天使はいつだって憧れの君を見てる   作:ぶーちゃん☆

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放置しちゃってて本当にスミマセン〜><





とつかわいい⑩

 

 

 

「これでよしっと!」

 

記念すべき八幡への初メールをしっかりと保存したぼくは、八幡に背中を押されて一緒にビジターハウスの食堂へと向かう。

へへ〜、八幡からの初メールも保存するの楽しみだなぁ。

 

食堂に到着して八幡と一緒に座り、みんなと朝の挨拶をしていると、小町ちゃんが八幡とぼくの分の朝食を用意してくれた。

ふふっ、小町ちゃんてホントにいい子だよね。八幡が小町ちゃんを大好きな理由がよく分かるよ

 

「あ、ありがとう。じゃあ、いただきます」

 

両手を合わせていただきますをすると、隣の八幡も一緒に手を合わせていただきますをする。

えへへ、小町ちゃんも一緒だし、なんだか家族みたいだよねっ。も、もちろんぼくと八幡は兄弟とかそういう設定だからね!?

 

 

ごはんも食べおわり、みんなで昨日のお話や今日の予定を話してると、ずっと新聞を読んでいた平塚先生が話し始める

 

「さて、朝食も終わったようだし、今日の予定について話しておこう」

 

 

平塚先生の話では、今日の小学生たちの予定は、夜の肝試しとキャンプファイヤーまでは自由行動みたいで、ぼくたちは夜の準備が任されるとの事。

 

食器を片付けてから目的地に移動すると、男の子グループは早速キャンプファイヤーの準備を始める。

女子はキャンプファイヤーを中心にフォークダンスのラインを引いてるんだけど、もちろんぼくは男の子だから力仕事だよっ?

ぼくと戸部君で薪を割ったり運んだりして、八幡と葉山君はその薪を積み上げている。

 

ホントは八幡とお喋りしながら同じ作業がしたかったんだけど、こういう分担になっちゃったんだからしょうがないよね。

 

「いんやー、キャンプファイヤーとかフォークダンスとかなんか懐かしくね?」

 

「そうだね〜。フォークダンスって中学くらいまではやってたけど、ちょっと恥ずかしかったよね」

 

「そっか?好きな子と手ぇ繋げるとか超アガんべ!」

 

好きな子と手を繋いでフォークダンスかぁ……でもぼくは男の子だから、八幡と一緒には踊れないんだよね。

べべべ別に八幡と手を繋いで踊りたいとかそういうわけじゃないんだよ!?

 

「そーいや夜のキャンプファイヤーとフォークダンスって、俺らも参加できねぇんかな!?海老名さんと手ぇ繋いで踊れっとか激アツっしょ!」

 

「ふふっ、戸部君はホントに海老名さんが好きなんだねっ。でもさすがに小学生のキャンプファイヤーに交ぜて貰うのは無理だよ」

 

「っかぁ〜!だよなぁ……テンションだだ下がりだわぁ……」

 

 

そんな会話をしながらお仕事を進めていると、いつの間にかぼくたちの担当分のお仕事は終わっていた。

えっと、あとは八幡と葉山君のキャンプファイヤー組み上げ作業だけか。それじゃあぼくも組み上げ手伝って、八幡と一緒に戻ろっかな?

 

そんなことを考えながら八幡達の方へ向かおうと思っていた時だった。

 

「戸塚さーん」

 

「さいちゃーん」

 

不意に後ろから声を掛けられ振り向くと、作業を終えた小町ちゃんと由比ヶ浜さんがこっちに歩いてきた。

 

「あ、お疲れさま〜。女子の方も作業終わったのかな?」

 

「はい!それでこれから女子一同は川へ水遊びに行こうかって話になったんですけど、戸塚さん達もどうですかー?」

 

「さいちゃんも行こうよー。超暑くない?」

 

水遊びかぁ!そういえば平塚先生に言われて水着持ってきたんだった。

 

「え!?マジ?……それって優美子とか海老名さんも行くん?」

 

わっ!戸部君がすっごい食い付いたよっ。

一応三浦さんの名前も出したけど、ホントは海老名さんと水遊びしたいんだろうな。

 

「うん。もちろん優美子も姫菜も行くから、先にバンガローに着替えに行ってるよー。……あ、とべっちも来るんだ」

 

由比ヶ浜さん酷いよ!?

戸部君への仕打ちに苦笑いしてたんだけど、当の戸部君は一切気にする様子もなく「キタわー!!アガりまくりんぐっしょ!」と嬉しそうに一人で盛り上がってる。

 

「戸塚さんも一緒に行きましょうよ!」

 

川遊びは今回楽しみにしてたイベントの一つだしもちろん行きたいんだけど……

 

「……あ、でもぼくはまだ作業が終わってない八幡のお手伝いをしてからにしようかな……」

 

「ヒ、ヒッキー!?あ、やー、ヒ、ヒッキーが来ちゃうと……その……ちょっと恥ずっ……キモいから連れて来なくてもいいんじゃないかなっ……うん!」

 

「え!?さ、さすがに八幡だけ連れてかないだなんてダメだよっ!」

 

───由比ヶ浜さんの言いたい事は確かに分かるよ?

そ、その……八幡に、水着姿を見られちゃうのが恥ずかしいんだよ……ね?

ぼくだってちょっと恥ずかしいから良く分かるけどっ……

 

「大丈夫ですよー、戸塚さん!葉山さんも一緒ですし、あとでたぶん一緒に来ますよー。大体担当分の仕事終わったのに手伝いに行っちゃったら、お兄ちゃんがだらけちゃうんで、お兄ちゃんの為にならないのです!」

 

「だべだべ。てか隼人くん来んなら俺もバンガローで待ってっから一緒に行きゃいいっしょ。先に着替えて待ってればいんじゃね?」

 

そっか。八幡の為にならないんじゃ仕方ないよね。それに戸部君がいつになく張り切ってるなぁ……髪を掻き上げてサムズアップしてる。

よっぽど海老名さんと川遊びしたいんだねっ。

 

「そう……だねっ。じゃあ先に行こっか」

 

ごめんね八幡っ!ホントは八幡を待っててあげたいけど、今は先に行くからねっ……

そ、それに水着に着替えてるトコロを八幡に見られちゃうのはやっぱり恥ずかしいしっ……!

 

 

× × ×

 

 

バンガローに戻って水着に着替えたぼくは、なんだかそれだけじゃ恥ずかしくって上にパーカーを羽織った。

ぼくは肌も弱いしねっ。

 

「おっ!戸塚も準備オッケーなカンジ?早く行くべっ!」

 

「え?戸部君は葉山君を待つんじゃないの!?」

 

「あー、隼人くんなー。正直もう待ちきれねーくらい昂ぶってるわー!先に行っちゃわね?」

 

「もう!どこに行ったか知らせなくちゃダメでしょ?……あ、じゃあぼく待ってるから、戸部君は先に行ってていーよ?」

 

「マジ!?おっしゃ!んじゃあ悪りぃけど先行ってっからっ」

 

すちゃっと手刀を切ってバンガローから飛び出そうかという所で、ちょうどドアが開いた。

 

「おっと!おい戸部、急に凄い勢いでドア開けるなよ…………って、ん?なんで海パンに着替えてんだ?」

 

 

どくんっ……!

突然の葉山君の登場にぼくの心臓が跳ね上がった。

上はパーカーを羽織ってるはずなのに、なぜか身体を隠すように両手で両腕を抱いて葉山君の後ろに視線を向けてキョロキョロするぼく。

 

「隼人くーん!遅いわー。なんか女子が川で遊ぶっつってっから、俺らも行くとこなんだわー」

 

「なんだ、そうなのか。てか戸部……もしかして俺を置いて先に行くつもりだったのか……?お前つれなさ過ぎだろ……すぐ着替えるからちょっと待っててくれよ」

 

あ……れ?

 

「海老名さんが水着姿で俺を待ってんだわー!早く行かなきゃ男が廃るっつうもんでしょー」

 

「別に姫菜は逃げやしないよ。なんだかお前一人だけ行かすのは危険だから取り敢えず待ってろ」

 

「そりゃないわ隼人くーん!」

 

苦笑いで戸部君を抑えてる葉山君だけど、なんだかその苦笑いの奥に危機感みたいなものを感じる。

あんまり戸部君と海老名さんの仲を進展させたくないのかな……?

 

っと、……そんなことよりも……

 

「えっと……葉山君。あの……八幡……は?」

 

そう。なぜだか八幡の姿が見えないんだ。

まだ一人で作業してるのかな……

 

「ん?ああ、ヒキタニくんも一緒に作業から上がったんだが、ちょっと寄る所があるらしくて途中で別れたんだよ」

 

「……え?そう……なんだ」

 

八幡、どこ行っちゃったんだろ……?

ホッとしたような残念なような……一緒に川遊びしたかったなぁ……

 

 

× × ×

 

 

「ないわーないわー」と激しく貧乏ゆすりをしたり立ち上がってウロウロしたりする戸部君をなんとか宥めながら葉山君の着替えを待ち、ようやく準備が完了した葉山君と三人で川へと向かう。

 

「キタコレ!これ来たっしょ!うおぉぉ!早く川行くべ川!」

 

「ははっ、戸部、少しは落ち着けよ」

 

「隼人くんのおかげでかなりお預け食らっちったんだから、こればっかりはしょうがないっしょー」

 

「かなりってお前……たかだか10分そこらだろ」

 

「水着すが……青春の10分は超貴重っしょ」

 

興奮しすぎの戸部君と、そんな戸部君にちょっと呆れ気味な葉山君が先に歩く中、ぼくは二人の後ろでとってもモヤモヤしていた。

───八幡、どこ行っちゃったんだろ……一緒に遊びたかったな。

 

うぅぅー……ぼくが水着姿を見られるのが恥ずかしいだなんて思ってたから……八幡を待たずに先に部屋に戻っちゃったから……バチが当たっちゃったのかなぁ……

 

しばらく森の中の道を歩いていると、次第に小川のせせらぎが聞こえてきた。

どうやらもう少しで川遊び出来るという場所に辿り着くみたいだ。

 

「おっ!もう女子達は先に川で遊んでるみてーだな。……………って、……うっおぉぉぉぉ……………え、海老名さんまさかのスクール水着かよっ……まじパないわー……!」

 

どうやら川遊びポイントでは、先に到着していたらしい女子がすでに遊び始めてるみたいだね。

お目当ての海老名さんを発見した戸部君は大興奮で、すぐにでも駆け寄りたいみたいなんだけど、まだ気持ちがバレちゃうわけにもいかないから、なんとか踏みとどまってるみたい。

 

「おー、川とかテンション上がるわー」

 

みんなと合流すると、戸部君が海老名さんにチラチラと視線を向けつつも、テンションをかなり抑えてテンション上がる発言。

すると葉山君が予想外の発言をする。

 

「お、ヒキタニくん、来てたんだ」

 

………………えっ!?えっ!?は、八幡来てるの!?

葉山君と戸部君の後ろに隠れてたから分からなかったよぉ……!

 

「ん、ああ、たまたまな」

わっ!ホントに来てるんだ!

じゃ、じゃあもしかしたら八幡も水着で来てるのかな……っ!?

 

ゆうべはアクシデントで八幡の裸を見ちゃったけど、あの時はいきなりだったし全裸だったしで、あんまりちゃんと見れなかったんだよねっ。

 

っていうかちゃんと見るって……ぼくなに言ってるんだよぉぉぉぉっ……!

 

んん!ん!と、とりあえずぼくは一旦冷静になって、葉山君の後ろから八幡を覗いてみた。すると…………あれ?

 

「八幡は水着持ってきてないの?」

 

キャンプファイヤー準備の作業開始ぶりの再会なのに、第一声がコレって……ぼくっ!

 

「と、戸塚」

 

葉山君たちの影に隠れて分からなかったであろうぼくの存在にビックリしたのか、八幡はぼくを二度見三度見する。

ん?なんだかその視線はぼくの格好に釘付けになってるように見えるけど。

 

「どうしたの?」

 

「その、上着……」

 

どうやら羽織ってるパーカーが気になってたみたい。

そうだよね。これから川遊びするっていうのに、こんなの羽織ってたらおかしいよね。

 

「ああ、これ?ちょっと肌が弱いから。身体冷やしすぎるといけないし」

 

……えへっ……!ホントはそれだけじゃないんだけどねっ……なんか、恥ずかしいやっ……

 

「そ、そうか……風邪には気をつけて遊べよ」

 

ふふっ、八幡はやっぱり優しいなぁ……

そんなに頬を赤く染めてまでぼくの心配をしてくれるなんて。

 

「うん、ありがと!」

 

八幡が水着を着てなかった事はちょっと残念だったけど、八幡が来てくれた事に満足したぼくは、川の中へとぱしゃぱしゃ駆けて行くのだった。

 

 

あ、八幡が水着持ってきてるのかどうかの答えをちゃんと聞いてないやっ!

えへへ、早く着替えてくればいいのになっ♪

 

 

 

続く

 






かなーりほったらかしの戸塚でしたがありがとうございました!
マジで書くのが一番大変なんですぅ(涙)

今回はようやくマトモな彩ちゃんになりました(*´∀`*)ホッ
ここのところとつかたんの暴走が危険水域だったんで、今回みたいな原作裏話になるとホント安心しますw
てか今回は誰得戸部回だったような気がしないでもない……(`・д゙・')


次回からは物語はちょっと真面目モードに突入してそのままラストまで行きそうな気がするので、もうあんなヤバイとつかたんは書かなくて済みそうです☆
更新はいつになるか分かりませんけどね(苦笑)


ではではまた(いつになるか分からない)次回で!



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