「ハァ…すっかり遅くなっちゃったな…」
街灯に照らされた道を歩きながら呟く。スマホの画面を見ると時刻は7時を回っていた。新学期を迎え、大分日も長くなったとはいえ、さすがに7時にもなれば暗くなる。出来るだけ遅くない時間に帰りたかったものだが、事情が事情なので仕方なかった。
「課題の回収日なのに家に忘れて来るとかマジ無いわぁ~」
そう、課題。学生とは切っても切れない関係にあるもの。恐らく俺がこの世で嫌いなもの上位3位の内には必ず入るであろう憎っくき敵。聞いただけで全身がむず痒くなるような天敵。今日はそれと決着を着けてきた。担任に良い笑顔で予備を手渡されたときは軽く殺意が沸いたものだ。我ながらあの量をよく数時間で終わらせられたと思う。
勝利の余韻に浸かりたいところだったが、今は一刻も早くベッドにダイブしたい気分なので足早に家路に着いているところだ。
ん?なんだあれ、人?にしちゃ形がおかしくないか?あんな角とか生えてるわけねーし......
数十メートル程離れた辺りに、人影のようなものを見つけた。が、姿形からしておかしいことに気付く。疲れているのかとも思ったが、幻覚を見るほど疲れてはいない。
(あぁ、コスプレか)
考えるのも馬鹿らしく思い、すぐに頭で結論付ける。というか、誰でもそうだと思うだろう。
野外でとかよくやれるな。誰かに見られたらどーすんだよ。いや、俺見ちゃってるけど。それにしてもさっきからフラフラし過ぎじゃね?あれってそんな重いの?
などと思いながらもどこか心配で見ていたその時。
「あ」
思わず声に出してしまった。だって倒れたんだもん。
これ、助けに行った方がいいよね?俺早く家に帰って良い夢見たかったんだけど。でも、見過ごす訳にもなぁ...あぁ!もう!!
「あの、大丈夫ですか?」
とりあえず、近くに公園があったのでそこまで肩を貸して連れて来た。目の前の人物の年齢が分からない為、敬語で尋ねる。『大丈夫ですか?』の部分に色んな意味を含んでしまっていたことはこの際置いておこう。それにしても息がかなり上がっている。見た感じ、重くて倒れたという訳じゃなさそうだ。何て言うか、疲れ方がそんなんじゃない。こう、思いっきり殴り合いをした後みたいな。いや、よく分からんけど…
あと、コスプレなのかと思っが、作り物にしては色々と違和感を感じる。普通なら着用するときのファスナーか何かがありそうなものだが、それらしきものはない。上手く説明出来ないが、本当に人なのか疑ってしまいそうな感じだ。ソレ自体が生物ですと言われた方が納得出来る気がする。
「ぅ..........ぐ......ぁ......」
「お、おい、ホントに大丈夫か?」
どこかが痛むのか、苦痛の声を漏らす目の前の《恐らく》人に、心配の意を向ける。焦りから、素の話し方になってしまう。
「....に.....げて......く...ださ......!」
「...は?」
唐突に投げ掛けられた言葉に、素っ頓狂な声を上げる。逃げる?何から?
周りを確認しても、何かが追いかけて来ているような気配は無い。視線を女性(声を聞いてそう判断した)に戻し、
「何言ってるんですか。大体、何から逃げろって言うんです?」
極めて冷静に、諭すように、そう告げようとした時だった。
「うし......ろ...!」
「え?」
後ろ?
さっき確認したけど、別に何も...
「......なっ!?」
肉眼でもはっきり分かる程の距離に、街灯に照らされながら歩いて来るおぞましい姿の『ナニか』。
いや、おかしいだろ!?数えてた訳じゃ無いけどさっき確認してから何秒も経ってないぞ!?
この公園、広さこそあるが街灯で入口付近や噴水の周りも照らされている為、夜でもそこまで視界が悪くなる訳ではない。むしろ明るい方だと思うし、何かが来ているのならすぐに分かるはずだ。俺もしっかり確認しなかった訳じゃない。なのに気付かなかったってことは、あの一瞬で現れたとしか考えられないんだが......って、何か撃ってきたぁ!?
「危ない!」
「どぁっ!?」
ホントに危ねぇ!ちょ、マジかこいつ!!今ので地面抉れたんだけど!?何しやがった!しかもこの近くに民家あるんだぞ!?
こんなとこでんな危ねぇモンぶっ放すとか!?
「お前頭可笑しいんじゃねぇのぉ!?あり得ねぇんだけどぉ!?」
「あの!大丈夫ですか!?」
「ハッ!?あ、うん。だ、大丈夫」
いかんいかん、余りに非日常過ぎてつい感情が荒ぶってしまった。落ち着け~、俺~。
「とにかく、貴方はここから早く逃げて下さい!」
「えっ?いや、『貴方は』って、あんたはどうするんだよ!?」
「.........戦います。だから、その間に貴方は逃げて下さい....!」
「あんた、さっきまでアレと戦っててそうなったんだろ!?その状態じゃ無理だろ!!」
「それでも......やるしかないんです......!」
ふざけんな!話した感じ、俺とそう歳も変わらない位の子に、このまま戦ったら死ぬかもしれない相手と戦わせて逃げろってか?
「さあ、はやk「冗談じゃねぇ......」....え?」
そんな無様な姿晒すくらいなら
「俺も戦う」
「な、何言ってるんですか!?相手は人じゃ無いんですよ!?敵うわけが無いじゃないですか!!」
やっぱり人外なのか......。
いや、薄々気付いてたよ?はっきりそうだと分かった今は怖さ増したけどね......それでも...
「このまま逃げて後悔するくらいなら、戦った方がマシだ」
「そんなこと.........」
「大丈夫。死ぬつもりはないし、2人なら何とかなるかもしれない!」
ハイ。俺今盛大に嘘吐きました。正直、足が震えて戦えるのかすら分からない。物凄くカッコワルイ。
でも、この気持ちに嘘は無い。今逃げたら、絶対後悔する。それだけは間違いない。
「それともどうする?君だけ逃げても良いんだぞ?」
分かりきっているのに、相手に問いかける。何がしたいんだろうな、俺は。あぁ、落ち着きたいのかな。
「そんなこと出来るはず無いじゃないですか!!......ハァ…分かりました。一緒に戦いましょう。でも、絶対に私の側から離れないで下さい!」
「分かった。じゃ、決まりだな!」
ぎこちなく素手で構えをとる。どう戦えば良いかなんてまるで分からない。勝てるかどうかなんて二の次だ。でも、やってやる!
「さあ、2対1になったぜ?人外野郎!!」
彼の運命が、大きく動き出す
あー、恥ずかしかった。後書きまでたどり着いているということは、見て頂けたんですよね?小説書いたのなんて初めてなので、物凄く恥ずかしかったです!衝動に任せて書くものではありませんね。ですが、紹介文にも書いた通り、アギトの様に進化していく(笑)の予定ですので、これからよろしくお願いいたします!