初めての二人暮らしin101号室   作:larme

7 / 20
瑞希メインの過去話。
この話はこの先の展開で重要な話になると思うので、是非読んでください


初めての昔話 瑞希編

今日は僕、川澄瑞希の昔話をしよう。

僕はお兄ちゃんが二人いて、その影響で小学1年の時からバスケを始めた。女バスが無かったことも影響してお兄ちゃんたちと同じコートで練習に参加していた。僕の一人称がこうなったのもお兄ちゃんの影響で、昔は僕はお兄ちゃんが大好きだった。今は口にしていうのが恥ずかしいだけで、もちろん今でもそうだ。

そんな僕がお兄ちゃんに影響されずに初めて抱いた感情。それが恋だった。といっても、小学生のそれだ。今、抱く恋という感覚とは思いっきり違う。気になるって言った方が正確なのかな? とりあえず、その恋という感覚を初めて抱いたのは小学3年生の時。

あ、今、「え?その時期に恋ww」って感じでバカにしたでしょ? バカにしないでよ。この時の気持ちは今でもずっと続いてるんだから。

その子は、僕らが体育館で練習してるのを真剣に覗いてたの。最初はなんだろうって思うだけだったんだけど、次の日も、そのまた次の日も練習がある日は毎日、体育館を覗いてた。

そんな、彼のことに少し興味が湧いてきた。だから、僕思い切って話しかけたの。

「こんにちは!僕、瑞希っていうんだ。よろしくね!」

その人こそ恭華くんだった。その時の恭華くんの急に声をかけられて戸惑った顔はとても可愛かったことが印象に残っている。

僕はなぜか恭華くんの腕を引っ張った。

「一緒にバスケしよう」

そうとだけ言って。

すると、彼は頷いてくれた。僕は嬉しかった。ちょっと気になってた人と一緒に好きなことをできるのだから。

それから、彼は僕の参加しているミニバスのクラブに入った。僕と彼はすぐに仲良くなった。クラブがない日は毎日、リングのある河川敷へ行ってずっと一対一をするくらいに。

そんな彼に毎日触れることで僕の中のなんとなく気になっていたという感覚がはっきりとした好きという感覚に変わっていった。

恭華くんはすごかった。始めてから数ヶ月で僕より高性能かつ綺麗なジャンプシュートをうてるようになった。僕は悔しかったけど、そんな彼に憧れてさらに思いが募ったりもした。まあ、彼は僕のことを男の子だと勘違いしてたみたいで、そんな気持ちは抱いてなかったみたいだが……。だが、距離感が続いてくれるんならそれでいい。

僕と彼の関係は毎日続いた。そして、ずっと続くんだと思っていた。

でも……。

いつものように河川敷で恭華くんとバスケをしてた時のことだった。僕らの姿を真剣に眺める一つの影があった。その子は僕らを羨ましく思うような、どこか寂しいようなとても、哀しい瞳をしていた。

心優しい恭華くんはその子をほっとけなかった。僕が恭華くんの手を引いたように、彼もその少女の手を引っ張った。僕はちょっと嫉妬した。

それから、僕と恭華くんとその子、由架ちゃんとでバスケをすることになった。

由架ちゃんだけ通ってる学校が違ったので、一緒にクラブに参加することできなかったが、河川敷ではいつも三人。悔しかった。二人が良かった。二人でずっと……。

しかも、その由架ちゃんは僕ができなかった、恭華くんのシュートを軽々真似してみせた。そんな由架ちゃんを恭華くんは構ってばかりで僕のことを見てくれなくなった。僕は毎晩泣いた。いつも、二人で一緒にいて、一緒にバスケして楽しい時間が毎日流れてたのに、それを由架ちゃんに奪われた。

だから、僕は由架ちゃんが嫌い。でも、表向きだけは繕った。たまに、一緒に遊びに行ったりもした。恭華くんと由架ちゃんと恭華くんと僕と、あと、恭華くんのおばさんが車を用意してくれて。いろんな所に行った。

僕は恭華くんを、由架ちゃんに取られちゃいけないって必死に恭華くんの腕を引っ張った。それが彼の腕を引っ張るようになったきっかけ。もともと、バスケに誘った時もそうやって誘ったけど。

それが小5の時くらいの話で……。

僕はそのちょっと後、小6の冬くらいに転校することになった。これで、恭華くんは由架ちゃんに取られる。僕は行動を起こすこともできずにただただ悔しい思いをした。

その後の彼らのことは僕は知らない。新しい学校に行ってからも新しい友達をすぐに作って、バスケ部に入ってそれはそれでとても楽しかった。

ただ、前の学校のことがどうしても気になってどうも落ち着かなかった。そんな中で中3の時に一通来たメール。由架ちゃんの私、嫌われちゃったかもってそんなメール。それを喜んでしまった僕は最低なのかもしれない。

そして、月日は流れて、僕と新しい学校でできた仲間たちは同じ高校に進学することになった。もう、向こうのことを心配することもなくなった僕は、そのことを素直に喜んで素直に楽しんだ。

で、僕が親の手伝いをしてる時、恭華くんと僕の新しい友達、理菜っちが来てるのを見かけた。久々にみた恭華くんは相変わらずかっこよかった。

ただ、まあ、その2人が一緒にいることは安心しきってた僕にとっては大事件だったわけで急いで事情を知ってそうな人を探した。理菜っちと恭華くんの繋がる部分、美鈴さんに電話をした。

僕は美鈴さんのことを知ってたし、それは恭華くんを通してでも、理菜っちを通してでもそうであった。

そこで僕は事情を知って、そして、昔できなかったアプローチを彼に仕掛けることにした。

それが今日の入学式の放課後だった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。