僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた。   作:楠富 つかさ

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#24 お買い物しよう

「沢山買ったねぇ」

 

あちこちの店を覗いては買うか悩んだり、いざ買うとなるとレジの列に並んだり、試着しようとすれば、そこも行列になっていたりとしているうちに時刻はとっくに一時を過ぎていた。お腹も空いてきたのでテーブルのある広場で、

 

「お弁当を持ってきてたんだ! 重たくなかった?」

 

篭バックに入れていたお弁当箱を取り出す。正直な話、かなり重たかった……。買った服や小物はまとめて麻琴が持ってくれていたけど。

 

「平気だよ。さ、食べよう。天気も予報外れに曇ってきちゃったし」

 

てきぱきとウェットティッシュと割り箸を四膳配る。手を合わせて食べ始める。お弁当箱は小さなおむすびの段とおかずの段に分けてある。四方から箸が伸びる。

 

「美味しい〜! ユウちゃんいいお嫁さんになれるよね!!」

「そぉだねぇ〜羨ましいなぁ〜」

 

唐揚げを頬張った初美さんに玉子焼きを頬張った明音さんが同意した

 

「なれるかな〜?」

 

キャベツの炒め物をモグモグしていた麻琴が、勢いよくそれを飲み込んでテーブルを叩きながら立ち上がった。

 

「あたしがそうはさせない!!」

 

な……何を言ってるのよ……。何も言葉が出ないよ……。私が呆然としていると、

 

「わ、忘れてっ、今のナシ!!」

 

普段とは違う真剣な声色に二人は気付いただろうか?

 

「ユウちゃんは愛されているのねぇ〜」

 

明音さんの一言で固まった空気は払拭されだが……。

 

 

その帰り道のことだった。

 

「送ってくよ。また何かあったら心配だし……」

 

駅で初美さんと明音さんと別れた後に、麻琴が私に提案してきた。

麻琴が心配しているのは、セクハラ被害のことだ。部活の終了時刻の関係で帰り道で一人になることが多くなり人通りも少ないため、非常に狙われ易いのかもしれない。この前に現れた時には、取り敢えず撃退に成功した。ほら、ボクだって曲がりなりにも少林寺拳法の有段者だし。女の子になって小回りも効くし。ただ……体力面は……うぅん。ま、一人だったから余裕だったけどね。

 

「複数人で来たら無理だから、一人で帰っちゃダメだよ」

 

帰り道ではボクの手は麻琴に握られていた。指を絡ます恋人繋ぎで……。

 

「お昼のことにも通ずると思うんだけど……あたしとしては、悠希にセクハラで怖い思いはしてほしくないし……」

 

なんとなくだが、ここまでは友達想いのいい話に思えるのだが、麻琴に限ってこれで終わる訳がない……。

 

「悠希にはこう……なんだろう? 純潔でいてほしいというか……。誰かに汚されたくないというか……」

 

ようするに独占欲が出たんだ。ちょっぴり意外かも。でも……、

 

「ねぇ、麻琴は……誰が好きなの?」

 

"ボク"の口を吐いたのは、そんな言葉だった。甘く優しい声は……何に響くだろうか……。

 

「もちろん悠希だよ。"今"の悠希なのか"昔"の悠希かは……分からないかも。悠希は?」

 

……そっか…なら、ボクの想いは言わぬが花、かな。

 

「女の子には秘密の一つや二つ、なくっちゃだよ!!」

 

………視界がちょっとぼやけるのは、雲間から刺さる日の光のせいかな?

 

 

 

 

はぁ……これじゃどっちが百合なのか、分からないじゃん……。

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