初めての二人暮らしin101号室   作:larme

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もともと、メインヒロインにするつもりのなかった瑞希を思い切ってメインに昇格させることにしました。

2週間も投稿できなくてすみませんでした




初めての再会

「やっぱり来たね、理菜っちと恭華くん!」

ファミレスにきてみて思い出した。ここには瑞希がいる。恭華は瑞希と理菜のコンビから逃げてきたのに、これでは本末転倒である。

「おお。みずぽんぽんじゃないですかぁ。また、会っちゃいましたねぇ」

と、たまたま再会したかのように言う理菜。ただ、この再会は偶然ではなく、必然だろう。ここに、瑞希がいるのはとうぜんなわけだし。

瑞希は一応店員らしく席に案内してみせた。そして、謎の言葉を吐いた。

「すみません。個室を用意することができなくて」

ニヤニヤした顔を見せる瑞希。まだ、こいつは勘違いしているのかとそれを見る恭華。

「それってどうゆうことですかぁ?」

素直に疑問に思ったことを口にする理菜。

「そりゃ、個室の方が2人でのんびりイチャイチャできるじゃん」

そうとしか考えられないでしょ?と言わんばかりの瑞希の顔。

「大丈夫ですぅ。家で毎日して……」

「ストオオオォォォッップ!!!」

何を言いだすんだこいつ。気持ちより先に口が動いた恭華。そのせいで店中の集めてしまった。ザ・デジャブ。

「お客様。そのような大声を出されては他のお客様のご迷惑になられます。これ以上、迷惑行為を繰り返されるのであれば、おかえりいただくこともありますので、お静かになさってください」

急に口調を変えて丁寧に話し出す瑞希。そんな瑞希に対する恭華の怒りはグングン増していく。正確には瑞希と理菜に対する怒りがだ。

「恭くん、顔を真っ赤にしてどうしたんですかぁ?初恋ですかぁ?」

恭華は自身の頭の中で何かがプチンと切れたのを感じた。顔が赤いのは間違いなくお前らのせいだ。なのに、おまえは……といった感じに怒りが収まらない恭華。

「カツ丼大盛り二つ。こいつにはお子様ランチを!」

腹が立ったら、腹を満たすと腹を決めた。ちなみに、理菜にお子様ランチを頼んだのは腹いせだ。

「私、お子様ランチじゃないですぅ。私もカツ丼がいいですぅ」

「あらあら、恋人同士、仲良く同じものを注文なさるんですね」

「お前、あとでゆっくり話がしたい」

瑞希を黙らせるためにはいったん理菜を外して二人でゆっくり話し合うしかないと考えた恭華。

「うん、それいいね!僕も久々に恭華くんとゆっくりお話ししたいよ」

そう言いながら、引っ込んで行く瑞希。その後ろ姿はとても楽しそうなものだった。

「恭くん、久々ってどうゆうことですかぁ?」

瑞希の後姿を眺めていた恭華の顔を横から見ていた理菜が聞く。

「さあな」

理菜の方に向き直ることもなくぼんやり答える恭華。その疑問は恭華も抱いていたもので、ずっと考えていたのだ。

だって、恭華の知っている人に“みずき"って名前の人は……。

 

 

食事を終えた後、理菜はいったん洗濯のために家に帰ることになった。そのため、恭華と瑞希の二人で公園に向かう。

恭華は食後ということもあったし、のんびり歩きながら行こうと考えていた。色々と聞きたいこともあるし。

それなのに、瑞希は恭華の気持ちを察するはずもなく強引に手を引く。

「ねぇ、恭華くん。こうやってしてると思い出さない?」

急にそんなことを聞く瑞希。でも、確かに恭華はあることを思い出していた。それは小学校の時の話なのだが。恭華のたどり着いた結論は彼にとってものすごく意外なものだった。

「まさか、みずき……くん?」

その人物は恭華をバスケットボールに誘った人物。

しかし……

「うん、そうだよ!」

その結論には腑に落ちない点があった。だって……

「瑞希くんって女の子だったの!?」

恭華をバスケに誘った人物は男の子だったはず。彼の頭の中は混乱し始めた。何一つとして頭の整理がつかない状態の恭華を無視して喋り出す瑞希。

「その顔は混乱してるね」

「そりゃするさ」

ずっと、男だと思っていた人物が実は女だったなんて知ったらな。

「じゃあ、何で僕のことを男の子だと思ったの?」

「そりゃ、一人称が僕だったし」

恭華は彼をバスケに誘った人物の姿を思い浮かべて頭を整理しながら答えていく。

しかし、その特徴は目の前の人物にも当てはまる。

「あと、髪が短かったし」

それも当てはまる。

「えーと、あとは……。僕の手を引いていろんな所に連れて行って……」

今、まさにその状態だ。恭華はあの時、男の子に手を引かれているのだと思って何も感じなかった。いや、そうやって彼の手を強く引く姿が男の子にしか見えなかったのかもしれない。

「あはは。そりゃ完全に恭華くんの勘違いだったわけだね。今時、ボクっ娘は珍しくないよ。ショートだって多いし。それに手を引っ張るのだってグイグイ行きたいじゃん。仲良し相手にはさ」

「えーと、ごめんな。僕は瑞希のことを忘れてたのに、瑞希は僕のことを覚えていて、しかも、昔みたいに仲良くしてくれようとして……」

恭華としては別に忘れてたわけではなく、ただ、瑞希の言うように勘違いしていただけなのだが、それでも申し訳ない気持ちが溢れてきた。

「あはは。やっぱむかしと変わらないね、恭華くん」

「え?」

「いや、その顔はリアルに謝ってるんだってわかるけどさ。冷静に考えてみてよ。小さい時はともかく、女の子が昔のように仲良くしたいからってグイグイ男の子の手を引っ張ると思う?」

「え、そりゃあ……」

だって、さっき瑞希が言ったし。恭華のその言葉は瑞希の真剣な眼差しによって抑え込まれた。

「僕ね、恭華くんと理菜っちが付き合ってないってわかったとき、すごく安心したんだ」

恭華はこの時点で瑞希の気持ちを汲み取ることができた。

「ね?恭華くんはキスしたことある?」

「……はぁ!?あ、あるわけないだろ!」

急に瑞希が女の子らしい仕草をさながら、そんなことを言うので動揺せずにはいられない恭華。

ちなみに、理菜が恭華のほっぺにキスをしたことがあるのだが、そのとき恭華は寝てたのでノーカウント。

「僕と……僕とキスしてみない?」

瑞希は唇に人差し指を当てながらそう言う。恭華の頭は再び混乱し始めた。

「僕ね、ずっと恭華くんのことが……」

「ごめん」

頭の中がまとまっていない状態のまま、恭華は瑞希の声を遮ってからなんとか言葉を紡ぎ出した。

「僕にはずっと思っている人がいるんだ。今は、僕がその人のことを裏切ってしまったから二度と会う資格なんてないのだけど、それでもその人のことが忘れられないから」

その言葉を聞く、瑞希の表情が徐々に怒りや悔しさに満ちたものに変わっていった。

「それって……由架ちゃんのことだよね」

さっきまでの瑞希からは全く考えられない、暗く低い声でそれだけを聞く。

「ああ」

恭華もそれ以上は何も言わない。何も言えない。

そうやって、二人の間にしばらく無言の時間が流れた。




後書き、ちょっと長いです

今回は約2週間ぶりの投稿でした。
実はクラナドというアニメを見て、AIRというゲームを少ししていたのですが、それをやった後なぜかなかなかペンが進まなくて。
Keyの素晴らしさ、圧倒的な何かを感じて、麻枝准さんの作品を目にしてしまうと自分の作品がダメダメなものだと感じられ、どうしても続きを書くことができなくなってました。
でも、自分の作品がダメだとしても、それを評価してくれた人がいて、そのことがとても嬉しかったこと、それを思い出すと、まだ書かなくちゃって気持ちになって。
今はこのレベルでいいんだって吹っ切れて書いてます。
もし、自分の作品を好きでいてくれる人がいたらその人に支えてもらって成長していければいいなと思います。
より、たくさんの人に読んでいただける作品にできるように頑張りたいです。
あ、あと、Key作品に圧倒されたといっても、感動系を考えているわけではなく、あくまでラブコメなので悪しからず。

それではまた次回まで

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