僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた。   作:楠富 つかさ

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#15 新入生研修 1日目 そのさん

「おぉ……」

 

銭湯に近い空間が広がっていた。洗い場がけっこうな数あって、浴槽も大きい。おおよそ30人が入るから当然と言われれば当然か。足触りは悪くないが、滑ることもない床を歩いて、開いている洗い場の椅子に腰掛ける。

 

「隣、いいかな?」

 

もなかちゃんに声をかけられて、ボクも隣に座るよう促す。

 

「ユウちゃん、やっぱり大きいね、胸」

「ちょ、もなかちゃん!」

 

ごめんごめんと平謝りするもなかちゃんに、ボクも言い返してみる。

 

「もなかちゃんだって、小さい方じゃないだろうし、バランスが整ってて綺麗だと思うんだけどなぁ」

 

膨らみはしっかりありつつ、ウエストはきゅっとくびれていて、魅力的だと思う。……感覚が完全に女の子になってる。目の前に裸の女の子がいるのに、動揺とか全くない。そもそも、お風呂で自分の裸を毎日みていたせいで耐性が出来たのかなぁ。

 

「ちょ、ユウちゃん! そんなに見られたら恥ずかしいって」

「あ、ごめん……意地悪が過ぎたね」

「まぁ、褒めてもらったわけだから、嬉しいんだけどね」

 

照れたように頬をかいて、一気に頭からシャワーを被るもなかちゃん。ボクもシャワーを浴びて、髪を洗い始める。毛先が肩より下まで伸びた髪を、丁寧に洗っていく。泡を全て流し終えた髪を、浴槽に浸らないようにタオルを使って上げる。

 

「ユウちゃん、手際いいね」

「いつもこうしてるからかな」

「そっかぁ。そういうとこで女子力の差がついちゃうんだね。私、家だったら妥協しちゃうもん」

「まぁ、手間だもんね」

 

髪を長い時間お湯に浸していると傷んでしまう。ただ、自宅でもタオル巻く人は意外と少ないって聞いたことがある。

 

「まぁ、こういうおおきいお風呂に入る時は上げるけどね」

 

二人して浴槽へ入ると、既に初美さんがいて、

 

「随分と打ち解けたみたいだな、アタシも混ぜてくれよ」

 

なんて声かけてきたり、保険係の集まりから戻ってきた千歳ちゃんも加わったりで、賑やかなお風呂タイムを満喫できたと思う。

 

「じゃあ、上がろうか」

 

麻琴や明音さんもいればもっと楽しかったんだろうけど、こればっかりは仕方ない。身体を拭いて、流石に家と同じようにはいかないので、袋から下着を取り出そうとしたら、

 

「ん? え!」

 

一着のワンピースが出てきた。一緒に入っていたメモに、せっかくだから着なさいという母からのメッセージが記されていた。しょうがないか。下着を身に着けてから、ワンピースを頭から被る。一応、半袖になっている。

 

「お姫さん、可愛いなぁ。ほんまにお姫様みたいや」

「千歳ちゃんは浴衣なんだぁ。真っ白な肌襦袢を想像していたよ」

「そんなん朝の禊やないんやから」

「巫女さんってそんなんするのか!?」

 

驚いたのはジャージ姿の初美さん。ジャージ、なんとなく想像していた。

 

「せぇへんよ」

「しないんかい!」

 

初美さんと千歳ちゃんは全然タイプが違うから、けっこう不安要素だったんだけど、案外大丈夫なものだね。

 

「さてさて、麻琴と明音さんが寂しがってるかもだから、いい加減戻ろうか」

「だな」

「せやな」

 

時刻は五時五十五分。新入生研修の一日目は、もう少し続く。

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