問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん二世

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揺れる黒ウサギ、怒る蘭丸

 

 

 

 

 

「嫌だ」

 

「な、何故ですか⁈“ペルセウス”の所有物であるレティシアが我がコミュニティで暴れまわり、その際に構成員が暴言を吐いたのですよ⁉︎この屈辱は謝罪だけでは収まりません!」

 

黒ウサギはレティシアが攫われ、暴言を口実にレティシアを取り戻すためのギフトゲームを組もうと考えたがルイオスはそのゲームをこばんでいた。

 

「だってさ、証拠はあるの?」

 

「彼女の石化を解けば分かることです」

 

「駄目だね。取り引きの日まではもう石化は解かない。そもそもあの吸血鬼が口裏を合わせるかもしれないだろ?元お仲間さんのためにさ。それにそっちが吸血鬼を持ち出したんじゃないの?」

 

「…!どこにそんな証拠が!」

 

「ほら、証拠が無いのはお互い様だろ?大方因縁つけてギフトゲームに持ち込もうったってそうはいかない」

 

黒ウサギ達は何も言えなかった。確かにレティシアの石化が解けたら口裏を合わせてもらおうと考えていたのである。

腐ってもコミュニティのリーダーということだ。

 

「まあどうしてもっていうならきちんと調査した上で考えてあげてもいいけど…「ちょっと待った!」ん?なんだよ?」

 

ルイオスの言葉を蘭丸が途中で遮る。話を切らされたのでルイオスも少し不機嫌になっていた。

 

「いや、証拠って言うか分からんが暴言を吐いたのを証明できる物はあるぞ?」

 

そう言いながら蘭丸は“写し水晶”を取り出すとルイオスに渡す。

 

「なんだこれはこれのどこが証拠………何⁈」

 

ルイオスは水晶を見て驚いた。そこには“ノーネーム”の本機で暴れるレティシア(正確には十六夜と力試しをしている)とレティシアを石化したのち黒ウサギに暴言を履いている“ペルセウス”の騎士達がいた。

 

「この水晶は俺のギフトの一つ“写し水晶”ってギフトだ。この水晶は未来予知やサイコメトリーを行うためのギフトだが俺自身が使う未来予知やサイコメトリーをこの水晶に反映させることができるんだ。信憑性は低いが、お前らが暴言を吐いたのを証明する一つってとこだな」

 

蘭丸はそう言うとルイオスから水晶を取り、また異空間に戻した。

 

「なるほど、確かに信憑性は薄いがなかなか面白いことをするね。まあでも、ゲームはやらないよ」

 

ルイオスがいやらしい笑みで笑うと、蘭丸は残念だという風に肩を竦める。

 

「さて、帰ってあの吸血鬼を売り払わないと。愛想のない女って僕嫌いなんだよねぇ。特にあいつは体も殆どガキだし。まあ見た目は可愛いけど」

 

ヘラヘラと安っぽい笑みを浮かべながら憎たらしく言うルイオスを黒ウサギはキッと睨みつける。

 

「気の強い女を裸体のまま鎖で繋いで組み伏せて啼かす・・・・・その手の愛好家には堪らないだろうね。太陽の光っていう牢獄の下永遠に玩具にされる美女って・・・・すっげえエロくね?」

 

ルイオスは挑発するかの様に商談相手を想像していた。

 

「貴方と言う人は…‼︎」

 

黒ウサギは耳を逆立てて叫ぶ。それに関しては蘭丸達も同じだ。普段から温厚な蘭丸も胸中穏やかではないのは目に見える程だ。

 

「しかし、あいつも可哀想だよね。箱庭から売り払われるだけでなくて、仲間の為にギフトまでも魔王に譲り渡すことになっちゃったんだから」

 

「え?」

 

黒ウサギは顔を青くし、飛鳥は何のことかわからなかった。

 

「「まさか!」」

 

それに気づいた十六夜と蘭丸は同時に言葉を発した。レティシアは黒ウサギ達に会う為に自らのギフトを魔王に渡す形で駆けつけて来たのだ。

 

黒ウサギは無力感に襲われている。

 

「ねえ、黒ウサギさん。一つ取り引きをしようよ。吸血鬼を返す代わりに………君は僕に一生隷属するんだ」

 

ニタリと外道を代表するかの様な顔をしたルイオスに飛鳥が切れた。

 

「貴方って人は‼︎帰りましょう黒ウサギ‼︎………黒ウサギ?」

 

飛鳥は黒ウサギを引っ張って帰ろうとするが黒ウサギはうつむいたまま動かない。

 

「何を悩んでいるんだい黒ウサギさん。君ら“月の兎”は仲間の為に煉獄に落ちるのは本望なんだろう?だったら……」

 

『黙りなさい‼︎』

 

飛鳥のギフト、“威光”が発動し、ルイオスはガチンと顎を閉じた。

 

「まさかここまでの外道だとは…『暫くそこに頭をつけておきなさい‼︎』」

 

口を抑えたルイオスは体を前のめりに歪ませる。だが、彼は飛鳥の命令に逆らって少しずつ体を起こしていった。

 

「おんな……そんなのが通じるのは…隠しただけだ馬鹿が‼︎」

 

ルイオスは飛鳥の“威光”を振り払うとギフトカードから鎌を取り出し、飛鳥に振り下ろす。

 

……だが。

 

ガキン‼︎

 

咄嗟に蘭丸が刀で防いだ。

 

「おいおい、会談の途中で取り乱すとは…リーダーとして未熟すぎるんじゃないか?……………まずは座れ」

 

蘭丸は笑顔でそれでいて目は笑っていない覇気を放っていた。ルイオスはその覇気に気圧され、座布団に座り直した。

 

「フン、先に手を出して来たのはそっちだけどね」

 

ルイオスは悪態を付きながら鎌をしまった。

 

「わかっております。今日の所は不問にしましょう。それと先程の件は仲間と相談して後日お返事いたします」

 

「ちょっと待って黒ウサギ‼︎」

 

飛鳥は黒ウサギの肩を掴んで正面から向き合って声を張り上げる。

 

「OK。じゃあ取り引きギリギリの一週間まで待ってあげよう」

 

ルイオスはそう言うと“サウザンドアイズ”を後にした。

 

 

 

 

こうして黒ウサギと飛鳥、蘭丸はコミュニティに戻った。十六夜は白夜叉と話があるそうで“サウザンドアイズ”に残った。

 

「どう言うつもりなの黒ウサギ⁈」

 

飛鳥は当然とも言える怒りを黒ウサギにぶつけた。

 

「レティシア様は・・・助けを求めもせずにただコミュニティの事を心配して手を尽くしてくれたんです。私は・・・・そんなレティシア様を見捨てるだなんてできません!」

 

「だからって貴方が犠牲になる意味が分からないわ‼︎そんなのは無駄よ‼︎私達が許さない‼︎」

 

「無駄ってどうしてそこまで言われなければいけないのですか⁈コミュニティにとって仲間は大事です!何にも勝るコミュニティの宝なんです!魂を削ってまでコミュニティのために駆けつけたレティシア様を見捨てては我々の義理が立ちません」

 

「あ、あの蘭丸さん何があったのですか?」

 

「………」

 

事情の知らないジンとミロがオロオロしているが蘭丸はただ黙って聞いていた。だが彼の拳からは血がにじみ出ていた。彼も我慢をしているのだろう。それでも二人の争いは続く。

 

「だけどそれは貴方が身代わりになるだけじゃない!そんなの無意味だわ!」

 

「仲間の為の犠牲が無駄なはずありません‼︎私はレティシア様の為に…」

 

ズガアァァァァァァン‼︎

 

黒ウサギの叫びは突然の崩壊音によって遮られた。音の方を向くと

 

本拠の壁を拳で破壊した蘭丸がいた。

 

「さっきから黙って聞いてりゃあ……ふざけんなよ黒ウサギ‼︎」

 

黒ウサギだけでなくてその空間にいる者全てが驚いた。その口調は何時もの優しく、柔らかい物ではない。誰もがわかった。

 

これが蘭丸のブチギレであると。

 

「仲間の為に自分が犠牲になるだあ?何をほざいてやがる‼︎そんな事して戻ってきたレティシアが喜ぶと思ってんのか?ただ悲しむだけだろうが‼︎」

 

普段と違い戸惑いからか黒ウサギは涙を流しながら蘭丸を見る。

 

「ですが…もうこれしか方法が…」

 

「誰がそう決めたんだよ‼︎まだ方法があるかもしれないだろ⁈それなのになんでお前はそうなんだよ‼︎それが箱庭に俺たちを呼んだ奴のすることかよ‼︎」

 

暫くその場には沈黙が流れた。そうすると蘭丸は舌打ちをして黒ウサギから視線を外す。

 

「俺はレティシアに救われた。だから今度は俺がレティシアを救う番だ」

 

「「蘭丸さん!」」

 

蘭丸は開けた穴から外へ出て行ってしまった。ジンとミロは慌てて引きとめようとしたが、蘭丸がギフトで壁を修復して追いかけるに至らなかった。

 

「まさか蘭丸君があんなに怒るなんて」

 

「…申し訳ありません。黒ウサギが…」

 

「大丈夫ですよ。彼は戻ってきます。……それと今言うのもあれですが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、来週にはコミュニティに戻ろうかと思います」

 

ミロのカミングアウトに全員が驚く、

 

「私はここにいた間、蘭丸さんにいろいろと教えてもらいました。蘭丸さんにもう教えることはないと言われたので…そろそろ戻ろうかと」

 

先程と続いて暗い話でまた暗くなったが慌ててミロは話し出す。

 

「ですから蘭丸さんと黒ウサギさんが仲直りしたのを見てこのコミュニティをあとにしたいんです。なのでどうか黒ウサギさん。彼と仲直りしてください」

 

ミロの言葉で取り敢えず今日はお開きにして、蘭丸は帰ってくると信じて待つことにした。その間黒ウサギは謹慎処分となった。

 

 

 

 

 

 

 

三日後

 

黒ウサギ、飛鳥、耀、ジン、ミロが黒ウサギの部屋に集まっていた。あれから黒ウサギも落ち着き、多少のツッコミもする程にまでなったが蘭丸だけでなくて十六夜まで戻っていない。どうしようかと考えてた矢先である。

 

ズガアァァァァァァン‼︎

 

「な、何が?」

 

「おう、久しぶりだな黒ウサギ」

 

そこには十六夜と蘭丸が立っていた。…壁を壊してだが。

 

「何をやっているのですかこの問題児様方ぁぁ‼︎」

 

黒ウサギは泣きながらハリセンで二人を叩く。

 

「まあ大丈夫だ黒ウサギ。俺が直しておくから」

 

そう言うと蘭丸は壁を修復した。

 

「まあまあ落ち着けよ黒ウサギ。ちゃんと土産もあるしな」

 

そう言って十六夜が大きな風呂敷を広げるとそこには二つの玉があった。

 

「十六夜君、これは?」

 

分からず飛鳥が十六夜に質問する。

 

「白夜叉から聞いてな。あいつらの“旗印”を賭けさせるための手段があるらしいってなそのクラーケンとグライアイを倒すだけだがな。蘭丸のおかげですぐに終わったぜ」

 

そう言って十六夜は蘭丸に視線を移す。すると蘭丸は気恥ずかしそうに黒ウサギをみる。

 

「なあ…黒ウサギ」

 

「蘭丸さん?」

 

「こないだは悪かった。俺が勝手なことを言って、今回のそれはそのお詫びだと思ってくれ」

 

蘭丸が頭を下げると黒ウサギは慌てて蘭丸に頭を上げてもらおうとしていた。

 

「蘭丸さん……ありがとうございます‼︎これでレティシア様を救うことができます」

 

「そっか」

 

蘭丸は少し目尻に涙を浮かべながら微笑んだ。

 

「ありがとう。黒ウサギ」

 

「ふにゃ⁈」

 

そして感極まってか蘭丸は黒ウサギを抱擁した。突然のことで黒ウサギは慌てて変な声を上げた。

 

 

「ねえ十六夜君、春日部さん。私達はお邪魔の様ね」

 

「だな、じゃあ俺達はここで退散するか」

 

「うん、そうだね」

 

そう言って十六夜達は部屋から退散していった。

 

「じゃあ俺ちょっと疲れたから少し寝るわ。おやすみ」

 

鈍いのか、全然気にしてない蘭丸はそのまま部屋に戻った。

 

「もう。あの問題児様は……///」

 

黒ウサギは顔を紅潮させながらも嬉しそうだった。

 

 

 

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