問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ? 作:ふわにゃん二世
タイトルについては触れないでください。
「………やーっと終わった」
“アンダーウッド”の宿舎の自室のベッドにダイブしながら蘭丸は大きく溜息を吐き、結っていた髪を解いた。その表情は普段の蘭丸からは想像できないほどに緩みきっていた。
それもそのはず、蘭丸は巨龍との戦いから三ヶ月間、“アンダーウッド”の復旧作業やその援助を行ったコミュニティへの挨拶回り、白夜叉のお使い(8割はこれである)など不眠不休で働き詰めだったのである。流石の蘭丸もここまでの仕事量は経験が無かったのか完全に疲れ切っている。
「………取り敢えず、収穫祭までは寝てるか……」
それを最後に蘭丸は穏やかな寝息を立て眠りについた。スーツにシミが残る事も御構い無しとばかりに着替えずにである。部屋には前夜祭の喧騒が僅かに聞こえる程度でしんとしていた。
『コンコン』
扉を叩く音に蘭丸は目を開いた。そして眠い目を擦りながら体を起こす。控えめにノックをしたという事は蘭丸が寝ているかもしれないと言う配慮かと思ったが、そもそもそこまで考えているのなら寝かせて欲しかった。となると誰かのイタズラか、サラあたりだろうかと考えた蘭丸は扉の鍵を開けた。
その時、黒い一閃が蘭丸の首を狙って放たれた。
「………おいおい、これはなんの冗談だ?ローズ。寝起きで思わず
蘭丸はその斬撃を素手で受け止めた。その手からは血が滴り落ちていた。襲撃の犯人であるローズは一度唖然とはしたものの、落ち着きを取り戻し剣をギフトカードに収めた。
と思ったら
「ご、ごめん蘭丸君。つい出来心で」
といきなり大慌てで謝罪し始めた。出来心で斬りかかるのは如何なものかと思ったがここまで慌てられると安眠妨害の報復を考えていたのが馬鹿馬鹿しく感じた蘭丸はローズの頭にに手を置いた。
「取り敢えず落ち着けよ。殺意が感じられなかったし、……まあ出来心で斬りかかるのはやめとけよ?」
俺じゃなきゃ死んでたぞ?と付け加えた蘭丸は未だ狼狽えているローズの額にデコピンをした。
「きゃっ⁉︎」
「へ?」
突然の声に蘭丸は間の抜けた声を上げる。そして辺りを見回すが誰もいない。タイミングと状況を考えると声の主はローズである。その本人は顔を真っ赤に紅潮させ震えていた。
「えっと……ローズ?」
「ひゃ、ひゃい⁉︎」
(ひゃいって……)
その狼狽えっぷりはかつての戦った剣士ローズとは思えない変貌であった。
「もしかしなくてもローズって女だったのか?」
「そ、そうなんだよ。ていうか蘭丸君は気づかなかったの?」
「すまん、ずっと男だと思ってた」
「だよね……」
ローズはがっくりと肩を落とす。蘭丸は改めてローズを見てみる。以前は鎧で気づかなかったが彼女のしなやかで細身の身体、それでいて女性的なそれなりの膨らみはローズが女だという証明には充分であった。
(確かにあの時の攻撃も軽かったし………)
ローズの名誉のために説明しておくがローズは決して弱くはない。ローズは五桁でも屈指の実力者で十六夜の足下くらいの実力者である。それは蘭丸が規格外であるだけである。
「それで、今日はなんか用件があってきたんだろ?さしずめ親父のパシリとかか?」
取り敢えずこの空気をどうにかしなければと蘭丸はローズに切り出した。本来の目的を思い出したローズは一枚の封書を蘭丸に差し出した。そこには“円卓の騎士”の旗印が書かれていた。
「それをアーサー様が蘭丸君に渡せと」
「そうか、わざわざありがとな」
蘭丸は封書を開け、中身を確認するとその封書をギフトカードにしまい込んだ。
「内容は理解した。中身は同士と確認を取ってから伝えると親父に伝えといてくれ」
「了解です。ところで蘭丸君は収穫祭は出ないのかい?」
「ちょっと疲れてな。休んでたんだが目も冴えたし少し外に出ようかな」
「それなら僕と一緒に回らない?僕達丁度収穫祭に参加してるし、“ヒッポカンプの騎手まではみんなに自由にさせてるし」
どうかなと蘭丸を見つめるローズ。
「いいぞ。どうせ俺も暇してたし」
「そうかい、なら僕は外で待ってるよ。支度ができたら来てね」
そういってローズは部屋から出て行った。そして蘭丸も身支度を始めた。
**
主賓室から出たローズは両手を胸に当てる。
(……ふう、やっぱり緊張したなぁ。やっぱり蘭丸君には男だと思われてたか)
ローズは指先で黒のショートカットの髪を弄る。
「……もうちょっと髪伸ばそうかな……」
「いいんじゃないか?」
「ひゃう⁉︎」
突然かけられた声にローズはまたもや奇声をあげてしまった。声をかけた蘭丸もまた驚いている。声をかけてそこまで驚かれると蘭丸も多少は傷つくようだ。
「まったくそんなんでコミュニティのリーダーが務まるとは思えないんだが……」
「ははは……心配ないよ。やる時はちゃんとやるから。それよりも早く行こう、僕お腹すいちゃったよ」
「はいはい、ほんじゃあ行きますか」
そして蘭丸とローズは露店巡りを開始するのであった。
**
一方収穫祭のギフトゲームでフェイスレスに負けた飛鳥と耀も英気を養う名目で出店を回っていた。
「レッツゴー食べ歩き」
そういった耀の両手にはアップルパイが握られていた。
「そうね、せっかくだし一つもらおうかしら」
「え?」
「え?」
「え?あげないよ?」
そういって耀は持っていたアップルパイを全て頬張る。拗ねた飛鳥はチェリーパイを買い、上品にやけ食いをしていた。
そんな時に飛鳥はあるものを発見した。
「ねえ春日部さん、あれって……」
と飛鳥の指差す方向を見ると蘭丸が女性と露店巡りをしていたのだ。
「あれってデートかな」
「それはないわね。そもそも蘭丸君がデートだなんて毛ほども思ってないわよ」
「そうだね。相手の女の人が可哀想だね」
と二人で笑いあっていた。
**
「へっくし‼︎」
「大丈夫かい蘭丸君」
「ああ、なんか時々くしゃみが出るんだよな」
「誰かに噂されてるんじゃないの?」
「まさかな」
と蘭丸とローズはりんご飴を舐めながらそんな話をしていたそうな
**
何か小さな塊が飛鳥のデコに飛んできた。
「きゃ!?」
「ぴゃあ!?」
「飛鳥!?」
赤くなったデコを抑えながら飛鳥が見ると
「…精霊?」
「メルンより小さいね。このサイズなら一口で食べれそう」
「本当ね…食べる?」
「食べる!」
「食べちゃダメ!」
身の危険を察したのかすぐに立ち上がる精霊。そしてその精霊は再び飛鳥のデコにぶつかった後、崖から飛び降りて行った。唖然としている二人にサウザウンドアイズの女性店員が息を切らして走ってきた。
「はぁ、はぁ…そ、其処のノーネームの貴女この辺りに五人組の小さな精霊を見ませんでしたか?」
「えっと、さっき崖から飛び降りて行ったけど……」
聞くや否や耀の手首を掴む女性店員。
「貴女飛べましたよね?すぐに追ってください」
「え?え?」
「春日部さん!」
突然のことに戸惑っている耀に飛鳥が凄い形相になっていた。
「捕まえましょう、一匹も残さず」
プライドの高い飛鳥はデコを襲撃されたのが腹が立ったのだろう。こうなっては仕方なく今度蘭丸に奢ってもらおうと考え、その精霊を追うべく二人を連れて崖から飛び降りた。
なんかグダグダになってしまいました。
誤字、感想お待ちしております。