瑞希……爽やか系イケメンの女の子。
うん、こんな感じ!
まあ、たぶん、読んでいただければどのような性格かは一発だと……。
それではお楽しみください。
高校の入学式って案外、すぐ終わるんだな。恭華の正直な感想だった。中学の卒業式がものすごく退屈な上にとてつもなく長いものだったから、余計あっさりしたものに感じられた。
ホームルームに入っても、新鮮味がなんとなく足りない。
というか、恭華にとっては101での出来事が衝撃的すぎたので多少のことでは何も感じない、ある意味で強い心を持ってしまったのかもしれない。
しかし、予想以外の出来事は一度起こったら、次々起こるのだ。
「こんにちは!僕、瑞希っていうんだ。よろしくね!」
急にかなり大きなしかも元気な声で話しかけてこられて恭華は驚いた。
目の前にはかなり可愛らしい顔をしたイケメンが立っていた。イケメンなのに、なぜか女性ものの制服を見にまとっていた。
「なんで、女物の制服着てるんだ?」
恭華は自己紹介も忘れて、疑問に思ったことを聞いた。
「あはは、やだな。僕、女の子だよ。信じられないなら胸でも触ってみる?」
「は?」
恭華は少なからず、慌てた。初めて会った女の子にそんなこと言われたら誰だって焦るだろう。
「面白い顔をするんだね、君」
目の前のイケメンはしてやったと言わんばかりの顔をしていた。
「もちろん、冗談だよ。まさか、本気にしちゃった?」
「んなわけ」
「そんなことしないよ。だって、君、理菜っちと付き合ってるんでしょ?」
「はああああ!?」
思わず、大声を出してしまった。クラス中の注目を集めてしまった恭華。そんな恭華を構うことなく話を続ける瑞希。
「だって、君と理菜っち、毎日のようにファミレスでご飯食べてたじゃん。しかも、お互いのこと、恭くん、理菜ちなんって呼びあっちゃってさ」
ニヤニヤしながら楽しそうに話す瑞希。
「ちょ、それは……」
「またまた〜。僕、羨ましくなっちゃったよ、理菜っちに彼氏がいたなんてね」
反論も聞いてもらえない恭華。その恭華の頭の中はフル回転していた。まず、誤解を解かなくては。でも、理菜と同じ部屋で暮らしているのは知られちゃまずい。仕方ない。少し嘘も混ぜて言い訳を。
「えーと。実はだな、僕たち、ちょっとした親戚で、そうゆうつながりでおばの家に泊まってたんだよ。で、そのおばが適当な人でさ。小遣いやるからとかで飯食ってこいって。だから仕方なく、本当に本当に仕方なくファミレスで毎日食事をしてたんだよ」
かなり嘘だらけだが、本当のこともある。例えば、おばが適当であることとか……まあ、それだけだ。
そんな恭華の発言中、瑞希はずっと疑いの目を向けながら聞いていた。
「ふーん」
瑞希はしばらく何かを考えてるようなそぶりを見せると。
「わかった、そうゆうことにしといてあげるよ」
と言って、強引に恭華の腕を引っ張った。
「ちょ、何するんだよ?」
「いや、僕も理菜っちに用があったし、君も一緒にどうかなって思って」
「僕、別にあいつに用なんて……」
瑞希ら恭華の言葉を最後まで聞かないまま、その腕をさらに強く引っ張って教室から駆け出した。
なんでこんな変な女ばっかに絡まれるのだろうか。恭華の最近の悩みである。
「そういえば、何で僕と理菜が一緒にファミレスにいたこと知ってたんだ?」
走りながら聞く恭華。それにしても瑞希の走るスピードは恭華も全力に近いものを出さないと追いつけないもので驚いた。
「え?だってあそこ、僕の親が経営してる店だし」
あいつめ。なぜ、わざわざ、友人と出くわしてしまう確率が高い店を選んだのだ?それなら、恋人同士だと勘違いされねも仕方ないのかもしれない。
「お〜い!理菜っち〜!!」
どうやら、もう理菜のいる教室についたようだ。
「おお、みずぽんぽんに恭くんじゃないですかぁ」
みずぽんぽん……。本名の倍の文字数があるこのあだ名に何の意味があるのだろうか。
「どうしたんですかぁ。腕なんて組んじゃって〜。恋人さんですかぁ」
いや、瑞希の勘違いは仕方ないとしても、その捉え方はおかしいだろ。まず、腕を組んでなんかいない。一方的に引っ張られている。
否定しようとして口を動かそうとすると。
「そうなんだよ。僕たち付き合ってるんだ。僕の一目惚れでさ」
こいつは何を言いだすんだ!恭華の頭は混乱し始めた。
「知らなかったですぅ。恭くんがそんな女たらしなんておもいませんでしたぁ」
「は?たらしってなんだよ!」
「うっさいですぅ。恭くんは黙っててくださいですぅ」
誰か、僕はどうしたらいいのか教えてください。という恭華の思いは誰にも届かない。
理菜がプンプン顔、恭華が辛そうな顔をしていると急に瑞希が「あはは」と笑いだした。
「本当、理菜はからかい甲斐があって面白いな」
恭華は自分はちょっと苦しい思いをしたのに、こいつは楽しんでやがったのか、と考える怒りが湧いてきて、瑞希をギロリと睨みつけた。
「ごめんごめん、悪かったよ、恭華くん」
「えぇ、冗談だったんですかぁ。恭くんにたらしなんて言っちゃいましたぁ。すみませんですぅ」
恭華は理菜が誤解を解いてくれたことが嬉しい。
「恭くんは私だけのものですからねぇ」
しかし、一言多い。
「ん?それはどうゆうことかな?気になっちゃうな僕」
「えーと、それはまた今度で」
「あはは、それでいいよ。恭華くんも疲れてるみたいだしね」
なるほど、彼……じゃなくて彼女は一応、限度というものを理解しているようだ、と恭華は感心した。
「あれぇ。どうして、みずぽんぽんはここに来たんですかぁ?」
「あ、忘れてた。僕、理菜っちを誘いに来たんだよ。一緒にバスケ行こうって」
「おぉ。いいですねぇ。私、みんなを誘ってきますぅ」
そう言ってどこかへ走っていく理菜。
「瑞希……さん?」
「瑞希でいいよ」
「みんなって誰なんだ?」
「僕とか理菜っちの中学時代のバスケ部の仲間だよ。5人ともこの荒涼に進学したんだ」
「へぇー。ちなみに、瑞希はポジションどこだったんだ?」
疑問に思ったことはすぐに聞いてしまうのが、恭華の性格のようだ。
「あ、僕? 僕はスモールフォワードだよ」
恭華が理菜にふさわしいと考えていた、速攻に走るポジションの一つ。それがスモールフォワードだ。
「理菜はポイントガードにふさわしいと思うか?」
すると、予想外の答えが返ってきたのだった。
「僕たちのポイントガードは理菜っちしかありえないよ」
理菜はほんの数分で帰ってきた。
「みんなOKですぅ。一時に西公園集合ですぅ」
恭華は一度、この西公園のことを朝のランニングで理菜から紹介されていた。バスケのリングがあるのは当然なのだが、その周りの地面がコンクリートのようなもので固められていて、コートの半面分のラインが引かれている。恭華がバスケのしやすい環境が整えられた場所だなと感じた公園だった。
恭華はパッと時計を見た。時間は12時。
「おい、洗濯物はどうするんだ?」
「あ、考えてませんでしたぁ」
恭華は後悔した。この会話を交わしたことを。正確には瑞希の前でこの会話をしてしまったことを。
「洗濯物ってどうゆうことかな?僕気になっちゃうな」
「えーと、それはだな……」
「実は私と恭くんと一緒に……」
「わあああああ!!」
恭華は理菜の言葉を急いで遮り、彼女の口を塞いだ。
「どうしたの?恭華くん」
楽しんでやがる。こいつ絶対楽しんでやがる。
もう嫌だ。逃げたい。誰かこの場をしのげるうまい嘘を教えてくれよ。そんな思いも誰にも届かない。
「あはは。君達二人は本当に面白い顔をする」
恭華にとって、理菜と瑞希、その二人を同時に相手をするのは本当に疲れるものだと実感した今日だった。
恭華たちは待ち合わせを2時に変更してもらい、一旦家に帰って、いつも通りのコインランドリーからのファミレスのルートを辿ることにした。
もう、5話も投稿することができました。
かなり話も溜まってきたので、普通のラノベってどのくらいの文字数があるのだろうって調べてみたらもう驚き。
300ページのラノベで約12万字あるそうです。
12万って……
今まで書いた量の6倍以上書かないといけないんですね。
気が遠くなる量です。
まあ、趣味の範囲で書いている作品なので、ライトノベルより、ライトな小説として読んでいただければ幸いです。
また、次回まで。