僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた。   作:楠富 つかさ

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#27 虹色アーチ

「いや〜悠希とお風呂なんて今まで考えたことなかったよ」

 

………いや、そりゃそうでしょうよ。

 

「にしても、やけにハイテンションね」

 

どれくらいハイテンションかって? そりゃ、調子っ外れな鼻歌を歌う程にはテンションが高い。

 

「だって〜悠希と湯船に二人っきりでしょ? なにこの肌色率ってなるし、あーでも手のやり場に困っちゃうな〜。ほら、上も下もや――痛い痛い痛い!! 首はヤバい!!」

 

いくらなんでもRが15で足りなくなりかねないので、ここらでストップ。そもそも、手のやり場に困るの時点で突っ込みたかった。目ですらないのか、と。

 

「あーでも揺れる"いいもの"見れたか――目潰しはアウトだっ……フェイントで本命はデコピンか……あふ……あは……」

 

こ、コイツ……真正の変態淑女か……。ダメだ……このままじゃ二人して新たな性癖が露見しかねない……。いや、麻琴は既に同性愛に目覚めて……いや、それはお互い様の可能性があるから言わないべきか……。

 

「ま、落ち着いて落ち着いて」

「いや、麻琴が落ち着いてよ!!」

 

 

「お姉ちゃーん!! お風呂上がったけど?」

「あー長かったわね。麻琴ちゃんは私のサイズで合うかしら。取り敢えず新品を出しておいたから一式プレゼントするわ。なーに気にしないで、悠希がお世話になってるお礼と思って受け取って」

 

ボクには昼間に乾かしていたであろう昨日着ていた服を渡された。パジャマでいいのに……。

ちなみに姉が麻琴に渡した服とは……、

 

「に、似合うかな? 私服のスカートなんて暫く穿いてなかったし……」

 

寒色系のドレスシャツにモノトーンカラーのタイ、それに黒いスカート。黒といっても真っ黒ではなく、フリルと銀の刺繍が施されている。さすが大学生のコーデ。いや、母のチョイスなんだろうけど。大人っぽくなりすぎない絶妙なコーデだ。

 

「素直に似合うと思うよ」

 

率直に誉めると麻琴は照れたように俯く。久々に見る表情かも。

 

「部屋でちょっと休もうか」

 

そう言って階段を昇り、麻琴を誘うのだが……、

 

「お、誘われてるねあたし♪」

 

ボクと麻琴の間で誘うの意味に差異が生じているっぽい。

 

 

「おーここが悠希の部屋か! 去年と全然違うね!!」

 

いや、そりゃそうだろうね。ん〜なんか今日のボクは"いや"と"そもそも"を乱用している気がしてならない……。気のせいにしておこう。

 

「まあね。ま、座って……て、もう座ってるし! いや、ベッドに座らないでよ!!」

 

しかも右手でマットレスをトントンしているということは、呼ばれてる?

 

(行ったら最後、麻琴の毒牙にかかってしまうわ)

(もう別によくね? 流されちゃえば?)

 

ボクの中で天使と悪魔が議論を始めた。いや、なんか前提がおかしいぞ。無意味な思考を放棄して窓の外を見る。

 

「ん? 晴れてきたね」

 

空はすっかり晴れ渡り、あの雨がウソのようだ。

 

「外いってみっか」

 

麻琴が立ち上がってボクの手をとる。ちょ、階段は危ない!!

二人とも登下校で履く革靴は濡れているので、麻琴は新聞回収に使われるサンダル。ボクはクロックスで外にでる。

まだ空気は湿っているが青空が清々しい。

 

「見てよあっち」

「わぁ〜!!」

 

太陽の光で輝く七色のアーチ、こんなに大きくてくっきり見えるのは初めてかも。

 

「こんな雨の一日も……」

「「いいよね♪」」

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