさん一人だけで邪魔が入らない…つまりこれ以上無い程最小された闘いだ。おまけに、金獅子会や蛇蝋と違って…お前達が港に来るまで俺達は邪魔をしなかっただろ?」

 そう、金獅子会のリッカーや蛇蝋の狙撃や爆破工作などを仕掛けてきたが、この東京港に辿り着くまで転龍会は邪魔をしなかったのは事実であった。

 

「そして、この戦いの行き着いた先は…俺達転龍会がμ’sを手に入れた。それが現実だ。」

 

「最後は直接言わして貰うぞ、俺達の軍門に下れ”転生の龍”…それでお前の短い戦いは完結する。」ドン!!

 それは最後の勧告であった…伝えた炎山は煙草を何本か取り出すと、埠頭のボラードに座り込んだ。この行動の意味することは”もう、自分から言う事はない…後はお前が答えるだけだ。”と言う事になる。

 

(…俺がμ’sを護る事は、最初から不可能だったのか。)

 この世界を転生者の魔の手から救うべく、転生してきた桐生。しかし、今はその護るべきμ’sとその家族達は転龍会の手に落ちてしまった。絶対的に揺るがないであろう圧倒的な戦力差に加えて、人質を手に入れられてしまった。例え、転龍会が神龍会との戦争をしているにしても、その優位な状況は変わり様が無い。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 強さ的にも、数の優位的にも、精神的にも…最早それは”事実上の敗北”であった…。

 

(転龍会の言う通りにするのが良いのか…それであいつ等が生きてくれるなら。)

 啓は今、重大な選択を迫られた。勿論転龍会の軍門に下るのは、完全な不本意でしかない。だが、転龍会の軍門に入れば、自分が護るよりも護り切れる可能性が高いと考えた。そんな自身に合わない打算を打ち出してしまった。

 

(…にこ、皆すまねェ、俺はお前らを助けてェ。)   

 打算の結果、炎山に伝える事はもうこれしかなかった。

 

 ”転龍会の軍門に下る。”

 二時間前…金剛山と蝋との乱戦を最後とし、転生の龍はその短い戦いを終えようと決意した。後は、炎山へ投降すれば。

 

 …しかし、しかしである。人間の心とは時として、自身の答えを揺さぶる事がある。まるで、自分自身の選択を止めるがごとく。

 

 

 にこ(音乃木坂を卒業した今…”アイドル専門学校”に入ろうと思うのよ。)

 

(…!!)

 まるで啓の選択を止める様に、にこが自分に語った夢が想起された様であった。そう、今日の東京港の決闘が始まる昨日に、啓とにこは初めて腰を掛けて、話をしていたのだ。

 

 その内容こそが、にこがμ'sとしてのアイドル活動を終えたとしても、アイドルを続けていこうと夢を続けようと思ったことを…。そして、転生者が襲い掛かる悪夢から夢に戻してほしいと啓へ願ったことを…。

 

(そうだ、にこは…あいつは願ったんだ。この俺に対して、悪夢から夢に戻して欲しいと…。)

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だが、こうしてにこが願いを伝えた事で、今転生の龍は己の選択を止めようとしていた。

 

(なんだ?…桐生の奴、歩みを止めた。)

 炎山は少し前から吸っていた煙草を、啓が歩みを止めた様に自身も吸うのを止めた。

 

 転龍会の立場として考えるならば、μ'sを捕らえる事が目的であるからこそ、彼女達を生かすのは許される訳だ。それに殆ど孤立無援の転生の龍に対して、一応仲間として迎えるわけなのだから。

 

 それに炎山は命令ではなく、啓へ選択として選ばせることで最終的な判断は自分がしたと思わせる事は、啓へ抵抗の意志を無くす働きもあったのだ。故にもうこれで、桐生啓が自分達と闘う理由がなくなったことになる筈である。命あっての物種、納得してくれなければ双方困る話だ。

 

 

 しかし、どういうわけか…”炎山 倉之助”には今しがた歩みを止めた男が、こちらの話に折れ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(…コイツの雰囲気、まるで闘志が消えていない。) 

 炎山が疑問を抱いた次の瞬間…()()姿()()()()()姿()()()()()()()()

 

「野郎…!?」

 攻撃の意志を悟った炎山はその場を跳び、回避行動を取った。と同時に、炎山に放つ筈の蹴りのエネルギーは埠頭へ直撃した。

 

”ドゴォンッ!!”

 啓の空中からの黒足による蹴り技によって、炎山が座っていた埠頭のボラード周辺は亀裂が生じたと同時に炸裂した。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 避けたと同時に、炎山は先に口を開いた。

 

「…聞くまでもねェか、桐生。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 先程の蹴りと合わせて、啓の断り方を抽象的に表した。そう、啓の初撃は明らかに炎山にダメージを与えようとする強烈な蹴りであった。

 

 対して、啓は炎山へ言い返した。そこには数秒前に葛藤を拵えた男は居なかった。

 

「…そのトオリ、それが俺のメッセージだ。」ドン!!

 

「信じらねェな…お前はμ’sに生きて欲しくねェのか?

 炎山としてはやや信じられなかった…先程の話から、啓は軍門に下ると感じていたのに、この数秒で奴に一体何が起こったのかと不気味に思った。故に、啓の今の行動が理解出来ないからこその言葉が出た。

 

 そんな中、桐生は次の言葉を紡ぎだした。今しがた、自身の行動を明確にする為に。

 

「確かに、俺とテメェら転龍会はμ’sに生きて欲しいという一点に関すれば、同じ気持ちだ。」

 

「だが、俺にはお前等のいう生きて欲しいというのは、只生きて欲しいだけでアイツらの気持ち等考えていない。只自分達の欲望を満たすしか考えてねェ。俺にはそう感じる。」

 

 啓の心の中で、にこが啓へ語ったあの言葉が出てきた。

 

(悪夢から夢に戻して欲しいのよ。)

 

 

「体が生きていても…生きた心地がしなければ、生きていたいと思わねェ筈だ。」ドン!!

 

「…成程な。オメェは何が何でもこの世界にアイツ等を生かせたい訳だ。」

 

「そうだ、にこはμ’sの活動を通して、自分の夢に自信を持てたんだ。あいつの夢の続きを俺の一存で終わらせる訳にいかねェんだよ。」

 どうやら、啓は何が何でも、にこの夢を叶えさせたいと思っていた様であった。それが自分の使命と言わんばかりに。

 

 

「だから、此処でテメェを倒して人質にする。」ドン!!

 啓は三原色の覇気を展開すると、臨戦態勢に入った。転生の龍はヤル気であった。

 

「そうか、そうかい…どうやら最初から見え透いてたのかね~。」

 炎山もまた炎に手を灯した。目の前の龍がヤル気で己を人質にするなら、もうヤルしかない…。

 

「残念だぜ、転生の龍ッ!!」

 崩壊ライブの一戦から、実に数日の時を経て今二人の転生者は、第二戦目を始めようとしたその時!!

 

 

 

?「そこまでよ…男二匹熱くなってはいけないわ。」ドン!!

 突如、一人の女性の声が炎山のポケットから聞こえてきた。

 

「なんだ…女の声!?」

 思ったより、大きな女性の声と凛とした雰囲気に、啓は動きを止めた。

 

「姐さん…聞いていたのですか?」ドン!?

 

「なにィ…!?」

 啓は驚きの声を上げた。

 

「…最初から聞いてたわ、炎山。貴方の話は今の私にとっては一番重要な話だから、聞かなければならないのよ。」

 

「成程、それで俺と目の前の荒ぶった奴が一戦おっぱじめようとしたから止めたんですね。」

 

「予定外の事は出来るだけして欲しくないのよ。」

 スピーカーから、姐さんは困った声を出していた。

 

 そんな中…啓が二人の会話に割って出る。

「…そうか、テメェが転龍会の姐さんか。」

 

「そうよ。けど、テメェなんて、女の子に言っちゃ駄目よ?」

 と、啓の語気に対して全く怯まないどころか、言い方を訂正する様に発言した。どこか余裕を感じさせる。

 

 それに対して、炎山も姐さんに同調する。

 

「姐さんは転龍会会長の奥方…つまり、会長の奥様だ。」ドン!!

 

「…!!」

 

「そう、人妻よ。」

 成程、何処か落ち着いている様に聞こえるのは既に人の妻であったからだ。そしてその人妻が出てきた事で状況がやや冷えてしまった。

 

「そして、私の名前は”ハルカ”。少し前に病院であったでしょ、”桐生 啓”。」

 そう、西木野病院で啓とにこへ詰め寄った黒装束の女こそ、”ハルカ”であった。

 

 対して、

「やっぱりあの時の女か…此処に来て、親玉の女が来るとはな。…だが、最初から話を聞いてたからもう俺の答えは知ってるだろ、”俺は転龍会の軍門に下らねェ”。何があろうとだ。」

 

「ええ、貴方のその真直ぐ過ぎる意思は大したものだわ…。炎山が此処まで話を割ってもダメみたいなんだからね。」

 

「すいません、姐さん。俺として事が情けない限りで。」

 

「いいのよ。()()()()()()()()()()()()()…今のが聞こえたかしら、”桐生 啓”?」

 

「答えが出揃った…それがなんだってんだ。」

 啓は忌々しく、声を上げた。

 

「貴方は今転龍会の軍門に下らないと言ったわ。けど、貴方と矢澤にこ、西木野真姫、高坂穂乃果、南ことり以外のメンバーは私達の軍門に下ってもいいと考えてるわ。」ドン!?

 

「…!?」

 啓はそれまで出していた覇気を一瞬で抑えた。

 

「馬鹿な…じゃあ、海未、花陽、凜、絵里、希は軍門に下ると言ってるのか!?」

 啓はハルカが今しがた言ったメンバー以外が上記の五人だと瞬時に把握した。

 

「そういう事…炎山がさっき貴方の弱点は()()()()()()()()()と言ってたけど、もう一つあるとすれば、貴方のタフな精神の様に他の人間は強くないって事。悪く言えば、諦めが悪いともいえるけど。よく言えば、現実を見れてる。

 

 此処に来ての啓にとっては急展開。いや、あくまでの啓の視点である。啓以外の視点で考えれば、今や矢澤家どころか、μ’sとその関係者とその家族は転龍会によって捕まえられており、炎山の指示で落花星を各都市に落とす事が出来る状況は変わらないのだ。

 

「だそうだ…どうするよ、桐生。覇気を抑えたが、まだヤル気か?」

 啓に対して、炎山はあくまで冷静に伝える。男もまた、龍の反応を見ているのだ。

 

 よもや、μ’sメンバーの9人中の5人が軍門に下ると言っている中…啓の答えは。

「いや、俺は決めている。お前の今言ったことが嘘だろうが真実だろうがッ!!」

 啓は四股を踏んだ。

 

「続行だ!!」ドン!!

 先程発揮した覇気よりも、強い覇気が炎山とハルカに対して、襲う様に流れ込んでいく。完全に啓は転龍会と徹底抗戦をするつもりだ。

 

「…姐さん、どうしましょうか。この野郎、気合十分みたいなんで…やはり、ここで俺が戦いましょうか。」

 炎山もまた、啓と同様に臨戦態勢に入った。

 

「いいわ、こうなれば桐生を落ち着かせない…そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 どうやら、ハルカは炎山に資格があるかどうか、炎山の判断に任せる様だ。

 

「…承知。」

 すると、炎山は一旦、通信を切った。炎山もまた出す拳を収めようとしなかった。

 

「来い、お前の意志ぶつけてみろ。」ドン!!

 

 VS転龍会直系team”iflit”総長 ”炎山 倉之助” 

 

「ダッ…!!」

 啓は両脚に青い覇気を纏い、そのまま炎山に向かって蹴り技を繰り出した。黒足は高速移動をしながら、その速度で攻撃が出来るという利点があった。だが、相手は…炎を自在に操れる能力者。

 

「火柱ッ…!!」

 炎山の周りに突如として、火の柱が出現する。炎特有の強烈な熱風が炎山の周りを囲い、啓の蹴撃をガードした。

 

「チィッ…!!」

 熱風と熱量により、啓は一度大きくへ後退した。

 

(分かっていたが…あの熱さはヤバい。)

 そんな事を思っていた瞬間…啓は足の裏が熱いと感じた。

 

「グッ…!! 地面が熱してやがるッ!!」

 啓の言葉通り、地面は高熱を帯びていた。それは熱した鉄板と変わらないもしくはそれを凌駕する熱量を帯びていた。

 

「ロギアの強みは能力の及ぶ範囲が半端が無い…つまり、()()()()()()()()()だ。」

 

「…!!」

 炎山の言葉に啓は緊張する。数秒に満たない攻防で確信する…ロギアは悪魔の実最強種、自然災害をそのまま身に宿した力であるという事をッ!!

 

(地面はダメだッ、飛ぶしかねェッ…!!)

 啓はもう一度地面を大きく蹴り、その高さ、数百メートルの高さに達した!!

 

「空中に逃げたか…それにあの様子だと。」

 炎山は空中に飛んだ啓を見据えた。

 

 ”シュオオオ…”

 啓はどうやら三原色の覇気を溜め込んだまま、そのまま炎山に目掛けて落下していた。桐生啓に今出来る事はただ一つ、”全身全霊の蹴り技を繰り出す事。”…つまり。

 

「俺の炎を掻き消すつもりかッ…良いぜ、対空砲火だ。」

 炎山はまるで”天津飯の気功砲”の様に照準を向けた。対して、啓も大きく身体を仰け反らせた。

 

「”鋭角着火砲”ッ!!」ドン!!

 

「”芭蕉扇”ッ!!」ドン!!

 強風と爆炎が互いにせめぎ合った…。

 

 

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 東京港”旧第三埠頭” 

 

 炎山の懐から、ハルカの声が聞こえてきた。

「…炎山、少し早いけど、見極めは終わったかしら?」

 

 スピーカー越しに炎山はハルカへ問いに答えた。

 

「…推薦入試は合格ですよ、姐さん。」ドン!!

 炎山はそう言うと、口から煙を出した。

 

「いくら、二時間の休憩があったとはいえ、俺の炎を消すなんて…敢闘賞もんですよ、コイツは。」

 そういい、炎山は目の前の啓へ視線を移す。

 

 対して、啓はというと…肩で息をしていた。

「ぜェ、ぜェ…。」

 

 呼吸は荒いが、ファイティングポーズは解けぬまま立っていた。しかも、爆風の影響でメラメラと熱していた地面は心なしか冷めていた。

 

「そう、見極めは合格なら、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「だそうだ、桐生。足裏に火傷をしたら、却って冷静になったか?」

 と、矛盾めいた事を言う炎山。それに対して、啓は肩で返事をした。

 

「姐さん、一応返事はしましたよ。」

 

「…”桐生 啓”、明日料亭”あずま邸”で直接、私と会いなさい。」ドン!!

 

「…料亭、其処でお前と会うだと?」

 

「そこであなた達”女神側”、”蛇蝋金獅子連合”にμ’sを手に入れた私達”転龍会”の話を聞いて貰うわ。これに従わなければ、彼女達の運命は決定的になる。」

 

「…脅しか、いやそれよりも此処で俺を倒さないのか。」

 そういい、啓は炎山へ指差した。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…言われてるわよ、炎山。」

 ハルカの言葉に炎山は、頭を掻くとそれに続いてこう言った。

 

「桐生、俺はお前を張り合いある相手として考えている。」ドン!!

 

「!?」 

 

「さっきも言ったが、俺の炎を消す程の蹴撃…会長に技を奪われて弱体化をしているとはいえ、俺のレベルに迫る強さ。」

 

「今、倒すには惜しいほどの伸びしろがお前にはあんのさ、お前にはよゥ。」

 と、炎山は啓の強さに対して、自分なりの褒め言葉を授けた。

 

 対して、啓は先程から挑戦的な態度を改めずに噛みついた。

「舐めた事を…何故そう言い切れる!?」

 

「…簡単さ、組織や個人が強くなるには己と同等の敵がいんのさ。」ドン!!

 

「考えてもみろ? 俺一人で”覇王色の覇気”を使えば、すぐにでもμ’sを奪える。造作もねェ事なのは…お前も分かんだろ?」

 

「…!!」

 

「だがな、そんな楽を積めば、いつの日かマジに強い奴等と戦う事になれば、組織は簡単に崩壊するッ!!…だからこそ、会長は楽な手段よりも敢えて難儀な勝負に出て、勝利を収めてきた。」

 

「そして、俺や馬羅垣にダンは転生者として日が浅い…もっと強くなるには、強いライバルが必要だ。」

 

 

「それが…お前だ、”桐生 啓”!!」ドン!?

 

「…!?」

 

「転生初期に、お前に負けた馬羅垣とダンはお前に勝ちたいと思っている。そして、この俺はお前ほどの”伸びしろ”がある男を失うのは非常に惜しいッ…!!」

 

「それに今のお前はμ’sを絶対に取り返す使命がある漢…俺とお前が戦う理由は十二分に揃っているッ…!!」

 

 

「明日、料亭に来いッ桐生…!! お前が次に進みたいならなッ…!!」ドン!!

 

「なかなか…熱い男ね、炎山も。

 

「…。」

 炎山の文字通り、熱い宣戦布告に啓はたじろいだ…確かに、今の炎山とハルカの言葉に従う事が次に進むというのなら、最早迷う必要は無いッ!!

 

 

「いいだろう…なってやる、張り合いが欲しいなら、俺がなってやるッ!!」ドン!!

 

”転生の龍”は今この東京港での戦いを区切りとし、次へ進むことを決意した!!

 

「じゃあ、私は料亭”あずま”に一足先に向かうわ…明日まで彼と蛇蝋金獅子連合は缶詰めにしといてね。」

 

「了解です…じゃあ、桐生。さっきまで居たところで十分休んでおきな…明日午後六時に”落としどころ”を決める。」

 

「望むところだッ…!!」

 啓はそう言うと、遂に踵を返して…炎山の元へ去っていった。かくして、啓の蹴り技は今を持って使う事は無かった…。

 

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 時間は戻って…!!

 

 μ’sとその家族や国防関係者を奪った”転龍会”、そしてまだ実現していないとは言え、μ’sを自身の芸術品に加えようとする”蝋 家龍”、それに協力する”金獅子会”…!!

 

 あれ程、昨日興奮していた啓は今日は拳も脚も出していなかった。今は只、話を聞く事を優先しているのであるッ…!!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() ()

 

 ”スー…”

 静かに襖を開ける音がする。戸を開けた主は、しっかりとした足取りで”転生の龍”、”蝋 家龍”、”T-103”の強者の前に立つ。

 

 四大勢力”転龍会会長夫人””治癒処のハルカ”ドン!!

 

ハルカ「昨日の戦いの落としどころ…私が決めさせて貰う。」ドン!!

 

to be continued…!!

 




今回の話は主人公”桐生 啓”の弱点と悪いところを書きました。なまじ強い力と他人を助ける意思が強いせいか、一人で何度も背負い込むことと。暴力で相手をねじ伏せようとするところです。そのせいで、敵とはいえ人の話を聞かない聞かん坊なところがあります。故にこの話はキャラの内面性を改めて知りえたと思います。
さて、次回は第66話後編です。次回も乞うご期待b  
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。