続き書いてしまってますね...
コメントが嬉しくなって、白薔薇チームの何かって考えてたら出来上がりました。
有り難うございます。
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私は物語を書き続ける。救いのない現実、真実、事実を救済処置として空想で埋めていく。
ただひたすら、書き続ける。
脳みそがキータッチの音で抉られる感覚、絞り出すように手、指は勝手に動き出される。
書いて、書いて書いて書いて書いて!
誰に読ませるのだろうか。
誰に読んでもらいたいのだろうか。
誰に、誰を欲しているのだろうか。
蓉子?江利子?志摩子?お景さん?まさかの乃梨子ちゃん?
違う!
違うんだ。
ああ、彼女だ。
彼女しか居ないんだ。
でも、色々と無理なんだ。
余りにも変わってしまった、今では。
「聖。いつまで、そうしているつもり?身体が冷えるわよ。」
関東では感じられないこの時期の気候でも、まさかの気遣いを見せてくるかつての親友。ははっ、全く。ガラにもないことしたら、明日は雨じゃないか。
「電話が長引いてしまってごめんなさいね。良い子の聖ちゃんは寂しくて拗ねっちゃったのね。」
からかい気味に言葉を向けて、バルコニーに置いたテーブルの上のノートパソコンなどを片付けていく。
電話の相手は、蓉子で間違いがないだろう。
「亜紀ちゃん、不良になるんじゃないの?」
にやりと笑えたかは怪しいがカマかけには一役買えたのだろう。江利子の顔が微かに変わる。幼馴染だからこそ分かるその変化。
「ぇ、ええ。江利子さんが居ないと張り合いがないんですって。可愛らしいわよね、全く。」
言葉に震えと視線を僅かにずらすその様に、相手が違うことを教えてくれる。
「ねえ、江利子。蓉子はなんだって?」
私の車いすを押し出した江利子に訊ねる。
電動機能も備えられたこれは、私には必須。そして、こうして核心を突く時にも役立つ。江利子はアシストを放棄して、動きと時を止めた。
「どうして分かるかって?幼馴染兼親友を舐めないでくれるかな。私にも教えてよ?蓉子と江利子だけで、私にだって知りたいよ。もう遠くに駆け去ってしまった相手でも尚更。なんで、祐巳ちゃんがああなって、祥子はずっと眠り続けているのか。私はどうしてこうなったのか」
ぐっと車いすが押される感覚がして、そのまま前に進む。
「守秘義務ってのがあってね。私も詳しく聞かせて貰えてないの。蓉子からの連絡は聖、貴女の体調とかを心配してよ。」
取り戻したのか江利子は淡々と告げる。流石、黄薔薇さまを務めただけある。
「分かっているよ、分かっているん、だよ。呆れるかもしれないけど、それでも、私は祐巳ちゃんが...」
誰かにアシストされないと生活もままならない私は子どもみたいに、泣きながら、顔を片手で覆いながら気持ちを吐き出したかった。
「ええ、分かっているわ。聖のその気持ちも、蓉子の気持ちも皆の気持ちも。何のために私が輪に居ながら、傍から見ているようにしてきたと思っているのよ。」
私の言葉を遮りながら江利子は多分、泣きながら言っている。
振り向くことも身体が意思を利かないから泣いているかなんて分かりはしないけど、勘がそう伝えている。言葉の波が聴覚に伝達してくる。
それにしても、江利子が泣くのはいつぶりだろうか。
私はずっと泣くか、意識を失うぐらいに書くかしかしてこなかったのに。
江利子にしても、蓉子にしても割り切っていこうとするその姿勢には、親しいからこその意志というのか恐れ入る。
目の前にお昼ご飯を、そして私用に両親が誂えた箸やフォーク、スプーン。
そして、江利子。
潮騒の柔らかさ、優しい空気と私が出させざる得ない音。
対面式のキッチンのダイニング側には蓉子と江利子と私で撮った、大学卒業記念におふざけをした写真と高等部の卒業式の写真。
多分、江利子も同じ映像を脳裏に映しているのだろう。
懐かしくもあり、だけど渋みしかひろがらない。彼女が進むしかなかった道の第一歩を。
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私は受付で注意事項と規則説明、所持品検査を受けてサインをした。
そして再度、お互いの身の安全の為になんちゃらかんちゃらと色々と規約説明を威圧感たっぷりの監督官らしき人間に受けて面会室に通された。
どういう顔をして会えばいいのか、厳しい顔かそれとも慈愛を向ければいいのか整理がつかないまま入室の音が聞こえてきた。
「面会時間は○分です。尚、規約違反、それに準じる行為並びに判断した場合は即中止にします。只今、××時○○分。××時○○分に終了です。」
係官の宣言を受け、面会用の窓の覆いが払われる。
「お久しぶりです、三奈子さま。」
懐かしい声音で、包まれるかのような笑顔を目にする。
「お久しぶり、祐巳さん。少し肌の色が良くなったんじゃない?」
週刊誌や新聞、テレビでは一時期、賑わいをもった彼女の写真。ただ、被害者が被害者なだけに一瞬でかき消された。その写真や映像で観た彼女は顔色も肌艶も色彩なく、他人の空似ではないかと感じられた。苗字も違う、何処か遠くの誰かさん。そう思って居られたら良かった。掘り下げられたネット情報を仕事の検索をしている際に開けた時に、他人でもないと知った。私の出身校でもある学園名がそこにはあった。
彼女たちとは越えれないラインがいつもあって、そのラインの最前列に居た私は彼女に好奇心を抜きにした、純粋な想いを多大にのせて取材をする。
「どうでしょう。〝今〟の私にはそれが良いのか悪いのか分かりませんから。」
祐巳さんが傷つけてしまった彼女たちは、この取材を快く思わずにいる。
「そうね、何もかも分からないことだらけ。だからこそ、私はどんな形にしろ口説きにきたのよ。」
色々な圧力から逃れる為に、そして私だけの責任ではない、その重荷が中間地点という視野を狭めない為に辞表を提出した。選ぶ言葉にも反感が来るかもしれない。構わない、情熱とは対象に惚れ込むことだから。
「昔から、変わらないんですね...私だけが変わり果てたんでしょうか...」
顔から一切の色を失くし、瞳は暗く淀む。数秒ののち、彼女は私に話を促してくる。
定型どうりに進む、黙秘や笑顔で交わされたりとまずまずの出だしだが、余す時間をつぎ込むからこその余裕があった。
受付で預けた荷物を返却と持ち込んだもののチェックを受け、玄関に足を向けてると後ろから声が掛かる。
「築山さん。会社、辞めたんですって?」
当時よりも気持ち低くなったこの声を忘れるわけはない。一緒の時間を過ごせて良かったと泣いた、当時の薔薇さまの一人。
「ええ、蓉子さま。対極をなしているのも、反感を買うことも承知の行動を今日から送るので。」
思わず居ずまいを正し、答える。そんな私を彼女の瞳はどう映るのだろうか。
「...そう。“あの子”だったからこその、事よね。引き留めておきながらごめんなさい、次があるから失礼するわね。」
ここ最近で癖になったのだろうか、眉間は和らぐことなく笑みとも言えない表情を共に残して立ち去る。
あの人も被害者なのだろう。
では、祐巳さんだけが加害者なのだろうか。
挨拶も返さぬままの私は駅に着いても、親からの連絡に応えている時も持参したテープレコーダを聞いている時にもずっと考えていた。
そして、記録者としてそれをいつか、かもしれないとしての何かを出せれるように。
続くかもしれませんね、これは...
こんなん書いてても、祐巳が好きです!
ただ、原作読んでいてもたらればでいくと、祐巳ってどこか危ういな~って待兼山には思います。
一ミリ、コンマミリでもずれたら...って思ってました。