問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん二世

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今回から第4章です!


十三番目の太陽を撃て‼︎
片鱗


 

 

ーー“アンダーウッド”の東南の平野。

 

最前線で戦っていたグリーと“龍角を持つ鷲獅子”連盟の同士は立ち尽くしていた。その視線の先には二人の問題児の姿があった。

 

「………ふうん?ケルトの巨人族と聞いてたから、てっきり神群を指すものだと思ってたんだがな。これは考えを改めなきゃ行けない。要するにお前達は、“巨大化した人類”と言う枠組みでしか無い訳か。………しかし俺達みたいなガキ相手にこの為体じゃ、今頃ご先祖様が泣いてるぜ?」

 

「仕方ないさ。相手は魔王の残党で敗北兵達だ。それに“主催者権限”を無視する無法者だからな、プライドのかけらも無いだろうな」

 

パンパンと不服そうに学ランの肩を払う十六夜と、笑ながらシャツの袖を捲る蘭丸。彼らの足元には打倒された数百の巨人族や、武具や、巨龍から産み出された魔獣の肉片。

 

『こ、これ程の実力を持つ者が、“名無し”のコミュニティに甘んじてるのか?』

 

グリーは敢えて詐称の意味で彼らを“名無し”と呼んだ。

そして逆廻十六夜と二宮蘭丸は口を揃えて巨人族を挑発した。

 

「「もう一度言う。さっさと失せろ。こっちは本気で収穫祭を楽しみに来たんだ。ただでさえ、空飛ぶトカゲも相手しなきゃいけないんだから余計な手間をかけさせるんじゃねえよ」」

 

その挑発を受け取った巨人族の軍勢は鬨の声を上げ、今一度、“アンダーウッド”を目指し、進撃を始めた。

 

「ウオオオオオオッォォォォォーーーー‼︎」

 

巨人族の戦士は徒手空拳で十六夜に襲いかかる。武器は意味をなさないと判断したのだろう。十六夜は俊足でそれを掻い潜り、蘭丸は瞬間移動でその場から姿を消す。

巨人族は蘭丸ではなく十六夜に狙いをつけ始めた。

彼も人間である以上、空は飛べない。巨人族は四方八方から一斉に鎖を投げつけて十六夜を捕らえた。

何重にも巻かれた鎖で封じると背後の巨人族が雷を放つ杖を掲げた。

 

『い、いかん‼︎』

 

グリーは慌てて助太刀に入ろうと四肢に力を込める。しかし巨人族の命と誇りを乗せた豪雷は、

 

「……ハッ、なるほど。誇りの方は腐ってなかったか、木偶の坊‼︎」

 

十六夜の星を揺るがす一撃に払われた。そのデタラメさに巨人族は唖然としていた。そして戻ってきた蘭丸が笑ながら十六夜を見る。

 

「やるな十六夜。この世界に来た時より強くなったんじゃ無いか?」

 

「よく言うぜ。これでもまだまだ余力があり過ぎて困ってた。つーか早く戦えやコラ」

 

「わかってるよ。ちゃんと見てな」

 

蘭丸は軽く跳躍して巨人族の頭上に到達すると掌を掲げ始めた。やがてその掌には黒い瘴気が渦巻くように集まる。正確には周りの空間を吸い込んでその瘴気は渦巻く球体のように形を作る。

 

「へえ……こりゃあヤバそうだな」

 

十六夜も笑ながらも冷や汗をかいていた。

 

「………消え去れ!」

 

蘭丸の掌から放たれたその瘴気は黒い光線となり、第六宇宙速度を凌駕すると言う規格外速度で一瞬のうちに近くにいた数百の巨人族は跡形もなく文字通り消え去っていた。その光景に戦場は一瞬静寂が漂っていた。その沈黙を破るのは

 

「おい、“龍角を持つ鷲獅子”ども……何いつまで絶望したフリしてるんだよ」

 

『な、何⁉︎』

 

「良い加減目を覚ませよ。奴らはお前らの悲願である収穫祭を無作法にも荒らした。誇りである旗に弓を引いた。これだけの屈辱を受けた“龍角を持つ鷲獅子”の同士の胸中にあるのは……絶望じゃなく、怒りであって然るべきだ」

 

「別にそのまま指をくわえて見てても良いんだぞ?その代わり、お前ら“龍角を持つ鷲獅子”連盟は“名無し”風情の背中に隠れて生き延びたってずっと嘲笑われるだろうな」

 

『………ッ……言わせておけばこの小僧ッ……』

 

『多少は出来るようだが所詮、爪もなければ牙も無いみずぼらしい猿ではないかッ‼︎』

 

『応よ!奴らの拳は数百の巨人を砕き、消したが我らの角はその倍は貫いてきたッ!決して劣るものではないぞッ!』

 

十六夜達の獰猛な扇動を受け、幻獣たちは怒りとともに巨人に突撃を開始する。十六夜達の挑発への怒りで奮起する幻獣たちだったがグリーだけは違った。長年付き添った彼の騎手は流れ矢に当たって転落し、行方知れずになっている。

相次ぐ凶報と戦いで麻痺していた怒りと喪失感が、徐々に臓腑の淵が湧き上がる。

 

(連日の苦戦に続き、先ほどまでの覇気のなさ。こんな醜態が、獣王の一角を成す一族とコミュニティの姿でいいはずがない……‼︎)

 

己を恥じるような怒りに包まれたグリーは全身をあらん限りの力で戦慄き、野獣のような雄叫びを上げて巨人族に突撃した。

 

『オオオオオオオォォォォォ‼︎』

 

 

 

「ハッ、流石は獣の王様!落胆せずに済みそうだ……!」

 

超音速の突進で十六夜の脇を駆け抜けた鷲獅子。その有志を見て巨人族と戦えると、確信した。

蘭丸は既に一戦から引いて“龍角を持つ鷲獅子”の同士の戦いを見ていた。

 

(ここまで戦意が戻れば大丈夫だろうな。後はゲームクリアに力を入れるか……っとそろそろかな?)

 

蘭丸の思考と共に“アンダーウッド”全土に届く黒ウサギの声が響き渡った。

 

「ジャッジマスターの発動が受理されました!只今から、“SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING”は一時休戦し、審議決議を執り行います!プレイヤー側、ホスト側は共に交戦を中止し、速やかに交渉テーブルの準備に移行してください!繰り返し

 

「GYEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaa!!!」

 

と黒ウサギの声を阻みながら巨龍は雷雲を撒き散らして“アンダーウッド”へと急降下を始めた。身じろぎ一つで大気を震撼させる龍は“アンダーウッド”のわずか1000m頭上を通過し突風を巻き起こす。その突風は“アンダーウッド”の同士を巻き込んでいった。

 

「……これが最強種、龍の純血か……ちょいと面倒だな。……っとあの城は…………」

 

蘭丸は暫く考える仕草をとったのちに、何か閃いたのか、分身を召喚して何かを支持を与えると、空中に浮かぶ城に目を向けた後、蘭丸の分身は姿を消した。

 

 





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