問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん二世

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お久しぶりです!
かなり間があいてしまって申し訳ないです。
今回より、原作5巻『降臨、蒼海の覇者』


降臨、蒼海の覇者
メイド服


ーーー 二一○五三八○外門・“ノーネーム”本拠。

麗らかな日が差し込む窓辺で、メイド姿のレティシアはキュッとリボンを結んだ。髪を梳いていた櫛を鏡台に置き、側面を確認する。

 

「……これでよし、このメイド服も、それなりに着慣れてきたかな」

 

金糸に見間違うほどの流麗な金髪を、左右に振って確かめる。

十二、三にしか見えない彼女が着ているメイド服は使用人が着る物とは思えないほど清楚で可愛らしいフリルで着飾られていた。

身嗜みを整えたレティシアは鏡台に移る自分の瞳を見つめながら腰に手を当てる。

するとコンコンと控えめなノックとリリの声が聞こえた。

 

「レティシア様。年長組、全員揃いました」

 

「分かった。ペストには私から声をかけておくから、リリも広間で待っていてくれ」

 

レティシアがそう言うとリリはドア越しに元気な返事をしてパタパタと駆けていく。今日も活発なリリを微笑ましく思いながら、自室を後にした。

ーーー “ノーネーム”のコミュニティが住居にしているこの本拠は、十二階建ての大きな建造物である。しかし現在は外出に不便という理由で、三階と二階の部屋が使われていないのだ。レティシアは以前は十階の部屋を使っていたがメイドである彼女が主人より上階に済むわけにはいかないので今は厨房と食堂の二つ隣にある個室を私室として使用していた。

 

「白雪殿は確か、十六夜たちに追従していった筈。今日の仕切りは私とペストだけだな」

 

本拠の広間に繋がる廊下を素通りし、真っ直ぐ進む。目指すのはペストの自室。しかしその途中、廊下に設置されている巨大な姿鏡を横切り、ふと足を止めた。鏡に映るメイド姿の自分を見たレティシアは、

 

「………ふむ」

 

いい事を思い付いた。とばかりにレティシアはスカートの裾を軽く持ち上げ、フサァと少女の様に大きく靡かせ一回転する。

白く清楚なスカートが靡く様は、可憐な花が咲いた様だった。

そのままさらにもう一回転。レティシアは満足した様に鏡に映るメイドの自分に笑いかけた。

 

「始めはこのメイド服にも戸惑ったものだが………ふふ。こうしてみると、私もまだまだ捨てたものじゃな………」

 

「ーーーレティシア?鏡の前で何してるの?」

 

ガチン!とレティシアの動きがぎこちなくとまった。しまったと思った時には既に遅く、背後の気配に後悔と冷や汗が一斉に背筋から流れ落ちていく。

初々しい少女の様にロンドを踏んでいたレティシアは、気まずそうにその視線から逃げる。ペストは本当に不思議そうな顔で小首を傾げて問う。

 

「ねえ、レティシア?何をしていたの?顔が赤いけど、大丈夫?」

 

「………いや、いいんだ。見ていないならそれでいい」

 

「耳まで赤いわよ?」

 

「だから何でもないっ!」

 

「首も真っ赤よ?」

 

「ああそうだった!今日は特別血圧が高い日だったッ‼︎私は吸血鬼だからッ‼︎稀に朝から顔面真っ赤という日が、」

 

「別に年甲斐も無くメイド姿ではしゃいでいたからって、そんな恥ずかしがるとこないと思うわ。貴女のメイド姿は今日も素敵よ」

 

「ーーそうだな」

 

突如として第三者の声が聞こえ、二人は振り向く。そこには巨龍との戦いの後から“アンダーウッド”にて戦後処理を担当していた蘭丸の姿であった。

レティシアは先程とは別の意味で固まり、一気に体温が上昇していくのを感じた。

 

「ら、蘭丸⁉︎どうしてここに?“アンダーウッド”にいた筈じゃ……」

 

「戦後処理も終わったし、ちょいと白夜叉に頼まれてこっちに来てたんでな。ついでに一回顔を出そうと思ってな」

 

そう告げる蘭丸はレティシアに近づくとまじまじと見つめる。その視線には十六夜や白夜叉の様な嫌らしさのこもった視線ではない分に、対応に困っていた。

 

「いや、本当に似合ってると思うぞ?レティシア、もともとが可愛いし、」

 

「可愛ッ‼︎///」

 

無自覚に放たれる言葉にレティシアはどんどんと蕩けていっていた。“無自覚に勝るものなし”と言わんばかりにどんどんと言葉を放つ。

ペストはまさかここまで展開するとは予測できなかったのか唖然としている。

その間も蘭丸は止まらず、レティシアの額に手を当てる。

 

「ひぁっ⁉︎///」

 

「うわっ⁉︎すごい熱だぞレティシア。疲れてるのか?」

 

「大丈夫よ蘭丸。これは風邪とかじゃないからすぐ治るわ」

 

このままだと後の事に支障をきたすと感じたペストが助け船を出した。蘭丸もそれに納得して、手を離し。これから仕事だと本拠を後にした。

 

 

**

 

「さっきは済まなかったなペスト」

 

年長組たちに今日の指示を出したレティシアはペストに礼を述べた。ペストはぶっきらぼうに

 

「…別に、そんなものじゃないわ。あのままイチャイチャされても時間が長引くだけだと思っただけよ」

 

イチャイチャじゃない‼︎と顔を赤らめて否定するレティシアとそれを見て可愛いわ、と笑みを浮かべるペスト。

 

「………それにしても黒ウサギは何処にいったの?昨日までは本拠にいたじゃないの」

 

「ああ……黒ウサギなんだが……」

 

レティシアは気まずそうに顔を顰める。

 

「黒ウサギは……白夜叉に拉致されていった」

 

「……は?」

 

「昨日白夜叉と連れの者を連れて、『平天の旗本へスカウトに行くから、黒ウサギも来るのだッ‼︎』……といって半ば強引に」

 

そう言って遠い目をするレティシア。ペストは呆れ半分、半分納得といった表情で呆れる様に笑った。

 

「階層支配者”って本当に暇なの?」

 

「そんはずない。巨龍が暴れている間、東の白夜叉殿とアーサー殿の所にアジ=ダカーハの分隊が現れたらしい。アーサー殿は聞き及んでいないが、東は白雪殿の神殿建設が延期になったそうだ」

 

「ちょっと待って。アジ=ダカーハって“拝火教”の魔龍の事?」

 

「そうだが?」

 

「何?箱庭ってそんな危ない奴が首輪なしで徘徊してるの?」

 

「まさか、アジ=ダカーハはちょっと特殊でな。本体が二百年前に本体が解放されてから分身体とも呼べる群れを構築して無作為に暴れ続けているんだ」

 

「何それ怖い。そんなの早く本体倒せばよかったのに」

 

「馬鹿言うな。本体を叩けば、叩くほど分身体が出てくるし、しかも第一世代は神霊級だぞ。一体で神群を築く魔王何て相手にしてられるか」

 

と投げやりに口調を荒げるレティシア。

魔王アジ=ダカーハ。“拝火教””にも記されている五大魔王の龍である。帝釈天と同一の起源を持つこの龍は三つの首と巨躯を誇り、千の魔術を使うと記されている。しかし、この魔王の恐ろしさはそこではない。

アジ=ダカーハは傷口から分身を産み落とし、加えて強力な不死性を持ち斬撃、打突を幾千数多を振りかざしても死ぬ事はないという。

 

「その分身を食い止めたとなると流石は最強の“階層支配者”仏門に神格を返却するや否や一撃で五体の第一世代を葬るとは。アーサー殿も

二体の第一世代とその他の魔獣の大軍を瞬殺したとか」

 

アーサーと白夜叉の強さにペストは驚愕していた。神霊級を軽く倒すなど最早人智の及ばない領域である。

 

「ま、何はともあれ“階層支配者”が遊び呆けてるのはどうかと思うわ」

 

「ああ、今回アーサー殿も同行してるらしい。彼は常識人だからな。白夜叉を止めてくれるだろう」

 

そんな二人が同行してるのだ。黒ウサギの安全は保障されているも同然の筈だが、それを差し引いても拭えない不安があった。

 

(しかし“平天”の旗本とは、箱庭広しとはいえそのように呼ばれるコミュニティは…………かの魔王を置いて他にいるまい)

 

それも元・魔王ではなく仏門嫌いで有名な現役の魔王である。何を考えているのやら、レティシアは思考を走らせるが……

 

(まああの二人がいれば問題ないだろうアーサー殿がいれば黒ウサギも胃に穴があくような事にはならないだろう)

 

そう結論付けたレティシアは哀れな黒ウサギに向けて合唱したのだった。

 

 

 

 

 

 





久しぶりだと腕が鈍りますね〜

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