天使はいつだって憧れの君を見てる   作:ぶーちゃん☆

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とつかわいい②

 

 

 

『由比ヶ浜さんと比企谷くんはここで何してるの?』

 

 

これはぼくが、一年掛かってようやく初めて比企谷くんに話し掛けた言葉。

 

我ながら情けない……。

 

情けない……けど、でもおっきな一歩だ!

ここから仲良くなって、お友達になっていけばいいんだもんっ!

 

 

でも……比企谷くんてば酷いんだぁ。

だって、完全に初対面って顔してた。

 

誰?って顔して、ぼくの顔をまじまじと見てたっけ。

あまりにも見られたから、すっごく恥ずかしかったけど……。

 

『あ、あはは。やっぱりぼくの名前覚えてないよね……』

 

分かってた事だけど、さすがにちょっとショックで比企谷くんを涙目で見つめちゃったら、なんか顔を真っ赤にして慌ててこんな事を言いだしたんだよっ!

 

『俺あんまりクラスの女子と関わりとかないからね』

 

……………ぼく男の子だもんっ!

 

しかもそんな事言いながら、なんか由比ヶ浜さんとはすっごく仲良さそうなんだよ!?

目の前のぼくの事なんて忘れて二人の世界に入っちゃってたんだもん……。

ぼくなんて一年の時からクラスメイトだったのにさっ!

 

むーっ!なーんか面白くないっ!

 

 

『ぼく、男なんだけどなぁ……』

 

って言ったら、すっごくビックリしてた。

ちょっと悔しかったから、

『……証拠、見せてもいいよ?』

 

なんてハーフパンツに手を伸ばしちゃったりしたんだけど、その時比企谷くんすっごい真っ赤になっちゃって、ぼく何してんだろ!?って、頭が冷えて冷静になったら、もう恥ずかしくて死にたくなっちゃった……っ!

 

すっごく顔が熱くて、俯いて涙目だったから、比企谷くんに変な子って思われちゃったかも……。

もーっ!ホントぼくのばかぁっ!第一印象最悪だよぉっ……!

 

一年以上クラスメイトやってるのに、今日のお昼に第一印象って……。

 

 

× × ×

 

 

ぼくは今、今日のお昼についに訪れた比企谷くんとの初会合を思い出しながら、みのむしみたいにお布団から顔だけだしてゴロゴロと悶えていた。

 

 

「あー恥ずかしかったぁ……うー……ぼくやらかしちゃったかなぁ……?」

 

 

……いくら緊張してたからって、比企谷くんの前で急にハーフパンツを脱ごうとするなんてぇっ!

ばかばかばかぁっ!

 

 

でも……。そのあとはちょっとテニスのお話とかも出来て楽しかったし、まぁいっか!

 

 

せっかくぼくという存在を認識してもらえたんだもん!明日からもちょっとでもチャンスがあったらガンガン話し掛けて絶対仲良くなるぞー!おーっ!

 

 

ぼくはそう決意し、今日という恥ずかしくもあり有意義でもあった記念日を胸に抱きながら眠りにつくのだった。

 

 

いい夢見れるといーなっ……おやす……み……なさ……………。

 

 

× × ×

 

 

それから数日後の選択体育、なんと比企谷くんとテニスが出来るチャンスがめぐってきたのだ!

今日はどうやらペアの子がお休みみたいなんだ。

 

ぼくはペアの子の体調も気になったんだけど、それよりも比企谷くんをどう誘えばいいかで頭を悩ませていた。

ゴメンね……?田中くん……。

 

 

よしっ!比企谷くんが一人になって後ろを向いてるっ!今だぁっ!

 

はぁ〜………ドキドキするぅ……ぼくは比企谷くんの肩をちょんちょんとつついてみた。

すると比企谷くんが振り向き、頬っぺたがぼくの指にぷすっと刺さった☆

 

「あはっ、ひっかかった」

いたずらにひっかかった比企谷くんのビックリした顔を見て、ぼくはなんだか自然と笑っちゃった!

 

「どした?」って聞いてきてくれたから、ペアの子がお休みって事情を説明して比企谷くんを誘ってみた……。

そしたら比企谷くんは二つ返事でオッケーしてくれた。

こんな事だったら、やっぱりテニスの授業が始まったその日に勇気を出して誘っとくべきだったよぉ……。

でも贅沢言っちゃだめだよねっ!

 

 

それにしても……と、とにかく、

 

「緊張したー」

 

ぼくはすっごく安心して、ただ自然と息を吐いただけのつもりだったんだけど、比企谷くんの驚いた顔を見て気がついた。

 

うわぁっ!今、緊張したーって声にでちゃってたんだ……!

 

もう!ぼく舞い上がりすぎだよっ……穴があったら入りたい……。

 

 

 

ようやく夢にまで見た……ホ、ホントに夢に出てきたわけじゃないよっ!?……たぶん……。

 

んんっ!ん!

と、とにかく!ついに比企谷くんとテニス出来る時が来たんだ!

 

うわ〜っ……やっぱり上手いなぁ……とても未経験者だなんて思えないよ〜……。

 

やっぱり上手だねっ!って褒めたら、比企谷くんたら『超壁打ってたからなー。テニスは極めた』……だって!

 

もーっ!比企谷くんてば。

それはスカッシュだよぉっって言って二人で笑ってた。

ホント比企谷くんは面白いなぁ!

 

 

でも、謙遜かなにか知らないけど、普通完璧な未経験者は、まずその壁打ちがうまく出来ないんだよっ?

だから比企谷くんはやっぱり上手いよ。ちゃんと練習すれば、ぼくなんてすぐに抜かれちゃう。

 

やっぱり……比企谷くんはすごい……!

 

 

ラリーを一旦やめて休憩した時、ぼくは思い切って比企谷くんをテニス部に誘ってみたんだ。単純に比企谷くんと一緒に部活動が出来たらとっても楽しいだろうし、テニス部も強くなると思う。

今テニス部は結構深刻な状態なんだよね……こうしてせっかく楽しいひとときを過ごせているのに、つい頭を過っちゃうくらいに……。

 

 

でもそれよりもなによりも……

 

「比企谷くんといっしょなら、ぼくも頑張れると思うし」

 

って、え!?ぼく、今声に出てた!?

ちちち違うんだよっ!?そそそそういう変な意味じゃなくってっ!

 

「ぼくも、テニス、強くなりたい、から」

 

慌てて出たその言葉に……

 

「お前は弱くてもいいよ。……俺が、守るから」

 

 

 

……………………………………………。

 

もーーーーーーーーぉっ!!

比企谷くんはイジワルだよーーーぉっ!

 

 

ぼ、ぼくは男の子なんだよっ!?

そ!そんな事言われたって、う、嬉しくなんかないもんーーーっ!

 

 

恥ずかしくって嬉しくっ……ちがうちがう!嬉しくなんてないっ……

とにかくっ!恥ずかしくって顔が赤くなっちゃうから、そういう冗談やめてよねっ!

 

むーっ!

 

 

 

結局そのあとはテニス部に入部の件は体よく断られちゃった……

それはそうだよね……上手なのと好きなのはまた別のお話だもんね……。

とっても良い考えだと思ったんだけどなぁ……。

 

 

でもでも!なんだかぼく気がついたら普通に比企谷くんとお話できてるっ!

 

ちょっぴり残念だったけどとっても嬉しかったから、プラマイで言えば大幅プラスだねっ☆

 

 

× × ×

 

 

放課後……。ぼくはちょっとだけ気が重くなってた。

 

比企谷くんに断られた事もあり、やっぱりテニス部の現状の事が本格的に頭から離れなくなってきた……。

 

どうしようかな……。

先輩達が次の大会で抜けて、弱すぎて部活としての体をなさなくなっちゃったら、みんなで一緒にやれる大好きなテニスが出来なくなっちゃうことだってありえるんだ……。

 

 

ぼくがあからさまに凹んで見えたのかな……?

由比ヶ浜さんが声を掛けてきてくれた。

 

「さいちゃんやっはろー!……どしたの?なんか元気ないみたいだけど……。あたしで良かったら相談とかのるしっ」

 

「あ!由比ヶ浜さんやっはろー!……うん。テニス部のことでちょっとだけ悩んでるんだよね……」

 

「マジでっ!?大丈夫!?……どしたの?」

 

 

ぼくはとっても心配してくれてる由比ヶ浜さんの優しい気持ちが嬉しくて、今のテニス部の現状を話してみた。

さすがに全然関係のない由比ヶ浜さんにこんな話をするのは申し訳なかったけど、さっきの比企谷くんに対してもそうなんだけど、少しでも悩みを人に聞いてもらえるとちょっとだけ楽になるんだって分かったから聞いてもらった。

 

「由比ヶ浜さん!ありがと!聞いてもらえただけでもちょっと楽になったよ!」

 

そしたら由比ヶ浜さんははっ!として意外な事を言いだした。

 

「だったらさ!あたしの部活に相談してみない!?うまくいくかどうか分かんないけど、もしかしたらテニス部を強くしてもらえるかもっ」

 

「え!?テ、テニス部を強くしてもらえるのっ!?どういう事かよく分からないけど、少しでも可能性あるんだったら相談してみたいっ!」

 

「うんっ!じゃあ行こっ?」

 

 

× × ×

 

 

こうしてぼくは、由比ヶ浜さんに連れられて普段あまり行くことのない特別棟へと通じる渡り廊下を歩いている。

 

 

あんまり詳しくは聞けなかったんだけど、どうやら由比ヶ浜さんの部活とは、あの超有名人の雪ノ下雪乃さんが部長を務める、生徒の悩みを解決してくれる何でも屋さんみたいな部活らしいんだ。

 

 

雪ノ下さんと聞いて、すっごく緊張してきた〜……。

 

だって!すっごく綺麗ですっごく優秀ですっごい有名人なんだもん!

そしてちょっと……恐い感じ……。

 

もちろんぼくなんかじゃ雪ノ下さんと関わった事なんてなくって、たまに廊下ですれ違うくらいなんだけど、とってもクール!って感じで、すごく近寄りがたい空気をまとってる感じなんだよね……。

 

 

恐くて恐くてしかたないよっ……。

でも!でも!……もしかしたらなんとかしてもらえるかもしれないんだから、ぼくが頑張らなきゃっ!

 

 

でもやっぱり不安で不安で、由比ヶ浜さんのブレザーの裾を摘んでしまう……。

ゴメンね由比ヶ浜さん!こんなに親切にしてくれるのにこんなに情けないぼくで……。

 

 

「さいちゃん着いたよっ!ここがあたしの部活、奉仕部っ」

 

 

特別棟の奥にあった、ひとつのある教室に辿り着くと、由比ヶ浜さんがじゃじゃんっと手を掲げる。

 

そしてぼくが少しでも安心するようにニコリと笑顔を向けてくれると、元気にその扉を開いた。

 

「やっはろー!」

 

 

ぼくは不安と緊張で顔をあげられないまま、由比ヶ浜さんのあとについてその扉をくぐった。

たぶんぼくは真っ青な顔してるんだろうな……。

 

 

なんてぼくは情けないんだろう……!ここまできて俯いたままだなんて……!

こんなんじゃダメだ!ぼくは勇気を振り絞って顔をあげた!

 

そしてそこには…………

 

 

「あ!………比企谷くんっ!」

 

 

比企谷くんの顔を見たら、さっきまでの不安も緊張もどっか行っちゃった!

血の気が引いて真っ青だったはずなのに、温かいなにかが一気に熱を持たせてくれた事を強く感じる……!

 

信じられない……!まさか……まさかこんなところで比企谷くんと繋がれるだなんて……!

 

 

 

 

 

 

ぼくと比企谷くんの友情物語は、まだ始まったばかりっ!

 

 

 

 

続く…………かも?







……………うーん。
作者の頭の中がお花畑でいっぱいです(テヘッ

あたま大丈夫でしょうか?私……。
そもそもサブタイトルからして頭おかしいですもんね(白目)
なんだよとつかわいい①②って……


と、とりあえず、今後続けていくとしたら方向性はこんな感じですかね〜?

原作沿いだと、どうしても八幡との会話がそのまま原作からの引用になっちゃうんで、どう続けるか悩んでたんですよね〜。
なので出来るだけ原作内の会話を引用しないで済むように、会話の中の一部だけを抜き取って引用し、あとはほぼ全編で戸塚の心の声(地の文)で会話を補完する形ですかね。


結構ムズいです!そして超乙女になっちゃいます!

こんなんでもよろしければ、ゆっくりと続けていけたらと思います☆
さすがにあざとくない件や相模SSのような更新速度はムリっす!


こんな極一部のマニア向けの作品にお目を通していただきありがとうございました!

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