僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた。   作:楠富 つかさ

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#61 三年生のために(3)

 そして翌日。放課後を迎えた私達は料理の仕込みをしている。私はロールキャベツのタネを仕込み、希名子ちゃんは丁寧に出汁をとっている。芙蓉先輩はハンバーグを却下した後、何を作るのか書いていなかったけれど……ポテトサラダを作っているみたいだ。皆が忙しそうに仕込みをしている。三年生はまだ卒業式の総練習を行っている。

 

「悠希ちゃん、そっちは終った?」

 

 餃子を焼く直前の段階まで仕度し終えた九重先輩が話しかけてきた。私もロールキャベツを煮込む直前の段階まで仕上げることができた。キャベツは芯を取ってタネを包んで、短く折ったパスタを刺してとめる。

 

「えぇ、あとは煮込むだけです。コンソメの用意もできてますよ」

 

 コンロに置いた鍋の中にはコンソメスープが注がれている。トマト仕立ても考えはしたが、今日は素材の良さを引き出したい。千恵ちゃんがせっかく仕入れてくれたひき肉なのだもの。

 

「いい感じだね。でさ、悪いんだけどこっち手伝ってくれない?」

 

 九重先輩が作っているのは餃子なんだけれど、焼き餃子のみならず水餃子も用意されている。鶏がらスープかつ唐辛子を使ってピリッとした味付けになる予定だ。

 

「分かりました。餃子作ればいいんですよね?」

「ありがとう」

 

 九重先輩の手伝いをしつつ周りを見てみると、芙蓉先輩はポテサラ用にきゅうりをスライサーにかけている。希名子ちゃんは卵を割り始めた。両手でテンポよく割っている。普段より高めに髪を結っている希名子ちゃんは割烹の若女将みたいでかっこいい。千恵ちゃんはコロッケを揚げる直前の段階まで仕上げている。小柄な体躯にエプロン姿が可愛いけれど、お肉と対峙する時の彼女の表情はとっても真剣だ。精肉店の娘だけれども、牛や豚といった動物も大好きな彼女は食肉に対してとっても真摯なのだ。一方、芙蓉先輩にお願いされおにぎりを作り初めた美夏ちゃん。具はみんなの持ち込みで、鮭や梅干といった無難なものから肉や玉子のそぼろなんてものもある。

 

「そろそろ時間よ。会場の仕度をする班は取り掛かって」

 

 時刻は午後2時。玉子焼きを焼き終えた希名子ちゃんとおにぎりを作り終えた美夏ちゃんが調理台を急いで片付け、テーブルクロスを敷いたり箸や取り皿を用意したりする。

 

「あと30分で料理は仕上げましょうか」

 

 午後2時半頃には三年生は卒業式の総練習を終えて移動するはずだろう。取り敢えず私はロールキャベツを煮込まなければ。あまり長時間煮込むとキャベツがへたるため、今から仕上げれば丁度いい頃合だと思う。

 

「そっちはどう?」

 

 千恵ちゃんの方へ行ってみると、こんがり揚がったコロッケがかなりの数並んでいる。私がロールキャベツを作る際に余ったキャベツは千切りになっている。手際よく切ってくれたのは芙蓉先輩だ。今や大皿にはポテトサラダとキャベツの千切りが盛られている。

 

「それじゃあ、配膳を始めましょうか。洗い物とか間に合わなかったら取り敢えず準備室に移動して」

 

 芙蓉先輩がハンカチで手を拭きながら言う。いよいよ、三年生とのお別れ会が始まっちゃうのか……。少しだけ、寂しい気持ちを抱えながら料理をてきぱきと並べるのだった。

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