桜舞う星   作:サマエル

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帝都最期の日!?

「………抜かりはないであろうな、ミロクよ」

 

「ご安心下さい天海様。必ずや、帝国華撃団を仕留めて見せます」

 

「天照の最終調整も済みました故………」

 

叉丹の言葉に、天海にニヤリと笑った。

 

「よし、全て手筈通りだな。一時の勝利に浮かれておれ、帝国華撃団!ウルトラマンジャック!」

 

 

 

 

 

 

 

「椿さん、お疲れ様です」

 

「あ、秀介さん。お疲れ様で~す」

 

西遊記の公演が終了し、秀介は椿の所に来た。

 

「実は今日の千秋楽の後、みんなで打ち上げを予定しているんですが、椿さんも如何ですか?」

 

キントくんの故障で千秋楽が大失敗したため、公演期間が一週間延長になったのだ。

そして今日、夜の部を以って西遊記はめでたく千秋楽を終える事になった。

そこで紅蘭が、千秋楽が終わってからみんなで打ち上げをやろうと言い出したのである。

 

「ごめんなさい、実はかすみさんと由里さんの三人で食事に行く事になってるんです」

 

「そうですか、残念です。それじゃあ、お食事楽しんで下さい」

 

「はい!秀介さんも、打ち上げでさくらさんをモノにして下さいね」

 

刹那、秀介は派手にひっくり返った。

 

「な!な!何でご存知なんですか!?」

 

「はい、由里さんから聞いたんです」

 

「あ、あの、この事は………!」

 

あたふたと回りを確認しつつ、秀介は椿に言った。

 

「分かってます。さくらさんには内緒ですよね。そのかわり………」

 

 

 

 

 

「紅蘭、いるかい?」

 

大神はその頃、紅蘭の部屋の前に来ていた。

すると、いつもなら明るい声と笑顔で迎えてくれる紅蘭が扉を閉めたまま言った。

 

「大神はん………今手が離せんのや。ちょっと待っとって………」

 

いつになく真剣な様子から、また何かの発明をしているのだろう。

気にならないと言えば嘘になるが、待つように言われた以上勝手に入る訳には行かない。

やがて言われた通りに大神が待っていると、紅蘭の声が聞こえて来た。

 

「………よっしゃ。大神はん、もうええで~」

 

「じゃ、お邪魔するよ」

 

大神は扉を開け、部屋の中に入った。

紅蘭の部屋は、足の踏み場もない位に散らかっていた。

あちらこちらに用途不明の部品やら、書きかけの設計図やらが散らばる部屋の真ん中に、紅蘭はいた。

 

「何しているんだい、紅蘭?」

 

「しっ。話し掛けんといてや大神はん。今大事な作業中なんや」

 

こちらに背中を向けたまま、紅蘭が言った。

ガチャガチャと音が聞こえる事から、やはり何か発明の真っ最中だったようだ。

 

「………、おおきにな大神はん」

 

言われた通り無言の大神に、紅蘭は作業をしつつ礼を述べた。

 

「こういう大事な作業は集中が途切れると………って、ああっ!」

 

紅蘭が突然叫んだ瞬間、例によって紅蘭の発明が大爆発した。

途端に部屋には煙が充満する。

 

「こ、紅蘭! 大丈夫かっ!?」

 

血相を変えて煙を掻き分ける大神。

すると、煙の中から煤まみれの紅蘭が出て来た。

 

「ゲホッ、ゲホッ………お、大神はん………」

 

「紅蘭………良かった、無事みたいだな」

 

安堵の表情で胸を撫で下ろす大神。

すると紅蘭は、天を仰いで嘆いた。

 

「ああっ、なんちゅう事や! あともう少しで『キントくん』に続く『宴会くん』の完成やったのに!」

 

「………『宴会くん』?」

 

「今日の打ち上げのために考えた宴会用スーパーメカや! スイッチ一つでお酌やら一発芸やら何でもできる優れ物やったのに………!」

 

どんなにショックでも機械の説明をはしょらない所は流石紅蘭である。

そんな事を思いながら、大神は紅蘭を励ました。

 

「落ち込むなよ紅蘭。君に怪我がなくて良かったじゃないか」

 

「………せやな。でも、大神はんも楽しみやったやろ………?」

 

「え?………そりゃまあ、確かに………」

 

今の説明を聞いて、興味が沸いたのは事実である。

大神がそう応えると、紅蘭は何かを決心したように言った。

 

「………よっしゃ! こうなったら、ウチが中国四千年の技を披露したる!」

 

「ち、中国四千年の技!?………凄そうだな」

 

「そうと決まったら、早速練習や! みんなをあっと言わせたるで!」

 

そう叫んだ時、宴会くんの残骸が再び爆発した。

 

 

 

 

 

花組の面々がサロンに顔を揃えたのは、それから30分後の事だった。

 

「やあ、みんな集まってるみたいだね。お疲れ様」

 

昼の公演を終えた面々に、大神が労いの声をかける。

今回延長となった西遊記は、キントくんの活躍もあって魅力の殺陣にますます磨きがかかった。

すみれの予想通り客受けは非常に良かったが、その分主役のカンナと悪役のすみれによる立ち回りが増えた。

9月に入ったとはいえ、まだまだ残暑の厳しい季節に、激しいアクションはさぞ辛いだろう。

しかし、すみれは疲れた表情を全く見せずに応えた。

 

「お~っほっほっほ! この神崎すみれに掛かれば、カンナさんの下手くそな演技に合わせる位、朝飯前ですわ」

 

相変わらずの憎まれ口だが、疲れを見せない所は流石トップスターである。

しかし、今の一言に納得しない者がいた。

カンナである。

 

「何だと! お前こそ客に煽られて台本にない事ばっかりしやがって! 合わせてやるこっちの身にもなってみろ!」

 

「何ですって! まるで私が悪いみたいではありませんの!」

 

「面白ぇ、さっきの続きをやるか!?」

 

最早定番となりつつある二人の睨み合い。

その様子に、周りは呆れたり笑ったりした。

 

「わ~い! 西遊記の番外編だ~!」

 

「全く………二人も懲りないですね」

 

そんな中、マリアが大神に声をかけた。

 

「隊長、ありがとうございます」

 

「何がだい?」

 

「あの二人、深川の一件で随分仲が良くなったんです。隊長のおかげですね」

 

「俺は何もしちゃいないさ。秀介のおかげだよ。それに、あの二人は元々仲良しみたいだしね」

 

いつものように謙遜する大神に、マリアは小さく笑った。

 

「隊長が来る以前とは大違いですよ。謙遜なさる事はありません」

 

マリアがそう言った時、カンナと言い合っていたすみれが大神に声をかけた。

 

「少尉! 次回は私が主役の『蛇女火炎地獄』ですのよ! 私がカンナさんをギタギタにする所、しっかりとご覧になって下さいまし!」

 

すると、すみれの口から出た言葉にカンナの表情が一変した。

 

「へ、蛇!? ………お、降りた。あたい、その舞台降りたぞ!!」

 

「お~っほっほっほ! カンナさん、貴女は私の獲物。逃げても無駄ですわ!」

 

完全に逃げ腰状態のカンナに、文字通り蛇の如く攻めるすみれ。

その様子に微笑む大神の目に、ため息をつく秀介が写った。

 

「どうしたんだい、秀介? 顔が死んでるけど………」

 

「いえ、別に………」

 

何とも無気力な返事をする秀介。

それもそのはず。あの後、秀介は椿に口止め料として食事代20円を支払う羽目になったのだ。

ブロマイドが一枚五十銭のこの時代においては、かなり高額である。

最も、そんな事を話せば自分の秘密がばれ、せっかくの口止め料をどぶに捨てる事になってしまう。

結局秀介は諦めるしかなかった。

 

「………それで、打ち上げの話なんだけど………」

 

大神が話を戻すとみんな乗り気らしく、あちらこちらから賛同の声が上がった。

 

「大神さんも賛成ですか?これで全員一致ですね!」

 

「わ~い、アイリス遅くまで起きてよ~っと!」

 

「よっしゃあ! それじゃあモリモリ食って………!」

 

「バリバリ飲みますわよ~!」

 

「こら、未成年の飲酒は駄目よ。………でも、たまにはみんなで騒ぐのもいいわね」

 

めでたく打ち上げが決まった所で、ふと秀介が口を開いた。

 

「しかし、何処でやります? みんなでテーブルを囲みたいですし………」

 

「そうやな………、楽屋なんかどうや? 畳もあるし、みんなでくつろげるやろ?」

 

たしかに大きなテーブルを囲める部屋は楽屋位だし、公演の後に楽屋で打ち上げというのも粋なものだ。

紅蘭の提案は、これまた全員一致で採用された。

 

「よし、早速みんなで準備しよう!」

 

大神の言葉に、最初に返事を返したのはカンナだった。

 

「じゃあ、あたいは地下の倉庫からテーブルを運んで来るよ」

 

「私は厨房で料理を作るわ。」

 

続いてマリアを名乗りを上げる。

すると、すみれが二人をチラッと見て立ち上がった。

 

「私は………、そうですわね。楽屋の飾り付けを致しますわ」

 

「じゃあアイリスは食器の準備する~!」

 

「ウチは部屋で秘密の準備をさせて貰うで」

 

恐らくは中国四千年の技だろう。

紅蘭の眼鏡がキラリと光った。

 

「それじゃあ、あたしは買い出しに行って来ます」

 

「………、じ、じゃあ僕も………」

 

「さくらくん、俺も付き合うよ。君一人じゃ荷物も重いだろう?」

 

申し出ようとした秀介を遮り、大神がさくらに言った。

さくらも秀介に気付かず頬を赤く染めた。

 

「いいんですか大神さん?」

 

「………」

 

何やら甘いムードを漂わせる二人を、無言で見つめる秀介。

その様子に残りのメンバーは大体の想像をつけた。

 

「(こりゃアレや。三角関係っちゅう奴や)」

 

「(マジかよ!?まさか秀介が………)」

 

「(確かに秀介は、さくらの近くだといつも落ち着かなかったものね)」

 

「(全くあの田舎娘は………!自分になると鈍いんですから………!)」

 

「(秀介可哀相………)」

 

「………みんな、隅っこで固まってどうしたんだい?」

 

五人の様子に気づいた大神が声をかける。

すると、紅蘭達は慌ててごまかした。

 

「い、いや! 何もあらへんで、ホンマ!」

 

「そうそう、何でもないよ!」

 

「そ、その通り! 大した事ではございませんわ!」

 

「き、気にすんなって隊長!」

 

何でもないという割に、みんな冷や汗が凄い。

何と無く不審に思った大神は、マリアに尋ねた。

 

「マリア、何の話をしてたんだ?」

 

「は、はい!その………き、今日の午後から雷を伴う大雨が来ると………!」

 

咄嗟に出まかせを述べるマリア。

すると、突然さくらの表情が凍りついた。

 

「か、雷………!?す、すみません大神さん。あたし、やっぱり一人で行きます!」

 

「え?さ、さくらくん!?」

 

大神の返事を待たずに、さくらは足早にサロンを後にした。

すると、紅蘭が秀介を急かすように言った。

 

「ほら秀介はん、早う行ったらな!」

 

「えっ!?………あ、はい!!」

 

突然の声に秀介は一瞬驚いたが、紅蘭の意図を察してさくらの後を追った。

 

「秀介の奴、上手くやれるかねぇ?」

 

「大丈夫や。秀介はんはなにかと強い人やさかい」

 

「うん!アイリスも秀介の事応援する!」

 

「全く、世話の焼ける方ですわ」

 

「さあ、私達も準備しましょう」

 

満足げな様子で隊員達が持ち場につく中、残された大神は一人呟いた。

 

「………何だったんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

「さくらさん、待って下さい!」

 

秀介がさくらに追いついたのは、彼女がロビーから外に出ようとした時だった。

 

「………秀介さん!」

 

さくらは驚いて振り向いた。

あの状況で大神ではなく秀介が追いかけてくるとは、思いもしなかったからだ。

 

「さくらさん、僕もご一緒させて下さい」

 

「秀介さん………。でも、あたし………」

 

何か秀介が一緒だと困る事があるのか、もじもじとするさくら。

秀介は、その様子に不安がりつつも尋ねた。

 

「………、僕じゃ………駄目ですか?」

 

「………ち、違います!秀介さんが駄目だなんてそんな………!」

 

秀介の言葉を、さくらは慌てて否定した。

以前同じ質問をされ、秀介を傷付けた事が脳裏を過ぎったからだ。

 

「………じゃあ、一緒に来てくれますか?」

 

「はい、もちろんです!」

 

怖々と尋ねるさくらを勇気づけるように、秀介は笑顔を見せた。

その光のようにまばゆい笑顔に、さくらも少しだけ笑顔になった。

 

 

 

 

 

 

秀介とさくらが買い出しに出た頃、大神にカンナの手伝いに地下倉庫へ来ていた。

いくら力持ちのカンナでも、一人でテーブルを運ぶのは大変だろうと思ったからである。

しかし………、

 

「よし、行くぜ!せ~の!」

 

「お、重い………!」

 

テーブルは大神の予想より遥かに重かった。

その重量、一階に上がった時点で大神の手が震えるほどである。

 

「カ、カンナ………大丈夫か?重くないか?」

 

「な~に、こん位軽い軽い」

 

平然と応えるカンナ。

大神は、改めてカンナと桐島流の強さを感じた。

すると、そこにアイリスがやって来た。

 

「わ~、おっきなテーブル!アイリスも手伝おうか?」

 

「平気さアイリス。なあ、隊長?」

 

「あ………、ああ。俺達なら大丈夫だ………」

 

カンナに合わせてそう応えると、大神はテーブルを楽屋まで運んで行った。

 

「………アイリスには、スッゴく辛そうに見えたけどな」

 

 

 

 

 

「ところで、何を買うんですか?」

 

道中、秀介がさくらに尋ねた。

今まで宴会というものの経験がない秀介には、買い出しと言われて何を買うのかがパッと思い付かなかったからだ。

 

「そうですね………、ジュースとかお菓子とか、みんなでワイワイ食べられるものでしょうか?」

 

「お菓子とかだけですか?」

 

「はい。マリアさんが料理を作ってくれてるので………」

 

「へ~、マリアさんって料理上手なんですか?」

 

意外そうな表情で秀介が更に尋ねた。

確かにマリアが料理する様子は、中々思い付かない。

 

「あたしも見た事ないですけど………、どんな感じでしょうね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ハックシュン!!」

 

「………大丈夫かい、マリア?」

 

厨房で盛大なくしゃみをするマリアに、大神が声をかけた。

すると、マリアは恥ずかしかったのか赤い顔で話をはぐらかした。

 

「いえ、別に………。それよりジャガイモは切り終わりましたか?」

 

「ああ。大体こんな所かな?」

 

「………ちゃんと均等に切れてますね。じゃあ次は味付けです」

 

カンナとテーブルを運んだ後、大神はアイリスを手伝う事になった。

コップ、ナイフ、マッチと厨房にありそうなものばかりで簡単と思っていたが、厨房にいたマリアに料理の手伝いに来たと勘違いされたのだ。

マリアから指示されて大神が作っているのはボルシチ。

ロシアの一般的な家庭料理だ。

とは言え八人分(ほぼカンナだが)作るため材料は半端ではなく、マリア自身も更にピロシキというパン料理を作っているために指図しかしてもらえない。

何とも大変な事になったと、大神は心の中でため息をついた。

 

「ええと………、確か調味料は………」

 

鍋の上の棚を開けて調味料を探す大神。

確かマリア曰く、ケチャップのはずだ。

 

「ケチャップ、ケチャップ………あっ!!」

 

大神は思わず叫んだ。

ケチャップを探していた大神の手が、一番手前の瓶に当たり、弾みで瓶が鍋の中に落ちてしまったのだ。

 

「し、しまった!これは………!?」

 

慌てて瓶を出して確認するが、ラベルがない。

しかし透明な中身と、何やら鼻につく臭いが漂い、嫌でも大神にはその正体が分かってしまった。

 

 

 

「………お酢………!」

 

 

 

ケチャップと酢ではエライ違いだ。

大神はマリアに打ち明けようとした。

…………が、

 

「♪フンフンフ~ン、フフフフフ~ン………♪」

 

楽しそうに鼻唄を歌うマリアの姿に、大神は口をつぐんだ。

せっかく料理を楽しんでいるマリアの気分を損ねたくなかったからだ。

幸いマリアはピロシキに夢中で気づいてない。

大神は何とかボルシチを、強引に別の料理に持って行く事にした。

 

「ケチャップを入れたら中火にかけて煮込んで下さい」

 

「ああ………、わかったよ」

 

そう返しつつ、大神はコンロのツマミを一気に強火にした。

なんにせよ酢の臭いだけはごまかさなくてはならない。

大神は強火で、一気に酢の臭いを飛ばす事にした。

………が、

 

「………ああっ!スープが………!!」

 

強火のおかげで何とか酢の臭いは分からなくなった。

しかし、今度はそのためにスープの量が激減してしまったのだ。

残念な事に水を足そうにも、流し台はマリアの隣にある。

従って水は継ぎ足せない。

 

「(諦めるな、考えろ。考えるんだ、大神一郎!)」

 

大神は必死に考え、一つのアイデアを思い付いた。

 

「よし、こうなったら………!」

 

大神はマリアの目を盗みつつ、何を思ったかピーマンとパイナップルを切って鍋に放り込んだ。

 

「取り皿を探しますから、仕上げにワインビネガーを入れて下さい。その後じっくり蒸らすのがコツです」

 

「ああ、任せてくれ!」

 

寧ろ最後まで見られないのは好都合。

大神はマリアのアドバイスを無視して、すぐさま火を止めた。

当然、ワインビネガーは入れるはずがない。

そこへ、マリアがやって来た。

 

「隊長、皿の準備ができました。」

 

「ああ、ありがとうマリア………」

 

「どれどれ、美味しそうなボルシチ…………って………!?」

 

刹那、マリアの顔が凍り付いた。

それもそのはず。

なぜなら大神が作ったのは…………。

 

「『酢豚』になってるじゃないですか! どうすれば『酢豚』になるんです!!」

 

怒ったと言うより、寧ろ驚いた様子でマリアが叫んだ。

たしかにボルシチのスープを酢豚の餡に変えるなど、正に神業である。

 

「あ~。つまり、これはだな………」

 

とりあえず弁解を試みる大神。

すると、そこへ紅蘭が顔を覗かせた。

 

「あ、お二人さん。料理は順調かいな………ってこの懐かしい香りは!」

 

厨房に入るや、紅蘭は大神の鍋から漂う酢豚の臭いに反応した。

 

「す、す、酢豚!夢にまで見た酢豚が目の前に!!ち、ちょいと一口………!!」

 

余程自分の国の料理が恋しかったのか、紅蘭は我慢出来ずに酢豚を一口頬張った。

 

「………美味い!餡はからんどるのにピーマンはシャキシャキ、肉は強火で身が引き締まっとる!極めつけはパイナップルや!こんなん上海でしか食った事ないで~!!」

 

キラキラと瞳を輝かせる紅蘭に、大神とマリアは唖然となった。

 

「作ったんは誰や!マリアはんか!?」

 

「い、いいえ、隊長よ」

 

未だ興奮の覚めやらぬ紅蘭に気圧されつつマリアが応える。

すると、紅蘭は大神に思いっきり抱き着いた。

 

「大神はん!!やっぱり大神はんはウチの事分かってくれとったんやな!おおきにやで!!」

 

「こ、紅蘭………!?」

 

突然の事に驚きつつ、大神はゆっくりと紅蘭を離した。

 

「あ、すんまへん。ウチ、中華料理は小さい頃しか食べた事なかったさかい………」

 

「そ、そうかい………?まあ、紅蘭が喜んでくれて良かったよ」

 

大分落ち着いたらしく、赤い顔で離れる紅蘭。

 

「ほなウチ準備があるさかい、また後でな」

 

そう言って、紅蘭は厨房を後にした。

二人はしばらく黙っていたが、やがてマリアが呟いた。

 

「紅蘭………あんなに中華料理に飢えてたのね………。気づくべきだったわ………」

 

 

 

 

 

 

 

「………秀介さん、大丈夫ですか?」

 

さくらが心配そうに声をかける。

目の前には、大量の荷物を抱えた秀介の姿があった。

 

「こ、この位平気です。ご心配には及びません」

 

そうは言うものの、足がやけに震えている辺り、イマイチ説得力がない。

 

「やっぱりあたしも持ちます。秀介さん一人に押し付けたくありませんし」

 

「え?さ、さくらさん!」

 

秀介に構わず、さくらは秀介の荷物を半分取った。

 

「いいんです!帝劇じゃアイリスだって頑張って準備してるんですから。それに………」

 

そこまで言って、さくらは恥ずかしそうにそっぽを向いた。

 

「あたしだって、秀介さんの役に………」

 

「え………?」

 

小声で呟いた何かに、秀介が反応した。

すると、さくらはますます顔を赤くする。

 

「………も、もういいじゃないですか!行きますよ!」

 

「あっ!待って下さいよ、さくらさん!」

 

さっさと歩いて行くさくらを、秀介は慌てて追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら少尉、随分遅かったですわね?」

 

料理を済ませた大神は、アイリスに頼まれた品物を持って楽屋に来ていた。

先程はテーブルが中央に置かれただけだったが、周りに綺麗な装飾が施され、楽屋はさながらパーティー会場へと変化していた。

それが出来たのも、偏に社交界のパーティーに詳しいこの人しかいなかった。

 

「すみれくん、凄いじゃないか!前の楽屋とは別の部屋みたいだよ」

 

「お~っほっほっほ!この神崎すみれに掛かれば、パーティー会場の一つや二つ、朝飯前ですわ!」

 

いつものように大見栄を切るすみれ。

すると、横からアイリスがボソッと言った。

 

「さっきまで大慌てだったのにね。」

 

「まあ、何をおっしゃるのこのガキャ………!」

 

優雅な仕草を一変させ、般若の如くアイリスを追いかけ回すすみれ。

その様子に微笑みつつ、大神はすみれに尋ねた。

 

「他に仕事はあるかな?」

 

「そうですわね………。では、こちらの小道具と衣装を片付けて下さらない?」

 

そう言ってすみれが指差したのは、楽屋の入り口に集められた小道具や衣装の山だった。

その高さ、実に2メートル。カンナより高い。

普段整理の及ばない小道具の片付けが、まさか自分に回って来るとは。

 

「お~っほっほっほ!少尉のためにやり甲斐のある仕事を残しましたのよ。お喜びになって」

 

「………ああ、そうだね」

 

すみれにそう返しつつ、大神は身の丈を超える山を前に、ため息をついた。

 

 

 

 

 

 

「………ふう、やっと終わったか」

 

楽屋にあった小道具の山をここまで運ぶまでは大した時間はかからなかった。

しかし肝心の大道具部屋も、秀介が買い出しで不在のためにひっくり返った状態で、結局作業を終えるのに小一時間かかってしまった。

 

「あ、大神はん。お疲れさん」

 

楽屋に戻って来た大神を、紅蘭が出迎えた。

 

「紅蘭じゃないか。みんなは?」

 

「待ちきれんと、もうおっぱじめとるさかい」

 

そう言って、紅蘭は親指を立てて楽屋の奥を指した。

たしかに楽屋からは賑やかな笑い声が聞こえてくる。

 

「………ありがとう、紅蘭。待っててくれたんだね?」

 

「当たり前やん。さ、早う行かんと、大神はんの絶品酢豚が無くなってまうで」

 

 

 

 

 

 

紅蘭の言う通り、楽屋では四人が先に打ち上げを始めていた。

 

「隊長、遅かったじゃねぇか…………!ウッ、み、水………」

 

相変わらず豪快にピロシキを食べるカンナ。

 

「やれやれ、これだから食い意地の張った方は困りますわ」

 

言いつつも水を飲ませてあげるすみれ。

 

「みんな、騒ぐのもいいけど、明日に引きずっては駄目よ」

 

微笑ましげにセーブをかけるマリア。

 

「は~い、ほどほどにしま~す!」

 

パーティーとあってか、いつもより元気なアイリス。

打ち上げが程よい盛り上がりに差し掛かった所で、紅蘭が立ち上がった。

 

「よっしゃ!大神はんも来た所やし、ウチのとっておきを見せたるわ!行くで~…………、

四点皿回し!!」

 

それは、中国雑技団に匹敵する超人技だった。

やっている事は皿回しだが、紅蘭は両手のみならず、上げた片膝と額の四ヶ所で同時に皿回しを成功させたのだ。

 

「凄いじゃないか紅蘭!どこでそんな技を覚えたんだ?」

 

大神も驚きつつ拍手喝采する。

紅蘭はそれが嬉しかったのか、得意げに言った。

 

「フフフ、甘いで大神はん!中国人は生まれた時から、みんなこの位は出来るんや!まだまだ行くで!回る皿回し!」

 

すると、四つの皿が途端にお手玉の如く宙を舞い始めた。

 

「紅蘭、後で空になった皿も追加して差し上げてよ」

 

「ねぇねぇ、コップとか回してよ!」

 

「思い切って鍋とかどうだ?」

 

花組の隊員達も大いに盛り上がる。

すると、紅蘭が大神に言った。

 

「へへ、ウチ大神はんに酢豚の恩返ししたくて、やる気になったんや」

 

「ありがとう紅蘭。おかげでみんなも盛り上がってるよ」

 

「おおきに。よっしゃ、鍋でも鉄砲でも回したるでぇ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

買い出しに出たさくらと秀介を雨が襲ったのは、ちょうど帰りがけの頃だった。

 

「………さくらさん、いいんですか?」

 

「いいんです。一つしかないんですから」

 

不安げに尋ねる秀介に、さくらはそう言って更にくっついた。

今日雨が降るという予報に、さくらはちゃんと傘を持って来たのだが、秀介は慌てて追いかけたためにそこまで気がまわらなかった。

仕方なくさくらの傘に二人で入る、いわゆる相合い傘の構図になっているのだ。

秀介にして見れば願ってもない事だが、いざさくらと密着すると、心臓がドキドキしてしまう。

 

「(本当に僕でいいのだろうか………?)」

 

いらぬ心配と分かっていても、秀介はそう思わずにいられなかった。

自分はさくらが好きだ。

あの上野公園で会った時から、一日たりともさくらの顔を思い描かなかった日はない。

しかし、同時にさくらが自分を好きでいてくれるか不安だった。

さっきのように、本当は大神が良かったんじゃないか。

その事が脳裏を掠め、秀介の表情は自然と暗いものに変わる。

 

「………秀介さん?」

 

さくらの声に、秀介はハッと我に還った。

 

「どうかしました?」

 

「いえ………、大した事ではありません」

 

一瞬躊躇い、秀介は止めた。

今さくらにそんな話をしても、困らせるだけだと判断したからだ。

それに、秀介には気になる事があった。

 

「さくらさんこそ、先程からどうかされたんですか?辺りを伺ってるみたいですが………」

 

さくらはさっきから、やたらと秀介にくっついて来る。

悪い気はしないが、今までなかった分、普段のさくらとは違う違和感があった。

 

「いえ、何でもありません」

 

単なる思い過ごしか、それとも秀介に知られたくないのか、さくらは答えなかった。

その答えは、帝劇についてから明かされる事になる。

 

 

 

 

 

 

「………ふう、やっと着きましたね」

 

帝劇のロビーに着くや、秀介が言った。

雨に降られた事もあって、当初の予定より大きく遅れてしまった。

みんなの事、待ちきれずに打ち上げを始めてしまっているだろう。

 

「さあ、急ぎましょう。皆さん待ちくたびれているはずですよ」

 

「そうですね。………よかった」

 

「え?」

 

「いえ、何でもありません」

 

さくらの様子がいつもと違う事に不安を募らせる秀介だが、敢えて触れなかった。

今はみんなと打ち上げを楽しもう。

その後で聞けばいい。

そう考えながら、秀介はさくらの後を追いかけた。

 

「すみません、さくらです」

 

そう言ってさくらが楽屋の扉を開こうとした時だった。

帝劇の近くに雷が落ち、凄まじい雷鳴が轟いたのだ。

 

「………ああっ!!」

 

その直後、さくらが悲鳴を上げ、怯えた様子でその場にへたり込んだ。

 

「さくらさん!?さくらさん、どうしたんですか!さくらさん!!」

 

慌てて秀介が駆け寄り声をかけるが、さくらは怯えたまま反応を示さない。

 

「さくらくん、どうしたっ!?」

 

楽屋からもさくらの悲鳴を聞き付け、大神を先頭に花組メンバーが出て来た。

 

「さくらさん、どうなさったの!?」

 

心配そうにさくらを見る面々。

すると、さくらが怯えた口調で言った。

 

 

「雷様に………おへそ取られちゃう………!」

 

 

「…………はい?」

 

思わずすみれが拍子抜けした表情を見せた。

たしかに下らないと言ってしまえばそれまでだが、さくらの怖がり方は尋常ではない。

そこへ、あやめからアナウンスが入った。

 

「大神少尉、大神少尉、大至急作戦司令室まで来てちょうだい。大至急よ」

 

「何っ!くそっ、こんな時に………!」

 

大神は躊躇ったように言った。

大至急というのだから、余程大事な事に違いない。

しかし、こんな状態の隊員を目の当たりにして放っておけるか。

おそらく、それに迷っているのだ。

秀介は、さくらの横に座ったまま大神に言った。

 

「………行って下さい、隊長」

 

「秀介………。しかし、さくらくんを放っては………」

 

「早く!大至急なんです!!」

 

大神の声を遮るように、秀介が声を荒げた。

 

「………分かった。さくらくんを頼んだぞ!」

 

そう言って、作戦司令室に急ぐ大神。

その背中が見えなくなると、すみれが呆れた様子で言った。

 

「全く、雷が怖いなんて………よく帝国華撃団が務まりますわね」

 

「アイリスだって、雷怖いもん!」

 

「………きっと、さくらは小さい頃に、雷でよっぽど怖い目にあってるんだ」

 

さくらの肝っ玉の強さは花組の誰もが知っている。

その彼女が何の理由も無しに雷を怖がるとは思えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「大神一郎、ただいま到着しました!」

 

作戦司令室に到着した大神は、すぐにその場の緊張がいつもと違う事に気づいた。

その理由は、直後の米田の言葉で明らかになる。

 

「大神!蒸気演算機が、遂に黒之巣会の目的を突き止めたぞ!」

 

「な、なんですって!」

 

「実は、これまで黒之巣会が出現した5ヶ所全てに、ある奇妙な物が発見されたの」

 

驚く大神にそう答えると、あやめはモニターを操作し、その奇妙な物を写した。

 

「これは………?」

 

それは、黒之巣会が怪しげな術とともに地中深くに沈めていた、あの巨大なドリルだった。

 

「これは寛永寺に保管されていた祭具、我々はクサビと呼んでいる」

 

「寛永寺?確か、徳川時代の………」

 

士官学校時代に読んだ古い文献に同じ名前があった事を、大神は思い出した。

 

「そう。そして寛永寺の住職は天海大僧正。つまり、黒之巣会首領天海の事よ」

 

「なるほど。天海の正体は、徳川時代の僧だったんですね」

 

確かにそれなら、脇侍が時代遅れの武士の格好をしている事にも納得がいく。

しかし、蒸気演算機が割り出した事実はそれだけではなかった。

 

「それだけじゃねぇ。大神、こいつを見てくれ」

 

そう言って米田は更にモニターを操作し、帝都全体を写した。

 

「クサビが発見された上野、芝、築地、浅草、深川。これに蒸気演算機の割り出した仮想地点、日比谷公園を加わると………」

 

帝都に米田が口にした六ヶ所の地点が赤く表示される。

すると、何かの魔法陣が写し出された。

 

「『六破星降魔陣』………。奴らの狙いは、帝都全体に魔術をかける事だったんだ」

 

「魔術!?」

 

大神は更なる衝撃的事実に目を見開いた。

 

天海の妖力の強さは大神もよく知っている。

影侍や蒼角・銀角兄弟には苦しめられたし、ゴルドラスにはウルトラマンも苦戦を強いられた。

この魔法陣は、それこそ帝都全体を包んでいる。

この範囲で魔術など使われたら、未曾有の被害を受ける事は火を見るより明らかだった。

 

「大神、直ちに花組を召集し、日比谷公園で待機してくれ!いいな?」

 

「了解しました!」

 

力強い返事とともに、大神は作戦司令室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

大神に驚愕の事実が明かされている頃、秀介はさくらとともに鍛練室の奥の部屋にいた。

あれからさくらに、話があるとここに連れて来られたのだ。

 

「………さくらさん、話とは?」

 

周りに人がいない事を確認して、秀介はさくらに尋ねた。

まだ雷のショックが残っているらしく、さくらは辛そうな表情で俯いている。

 

「秀介さんにだけ、お話しておきたいんです………。あたしが、雷が苦手な訳を………」

 

 

 

あたし、小さい頃おてんばで………

喧嘩友達のたけし君とよく遊んでました。

 

あの日雷の音がして、おばあちゃんに外へ出ないように言われてました。

 

でも、あたしはその言い付けを破ったんです………

 

「さくら、雷様が怒ってるぞ!」

 

「平気だよ。さくら、雷様なんて怖くないもん。」

 

強がってそう言うあたしを、たけし君は家の中に連れ戻そうとしました。

 

その時…………

 

 

 

「………たけし君は、雷様におへそを取られたんです」

 

「………」

 

それはつまり、雷に打たれて死んだという事だった。

確かに雷の直後に友達の変わり果てた姿を見れば、悍ましい記憶となって残るのも無理はない。

秀介は敢えて口には出さなかった。

さくらがこうして「おへそを取られた」と表現を変えるのは、死んだという事を直接言葉にしたくないからと、秀介は判断したからだ。

 

「………だから、あの時一人で買い出しに行こうとしたんですね?」

 

秀介の問いに、さくらは無言で頷いた。

雷に怯える姿をみんなに、特に秀介には見せたくなかったのだ。

それを示すように、さくらは恥ずかしそうにそっぽを向いた。

 

「あたし………恥ずかしくて死んじゃいそう。秀介さんに………あんなはしたない姿見られて………」

 

「さくらさん………」

 

どう声をかけていいか分からず、言葉を詰まらせる秀介。

いや、そうではない。

きっと今、自分は見とれているのだ。

目の前の頬をさくらんぼのように染めた彼女に、見惚れているのだ。

 

「……秀介さん、一つ聞いてもいいですか?」

 

「……はい」

 

視線だけがこちらを向いた。

刹那、胸を何かが射貫くような衝撃が走る。

いつか上野の桜の中で感じたそれと、同じだった。

 

「どうしていつも……、あたしを……気にかけてくれるんですか?」

 

「え……」

 

「舞台のセットを壊した時……、演技に悩んだ時……、秀介さんはいつもあたしの側で、そっと手を差し伸べてくれた……。それは……、どうしてですか……?」

 

秀介は思わず息をのんだ。

自分がこれまで彼女の側で絶えず支え続けた理由。

そんなもの、語るまでもない。

だがそれを言葉にすることを、他ならぬ秀介自身がためらっていた。

怖いのだ。

情けない話、彼女の心が自分に向いているのか、自信がなかった。

だって彼女は今まで、自分に見せたことのない笑顔をあの隊長に向けていた。

だから、怖いのだ。

その胸のうちのすべてをさらけ出した瞬間、それを拒絶されることが、たまらなく怖いのだ。

 

「……理由が、必要ですか……?」

 

「……、……はい……」

 

また沈黙がその場を支配する。

その時の流れに罪深さを感じ、秀介は震える口を僅かに動かした。

 

「……さくら……さん……、……」

 

「はい……」

 

「ぼ、……僕は……」

 

いっそ心にもな言葉で取り繕ってしまおうか。

それとも本当のことをぶちまけて楽になろうか。

迷いながら口を開きかけたその時、部屋を凄まじい轟音と振動が襲った。

 

「きゃあああ………!!」

 

「くっ………こ、これは一体!?」

 

立っていられない程の揺れに、二人はその場にうずくまる。

それは外からではなく、地下からのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

それは大神の指示で花組が出撃しようとした矢先に突然起こった。

黒之巣会死天王、紅のミロク率いる脇侍の精鋭軍団が、格納庫に奇襲を仕掛けてきたのだ。

 

「チッ、不意打ちとは卑怯だぜ黒之巣会!」

 

「せっかくの打ち上げもパーにしよって、許さへんで!!」

 

いきり立つ隊員達を前に、ミロクは薄ら笑みを見せた。

 

「ふん、こざかしい。自分達の隠れ家で死ねる事を喜ぶがいい、帝国華撃団!」

 

「みんな、さくらくんと秀介が合流するまで俺達で食い止めるんだ!」

 

「「了解!」」

 

力強い返事で花組が答える。

しかし、数の差は歴然としていた。

 

「(この数相手で長くはもたない………。さくらくん、秀介、早く来てくれ!)」

 

二人の到着を願いつつ、大神は先陣をきって飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「まさか………黒之巣会!?」

 

地下から断続的に伝わる振動と剣戟の音。

おそらく日比谷公園に行かせないために奇襲を仕掛けてきたのだろう。

直ちに地下に下りて、大神達と合流しなければならない。

しかし、秀介には出来なかった。

今の衝撃で鍛練室の入り口が崩壊し、閉じ込められてしまったからだ。

更にもう一つ問題があった。

さくらが今の衝撃と轟音を雷と錯覚し、パニックになってしまったのだ。

 

「あ……ああ……か、雷様が………怒ってる………。」

 

その場に座り込み、怯えた声で恐怖に震えるさくら。

 

「さくらさん、しっかりして下さい!さくらさん!!」

 

秀介はさくらの両肩に手を置いて呼び掛けるが、さくらは全く反応しない。

 

「許して………、さくらを………許して………」

 

「さくらさんっ!………くそっ、このままじゃ………!」

 

こうしている間にも、地下から伝わる振動や轟音は段々と激しいものに変わっていく。

最早、一刻の猶予もなかった。

 

「(………仕方ない!こうするしか………!)」

 

一瞬目を閉じて思案したが、秀介はカッと目を見開いて決断した。

 

「さくらさん………すみません!!」

 

秀介はそう叫んでさくらを強引に立たせ、そして………

 

 

 

 

 

 

力強く抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

「………え………?」

 

さくらは一瞬、時が止まったような感覚を覚えた。

先程まで聞こえていた轟音も、激しい振動も、脳裏について離れない雷の恐怖の記憶も、嘘のように無くなっていた。

その中で唯一感じるのは、誰かの温もりが羽のように自分を包み込む、心地好い感触だった。

 

「………し………秀介さん?」

 

消え入るようなか細い声で、さくらが秀介の名前を呼ぶ。

すると、囁くような優しく甘い声が、さくらの耳元から聞こえてきた。

 

「さくらさん………。怖い事は何もありません」

 

「ど、どうして………?」

 

「僕が………、僕が貴女を守るからです………」

 

躊躇いがちに紡がれるその言葉に、さくらは自分が秀介の胸の中にいる事を自覚した。

そして、自身の胸の鼓動が高鳴っている事に気づいた。

 

「さくらさん……、さっきお聞きしましたね。……僕があなたを支える理由を……」

 

「は、はい……」

 

「見惚れていたかったんです。ずっと……」

 

「え……?」

 

「忘れられなかった……。初めて上野でお会いしたあの時……桜舞う中に佇む凛とした姿が……、妖に臆せず立ち向かう勇姿が……、そして、素敵に微笑む貴女の笑顔が……」

 

優しい声が、僅かに震える。

まさか、だとしたら……、

 

「………だから、笑顔を見せて下さい」

 

「え…………?」

 

「貴女の笑顔があれば………それだけで、僕はいくらでも強くなれるんです」

 

「………し、秀介さん………!」

 

さくらは驚きで目を見張った。

自分の笑顔がみたい。

自分の事を守りたい。

それはつまり………、

 

「………あ………」

 

さくらの脳裏に浮かんだ答えを肯定するように、秀介がさくらを抱く腕に力を込める。

そして、秀介はそれを、遂に明かした。

 

「さくらさん………。僕は………、僕は………、」

 

それは、あの桜の木の下で一人の青年が抱いた想い。

 

 

 

 

「貴女の事が………、好きなんです」

 

 

 

 

「………!!」

 

さくらは胸の高鳴りに合わせて、自分の身体が熱くなるのを感じた。

まるでその言葉を待ちわびたように、鼓動は強く、切ないものへと変わっていった。

 

「秀介さん………!」

 

それを言葉に出来ず、さくらはそっと秀介の背中に手を回した。

しばらくの間、二人は無言で抱き合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「………すみません、破廉恥な事をして………」

 

名残惜しげにさくらから離れ、秀介はさくらに詫びた。

いくら落ち着かせるためとはいえ、突然異性を抱きしめるのは破廉恥以外の何物でもない。

すると、さくらは火照った顔のまま微笑んだ。

 

「………いいえ、嬉しかったです」

 

「さくらさん………」

 

その微笑みに思わず見とれる秀介だが、ハッとして我に還った。

 

「そうだ!早くここを脱出して、みなさんを助けなくては!」

 

「でも、どうやって脱出します?」

 

さくらの言う通り、鍛練室の入り口は崩壊している。

みんなを助ける以前に、ここを脱出しない事にはどうにもならなかった。

すると、秀介は左手首のブレスレットを見せた。

 

「大丈夫です。ブレスレットを瓦礫の根元に撃ち込めば、破壊は可能です」

 

「秀介さんのブレスレットって、凄いんですね…………」

 

上野公園でのスパークソードとあわせて、改めてブレスレットの力に驚くさくら。

しかし、ブレスレットを以ってしてもリスクは存在した。

 

「………ですが、ブレスレットは威力があり過ぎます。もし失敗すれば、生き埋めは確実………」

 

ただでさえ部屋全体が不安定状態に置かれている。

もし必要以上の力をかけてしまえば、衝撃が部屋全体に伝わり、たちまち崩壊してしまうだろう。

 

「さくらさん、僕を信じてくれますか?」

 

念を押すように尋ねる秀介。

すると、ハッキリとした返事が返ってきた。

 

「はい!」

 

その言葉に、秀介は覚悟を決め、瓦礫を見据えた。

そして………、

 

「行けぇぇぇ!!」

 

ブレスレットは光の刃となり、瓦礫を直撃するや、閃光とともに大爆発を起こした。

刹那、爆発の衝撃が二人を襲う。

 

「秀介さんっ!!」

 

秀介の身を案じたさくらが、秀介にしがみつく。

その時、不思議な事が起こった。

 

「(こ、この力は………!!)」

 

秀介は目の前で起きた現象に驚きを隠せなかった。

さくらの全身から霊力のバリアが出現し、二人を爆風から守ったのである。

 

「さ、さくらさん………、今のは一体………?」

 

驚きを隠せぬまま、秀介が尋ねる。

すると、さくらもまた驚いた様子で答えた。

 

「………あたしにも良く分かりません。ただ………」

 

「ただ?」

 

「秀介さんを守りたいって思ったら………」

 

おそらくはさくらに秘められた何かの力だろう。

その正体は分からないが、秀介はそう判断した。

ともかく、これで外に出られる。

考えるより、大神達を助ける方が先決だった。

 

「さくらさん、話は後です!急いで地下のみなさんと合流しましょう!」

 

「はい!!」

 

 

 

 

 

 

 

「隊長、右側から新手です!」

 

「くっ、カンナっ!」

 

「よっしゃあ、任せろ!!」

 

マリアの方向を受けた大神は、素早く指示を飛ばした。

指示を受けたカンナは一気に敵へ突っ込んで行く。

しかし、倒しても倒しても敵は次々と現れ、キリがない。

加えてさくらと秀介がいないというハンデが重くのしかかり、花組はかつてない苦戦を強いられていた。

 

「も………、もうアカン………」

 

「紅蘭、諦めるな!!」

 

弱音を漏らす紅蘭を励ましつつ、大神は脇侍を切り捨てる。

しかし実際は紅蘭の言う通り、花組はいずれも満身創痍の状態だった。

大神を含む隊員全員に疲労の色が見えはじめ、最早敗北の二文字が目の前に迫っていた。

 

「アハハハハ!帝国華撃団、この劇場とともにくたばるがいい!」

 

勝利を確信し、ミロクが笑い声を上げる。

 

しかし、それを掻き消す凛とした鋭い声が飛んだ。

 

 

 

 

「そこまでよ!!」

 

 

 

 

「何っ!?」

 

突然の声に、ミロクの顔から笑みが消える。

そこには、桜色の光武と一人の青年の姿があった。

 

「遅くなってすみません!みんな、大丈夫ですか!?」

 

「紅のミロク!僕らを忘れて勝った気にならないでいただきたいですね!」

 

「さくら!秀介!」

 

「遅いで、二人とも!」

 

「全くですわ!」

 

口々に言うものの、その表情は笑っている。

チームワークが売りの花組は、全員揃えば無敵となるのだ。

それを知らないミロクは、二人を小馬鹿にして大笑いした。

 

「アハハハハ!馬鹿め、たった二人で何が出来る!者ども行け!!」

 

「笑ってられるのも今の内だ。みんな、行くぞっ!」

 

「「了解!!」」

 

 

 

 

 

 

 

さくらと秀介の到着で花組は今までの勢いを取り戻し、瞬く間に形成は逆転した。

特に秀介は狭い室内の戦闘で流星が使えないために生身で挑む事になったが、スパークソードを駆使した持ち前の立ち回りで次々と脇侍を倒して行く。

そして、花組は先程の劣勢が嘘のように脇侍を全滅させ、ミロクを追い詰めた。

 

「ミロク!もう逃げ場はないぞ!」

 

ミロクを前に大神が叫んだ。

しかし、ミロクは尚も余裕の笑みを崩さない。

 

「ふん!お前達ごときにわらわが倒せるものか!」

 

大神の声を一蹴し、ミロクは己の魔装機兵を召喚させた。

十二単とまでは行かないが、昔の女中を連想させる妖艶な機体。

 

「刹那と羅刹の仇、この孔雀で取らせてもらうよ!いでよ我がしもべ、『紅蜂隊』!」

 

そう叫び、ミロクは孔雀の袖から人型の手裏剣を放ち、床に突き刺す。

すると、手裏剣はたちまち赤い双剣の脇侍に変身した。

ミロク直属の親衛隊、その名も『紅蜂隊』である。

 

「この脇侍、他の者と何か違う。みんな、まずは赤い脇侍を倒すんだ」

 

赤い脇侍には何かあると睨んだ大神は隊員達にそう指示した。

先にザコを片付けて敵を孤立させるのが、戦いの定石だったからだ。

結果それは上手く行き、紅蜂隊は瞬く間に全滅した。

しかし、大神は気づかなかった。

それがミロクの狙いである事に………。

 

「どうだミロク!何体援軍を呼ぼうと無駄だぞ!」

 

「くくく………果たしてそうかえ?」

 

追い詰められたはずのミロクが不適に笑う。

その様子に何かあると感じ、大神は油断なく身構える。

すると、ミロクが叫んだ。

 

「喰らうがいい!妖・雷破!!」

 

「………しまった!みんな、散れっ!!」

 

大神が叫んだ時には遅かった。

光武達が動く前に、孔雀の両袖から稲妻が走る。

それは、全ての光武を瞬時に包み込んだ。

 

「アハハハハ!罠にかかったな、帝国華撃団」

 

「くっ………」

 

嘲笑うミロクに、大神は悔しげに歯噛みした。

何の事はない。

『紅蜂隊』は、自分達を孔雀の妖・雷破に巻き込むための囮だったのだ。

一撃で倒れる程の威力ではないが、これまで無数の脇侍と戦って体力を消耗した花組には決して軽いダメージではなかった。

 

「アカンで、大神はん!今の攻撃で光武の霊子エンジンの動きが鈍くなっとる!」

 

「何っ!?」

 

大神はハッとした。

今の電撃で、光武の動きが鈍くなる。

更に、大神達は皆揃ってミロクの正面にいる。

これでは敵の恰好の的だった。

 

「そうか………、電撃で俺達を動けなくして、纏めてトドメをさすつもりだな!?」

 

「アハハハハ!そういう事さ、覚悟するんだね!」

 

孔雀が再び妖・雷破を放とうと袖を振り上げる。

その時、孔雀の腹部から光の刃が突き出た。

 

「言ったはずです。僕らを忘れるなとね」

 

それは、秀介のスパークソードだった。

一瞬の早さで妖・雷破を避けた秀介は、気配を消して孔雀の背後を取ったのである。

 

「グッ!こ、小癪な………!」

 

秀介を振り払おうと、妖・雷破を乱発するミロク。

たちまちミロクの周囲は、縦横無尽に雷が飛び交う結界となった。

 

 

 

 

 

「し、秀介さん………!!」

 

結界の中で一人ミロクと戦う秀介の様子に、さくらは心配そうな声を漏らす。

行こうと思えば、助けに行く事は出来た。

まだ到着して間もないさくらの光武だけは、ダメージも軽微だったからだ。

しかし、絶え間無い雷の連打に恐怖が蘇り、さくらは秀介に近付く事すら出来ないでいた。

 

「(だ、駄目………。あたし、やっぱり………。)」

 

長い間付き纏って来た恐怖が、そう簡単に払える訳がない。

その時………、

 

「ぐうっ………!!」

 

突然の秀介の声に、さくらは閉じていた瞳を開いた。

 

「秀介さん!!」

 

さくらは思わず叫んだ。

なぜなら秀介の身体には、ミロクの放った手裏剣が無数に突き刺さっていたからだ。

 

「(どうしよう………、このままじゃ秀介さんが………!)」

 

暗い予想が脳裏を過ぎる。

その時、その光景があの日の雷の記憶と重なった。

 

「………!!」

 

大事な人が消える………。

 

その思いに、さくらはハッとした。

 

「………嫌………」

 

そして実感した。

秀介を失いたくないという自身の想いを。

 

「秀介さん!」

 

さくらはキッと孔雀を見据え、太刀を握って駆け出した。

 

「何っ!?まだ動けたというのかえ!?」

 

「(剣よ、応えて!)」

 

信じられないという面持ちのミロク目掛け、さくらの太刀が煌めいた。

 

 

「やああああああっ!!」

 

気合いとともに横に払われた一閃。

それは、孔雀の胴体を横一文字に寸断していた。

 

「ば、馬鹿な………!このわらわが負けるなど………!!」

 

己の敗北を受け入れられぬまま、ミロクは孔雀諸とも爆死した。

 

 

 

 

 

 

「今回はさくらくんと秀介に助けられたな」

 

戦いが終わり、大神が呟いた。

確かに二人がいなければ、ミロクを倒す事はおろか、脇侍を全滅させる事も出来なかっただろう。

特に秀介は、生身の状態で脇侍を倒し、更にミロクの撃破にも貢献している。

間違いなく、彼はこの戦いの一番の功労者だろう。

その功労者は、身体に刺さった手裏剣を抜きつつ言った。

 

「すみません。もう少し早く来たかったんですが………」

 

「いいって事ですわ。終わり良ければ全て良しと言うでしょう?」

 

遅れた事を詫びる秀介に、すみれは笑って返した。

 

「さくら、おへそは取られなかったみたいね」

 

「え?………はい。秀介さんが、優しく守ってくれましたから………」

 

珍しく冗談めかしてマリアが尋ねると、さくらは顔を真っ赤にして応えた。

それを見た秀介も、途端に顔を赤くする。

 

「ほほう?二人して何しとったんや?」

 

「しとったんや~♪」

 

すかさず二人をからかうアイリスと紅蘭。

すると、見兼ねたカンナが止めに入った。

 

「まあまあ、いいじゃねぇか。それよりお約束のアレ、だろ?」

 

「ははは、そうだな。みんな、行くぞ?」

 

 

 

 

「勝利のポーズ、決めっ!」

 

 

 

 

「………ふっ、相変わらず詰めの甘い奴らだ」

 

「お前は………!」

 

気配もなく目の前に現れた人物に、花組は異口同音の驚きの声を上げた。

そこにいたのは、黒之巣会の影で暗躍する謎の忍、蜩だった。

 

「貴様、いつの間に潜り込んだ!?」

 

大神が鋭い声を飛ばすと、蜩は鼻で笑った。

 

「今はそんな事より大事な事があるんじゃないのか?」

 

「何………?」

 

意味深な蜩の発言を訝しむ大神。

すると、上から低く唸るような重低音が響いて来た。

 

「こ、これは………?」

 

「地上から何かが伝わって来ますわね………」

 

すみれの言葉に、大神の表情が一変した。

 

「………しまった!!」

 

青ざめた表情で叫ぶ大神。

その顔は、何か重大な事を思い出した時のそれである。

 

「ふっ、地上に上がって見るがいい。面白い余興が見られるぞ?」

 

大神の表情に満足そうな笑みを浮かべると、蜩は煙の如く消えてしまった。

 

「何だったんだ?あいつは」

 

蜩が何のために現れたのか分からず、首を傾げるカンナ。

すると、大神がいつになく慌てた様子で叫んだ。

 

「みんな、急いで地上に上がるんだ!」

 

 

 

 

 

 

それは、正に一瞬の出来事だった。

帝都の六ヶ所から赤い光が現れたかと思うと、その光は帝都を包む巨大な魔法陣を描いた。

その直後、激しい震動が帝都を揺らし、大地が裂け、建物が崩れ、帝都は瞬く間に炎と悲鳴に包まれた。

その様子に、天海は満面の笑みを浮かべた。

 

「おお…、何と言う力だ。素晴らしい力だ。我の理想が復活するのだ!」

 

六破星降魔陣………。

帝都の全てを破壊するという黒之巣会の理想が、現実となった瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

六破星降魔陣は、帝劇内部にもその力をまざまざと見せ付けた。

窓ガラスは割れて飛び散り、中庭の噴水はひび割れた。

大神の予想通り、何もない舞台に全員を集めたのは正解だった。

しかし次の瞬間、誰もが予想だにしない出来事が起きた。

 

 

「………!! きゃあああああああ………!!!」

 

 

何と、さくらが突然頭をおさえて苦しみ出したのだ。

 

「さくらさん!?」

 

隣にいた秀介が慌ててさくらに駆け寄る。

しかし、さくらは秀介の声に反応すら返せなかった。

 

「ああ……う……し………秀介………さ………」

 

絞り出すように秀介の名を口にして、さくらは糸の切れた人形のように倒れた。

 

「!! さくらさんっ! どうしたんですか、さくらさん! さくらさんっ!!」

 

素早くさくらの背中に手を回し、秀介が叫んだ。

しかし、さくらは目を閉じたまま応えなかった。

 

<続く>




《次回予告》

帝都は壊滅した………

だが、俺達は生きている。
諦めるな、秀介。
ま~だ負けちゃいねぇ!

次回、サクラ大戦!
《決戦!愛のために》

大正桜にロマンの嵐!

未来を掴め!その手でな!
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