僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた。 作:楠富 つかさ
さて、お昼を食べてから一休みし、麻琴と夕飯の買い出しに出掛けることになった。時刻は三時を回ったくらいだろうか。近所のスーパーへ向かう間に麻琴にリクエストを聞いてみる。
「やっぱり悠希の唐揚げをお腹いっぱいまで食べたいなぁ」
「じゃ、今晩は唐揚げということで。他には?」
「そうだなぁ……。エビチリとか?」
エビチリか……。いい海老あるかな? 取り敢えず、サラダは必要になるね。お味噌汁には……キャベツかもやしをいれようかな。
「うん、メニューは決まった。さ、買うもの買って帰ろう」
「なんか、こうしてると新婚さんっぽいよね」
「う……あ……んなことないし!!」
多少の恥じらいに頬を染めつつ、スーパーまですたすたと歩く。ちょっと熱い。家から歩いて行ける場所にあるスーパーの店内に入ると、冷房の涼しさが心地良い。
「さ、買うもの買って、さっさと帰るよ」
かなりの量の鶏肉と、一緒に揚げる冷凍のシュウマイ、エビチリ用の海老と玉ねぎ。サラダに使うレタスとキュウリとトマト。あとニンニクのチューブも。店内をてきぱき回って、欲しい品物をカゴに入れていく。一応、その他にめぼしい商品がないか目を光らせる。そんな中、思いの外いい感じのタマネギを発見し、脳内に思い描いていた献立から味噌汁を却下して中華スープに変更。卵は家にあるしカニカマもそろそろ使いたい。キノコの売り場を確認して椎茸を追加で購入。お買い物用の財布からお会計を済ませてお店をあとにする。
「荷物持つよ。油買ったから重いでしょ?」
こういう心意気は素直に嬉しいんだけど……。ま、いいや。指を絡められた左手には何も言わないでおこう。麻琴の手、やっぱりちょっとだけ大きく感じる。
家に帰ると丁度お母さんが仕事に出るとこだった。
「唐揚げ何個か残しといとくから。いってらっしゃい!」
仕事に出る母を見送り、いつものエプロンをつけてキッチンに立つ。ボウルに鶏肉を出し揚げるための準備をする。流石に量が多い。入れる物を全部入れると味を馴染ませるために、放置しつつ海老の下ごしらえをし始める。
「手伝おうか?」
キッチンに顔を覗かせる麻琴に戦力外通告を突き付けて、作業に集中する。揚げ物は時間が非常に掛かるため、早い段階で作業を始めた方がいい。全部完成する頃には夕飯にいい時間になるだろう。てきぱきと、それでいてのんびりと準備を進める。この時間、麻琴は夏希とゲームで遊んでる。そんな二人がほんとの姉と弟に見えて少し微笑ましい。ある程度の準備が済むと、ゲームを終わるよう言って食器の準備などを手伝ってもらう。
「いい匂い♪ 唐揚げキターーー!!」
「はい、手を合わせて。いただきます!!」
テーブルには山盛りになった唐揚げと揚げシュウマイ、甘辛く味付けされたエビチリが。さらに、サラダは皿を二つに分けて出した。レタスとキュウリと小さなホタテを、オリーブ油をベースに作ったオリジナルドレッシングをかけたサラダは自慢の出来だ。
「いやはや、悠希の唐揚げをたっぷり満喫できるだなんて……幸せぇ」
唐揚げは鶏肉がジューシーで柔らかいのに、脂っこくなくて食べやすい。ニンニクもきつくないため、女子でも全く気にしなくていい。シュウマイもサクサクで軽く仕上がっている。冷凍のカニシュウマイがこんなに美味しくなるんです!
「ふぅ、ご馳走さま」
「あれ? もういいの?」
ご飯を四合炊いて良かった。ボクもついついお代わりしちゃったし、育ち盛りの夏希が三杯目、麻琴も三杯目をお代わりするんだろうなぁ。あんなにあった唐揚げが、かなり減ってる。お母さんの分を先に取っておいて良かった。
「十分食べたよ。麻琴、もう一杯食べる?」
「お母さんもう一杯!」
「誰が誰のお母さんよ!!」
「俺も……いいかな?」
………お父さんのご飯、残るかな? ビールを呑みつつ唐揚げをつまむ父を見る。ま、平気か。
「軽めにしとくから、最後にしなさいよ。私はお風呂の準備もするから」
「あ、洗い物くらい私も手伝うよ」
「いや、アンタ普段しないでしょ?」
「あたしだって雛田家の一人娘よ。洗い物くらい出来な………すんません。無理っす」
「無理しようとしない。ま、気持ちだけ受け取っておくよ」
そう言うと麻琴はおとなしくリビングに戻っていった。なんというか、本当に夫婦みたいに感じてしまった自分が恥ずかしい。お風呂を沸かしたいけど、洗い物でお湯を使ってるから無理か。私が暇な時なお風呂となると、一緒に入る可能性が上がっちゃうなぁ……。どうしよう? そうは言いつつも洗い物は手際よく片付けられ、残すは油の張っていた鍋のみ。
「明日でいっか」
エプロンを外してキッチンを後にした。ちょっと冷たくしすぎたから、お風呂くらい一緒してあげるかな。取り敢えず、お風呂のお湯を準備する。
「麻琴、お風呂は15分くらいで沸くから入っちゃいな」
「悠希は? 入ろうよぉ」
「じゃ、一緒に入ってあげよう」
はしゃぐ麻琴を横目にテレビをつける。
「出掛ける前の話じゃないけどさ、ボクは前々からアニメを見るのが好きで。麻琴も見る?」
「うん! 見る見る。出来れば一話から見たい」
「それくらいの配慮はするよ。じゃあ、これなんてどうかな」
ボクは女の子たちが料理して食べてまったりするアニメの一話を再生し始めた。