僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた。   作:楠富 つかさ

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#51 happybirthday悠希

 一年で最大のイベントである大錠祭が終わり、一日。十月十四日。平日ではあるが大錠祭の代休で学校はお休み。そして、今日はボクの誕生日だ。

 

「悠希、誕生日おめでとう!」

「「「おめでとう!!」」」

 

そんでもってボクは明音さんの家に招待されて、誕生日会に参加している。参加しているというか、ボクが主賓なんだろうけど。メンバーはボク、麻琴、明音さん、初美さん、希名子ちゃん、千歳ちゃんだ。もなかちゃんも参加したがっていたけど、用事があってダメらしい。あまほ先輩も忙しいらしく、残念がっていた。

 

「えへへ、今日くらいは悠希が家事をしなくていいように、しなくちゃだもんね?」

「まぁね。お姉ちゃんも家にいるし、洗濯とか洗い物も大丈夫だよ」

「本当に、ユウちゃんは主婦っぽいよね」

「主に色気だよね」

「ちょっと、初美さん!」

 

こんな感じで、特別なこともなく普段通りに過ごしている。そして話題は自然と大錠祭のことになり、

 

「いやぁ、やっぱりユウちゃんが鍵姫になると思っていたよ!」

 

文化の部の最後に発表されたミス鍵姫コンテストの結果、実村先輩との接戦の末にボクが鍵姫になった。

 

「なんというか、会長に仕組まれた気がするんだけどなぁ……」

「そんなことないよ! 悠希の実力だよ!」

「そうそう、ユウちゃん可愛かったもん」

「ユウちゃんの魅力、皆に伝わりましたね」

「まぁ、体育の部に関しては何も言わないけどね」

 

……むぅ。大錠祭は二日間の文化の部と一日だけの体育の部に分かれる。いわゆる文化祭と体育祭だ。そしてその体育の部。ボクがかなり足を引っ張った。仕方ないじゃん。運動が苦手なんだから。その上、

 

「二人三脚は面白かったなぁ」

 

明音さんのおっとりボイスで言われた二人三脚。

 

「だってさぁ、どうしても悠希と組みたかったんだもの」

 

麻琴と二人で走ったのだが、背格好も走る速度も全く違う。最終的には麻琴がボクにあわせたせいで堂々のビリだ。実況がミスコンと同じ佐藤先輩ということで、鍵姫うんぬんも散々言われたし。さらに、

 

「借り物競争にも驚かされたわね」

 

鍵宮の体育祭は競技数が多く、一人二種目は当然で、三種目以上参加する人も多々いる。全校対抗リレーの参加者なんて四種目出場だって有り得る。

 

「そういえば、麻琴は何を持って来いっていう指定だったの?」

 

麻琴が参加した借り物競争。近くで応援していたボクは、麻琴にお姫様抱っこされた状態でゴールテープを切った。状況を理解できないまま自分の応援席まで運ばれたボクだったけど、そういえばなんだったんだろう?

 

「あぁ、あれね。一番の親友って書いてあったんだ」

「むむ!」

「まぁ!」

「ふふふ」

 

麻琴の発言に初美さんと希名子ちゃん、千歳ちゃんが、微笑ましいものを見るような顔つきになった。……なんだこの状況。

 

「麻琴さんはユウちゃんが本当に大好きなんですね」

 

希名子ちゃんが麻琴と会話をするのって、なんか珍しい気がするかも。

 

「いやはや、当然ですとも。部活の時間では悠希のこと、お願いしますね」

「もちろんですよ!」

 

……ボクの与り知れぬ所で不思議な同盟が結成されている?

 

「あ! そういえば、皆は進路、決めた?」

 

雲行きが怪しくなりつつあったので、自分から話題を振ってみる。とはいえ、これといっていい話題がないので、つい学校のことになってしまった。

 

「ユウちゃんはどうなの?」

 

真面目な希名子ちゃんが真っ先に反応してくれた。とはいえ、自分に返ってくるとは思っていなかったが。

 

「ボクは進学コースだよ。理系に。管理栄養士になるの」

「そう、あたしの為にね」

 

首を突っ込んできたのは麻琴。……当然ながら。

 

「どういうことぉ?」

 

首を傾げる明音さんに、今度は麻琴が答える。

 

「あたし、大人になってもマラソンしたいの。走ることしか出来ないし。で、大学で駅伝とかもしたいから、あたしも進学。ただ、文系にするの」

「あら? ユウちゃんとは別なの? 私も文系の進学コースなのだけれど」

「そだよ」

 

千歳ちゃんの言葉に、麻琴の表情が少しだけ真剣なものになる。

 

「麻琴がマラソン選手になって、ボクがそれをサポートする。そのためにも、文理別々に進学するの。ただ、大学は同じにするんだけどね」

「え、ユウちゃんが行く大学にヒナッチも……?」

 

さりげなく麻琴をディスる明音さん。まぁ、テストの順位の差を知っているからね。しょうがない、か。

 

「麻琴が堂々と正面から入試に挑むと思う?」

「悠希、それは……ひどくない?」

 

しょげる麻琴を見ながら話をすすめる。

 

「麻琴はAO入試ね。ボクはテスト受けるけどね」

「私立の総合大学、翔輝館大学。レベルは学部によってまちまちだけど、文系だと経済学部が低めかな」

「あぁ……それって隣の県じゃなかったっけ?」

「姉の友達が進んだ学校なんだ。設備とか結構いい大学らしいよ」

「そっかぁ。光希さんは元気?」

「まぁまぁかな。あまり健康的な生活を送ってはいないけど、元気ではあるよ」

 

忘れがちだけど、うちの姉はここのメンバーと温泉にも行っている仲だ。大錠祭の日にも会っているし。

 

「で、明音さんは? どうするの?」

「私も進学ぅ。理系で、生物受講組だね」

「あ、ボクもだよ。生物受講するの」

「みんな進学かぁ」

 

ぽつりと零した初美さん。ひょっとして……

 

「就職……するの?」

「うん。文系に進むんだけど、就職コース」

「にしても理系ばっかだねぇ。私もだけどさ」

「そっかぁ。希名子ちゃんも理系だよね」

「そうそう、店を継ぐから」

 

居ずまいを正して語りだす希名子ちゃん。兄と姉が一人ずついる彼女が、お店を継ぐの?

 

「うち、和菓子屋なんだけど、姉は洋菓子にぞっこんで、ケーキ屋に嫁ぐ始末。兄は甘いものが苦手らしくって。早々に経営側へ、だよ。今は経営学を勉強してるの」

「だから希名子ちゃんがお店を継ぐために免許取りに進学するんだね」

「えへへ」

 

本当に家業が好きなんだなぁ。姉と兄が離れていくのに。って、そういえば?

 

「お姉さんも夏休みには手伝いにくるんだよね?」

「店番くらいしかしないけど。孫を見せに、がメインかも」

 

孫との発言に皆も驚くが、

 

「お姉さん、何歳?」

 

ケーキ屋に嫁いだ和菓子屋の娘って、何者?

 

「姉は6つ上。兄は4つ上」

「ほぉん。みんな夢溢れてるなぁ」

 

……一人だけ就職ということで、段々と初美さんの様子が……。

 

「あたしも女子大生になってみたいけどさ、社会に出たいなっていう気持ちもあるんだぁ。来年からはバイトも始めるし」

「初美さんバイト始めるの!?」

「一年だけね。年末の郵便局に始まり、コンビニとかね」

「あれだね、社会人の先輩だね」

「まだ、だからね?」

 

そんな感じで、まったりとした時間が過ぎていき、

 

「もうこんな時間だねぇ。お母さんが夕飯の仕度始めてるから、わたしも手伝ってくる。もう少しゆっくりしててね」

「「「は~い」」」

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