初めての二人暮らしin101号室   作:larme

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10話記念って感じでしょうか?
でも、ここから2、3話くらいはキャラクターの説明的な会が続きそう……。
まあ、ここで新キャラが数人登場します!
楽しみにしてください。
まあ、新キャラといっても前回の話で軽く顔出し?的なことはしてましたが……。
では、どうぞ!


初めての自己紹介

体育倉庫から放り出された恭華はしばらく待つと、理菜と瑞希と謎の少女A&Bそして、Cまで一緒に来た。そういえば、前に理菜が同じ中学から5人上がってきたみたいなことを言ってたっけ?

「部長さんってどこにいるんですかぁ?」と、理菜。

「知らなーい」と、瑞希。

「別に探す必要もないんじゃないのか? どうせ、ここで部活をやるのだからここで待っていようぜ」と、長身の謎の少女A

「……」一言も声に出さずに謎の少女Aの影に隠れる謎の少女B。

…………。

そこから少し間が空いて

「ここに部長室と書いてある。きっとここにいるのだろう」謎の少女Cが言う。

そして、5人は体育倉庫の中へ入っていった。

なんか、この部活のメンバーは濃いなという印象。もともと、理菜と瑞希のことは知ってはいるがなかなか個性が強い印象があった。

謎の少女Aはまあ、まともな人だと思うよ。まだね。ただ、背が高いんだよ、マジで。

謎の少女Cはクール系の人物かと思ったらあのトイレの件の時だけキャラが崩れたような気がした。この子に関してもよくわからない。

でも、最もよくわからないのは謎の少女Bだ。恭華は顔はともかく、声さえも聞いたことがない。まさに謎。

このメンバーのキャラの強さ、つまり濃さを恭華は実感していた。

その5人は1分もせずに体育倉庫から出てきた。部長も一緒でてきていて、いやー、ヒッキーなのに珍しいと考えると同時に先輩に対してかなり失礼な第一印象を抱いていたのだなっと反省した。

さてさて、ここからは自己紹介コーナーだ。といっても、五人は知り合い同士。そこに恭華が入り込んだような形なので、実質、恭華はこの5人のために、5人は恭華のために自己紹介をするのだ。

確か、こんな言葉があったな。one for all,all for one。なんて、美しい言葉なのだ。恭華はしみじみそう思った。

「ふぁああ。じゃあ、まずは監督さんから自己紹介、お願いね」

面倒くさそうに言う部長さん。

「あ、はい。僕は池崎恭華です。バスケの経験は中学の頃までありました。当初はバスケを続ける予定はなかったんですが、まあ、なんやかんやありまして、今監督やることになりました。よろしくお願いします」

とりあえず、第一印象だけはよくしておこう。理菜や瑞希とこっちへ来てから初めてあったときはどちらも慌てた雰囲気だったから落ち着いて挨拶できるのは恭華にとってありがたかった。

「さて、次はだれ行きますかぁ?」

「私は最後で。監督が順番決めてあげなよ」

部長のくせに何もしないやつ。恭華の部長に対する評価は音を立てて悪くなる一方だ。

「えーと、じゃあ、中学時代のユニフォームの番号順で頼んでもいいかな? ポジションと名前、あと目標くらいかな?」

恭華が監督をする上で必要な情報はこれだけだと考えた。いや、臨時すぎたのでとりあえずポジションだけ把握してあとの必要な情報は必要な時に聞こうと思った。まあ、目標とかはおまけだ。

すると、突然理菜が謎の少女Cに耳打ちし始めた。部活の仲間なので、謎でもなんでもなくなったような気もするが、やはり行動には謎が多かったりする。

しかし、なぜ耳打ちを?

疑問を解決させてくれる間も無く、理菜が自己紹介をはじめた。

「私は不和理菜ですぅ。ポジションはポイントガードですぅ。目標は高校卒業までにナイスバディになることですぅ。よろしくですぅ」

ぱちぱちぱち……。

「……っておい待て」

「あれ?恭くんはナイスバディじゃわかりませんかぁ?じゃあ、悩殺ボディになることですぅ」

「……もういい」

何を言ってもわかってくれないだろう。目標はそんなことを聞きたいんじゃなかったのに。

「じゃあ、次は僕だね。僕は知っての通り瑞希。ポジションはスモールフォワード。目標は……そうだなぁ。両親の家の仕事の繁盛かな? よろしくね」

「お、おい」

「あれなんか違った?」

なんで、こんなにみんな目標の意味を取り違えるのだ? いや、バスケ部に入部して目標を聞かせてくださいと言われているのになんだこれは!?

「私の番だな。私は平井まりか。センターをやっている。目標は3ミリ縮むことだ」

「なんで、縮むの!?」

勝手に自己紹介を始められるし、なんかまたよくわからない目標を言い出すし。

「なぜって? 身長高いキャラはその身長の高さにコンプレックスを持ってるものだろう。知らないのか?そして、私も例外ではない。それだけのこと。あと、3ミリ縮めば174センチ代なのに……」

もう、何? この部活はみんなしてバカなの?

「はぁ……。こんなにバカばかりですまない。私は佐藤伶。ポジションはパワーフォワード。夏までにとあるシリーズを読みきることを目標にしている」

「わかったよ。次」

めんどくさい。恭華はそう思った。なぜって、みんな、目標がそれにそれまくって、バカばかりですまないというセリフからやっと現れた味方かって少し期待したらこの結果だ。

そして、すぐに次にふったのだが……。

なかなか謎の少女Bは平井まりかの後ろから出てこようとしない。

仕方なく、恭華はまりかの後ろに回りこんでその少女の肩をガシッと掴んだ。掴んでしまった。

すると、謎の少女Cは顔を紅潮させるような青ざめたような複雑な顔色になって……。

「ひぃいいいいい」

力ない悲鳴をあげてその場に倒れこんでしまった。

 

その子が目を覚ますまでにそれほど時間はかからなかった。が、その間に恭華は瑞希からその子の説明を受けた。

まず、名前は神保ののか。ポジションはシューティングガード。性格は極度の恥ずかしがり屋らしい。

「シューティングガードって結構プレッシャーかかるだろ? シュート打つ時とか」

「まあ、そうだけど、あの子の強いところはそこなんだよ」

「?」

恥ずかしがり屋のののかがさらにプレッシャーなんかかけられて大丈夫なのか?と疑問に思った恭華。それに対しての答えがなんとも意外で。

「あれぇ?恭くんに、前私話しましたよぉ、ののかっちゃのこと」

ごめん。全く記憶にない。というか、理菜のニックネームのセンスはどうにかならないものかな?

 

ののかのすごいところ見せてやるからと言った瑞希は目を覚ましたばかりの瑞希にバスケットボールを持たせ、コートのスリーポイントラインの外に立たせた。

そこでシュートを構えるののか。足が震えていて、恭華に見られている今の状態じゃとてもシュートどころじゃなかった。

しかし、瑞希がののかに魔法の言葉をかけた途端、ののかは顔を真っ赤にし、「ひぃー」と短く叫んでボールを投げた。すると、そのシュートはまっすぐリングをめがけて飛んでいき、綺麗にリングの中に収まった。

え?その魔法の言葉がなんなのかって?それは

「このシュートを決めなかったら、恭華くんの前で服を全部脱がすよ」だ。

もちろん、そんなことはさせないのだが、ののかがシュート決めた後に軽くこちらにドヤ顔を見せたことから、彼女は本気にしたのだろう。そして、それでプレッシャーを感じ。それを感じつつもしっかりとシュートを決めた。

この時、何日か前に理菜とトランプをした時の会話を思い出した。

「多分、緊張感が足りないんですぅ。決めました! 私、一度負けるたびに一枚脱ぎます」

「おい、なんてこと言い出すんだ!」

「でも、こうゆうプレッシャーの中で強くなるお友達いますよぉ」

 

そのお友達がこの子のことだったんだろう。確かにこのののかの姿を見るとプレッシャーの中で強くなるというのは納得。ただ、プレッシャーのかけ方に恭華を使う必要があったのかと腑に落ちない部分もあった。

めんどくさいとか、不安とかそんな感情もあった。だが、楽しみとか、この5人と一緒にバスケがしたいとかそんな感情が大きく膨らんで、恭華の中のバスケを遠ざける感情が消え失せてしまっていた。そして、あの子に対する謝罪の気持ちさえ……。


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