問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん二世

56 / 68
お久しぶりですッ!
今回は迦陵ちゃんが出ます。
ちなみに今回蘭丸は出ません。

蘭丸「オイッ⁉︎」




“混天大聖”鵬魔王

黒ウサギエロエロ作戦(?)に失敗した白夜叉は泣きながら歩いていた。頬とウサ耳を紅潮させそっぽを向く黒ウサギ。そのやり取りを見て呆れて溜息を吐く女性店員とアーサー。そしてただ一人微笑んでいる二宮雪菜。彼女が一番落ち着いているのかもしれない。

そのなかアーサーは大楼閣を見つめてフッと息を吐く。

 

(しっかし、白夜叉が神格返上してるからって、“月の兎”がいるようじゃ牛魔王の野郎は……………ったく面倒な時に来てしまったな)

 

アーサーがなんとなく考えていると女性店員は袖にギフトカードを隠し緊迫した表情を浮かべていた。

 

(流石は白夜叉の部下だな。状況は把握しているようだな)

 

「しかし、本当に無人だの。此処まで人払いをする事なかろうに」

 

女性店員にアーサーが関心していると白夜叉は不満そうに鼻を鳴らしていた。

 

 

「本当にね。私、もう疲れたわよ〜迎えくらいよこしてよ〜…………牛魔王ちゃんにはお話ししなきゃいけないわね〜」

 

「オ、オイやめてくれよ?久しぶりに会う友の絶叫なんか聞きたくないぞ、俺は」

 

フフフと笑う雪菜に慌てて止めに入るアーサー。人類最強とも噂のある彼が恐れるほどである。

 

(さ、流石は蘭丸さんのお母様なのですよ………蘭丸さんの時に見せる腹黒さはこのお母様から受け継いでいるのですね………)

 

雪菜と蘭丸の共通点を見つけ息を呑む黒ウサギ。

そんなこんなで外壁の廊を抜け、中庭に出た。此処を抜ければ牛魔王の玉座へ着く。

青天を仰ぎーーーー異変はその青天の空から舞い降りた。

 

「………っ、日差しが………?」

 

仰いだ青天の陽射が急激に強くなる。暖かな陽光は突如として肌を焦がすほどの熱戦に変わり、三人に降り注いだ。

眩い天上からは熱源と思われる人影が見え隠れするが、太陽を背にしているためはっきりと姿形は見えない。しかしそれが何者かは分からなくとも彼女たちは襲撃を受けていた。

 

「っ、やはり待ち伏せを⁉︎」

 

「白夜叉様、御下がりください!」

 

突然の襲撃に黒ウサギと女性店員は白夜叉を庇う形で臨戦態勢に入る。白夜叉、アーサー、雪菜は特に慌てる素振りをみせず襲撃者を見上げている。陽炎を放つ人影から一枚、二枚、三枚と、金色の輝きを放つ羽毛のようなものがヒラヒラと舞い落ちる。

白夜叉たちはその羽で何者かを悟り、表情は驚きに変わった。

 

「………驚いたぞ。おんしに来訪の書簡を届けた覚えはなかったのだが。義兄が仏門の関係者と会うことがそれほど気に食わんか、鵬魔王よ」

 

「まあ、あの日差しでだいたい察してはいたが…………」

 

「あら〜久しぶりじゃないの!」

 

三者三様の反応を見せる。刹那、陽光が霞むほどの熱線と閃光が一帯包み込んだ。

 

「ーーー白夜王、来客が貴女だけなら私もこんな無粋はしなくてよ」

 

閃熱が中庭を包み込み金色の炎となって白夜叉たちを包囲する。黒い髪を結い上げ、肩から背中にかけて大胆に開いた雅な柄の衣服を着込んだ襲撃者は、その背から炎で形成された金翅を顕現させている。それを見て黒ウサギと女性店員は血の気が引くのを感じていた。

 

「人の姿に金翅の炎………まさか大鵬金翅鳥(たいほんこんじちょう)⁉︎」

 

「そんな⁉︎護法十二天にさえ匹敵する最高位の神鳥が、魔王に堕ちたと………⁉︎」

 

二人は驚愕の表情を浮かべて、鵬魔王を刮目する。そんな二人の緊張を和らげるために白夜叉は二人の肩を叩く。

 

「これ、二人とも落ち着け。確かにアヤツは金翅鳥だが、純潔ではない。アレはただ、家出中の姫君でしかないよ」

 

「………は?」

 

「い、家出中の…………姫?」

 

家出中の姫と聞いて二人はポカンと口を開ける。しかし鵬魔王は姫との呼び名が気に入らないらしく、苛立たしげに白夜叉を睨む。

 

「いい加減その呼び方はやめて貰えるかしら白夜王」

 

「ならばおんしも呼びかたを改めろ。今の私は魔王ではない。どうしても変えぬというなら………千年前と同様、…迦陵ちゃん♪と愛情を込めてーーー」

 

白夜叉がそこまで言うと周りを包んでいた炎が白夜叉たちを襲う。対神、対龍の最高位の恩恵を誇る金翅鳥の炎だが、炎は白夜叉の掌に収拾され陽炎すら残さない。

 

「ふん、相変わらずの化け物ね、白夜王」

 

「おんしも相変わらずお転婆だの迦陵ちゃん」

 

再び炎を出そうと試みた鵬魔王だが、

 

(………⁉︎体がッ⁉︎)

 

鵬魔王は体が動かせ無くなっていた。炎を出そうとしても体が言うことを聞かない。言うなれば誰かに支配されている感覚(・・・・・・・・・・・・)と言うのが正しいだろう。鵬魔王が思案をまとめる前にクスクスと笑い声が聞こえた。

 

「ふふふ………駄目じゃない迦陵ちゃん♪…………すぐに怒っちゃまだまだ子供よ」

 

此処まで笑っていただけだった雪菜は妖艶な笑みを浮かべて迦陵を見つめる。彼女は何も動作をしていない。しかし彼女の放つ霊格に鵬魔王は自分が畏怖、否、彼女に支配されているのだと

途端にクスリと笑った雪菜からその感覚が消え、体も動くようになった。

 

「ふふふ、良い子ね」

 

そして雪菜はいつもの調子でおどけて見せた。しかし黒ウサギと女性店員は何が起こったかを理解できていなかった。

少し涙目になりながら鵬魔王はアーサーを睨みつけた。

 

「アーサー王…………貴方の奥様、なんで連れてきたのですか?」

 

「いや、なんで俺が怒られる?」

 

途中から空気になりかけていたアーサーは突然話を振られて驚いている。というよりこの場において彼は何も悪くはない。まさに苦労人である。

そしてアーサーに慰められた鵬魔王は始めに黒ウサギを一瞥して白夜叉に向き直る。

 

「それで、長兄に如何なご用件でしょうか。神格を返上している貴女や長兄のご友人であるアーサー王はともかく平天の旗本に帝釈天の玩具を連れてくるなんて、宣戦布告ですか?」

 

「あーすまんすまん事情は後で話すから取り敢えず牛魔王に合わせてくれんかの」

 

白夜叉は笑いながら黒ウサギを庇う形で前に出る。鵬魔王は困った様な表情を浮かべていた。

 

「………悪いけれど、長兄なら不在よ」

 

「なんと⁉︎」

 

それには白夜叉も驚いた。鵬魔王曰く、“鬼姫”連盟へ救援に行ったきり戻ってきてはいないらしい。しかし先日の魔王襲撃事件の際撃退後は直ぐにコミュニティを後にしているので本拠にいると白夜叉は思い込んでいた。

 

「それでお前が此処に?」

 

「ええ。一応酒席も用意してあったのだけど…………仏門の畜生を連れてきてきた所為で、無駄になってしまいました」

 

「………む、」

 

鵬魔王に侮蔑の視線を向けられる黒ウサギはムッと眉を顰めた。こんな彼女でも由緒ある“箱庭の貴族”である。無闇に権威を振りかざしたりはしないが、その胸には誇りも自負もある。

一歩前に出て、言い返そうと睨ーーーー

 

「ほう?やるのか(・・・・)、“月の兎”?」

 

ーーーーみ返され、ウサ耳をへにょらせて三歩下がる。それを見た白夜叉たちは呆れた視線を向ける。

 

「黒ウサギ、今のはちと格好悪かったぞ」

 

「そんなだから、同士に“箱庭の貴族(恥)”とか呼ばれるのよ」

 

「い、今のは違うのですよっ!今の後退は帝釈天と金翅鳥の種族的な相性差であって、って何でその呼び名を貴女が知ってるのですかあああああ⁉︎」

 

「…………え?まさか本当によばれているのですか?」

 

キョトンととぼける。まさか本当にそんな呼び名で呼ばれているとは思っていたのだろう。それが黒ウサギの自尊心を抉った。

 

「………っ、ぐぅ………う、うなあああああああッーーーー!!!」

 

かつてない致命傷を心に負った黒ウサギはよくわからない奇声を上げて涙を浮かべながら来た道を爆走していく。女性店員はそこまで傷つけるつもりはなかったらしく珍しくオロオロしている。

 

「ああ、私らは良いから黒ウサギを追ってやれ。きっと日頃の心労が爆発したのだろう」

 

「いや、その中にはお前も含まれてると思うぞ?」

 

白夜叉はそうかの?明後日の方を見て口笛を吹いていた。

 

「しかし、これは困ったの。第一候補の牛魔王に謁見出来ぬとなれば………いっそあの小僧たちににまかせても………いやいや、流石にあやつらには早すぎる……蘭丸には断られっぱなしだからの……」

 

うーむと考え込む。アーサーもそうだな、と相槌をうつ。

 

「まあ、あいつが今いないんなら多分暫く帰ってこないだろうな。別の候補者でも当たった方がいいんじゃないか?」

 

「候補者?」

 

うむ、と頷き、少し間をおいて話し始める。

 

「私は暫く………東の“階層支配者”を退くことになってな。そのために私の後釜を任せられるを探しているのだ」

 

「今の“階層支配者”はこいつを除くと“サラマンドラ”・“鬼姫”連盟・“龍角を持つ鷲獅子”連盟の三つだ。しかもこの三つは経験も浅い。万一があったら下層は危険過ぎる。だから、牛魔王に頼みに来たってわけなんだが………いないならしょうがない」

 

少し思案した後鵬魔王は咳き込み

 

「そこまでの事情があるなら隠し立ては不義理なのでしょうね」

 

「何だと?」

 

鵬魔王は封書を取り出す。

 

「宰相からの伝言よ。『その手紙は牛王陛下が、白夜叉へ宛てたもの』ですって」

 

今度は白夜叉が驚く番だった。その話が確かなら牛魔王は白夜叉の来訪を予見していたことになる。

 

(私が来ることを予測していたのか……)

 

白夜叉が封書を開くと、

 

『南の大樹に後継者の芽あり。心躍らせ参加されたし』

 

と、これ以上ない程に明確かつ簡潔に記されていた。

 

「クッ、ククク…………!いやはや、千里より彼方から未来を読むか、“平天大聖”(天を平定せし者)よ!あの悪童め、二つ名も悪知恵も錆びついておらんようだの!」

 

「???」

 

呵呵と大笑いする白夜叉を不思議そうに見るアーサー。白夜叉は嬉々として踵を返し、銀の髪返した。

 

「助かったぞ迦陵ちゃん!おかげで光明を得られた!後にお礼の品でも送ろう!」

 

「………感謝するなら取り敢えずその“迦陵ちゃん”をやめてほしいわ」

 

「すまなかったな。ほら雪菜、帰るぞ?」

 

「は〜い。じゃあね、迦陵ちゃん」

 

にっこりと笑みを浮かべて鵬魔王を見る雪菜。そして紗蘭、と怜悧な鈴の音を残して白夜叉たちは平天の旗本を去るのだった。

 

 

 

 




雪菜さんのギフトは暫く後に紹介します。

では誤字、感想お待ちしておりますッ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。