「ハァ…ハァ…!!」
暗闇が広がっている夜中に月の光が、一人の女性を照らしていた。制服を着た少女は息を荒げながら並木がある道を走っていく。だが履いているものは走っている事に向いていないローファー。しかし少女はただ、前を走る事だけ集中する。
ケタケタケタケタケタ…
人間とは思わない笑い声が背後から聞こえる。女性は小さくヒッと声を漏らし、後ろを振り向く。
「あアアアアアア!!!」
とんでもない叫び声で女性を追いかける化け物の姿が。
女性の半身と蛇のような芋虫のような下半身。両手には槍を一本ずつ手にしている。
「きゃぁぁぁ!!」
重厚な体とは裏腹にその化け物は四足の足を巧みに使いながら女性との距離を縮める。
「きゃっ!!」
道端に落ちていた石につまずき、少女はこけてしまった。
「ハハハ…この匂いは甘いかな?ねぇ苦いかな?」
化け物は口の端を吊り上げ、不気味に少女に問いかける。
少女は異形な姿を目にし、声が出せない。この化け物は自分を食べようとしている。自分の死が間近にある事に恐怖する。
「まぁ…どちらでもいいか。とにかく腹が減ったんだ。食わせろよぉぉぉ!!」
そう言うと化け物は、その吊り上げた口を大きく開ける。その大きさは牛一頭を丸々飲み込める程だ。
「あ……あ…!」
助からないと悟った少女は目を瞑り、死を受け入れようとしたその瞬間
「ガァァァ!!!」
化け物が横に吹っ飛ばされた。少女は一体何が起きたか、理解できず化け物を吹っ飛ばした方を見る。
するとそこには黒い鎧が立っていた。左手には棘が数本生えている剣の様な物を握っている。
「……」
「あ…」
黒い鎧はこちらに向かい、少女を見たと同時に手を伸ばす。少女は状況に追いつけずに、戸惑うが、さっきの化け物とは違う。自分に危害を加える者ではないとわかり、そのまま黒い鎧の手に引っ張られる。
「あ、あの…」
「早く逃げろ。あの一撃でアイツを倒した訳じゃない。早く逃げないと…また追いかけられる羽目になるぞ」
少女は黒い鎧の言葉に、間を空け小さくはいと答えると同時に走って行った。
黒い鎧は少女の影が暗闇に消えていくのを見て、視線を化け物の方に向ける。
「この…!」
四足で倒れていた下半身を立て直すと、化け物は怒りが篭った声を黒い鎧にぶつける。黒い鎧はそれにビクともせず、昆虫の複眼の様なマスクが化け物をじと見つめる。
「ふん…さっきの所詮不意打ち!真正面から戦えるはずがないだろぉぉ!」
化け物は槍を頭上高く抱え、四足でこちらに向かってくる。黒い鎧は刺々しい剣を逆手に構える。
「おらぁぁぁぁ!!!」
巨体を活かした突進。その威力は突進した方向の木が物語っていた。木は抉り取られ、まるで巨大な台風が通り過ぎた後の光景に見えた。
しかし黒い鎧は見切っており、横にステップで避け、自分の脇に通りかかる二つの足を剣で切り裂く。棘に裂かれた足からは真っ赤な血がホースの様に吹き出す。
「…!クソガァァァ!!!」
足を斬られ、激昂する化け物。叫びながら両手に持っている槍を黒い鎧に向けて振りかざす。
すかさず黒い鎧は後退する。槍を振りかざした場所は月のクレーターの様に丸く崩壊した。
「所詮パワーが一番なんだよぉぉぉ!!」
そうケタケタと不気味な笑い声をあげながら、再度槍を頭上まであげ、振りかざそうとする。
その瞬間、黒い鎧は小さく呟いた。
「お前は隙が多過ぎる。」
左手に持っていた剣を右に持ち替え、ベルトのバックルから一枚のカードを取り出す。そしてそのまま流れる様にカードを右の手甲の間にスライドさせる。スライドしたカードは青い炎に包まれ消えた。
アクセルベント
無機質な女性の声が響き、黒い鎧は構える。
「死ねぇぇぇぇぇぇ!!!」
化け物が振りかざした瞬間、黒い鎧は圧倒的な速さで動いた。
化け物はその速さに気付かず、
「…あ…?」
一瞬にして首が胴体から離れた。
「死ぬ事すらも解らずに殺される…無様だな」
黒い鎧が着地したと同時に、首が足元に転がる。
「は…」
暗闇だった夜が徐々に明け始める。
朝日に照らされた黒い鎧。
「悪魔を殺したのはこれで95匹目…」
その男は
「あと5匹で記念すべき100匹…英雄の道は厳しいってな…?」
漆黒のライダー、オルタナティブ・ゼロの変身者である。
どうもまるまる仮面と申します!文章の方はどうだったでしょうか?アドバイスなどくれると有難いです!