問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん二世

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いつもこの小説を読んでくださっている方、本当にありがとうございます。




救いの手を

 

 

 

 

吸血鬼の古城。黄道の王座。

蘭丸は何故か背中に耀を背負った十六夜と、ジャック、“アンダーウッド”の同士の少女キリノ、そして“六本傷”のガロロ=ガンダックと合流していた。

 

「しっかし、お前ほどの奴がそこまでボロボロにされるとはな、十六夜」

 

「ハッ!よく言うぜ。テメエは怪我しても直ぐに回復しちまうもんな。」

 

「違う。そもそも俺にまともに攻撃を当てれる奴の方が少ないだけだ」

 

確かになと十六夜は歯を見せて笑う。蘭丸も笑いながら十六夜の傷とついでに耀の傷も直していた。そんな軽い空気の中で十六夜の背中に動きがあった。

 

「…………十六夜?」

 

「おう、目ぇさめたか春日部」

 

「ずいぶん苦戦したらしいな」

 

「それはさっきまでの話し。次は完全勝利」

 

ムスッと拗ねたように反論する耀に十六夜と蘭丸は吹き出した。そのまま十六夜の十六夜の背中に凭れかかる。暫くその広い背中を堪能していたが頭部に違和感を感じた。

ネコ耳のヘッドホンがなかったのだ。

恐らくさっきの戦いで落としてしまったのだろう。

耀はすかさず蘭丸に視線を移す。その視線に気付いたのか蘭丸が此方を見たので耀は目で合図を送る。

 

『ヘッドホンが………』

 

と言いたいのだろうが伝わってるのかどうか微妙な反応だった。と思っていたが意外にも理解したらしく、

 

『大丈夫だ。後で何とかしてやる』

 

と同じように視線で返してくれた。何とかしてと伝わってくれたことに安堵した耀だが、同時に疑問を浮かべた。

 

(なんでこういうのは伝わるのに、レティシア達のことはわからないんだろう?)

 

それを聞こうかと思ったが、あの鈍感にいっても無駄なイメージしか湧かないのでやめた。

 

「そういえば二人は第三・第四の勝利条件の完全な謎解きができたの?」

 

「ああ、俺たちはレティシアから吸血鬼の歴史を聞いていたからな」

 

「吸血鬼の歴史?それって箱庭に来る前の?」

 

「そっ。あの龍は『吸血鬼の世界を背負う龍』らしいんだ。確かに大きいが流石に星を引っ張るほどの大きさじゃあない。だから俺たちは吸血鬼たちが描いた宇宙論は宗教上の比喩・暗喩の類だと推測した」

 

蘭丸の言葉に十六夜は続ける。

 

「この事を知っていれば、この城が衛星であることをは容易に想像できる。だから俺もゲームタイトルの“SUN SYNCHRONOUS ORBIT”に目を付けた。その次は第四の勝利条件、“鎖に繋がれた革命指導者の心臓を撃て”だな」

 

「あれってミスリード意外にも意味があったの?」

 

「ああ、“正された獣の帯”は第三の勝利条件の裏付けだけじゃないんだ。正されたというのは第四の勝利条件、の一文を正す意味合いも込められているんだ。これ、耀は解けたのか?」

 

蘭丸の問いに耀は正直に首を横に振った。蘭丸はそうかと言って話を続ける。

 

「これは言葉遊び的なものなんだが、“革命”は英語で“Revolution”って読むのと同時に“公転”の意味を持っているんだ」

 

つまり、これは“革命指導者”ではなく“公転の指導者”と読むことになる。そこでピンときた耀は感心したように頷く。

 

「つまり第四の勝利条件は“公転の指導者である巨龍の心臓を撃て”になるのかな?」

 

「んー。百点の解答じゃないが大体そんなところだ」

 

蘭丸は十六夜と目配せすると十六夜から最後の欠片を受け取り、玉座にはめず、玉座に鎮座するレティシアを見る。

 

「レティシア、あの巨龍はお前自身なんじゃないのか?」

 

え?と訳のわからないという表情を浮かべる耀。

このゲームタイトルは太陽の軌道の具現の巨龍と吸血鬼の王の開催したゲームであり、二度も出てくるレティシアの名前。故に憶測を立てるだけなら難しくない。

蘭丸はどうだ?という目をレティシアに向ける。レティシアは自嘲的な笑みを浮かべて肯定した。

 

「最強種を召喚するには条件がある。星の主権と器だ。偶然にも私はその両方を持っていた。“箱庭の騎士”としての功績。そして純血種の龍が生み出したこの身体。そして十三番目の黄道宮の主権」

 

そして巨龍を降霊させ、ゲームを開催したのだ。巨龍と姿と力を使い、死体すら嬲り倒して

 

「だがそれも今日で終わりだ。勝利条件を満たせば巨龍は消え、私も無力化される。これでゲームセットだ」.

 

「信じていいんだな?」

 

「ああ」

 

そういうレティシアの眼は何故か悲しく見えた。しかし、耀は一つの疑問が浮かんできた。

あの巨龍をどうやって無力化するのかどうやってレティシアを解放するのか。

答えがまとまらないうちに蘭丸が最後の欠片を嵌め込む。

そして“契約書類”に目を通す。

 

【ギフトゲーム名 『SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING”

 

・勝利コミュニティ “ノーネーム”

・敗北コミュニティ “ ”

 

・上記の結果をもちまして今ゲームは終了とします。

尚、第三勝利条件の達成に伴って十二分後大天幕の解放を行います。

それまではロスタイムとさせていただきますので、何卒ご了承下さい。

夜行種は死の恐れがあるので七七五九一七五外門より退避してください。

参加者の皆様はお疲れ様でした】

 

「え?どういうこと?」

 

「そこに書いてあるだろ?十二分後に大天幕が開かれ巨龍は太陽の軌道に姿を消す」

 

「じゃあ、レティシアは?」

 

一度間が空く。レティシアは懺悔するように告げる。

 

「死ぬ、だろうな。龍がの媒介は私だ。この玉座の上にあるのは水晶だからな。第四も直射するだろうな」

 

「でも、さっきは無力化されるだけだって……」

 

「あれは嘘だ」

 

にべらにも告げるレティシア。このゲームはどの勝利条件を満たしてもレティシアが死ぬゲームだったのだ。耀はレティシアの胸倉をつかもうとしたがその手はすり抜けた。

 

「言っただろう?龍の媒介は私だ。ここにいる私は精神体みたいなものだ。触れれば私の影が襲ってくるのだが、やはり十六夜が倒したらしいな」

 

苦笑いを浮かべるレティシア。十六夜も目を細めてそっぽを向く。

 

「三人には苦しい選択かもしれない。しかし私はもう同士を殺したくないんだ」

 

「お前はそれでいいのか?」

 

「え?」

 

蘭丸は静かに告げる。しかしその雰囲気には怒気がふつふつをこみ上げてきている。

 

「こんな終わり方でいいのかって聞いてるんだ!もう同士を殺したくだあ?ハッ!笑わせんなよ!今から俺たちにやらせようとしてるのは明らかに同士を殺すことだ。お前は同士にそんなモン背負わせたまま逝くのかよ!」

 

蘭丸が激昂する。ここまで彼が怒るのは黒ウサギが“ペルセウス”との取り引きのときだろう。

 

「仕方ないんだ!私は数え切れないほどの殺戮をしてきたんだ!私は……私には………もうその手を取る資格がない」

 

レティシアはボロボロと涙を流す。嗚咽交じりに泣く彼女に蘭丸は笑みを向ける。

 

「心配すんな。そんなこと俺たちは全く気にしない。それに言ったろ?俺だって数え切れないほどの人を巻き込んだって」

 

蘭丸も自嘲的な笑みを浮かべる。

 

「それでも俺はお前に救いの手を差し伸べる。お前が救いを求めるなら俺は命を賭してでもお前を救ってやる。………お前は大切な仲間だからな」

 

蘭丸は冗談めかしく笑う。レティシアは顔を真っ赤に染めて目尻に涙を溜めて笑う。

 

「………まったくよくそんな恥ずかしいこと言えるな」

 

「ん?そうか?」

 

蘭丸はよくわからないといった表情を浮かべる。レティシアはボソリと呟く。

 

「……だから惚れたんだが」

 

「なんか言ったか?」

 

「いや、何も」

 

蘭丸は思案する表情を浮かべるが十六夜と耀は苦笑いを浮かべる。

 

「さてと、ちょっくらレティシア救いに行きますか」

 

「ヤハハハ!了解だ!」

 

「合点承知の助」

 

「耀、それ死語だぞ」

 

(本当に頼もしくなったな)

 

決意した同士の背中をレティシアは嬉しそうに眺めていた。

 

 





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