初めての二人暮らしin101号室   作:larme

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あー、一体由架ちゃんっていつ出てくるのだろう。
書いてる自分もじれったくなってきます!
それなのに、今回は伶の話。
前回は軽く、ののかの性格に触れたので今回が終われば、次回はきっとまりかの話になるでしょう
いや、ならないかもしれませんが……。
伶に関しての設定はそれなりに固まっているのですが、まりかは背が高いくらいの設定しかなくてw
もしかしたら、まりかの話はないかもしれませんね(笑)
まあ、この子は自分が書いてる中で固めていけたらいいかなって思います
で、今回は伶の話です。伶はちょっとおかしな行動をとってますよね。前々回でも、前回でも。それは何故なのか?
その謎が解決できる回だと思います。
それでは、長い前書きでしたがどうぞお楽しみください


初めての伶

佐藤伶という人物は無口な文学少女。たまにおかしな言動があるがそうゆう人だ。恭華が一週間、部活で彼女と触れ合って感じた印象。あまり、第一印象と変わらない。5人の中で一番謎が多い人物だった。

恭華は伶のことをもっと知りたいと思っていた。それは異性としてとかそんなのではなく、チームメイトとして。仲間のことを知りたいと思うことは当然だろう。

 

 

監督業に就任して一週間も経った。あの5人は普段は抜けていたり、ちょっと変わっていたりと変人だなって感じだけど部活になると一生懸命に汗を流した。そんな彼女たちの姿を見ている恭華の指導にも手探りではあるものの熱が入っていた。

そして、練習後のモップがけは恭華がする。監督という仕事をしてるからあまり汗をかかないので、何もしていないような気がして、一生懸命練習をしている彼女らに少しでも貢献できるようモップがけをしているのだ。……監督としてはまだまだだから。

ちなみにその間、部長さんはずっと体育倉庫のベッドの上で居眠り。その間というのは練習が始まってから恭華がモップをかけ終わるまで。

顧問の顔も見たことがない。この部活が成立してるのが不思議でたまらなかった。

さて、今日もいつも通りモップをかけ終えた恭華。帰るかと軽く伸びをしたあと、ふと体育倉庫の方を見ると人がいるような気配がした。いつもなら部長だなっと流すのだが、今日はそれはない。なんか、部活は補習に引っかかったらしい。

恭華はお化けなんて非科学的なものは信じない人。ずんずん体育倉庫の方に歩みを進め、その戸を開ける。

中には……倉庫の棚の中本をあさる伶の姿があった。なんで、ここの体育倉庫には本があるのだ? いや、ここはあの部長の休憩室だから仕方ないだろ。自問自答で疑問が解決すると目の前にいた人物に自分の注目が移る。

「伶、こんなところでなにやってるんだ?」

「!?」

驚いた表情だけ見せる伶。そこから、5秒ほど間が空いて

「本を探していた。私の好きな本があるのかを」

そうとだけ答える。恭華が伶に対して抱いていた疑問、それはこの5秒の間。伶と話すときはいつも、時間は違えど必ず会話の間に間が生まれるのだ。それは初めて喋った時もそう。もちろん、とっさに答えるときもある。その時はののかのように顔を変色させながらだが。

間を空ける理由。今まで恭華はこれが聞けなかった。でも、今なら二人きりだから、思い切って聞いてみようと思った。

「なあ、伶。なんでいっつも会話するときに間を空けるんだ?」

あまりにも直球だったか?伶も

「あ、え……それは……」

かなり戸惑っている。しかし、彼女は今までの中で一番長く時間をとってしっかり答えてくれた。

「ちょっと長くなるが、いいか?」

「ああ」

伶との会話で待たされるのは慣れている。おそらく長く話されても同じだろう。

「結論から言えば、私は人を傷つけるのが怖いからこれだけ返答に時間がかかる。私は言葉で人を傷つけて取り返しのつかないことをしてしまったとか、そんなことはない。だが、私はたくさんの言葉で傷つけられてきた。いわゆるいじめというやつだ。しかも、私は何もしてないのに、急にそうゆうグループの人たちから罵倒を浴びせられた。言葉にはこんなにも人を傷つける力があるのだと、私は自分の身をもって実感した。

その一方で私は、人を励ましたり、勇気付けたりする言葉にも出会った。それが小説だ。小説はいい。言葉は厳選された、正しいものだけが使われている。人を傷つけることがあってもその言葉には意味が宿っている。私を傷つけた言葉とは違う。それは作者が選び抜いた言葉。そんな言葉を選び抜くために私は時間をかける。人を傷つけないために。そして、その人のためになるようにだ。

私は人を傷つけてしまう言葉が許せないんだよ」

伶は……優しい女の子だ。それが今の恭華が抱いている印象。普段本を読んでいるのは自分が発する語彙を増やすためなのだろう。そして、その言葉の海に自分を泳がすため。伶にとって言葉とは最も憎むものであり、最も愛すべきもの。それは紙一重ですぐにどっちにでも変わりうる。だから、慎重に選ぶ。それが彼女の優しさ。

しかし、それでも恭華は納得しない。納得できない。

「よくわかったよ。でも、それは本当にお前の本心なのか?」

伶の話す言葉は本の中から引用してきたもので、伶の言葉では決してない。伶は本の中で学んだ言葉でしか話すことができなくなっている。

「僕は伶の本当の気持ちが知りたい。本当に今みたいな考えて考えて言葉を発するこの生活が楽しいのか? 本当の気持ちを話して欲しい。僕らはチームメイトだろ?」

自分はあることがあってチームメイトを裏切ってしまった。チームメイトに恨まれることは辛かった。だから、恭華は伶のことを裏切ってしまえないくらいに信じた。彼女が辛い思いをしないため、恭華自身も傷つかないため。

恭華の質問に伶が答えたのはすぐのことだった。

「……私は……何も気にせず話せる友達が欲しい」

搾り出すこともなく、純粋に本心を言った伶。伶の本心を理解したのなら、今度はそれに答えてあげる。それが友達だ。恭華は伶の両肩をガシッと掴んだ。

「なあ、友達ってさ。絶対にお互いを傷つけ合わない関係なのか? 違うだろ?本心を晒しあって、お互いにわかり合って時には傷つけあって、それでも仲直りしてまた笑いあって。それが友達だ。人を傷つけることを恐れてたら友達なんか作れないぞ」

「でも……」

「伶は理菜とか、瑞希とか、ののかとか、まりかのことは信頼できないのか? そんなことないだろう? それでも、まだ怖いなら僕が全部受け止めてやる。恐ろしい言葉だって全部受け止めて笑ってやる。だから、僕を友達にしてくれないか。伶のことをもっと知りたいんだ」

伶の顔がかあっと赤くなった。のだが、暗い体育倉庫の中なので恭華には見えなかった。

「じゃ、じゃあ……先週の自己紹介の時の目標をふざけたこと、うんざりしなかった? 理菜に恭くんならいいんですよぉ、そうゆうこと言ってもなんて言われたから言ったけど……」

「なんだ? あれのどこを気にする必要があるんだ? あの流れはぼけて正解だろ。むしろ、僕としては嬉しかったよ」

ここで見落としていたことが2つ。一つはなんだかんだ言って伶が理菜のことを信頼しているということ。そして、もう一つは……理菜の頭の回転がむちゃくちゃ早いことだ。まあ、二つ目はどうでもいいが。

伶はいきなり恭華に抱きついた。そして、恭華の胸で泣き始めた。

「私、人にもらった言葉で幸せだって思ったことはなかった。美しい言葉なんて小説の中にしかないって思ってた。でも、なんでこんなに私の胸はあったかいんだろう? なんでこんなに嬉しいんだろう? ねぇ、恭華くん」

「さあな」

普段のクールさからは考えられないくらいわんわん泣く伶。たぶん、これが本当の伶なんだろう。

さてさて、ここで体育倉庫の戸が開く。部員たちが恭華と伶を迎えに来たようだ。

「あれぇ? お二人熱々なんですねぇ」

「恭華くん、僕はふったくせにそんなことを体育倉庫でしてるんだね」

「破廉恥だ」

「ひいいい」

好き好きに罵倒を浴びせられる。なんか、本当に言葉って人を傷つけるものだな。

「ちょっと何を勘違いして……」

「強姦されるぅぅ!にげろぉぉ」

なんちゅうことを大声で叫んでるんだ。外に聞こえたらどうするんだよ。

そんな恭華の心配をよそに走り逃げてく四人。再び、恭華と伶の二人きりになった。

伶はすぅーと深呼吸して恭華にきいた。

「恭華くんは好きな人いるの?」

今度は恭華が少し間を空けて

「ああ」

とだけ答えた。

伶はこの言葉で傷ついたわけではない。なのになんでこんなに胸が痛むのだろう。いじめられてた時は全然違う、甘い切ない痛み。それが青春だって今はまだ気づかない伶であった。




これを書き終えて思った。
伶でも過去話を書けそうだな!なんて。
しかし、それはしばらく後にしましょう。

次回はどうしよう? まあ、何かしらを書きますよ←適当

それではまた次回まで。

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