突然悠君に誘われて稲羽より遠くの草原に向かう事に。
そこで、四つ葉のクローバーを探す事と花冠を作る事になった。どうやら、花冠は菜々子ちゃんに渡すみたい。

そんな穏やかな日常の僕と堂島家とのお話。

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鳴上「足立さん。四つ葉のクローバー探しに行きましょう。」

「…なんでお友達じゃなくて、僕を誘うの?」

 

「足立さんに、最近幸せが訪れていないと…。」

 

「踏まれたいの?」

 

「いいえ。」

 

「…で、本当の口実は?」

 

「菜々子に花冠をあげたくて…。」

 

「最初の目的からずれてるし、唐突すぎるにも程があるだろ…。で、それでどうしろと?」

 

「一緒に作りに、そして探しに行きましょう。場所はあてがあるので。」

 

「はいはい…。」

 

一度家に帰り、着替えてから悠君の後ろについて行った。一体どうなっていくのやら…。

 

 

>>……一時間と三十五分後

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 ハァハァ…疲れる…。遠すぎだろ…。

でも確かにクローバーも花も咲いてそうな場所だ。今日はよく晴れてるし、太陽の光が気持ちいい。

こんな所に草原があったとは…よく分からないや。

 

「悠君。どういうきっかけでここを知ったの?」

 

「散歩してたら見つけました。」

 

「…なんじゃそりゃ。」

 

驚きつつ呆れながら、悠君と一緒に草原の中を歩く。

…悠君が妙にテンションが高いのは何故だろう。

 

「この辺り、クローバーがたくさん生えているんですよ。」

 

「へぇー…。ここは草や花が綺麗だね。」

 

「いわゆる穴場スポットみたいな感じですしね。」

 

そりゃあ、いくつもの岩山越えて行く必要あるからなあ。人が来ない訳だ。

普通散歩コースにもならないけど。

 

「で、まずは?」

 

「四つ葉のクローバー探しをしましょう。カゴは持ってきたので!」

 

「君のポケットは異次元空間なの?どこに入ってたんだよそれ。」

 

「自力で何とか…」

 

「ならねえよ。」

 

少し冷たく突き放しつつ、四つ葉を探す。

広い範囲に生えているため、一つは見つかりそうだ。

 

「あ、足元に一つ生えてる。よいしょっと…。」

 

足元に生えていた四つ葉を丁寧に摘み取る。

 

「悠君、四つ葉あったよ…って、何でイザナギ出してるの?」

 

何故か悠君はイザナギを呼び出していた。

 

「イザナギにも探してもらおうかと…。」

 

「…ペルソナってそんな使い方したっけ?ていうか、イザナギ四つ葉いっぱい見つけてるな。」

 

片手いっぱいに四つ葉を抱えているイザナギ。イザナギもご主人に忠実だな。

 

 君達どういう関係なの?

 

「クローバーはイザナギと君に任せて、僕は花冠作ってるよ。場所はどこ?」

 

「右に210mぐらいです。」

 

「ふーん。ありがと。」

 

「ある程度集まったら、足立さんのところに向かいます。」

 

「もう十分集まってると思うけど…。」

 

そう言い残して、悠君に言われた通りに進む。

辿り着いた場所にはたくさんの、それもかなり色んな色の花が咲いている。

 

 す、すごい…。

一言で言うなら幻想的と表せばいいのだろうか。

 

「うっわー…。すっごい咲いてるなー…。赤や黄色、水色…たくさん咲いてる…。とりあえず一つ作ってみるか。」

 

花を丁寧に摘み取り、花の近くに座って花冠を編む。無心に編み続けていると、悠君の声が耳に届く。

 

「足立さーん!」

 

片手に、おそらく四つ葉いっぱいであろうカゴを持って、こちらに来た。イザナギの姿はないから、あの後戻したのであろう。

 

 そこは何も言わない事にした。

 

「悠君。…これはまたたくさん摘んできたなあ。どうするの?そんなに摘んできて。」

 

「一つは草冠に使って、もう一つは花冠に入れようかなって…。」

 

「ふーん。君らしいね。じゃ、一緒に冠編もうか。」

 

「はい!」

 

「目はキラキラさせなくていいけど…。」

 

「あ。」

 

悠君の目に、僕が作った花冠が入ったようだ。

…あれ、更にキラキラ感増してない?

 

「凄い!足立さん花冠作るの上手ですね!」

 

「え?あぁ、ありがとう。」

 

「コツとか教えてくださいね!」

 

「分かった分かった…。」

 

それから、悠君に花冠を作るアドバイスしつつ、僕も作っていった。悠君は、作るたびに上手になってきている。

 

「悠君って色鮮やかに作るよね。」

 

「足立さんって形を綺麗に作りますよね。」

 

同じような感じで返答されたから、少し笑ってしまった。

 僕の笑っている顔を見て、悠君も笑う。

 こんな風に過ごすのも、悪くはないな。

 

誰かのために役に立ってるという素晴らしさは、そう何度も味わえる事ではない。

 

 

「…結構作ったね。」

 

「そうですね…。」

 

僕達の近くには花冠や草冠が置いてある。

ざっと見て30くらいだろうか。

 

「一つは菜々子にあげて…もう一つは叔父さんにも渡そうかな。」

 

「堂島さんに渡すの?あ、でも似合いそうだな…。あとはお友達にもあげたら?」

 

「そうですね、お言葉に甘えてそうします。」

 

「それがいいよ。あと、これは君のでしょ。」

 

僕が悠君に渡したのは、悠君が初めて作った花冠。

その花冠を悠君の頭に優しくのせた。

 

「そうでした。危うく忘れるところでした。ありがとうございます。」

 

「お礼はいいって…。こちらこそありがとね。案外楽しかった。」

 

「足立さん、随分素直ですね。病気ですか?」

 

「違う…。まったく…可愛くないガキだ…。」

 

僕は自分が作った花冠の中からお気に入りを一つ選んで、残りは悠君にあげることにした。

 

「じゃ、今から俺の家に行きましょうか。足立さん。」

 

「え?僕も?」

 

「堂島さんに手渡してください。」

 

「悠君が渡すんじゃなかったの…。分かったよ。」

 

「ありがとうございます。早速行きましょう。」

 

 来た道を戻って八十稲羽に戻って行く。

隣で歩いている悠君の顔は、なんだか嬉しそうだ。

 

ちょっぴりだけ、僕の気持ちは何故か温かくなった。

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「ただいま。」

 

「おっじゃましまーす。」

 

「おう、おかえり。ん?足立も一緒か。」

 

「おかえりなさい!あれ?足立さんだ!」

 

 堂島家は珍しく三人揃っているようだ。

 

「今日、足立さんと一緒にクローバー取りと花冠作りに行ってきたんですよ。」

 

「そうなのか…。なんで足立と一緒に行ったんだ?」

 

「手先器用な方ですしね。編み方を教えてくださったのですよ。」

 

「ほう…。」

 

「そ、そんな不思議な目で見ないでください。堂島さん…。」

 

 堂島さんからの視線が痛い…。

 

「すごいねー!菜々子も花かんむり作りたいー!」

 

「いつかお兄ちゃんと一緒に作ろうな。菜々子。」

 

「うん!」

 

「そうだ。菜々子、お兄ちゃんが菜々子に花冠作ってきたよ。はい。」

 

「わぁー!とってもきれいだね!ありがとうお兄ちゃん!大切にするね!」

 

 菜々子ちゃん、とても嬉しそうだな。

僕が渡したわけではないのに、僕も嬉しくなってしまう。

 

「良かったな、菜々子。すごく似合ってるぞ。」

 

 そうだ、堂島さんにも渡さないと。

 

「堂島さん!堂島さんにも作りましたよ!はい!」

 

そう言って、堂島さんの頭に四つ葉の草冠をのせる。

 

「あぁ!?なんだこれ…?これ俺のか?」

 

「はい!僕からのプレゼントです!いつもお世話になってるので…その…。」

 

 改めて言うとなると緊張してしまう。

 

「言わなくても分かる。ありがとうな。足立。」

 

堂島さんが微笑みながら僕の頭を撫でる。

その手がとても優しくて、とても温かくて、不意に涙が落ちそうになった。

 

「ありがとうございます…。堂島さん!」

 

 思わず抱きついてしまった。

 

「おわぁ!?なんだ足立!?急にどうした!?」

 

慌てている堂島さんをジッと見ていたら、頭にチョップされてしまった。

 

「あいた!」

 

「…さっさと離れろ、足立。」

 

「す、すみません…。」

 

 サッと堂島さんから離れる。

後ろを向くと、花冠をつけた菜々子ちゃんが不思議そうな目で見ていた。

 

「あ…ごめんね、菜々子ちゃん。」

 

「大丈夫だよ!足立さんとお父さんが仲が良いのは、菜々子も知ってるよ!」

 

 笑顔で菜々子ちゃんが答える。

 菜々子ちゃん、本当に優しいな。

 

「お父さんも似合うよ!草で出来たかんむり!とってもかっこいい!」

 

「そ、そうか?…ありがとな。菜々子。」

 

 堂島さんは照れながら微笑んでいる。

 

「おい足立。」

 

堂島さんがまたいつもの真面目な顔に戻って、僕に話しかける。四つ葉の草冠を頭にのせたまま。

 

「は、はい!」

 

「今日は俺の家で飯食ってけ。分かったな?」

 

「え!?いいんですか!ありがとうございます!」

 

堂島さんの家でご飯食べるの久しぶりだな。なんだか嬉しくなってご機嫌になっていたら

 

「足立さんって、表情に出やすいタイプですね。」

 

と悠君に言われてしまった。ご丁寧に草冠を頭にのせている。

 

「え?…そう?そうかな?」

 

「そんな足立さんにはこの冠を。」

 

色鮮やかな花冠を悠君にのせられた。

…あれ?この花冠って…。

 

「俺が初めて作った花冠です。足立さんに似合うかなって思って作ってました。」

 

「あれ、僕のために作ってくれたの…?」

 

「はい。ダメでしたか?」

 

「ダメなわけないだろ。もう、調子狂うな…。」

 

 僕は悠君から目を逸らす。

…顔から火が出そうで、見られたら恥ずかしくてたまらない。

 

「なんだ足立、照れてるのか?」

 

「ち、違いますよ!」

 

「照れてるのー?」

 

「足立さん、案外可愛いところあるんですね。」

 

「……。もう…何とでも言ってくれ…。」

 

恥ずかしくて三人の顔を見る事が出来なかった。

 でも、それと同時に幸福感もあった。

 幸せだなって。この瞬間が。

 愛されてるなって。そう感じていた。

 

「せっかくですし、記念写真撮りませんか?偶々ここに、三脚が置いてあったので。」

 

「わーい!カメラ持ってくるー!」

 

 ドタバタ…

 

「お、俺も入るのか?…しょうがねえな。足立、お前も入れ。」

 

「わわっ!いきなり引っ張らないでくださいよ!堂島さん!」

 

「持ってきたー!」

 

「セルフタイマー10秒に合わせて…はい!皆並んで!」

 

「お兄ちゃんの隣にするー!」

 

「足立、お前は俺の隣な。」

 

「分かってますよ堂島さん!…これからもお世話になります。」

 

「ああ、これからもよろしくな。足立。」

 

……

 

 カシャッ!

 

 

「きれいに写真がとれてるよー!お兄ちゃん!」

 

「どれどれ…うん、いいね。綺麗に写っている。」

 

 どんな風に写っているのか気になるなあ。

 

「後日、足立さんにも写真送りますね。」

 

「うん、ありがとう。」

 

 

ーーピンポーン

 

 

「お、寿司届いたようだな。悠、菜々子、行って取ってきてくれ。」

 

「分かりました。」

 

「はーい!」

 

わざわざ僕のために…?

 

「堂島さん、奮発したんですね…。なんか、すいません…。」

 

「何で足立が謝るんだ?俺がやった事だ。気にするな。」

 

「はい…!」

 

僕はこの家族と関われて、本当に良かった。

 

 ありがとう。

 

「お寿司お寿司ー!」

 

菜々子ちゃんは嬉しそうに小躍りしている。

 

「早速皆で食べましょうか。」

 

「先に手洗ってこい!」

 

「お父さんも!」

 

「あ、俺もか…。」

 

クスッと笑いながら、洗面所に向かった。

 

手を洗ってテーブルについて、四人でお寿司を囲む。

 

「「「「いただきまーす!」」」」

 

皆嬉しそうだ。

皆、花草冠を頭にのせて美味しそうにお寿司を食べている。

 

「菜々子ちゃん、次は何を食べるんだい?」

 

「えーと…ヒラメ!」

 

「へぇー。しっぶいねぇ菜々子ちゃん。んーと…じゃあ僕はウニで。」

 

「おい足立!それ二つしかないじゃないか!」

 

「甘いっすよ堂島さん!早いもの勝ちっすよ!」

 

 コツンッ!

 

「いてっ!堂島さん、今日で二回目ですよー…。」

 

「全く…お前ってやつは…。」

 

そう言いながらも、堂島さんは微笑んでいた。

 

 

 楽しい時間はあっという間に過ぎた。

 

 

「夜がきましたし、僕はそろそろ失礼します。お寿司、ご馳走様でした!」

 

「おう。その代わり、仕事サボるなよ。」

 

「はい!」

 

「またいつでもお越しくださいね。足立さん。」

 

「待ってるよー!」

 

「ありがとう。悠君。菜々子ちゃん。」

 

堂島家に見送られながら、僕は家に帰宅した。

今日の出来事は、僕にとってまた一つ大切な思い出になった。

 

 

身支度中、僕はあの写真を見つめていた。

後日、悠君から写真が届いた。あの時撮った写真。

その中にいる四人は幸せに満ち溢れていた。

 

 みんな笑顔で、とても嬉しそう。

 

見ているだけで幸せな気分になれるのはどうしてなのかな。

 

その答えがいつか分かる日は来るのかな?

 

僕が初めに摘んだ四つ葉のクローバーは、写真と共にフレームに入っている。

忘れられない、心に残る思い出の一つ。

 

「行ってきます。」

 

そう呟いて家を出た。

 

今日も僕は誰かのために、街に出る。

 

今日も僕は大切な人のために、八十稲羽の平和を守る仕事をする。

 

 

 




こんにちは。こんばんは。
にゃ助です。
ほのぼのとしたストーリー書いてみようと思いつきでストーリー構成を組み立ててみました。

読んでくださった方には、心から感謝を申し上げます。
本当にありがとうございました。

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