僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた。 作:楠富 つかさ
秋分の日を挟んだ水曜日は日課変更で金曜日課になった。その最後、LHRの時間に事件は起きた……。
「えー。先日の文化祭実行委員会での話し合いで、議題になったのは初日の盛り上がりが微妙だということでした。そこで、文化祭初日にミスコンをやろうという案が出ました。そこで、誰を推すのか話し合います」
えっと……状況に思考が追いついていませんが、確かに文化祭の初日は内部公開で行い、運動部の食品販売は行われず、文化部の発表が主軸になる。そのせいで、運動部に所属する生徒たちが部室に引き篭もる事件が発生しているらしい。だ、だからといって、ミスコンはちょっと……。だって、ナンバーワンよりオンリーワンという価値観の中で育ってきた世代なのに……。そんなの、良くないよ! しかもここ女子校だよ!? 絶対いろいろ波乱を招くって。
「という筈だったのですが、実村前会長が直々に悠希ちゃんを指名したので、いいよね? 反対者がいたら……かかってこい!!」
勇ましくファイティングポーズを取るもなかちゃん。……………ん? ん!? な、なんだってぇ~!
「待った!! ボクに拒否権は!?」
「ありません!!」
文化祭実行委員として、黒板を背に話すもなかちゃんに、とうとうボクの堪忍袋の緒がギブアップした。おかしい。こんなの絶対おかしいよ!? ミスコンの話も一切聴いていないのに、強制参加だなんて……。拒否権まで全否定されて……。泣いちゃうよ? もなかちゃんに泣き落としは効かない気がするけど。
「委員長閣下! ミスコンの審査内容と審査員、あとグランプリになった時のご褒美の内容を開示プリーズ」
委員長に閣下なんて敬称を付けて質問したのは麻琴……反対してぇ。
「応えてしんぜよう。審査内容は自己PR、水着審査、そしてラブレターコンテストの三つ。審査員は全校生徒。グランプリのご褒美は、『鍵姫』の称号と、金券の類と、当代きっての才媛である実村先輩の直筆授業ノート。これさえあれば、もうこの先しばらく楽勝だってさ」
しばらく楽勝ってどういうことかはさておき、そのすごさだけは伝わってきた。ていうか金券って、図書カードとかかな? あと……鍵姫って? かっこいいけど、そういうのを求めているわけじゃ……。
「というか、十月に水着って寒くない?」
初美さんから、素晴らしくまともな発言が飛び出した。確かにそうだ。
「大丈夫、体育館でやるから。まぁ、人々の熱気で熱くなるさ」
いくらお金のある高校とはいえ、体育館に暖房設備はない。というか、熱源は人なの!?
「あとぉ、ラブレターコンテストってなぁにぃ?」
今度は明音さんからの質問。水着で動揺してしまったが、もっと危なそうな部門があるじゃないか!
「それはね、ラブレター風に仕上げた文章を参加者に読んでもらおうという企画。すごいでしょ?」
なにがよ……。もぅ……これ断れる空気じゃないし。誰か出場したいっていう人いないの? まぁ、この話を聴いた後じゃ無理だろうけど。
「じゃあみんな! 姫宮悠希をミスコンに送り出して~いいかな!?」
「「「「いいとも!!」」」」
その反応はちょっと古いよ……もう。結局、勢いにのまれるまま当事者が蚊帳の外で決まってしまった。そういえば、高須部長はどんな反応するんだろう? いっそ、部長も出ればいいのに……。希名子ちゃんも普通に推薦されていそうかも。まぁ、メイド喫茶と同じ。度胸で乗り越えられる。そう信じたい……。
これの初稿を書いたころはまだいいともが終わって間もない頃だったはず。多分きっと