天使はいつだって憧れの君を見てる   作:ぶーちゃん☆

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すみません。今回ついにBLタグ付けちゃいました。


べべべ別に今までと流れや内容は一切変わってないんだからねっ!?
ただ、評価が下がる一方というトコロを見ると、そろそろ苦情とか来ちゃいそうでっ(汗)


もし「こんな内容でBLタグなんて要んねぇだろ」というご意見ありましたら教えて下さいねっ><


ではどぞ!




とつかわいい⑧

 

 

 

「わぁ……、本当に山だなぁ」

 

やっぱり自然は気持ち良いなぁ!

 

ぼくは今、平塚先生の車から降りて、視界いっぱいに広がる木漏れ日に輝いている緑と胸いっぱいに広がる高原の空気を楽しんでいる。

 

普段都会の忙しない風景と空気の中にさらされていると、こういう場所に立ってるだけでワクワクするよね!

ん?ぼく達が住んでる千葉って都会だよね?

 

 

でもぼくは今ちょっと後悔してるんだ……

だって、せっかく二週間ぶりに八幡に会えて、初めてのドライブを楽しめるハズだったのに、昨夜の寝不足がたたって思いっきり寝ちゃってたんだもんっ……

まぁ車に乗り込む時点で八幡は平塚先生に取られちゃったし、隣に座った小町ちゃんに夏休みに入ってからの八幡の近況を教えて貰えたから良かったんだけどねっ。

ふふっ、やっぱり八幡は不摂生な生活を送ってるみたいだね。やっぱりテニスに誘わなくっちゃ!

 

 

 

そして車から荷物とかを下ろしてると、ぼく達の他にもお手伝いで呼ばれた葉山君グループ達がやってきた。

葉山君グループには、例のテニス対決以来ちょっと苦手意識を持っちゃってたんだけど、あの対決以来なんとなく三浦さんの態度が柔らかくなってきて、今では普通に接しられるようになってきたんだ。

 

でも、男の子はぼくと八幡の二人だけかと思ってたからちょっと残念っ……

夜はバンガローで二人っきりでたっぷりお話出来ると思ってたんだけどなぁ……

で、そのままお話しながら気付いたら二人して寝ちゃってたりするんだよねっ!

……そして朝目覚めたら八幡の腕まく…………

 

 

 

 

 

 

 

んん!男の子四人でお泊まりってとっても楽しそうでいいよねっ!

 

 

× × ×

 

 

駐車場から本館へと移動して荷物を置き、そこからしばらく歩いていると、ぼく達は集いの広場という場所に到着した。

そこは今回の主役の100人近い小学生達で溢れかえっていた。

 

「うわー……凄いねー……」

 

ぼくは隣に居た小町ちゃんに正直な感想を漏らした。

 

「ですねー……なんか若さのパワーって言うんですかね。小町圧倒されちゃいますよー」

 

あはは……小町ちゃんもまだ中学生の若さなんだよ……?

でも小町ちゃんがそう言いたくなる気持ちも分かるくらい、小学生がたくさん集まったパワーっていうのはホントに凄い!

ぼく達は、この二泊三日でこの子達が林間学校を安全に楽しめるようにサポートするのかぁ……なんかちょっと不安だなぁ……

 

 

ずっと騒いでいた子達が静かになるのを待ってから、本日の予定のオリエンテーリング開催が発表された。

 

「オリエンテーリングかぁ。えへへ、懐かしいな。ぼくも小学生の頃にやったっけなぁ。八幡はっ!?」

 

「ああ、俺もやらされたわ。俺のグループはアホぞろいだった上に、唯一クイズの正解が分かる俺がぼっちだった為に、意見が採用されるワケも無く散々な結果だったわ」

 

「あはははは……」

 

「はぁ……今なら戸塚と二人っきりでグループ組んで、永遠に道に迷っていたいまであるのにな……」

 

「は、八幡!?もう!またすぐにそうやってぼくをからかうんだからぁ!」

 

ぼ、ぼくだって八幡とだったら、山の中でずっと道に迷ったって大丈夫なんだからね!?

 

 

そんなお話に夢中になってる間にオリエンテーリングはスタートしていた。

なんか途中でぼく達スタッフの事が紹介されて、葉山くん?だったのかな?が代表で挨拶してたみたいだったけど、八幡の声しか聞いてなかったから全然聞いてなかったよ。

 

…………ぼくって不真面目だなぁ……

 

 

× × ×

 

 

小学生達の各グループがオリエンテーリングに出発しているのを眺めていると、戸部君も小学生のパワーに圧倒されちゃったのか、感嘆の声を漏らした。

 

「いやー、小学生マジ若いわー。俺ら高校生とかもうおっさんじゃね」

 

「ちょっと、戸部やめてくんない?あーしがババァみたいじゃん」

 

こ、恐いっ……そんな戸部君の言葉に三浦さんがすぐに噛み付いた……

うー……柔らかくなったといっても、やっぱり三浦さんはちょっと恐いっ……!

 

「いや、マジ言ってねーから!ちげーから!」

 

戸部君もやっぱり恐いのか、必死で釈明してる。

うーん。戸部君って、三浦さんのこと好きなのかと思ってたんだけど違うのかな?

 

ぼくはそんな戸部君をフォローするってワケでは無いんだけど、思った事を口にしてみた。

 

「でも、ぼくが小学生くらいの頃って高校生は凄く大人に見えたなぁ」

 

ホント不思議だよね。あの頃は高校生なんて違う世界の住人なのかな?って思っちゃうくらいに雲の上の存在だったのに、こうして高校生になってみるとあの頃と大して思考回路って変わってないんだもんね。

でも、このサポートメンバーの中で唯一の年下の小町ちゃんだけは、ぼく達とは意見が違うみたい。

 

「小町から見ても高校生って大人って感じしますよ?兄を除いて」

 

あはは!八幡だけ除外されちゃった!

でもぼくにとっての八幡は……

 

「おうちじゃあまり見えないかもしれないけど、学校での八幡は大人っぽいよ。クールだし、落ち着いてるし。ね?」

 

あととっても格好良い!

そんな憧れの眼差しで八幡を見つめるととっても嬉しそうだった。えへへ〜!

すぐに雪ノ下さんに笑われちゃったけどねっ。

 

 

そのあと八幡と雪ノ下さんの攻防が続いていると、不意に葉山君が呟いた。

 

「──ああ、そうか。その子、ヒキタニくんの妹だったのか。戸塚の妹にしては似てないなと思ってたんだ」

 

そっか。葉山君は、小町ちゃんはぼくの妹だと思ってたのかぁ。

確かに似てはいないけど、ぼくも小町ちゃんみたいな可愛い妹が居たらいいのにな!って思う。

 

でも、義理の妹になら!もしぼくが八幡とけっ……………………………………

 

 

 

 

さてと、どうやらぼく達の最初のお仕事は小学生達がオリエンテーリングを終えるまでに、あの子達の昼食の準備を済ませておく事らしいから、早く行かなくっちゃね!

 

 

× × ×

 

 

小学生のお昼ご飯の準備をする為にオリエンテーリングのゴールへと向かう道すがら、ぼく達は少し心配な光景に出くわした。

 

鶴見留美ちゃんというとても可愛い女の子。

ちょっと周りの子たちよりも大人びた雰囲気のその子は、五人グループの中で他の子達から距離を置かれていたんだ……

 

葉山君がその事を察知して、その子をグループの中心へと引き入れていた。

やっぱり葉山君はすごいんだなぁ!って、その光景を見て素直にそう思ったんだけど、どうやらそう簡単な問題でも無いみたいなんだよね。

 

「やっぱりね……」

 

「小学生でもああいうの、あるもんなんだな」

 

なぜなら八幡と雪ノ下さんが、その光景を心配そうな目で見つめながら、そんな事を口にしていたから。

 

なにがダメなんだろう……?

ぼくにはすぐに理解出来なかったんだけど、一度中心へと引き入れられていた留美ちゃんが、自然とまたグループの子たちから距離を置かれてしまい、またトボトボと一人で最後方を歩きながら去って行ったのを見てようやく理解出来た。

 

その子が木陰に消えていくのを溜め息を吐きながら眺めていた八幡の姿を見て、ぼくはちょっと胸がザワリとしたんだ。

なんだか、また八幡が辛い目に合ってしまいそうな予感がして……

 

 

そんな想いを抱えながらも、ゴール地点に到着したぼく達は小学生がゴールしちゃうまでの間に、急いでお昼の準備を済ませるのだった。

 

 

× × ×

 

 

「は、八幡はどこに座りたい?」

 

キャンプと言えばカレー!

緑溢れる自然の中にカレーの香りが漂うと、俄然テンションあがるよねっ!

 

夕飯のカレーを小学生達と一緒に作り、作業が終わってようやく食事の時間がやってきた。

みんなが適当に好きな席に着き始める中、ぼくは席ではなくて真っ先に八幡の所に行った。

 

「まぁ、適当に座ろうぜ……戸塚はどこに座る?」

 

「八幡の隣ならどこでもいいよ」

 

ん?

特になにも考えずに思った事を口にしたら、八幡がビックリしたみたいに口をあんぐりと開けてぼくを見つめる。

八幡てばどうしたんだろう?ぼくは自分が口にした意味を改めて考え直してみた。

 

「……っ!?」

 

はわわわっ!僕は恥ずかしくなって口元を手で押さえた。……な、なんかそれじゃ、八幡と一緒に居たいから、八幡が傍に居てくれるんなら、どこだって構わないよ?って言ってるみたいなものじゃないかっ……!

違うんだよ!?八幡っ!そ、そういう事じゃ無くってね!?

 

「な、なんか変な言い方になっちゃったね。その、お昼は準備とか小学生の相手とか忙しくてあんまり話せなかったから……」

 

なんとか釈明してみたけど、結局言ってる事っておんなじような……

 

「まぁ、なんでもいいさ。座ろうぜ」

 

なんか八幡も恥ずかしくなっちゃったのか、ぼくの目を見ずに急かすように背中を押してきた。

わーっ!は、八幡に背中触られちゃったっ……

 

「じゃあ、ぼくここに座るね」

 

なんだか気恥ずかしいなか席を決めると、ぼくは八幡だけに見えるようにテーブルの下で手をちょいちょいて手招きをした。心の中で『早く早くっ』って八幡に話し掛けながら。

 

八幡は、そんなぼくを見て、あくびのフリして口に片手を充てながら隣に座ってくれたけど、えへへっ!ちゃんと見えちゃったんだからね?

手を充てる前に口元が緩んじゃってるトコロっ……

 

隣に座ってからも少し恥ずかしそうにしている八幡の横顔をずぅっと見つめながら、ぼくはクスクスと微笑んでいた。

 

 

× × ×

 

 

食事を終えて、就寝時間を迎えた小学生達が撤退するのを見送ったあと、ぼく達の話題は先ほどの出来事……鶴見留美ちゃんの話題となった。

どうしたら留美ちゃんを救えるのかって。

 

ぼくもみんなとカレーの準備をしながら、八幡達が留美ちゃんとお話してるのをチラチラ見てたんだけど、遠目から見ても分かるくらい芳しくない雰囲気でとっても心配だったんだよね……

でも話はまとまらなかった。想いと想い、主張と主張がぶつかりあって、結局どうしたらいいのかなんて答えは出せないままに会議は終了してしまった。

ぼく達みたいな高校生でさえこれなんだから、より感情で動いてしまう小学生の問題なんて、早々答えなんて出るものじゃないよね……

 

 

 

ぼくは色んな思いで頭の中がこんがらがっていた。

先ほどの会議での皆の意見が頭をよぎる。

 

『可能な範囲でなんとかしてあげたいと思います』

 

これは葉山君の談。

とても優しくてとても頼りになる葉山君なら、もしかしたらなにかしてあげられるのかも知れない。

でも……可能な範囲ってなんだろう?ぼく達高校生レベルでの可能な範囲で、一人の女の子を救えるのだろうか?

それって、可能な範囲を超えてたから救えなかったって言い訳にも出来る言葉にも感じてしまった。

でももしも、言い訳なんかにしたくない八幡だったら、傷付いてでもその可能な範囲を飛び越えてしまうんだろう……

 

『彼女が助けを求めるなら、あらゆる手段を持って解決に努めます』

 

雪ノ下さんの談は、やっぱり彼女らしくとても強い。

可能な範囲を決めないその言葉には迷いがなかった。

でも、だからこそ逆に不安に駆り立てられる。

あらゆる手段……その言葉を聞いた瞬間にぼくの頭に浮かんだのは八幡だったから。

 

『話し掛けたくても仲良くしたくても、そうできない環境ってあるんだよ。凄い恥ずかしい話なんだけどさ。やっぱ周りの人が誰も話しかけないのに話しかけるのってかなり勇気いるんだよね』

 

由比ヶ浜さんは、誰のことを言っていたのかな……

もしもぼくが思い浮かべた人と同じなのだとしたら、その気持ちはぼくだって誰よりも強い。

話しかけられるまで一年掛かったんだから。

あの辛さと不甲斐なさを痛いほど知ってるからこそ、果たして留美ちゃんに話しかけてくれるような勇気のある小学生なんて居るんだろうか?って不安になる。

 

 

わぁ〜!もう頭の中がぐちゃぐちゃだよーっ!

ぼくなんかが一人で悩んでたって、どうすることも出来やしないのに……

でも…………なんにしても八幡が辛い思いをしないといいなぁ……

 

 

× × ×

 

 

とりあえず一人で悶々としてたってどうしようもないよねっ。

よしっ。お風呂に入って気持ちも身体もさっぱりしてこよう!

 

お風呂は通常ならビジターハウスの大浴場に入る予定だったらしいんだけど、さっきまでの作戦会議が長くなってしまって、入浴していいのは管理人棟にある内風呂になっちゃったみたい。

 

内風呂は一般家庭のお風呂と大差ないくらいの狭さらしくて、一人ずつ入る事になっちゃった。

あ〜あ……八幡と裸の付き合いが出来ると思って楽しみにしてたんだけどなぁ……お、男同士の裸の付き合いのことだよっ!??

 

で、でもやっぱりちょっと恥ずかしいなっ……あ、あはは……ひ、一人ずつで良かったかも……!

 

 

でも大事件が起きたのは、そうやって一人で変な想像をしちゃって、ドキドキして顔を熱くしながら内風呂の扉を開けた時だった。

 

 

「あ、はち……」

 

「 」

 

 

 

………………………………………………………………。

 

 

 

そこには……一糸纏わぬ姿の八幡が……い、今まさにっ……そ、そのっ……ぱ、ぱんつっ……を履こうとしている所だったっ……!

 

「わ、わわわわっ!ご、ごめん!」

 

ぼぼぼぼぼくは八幡から目を逸らしたんだけだけだけどっ!

でっ、でも裸の八幡にそそ遭遇しちゃった瞬間にちょっと固まってしまいっ!…………お、思いっきり見てしまった……!ぼっ、ぼくのよりずっと大………………っ!!!!

 

「お、おおおう!お、俺もなんかごめん!」

 

ぼくが一方的にいけないのに、なぜだか八幡に謝られてしまった……

ぼくはすぐさま回れ右して扉をすごい勢いで閉めた!

 

は、はははははは八幡のっ!八幡のぉぉぉっ!

 

 

どどどどうしようどうしよう!

扉の前で両手で顔を覆い、あの光景を脳内から排除しようとブンブン頭を左右に振っていると、しばらくしてから「もういいぞ」って声が掛かった。

 

「ご、ごめん。もう上がってると思ってて……」

 

扉を開けるなり頭を下げて謝ったんだけど、顔を上げた時に八幡とばっちり目が合ってしまった。

 

ははは八幡……っ!八幡の裸が……は、八幡のゴニョゴニョ……がっ!脳内を駆け巡る……っ!

 

ぼくはボンっと音がしそうなくらいに真っ赤になって目を逸らしながら、誤魔化すように一言。

 

「じゃ、じゃあぼくお風呂入るから」

 

「あ、ああ」

 

もう完全にパニック状態だよぉ!

は、八幡の……八幡のぉぉっ!

目がぐるぐるになりながらも、震える手でTシャツを捲り上げようとしていると……八幡がまだ居て、ぼくが服を脱ごうとするのをジッと見ていた。

 

「あの……服、脱ぐから……」

 

男の子が男の子の前で服を脱ぐのなんて普通の事なのに、あまりにも恥ずかしくて、ぼくは泣きそうな上目遣いで八幡を見上げる。

 

「ずっと見られてると、……ちょっと困る」

 

ぼくは八幡の裸をばっちり見ちゃったけど、やっぱり……その…………脱ぐトコとか見られちゃうのは……とっても恥ずかしいよっ……

 

「あ、そうか。わりわりもう行くわ」

 

そう言って扉を閉める八幡の背中を見送ってから、ぼくは深い深い息を吐いた……

 

「はぁぁぁぁぁぁ〜…………」

 

脱いだ服を畳んでカゴに入れて、ふと自分のを見てみた……

は、八幡の……凄かったな……

 

 

浴室に入ってから、火照った顔と頭を冷やすようにザーザーと頭からシャワーを浴びる。

それでもあの光景が頭から離れてくれないよーっ!

 

 

「どうしようっ……!今夜は八幡の隣なのに……眠れるのかな……」

 

 

 

湯船に浸かり、顔を半分までお湯につけてぶくぶくしていたぼくは、はっ!となってまた真っ赤に火照ってしまったのだった。

 

 

 

 

 

「さ、さっきまで……八幡が浸かってたお湯だった……」

 

 

 

つ、続くっ……

 

 







よし!綺麗にまとまった事だし、これで最終回でもよくね?

という事で今回もありがとうございました。


なかなか筆が進まず更新が遅くてスミマセン><
途中までは書いてたんですけど、やっぱり原作沿いはあまりにも難しくて止まっちゃってました(白目)



ではでは続きがあったらまた会いましょうw
……………てかもうダメだろコレ……とつかたんがイケない方向に行っちゃってんよ……(・ω・;)



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