問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ? 作:ふわにゃん二世
タイトルはすいません。
いいタイトルが思いつきませんでした。全く無関係ってわけじゃ無いですけど………
「……ということがあってね…」
「ははっ。こっちでも親父って相変わらずなんだな」
収穫祭を回っていた蘭丸とローズは彼の父親、アーサーの話、ローズはアーサーの箱庭での実績、蘭丸は修行時代の愚痴を互いに話し合っていた。
「にしても親父って案外苦労人なんだな、俺には虚偽癖の嘘親父にしか思えなかったんだけどな」
「ははは………それは言い過ぎなんじゃ……(アーサー様からは奥様の事は蘭丸君に黙ってろと仰せつかってはいるけど……これが彼に知れたら……)」
蘭丸は母である二宮雪菜が生きている事をまだ知っていない。もしそれが彼の耳に入ったら蘭丸はすぐにでもアーサーを殴りにいくであろう。もっとも、蘭丸は修行時代、彼を殴れた事はないのだが。
ちょうどそのとき蘭丸はローズの口調から何か父親がまだ何か隠しており、今度会ったときにブン殴ろうと決意していたのは彼しか知らない。
「って十六夜にリリじゃんか。こんなとこで何してんだ?」
蘭丸の目先には狐耳の少女リリと人間大程の麻袋を担いでいる十六夜がいた。
「あ、蘭丸様!」
リリは嬉しそうに二尾をパタパタさせ、駆け寄ってきた。普段、年長組筆頭として子供達を仕切る彼女だが、この時は年相応の笑顔を浮かべていた。蘭丸はリリの頭を撫でると視線を十六夜、もとい彼の持つ麻袋に移した。
「それなりに収穫祭を堪能してるみたいだな十六夜。それとその袋…………ああグリーのところか」
「ああ、これを奴のところに持って行って精々悔しがらさせやろうと考えたところだ」
「なるほどな、そいつは名案だな」
違いねぇ、と笑う十六夜。案外この二人が一番仲がいいかもしれない。そして十六夜は彼の後ろに立つローズに気がついた。そして面白いものを見たと笑みを浮かべた。その視線に気づいたローズは蘭丸の横に立った。
「初めまして、僕は四桁の“円卓の騎士”の傘下コミュニティ“ブラットソード”のリーダー、ローズというものです」
「こいつとはギフトゲームで知り合ってな、結構やる奴だぞ」
「へえ、いつかやり合ってみたいな。………でもデート中に野暮な事はしねえよ」
「……?何言ってるんだ?デートじゃないぞ」
「そうだね、僕と蘭丸君の予定が偶然重なっただけだしね」
と二人同時に頭にはてなマークを浮かべていた。
結論、鈍感二人が一緒にいると話が面白くならなかった。
(チッ、面白くねえな……)
「………まあ今はグリーに肉を届けに行くのが先だな。お前らはどうするんだ?」
「んー、俺らは取り敢えず適当にふらつこうかと……」
「私は年長組を一度集めて“六本傷”の名物料理を食べに行こうかと思います」
リリのいう名物料理とは“斬る!”“焼く!”“齧る!”の三工程で食べる肉料理であり、曰く『焼けた肉を食べる為の肉料理』と言われているのである。
「へえ、面白そうだね、蘭丸君、僕らもーーー」
「それ、私も行く‼︎」
ズブゥンと柔らかい音で空中から落下してきた耀は何故か気を失っている飛鳥と女性店員を地面におろし、リリの肩を掴んだ。
「それ、私も食べる。何処にある?」「え……………え?え、ええと、一つ上の断崖だと思いま」
「よし行こう飛鳥たちが目を覚ます前に行こうさあレッツ、立食‼︎」
と耀はリリを連れて飛び去っていった。嵐のような出来事に唖然としていた十六夜たちだが飛鳥たちに気がついた。
「何やってんだお嬢様?」
「……十六夜君には関係ないわ」
ぶすっと拗ねた表情をした飛鳥は十六夜の手を借りながら立ち上がった。女性店員も今の事がなかったかの表情で立ち上がった。
「ところでそこのあなた、つかぬ事をお聞きしますが、」
「おい、着物が捲れて下着丸出しだぞ」
「拳ぐらいの小さな精霊をーーーーえ、嘘⁉︎」
「嘘だよ」
ズビシ!と薙刀を一閃する女性店員。十六夜はそれを白刃取りで受け止めた。その一連の動作を見ていた蘭丸も、
(前に見た時よりも動きに無駄がなくなったな……)
と感心してた。十六夜も同じく思っていたらしく感心の声を上げた。
「あれ?只の店番じゃなかったのか」
「店番が武術を心得ているのは当然です。貴方のような不埒者を切り捨てる為に……」
「おい、その辺にーーー」
「実は、本当に丸見えよ」
「嘘⁉︎」
「嘘よ」
ズビシ!と飛鳥の頭に手刀を落とす………その手を蘭丸が止めていた。
「まあ、勘弁してやってくれ、こいつらにも悪気は……………いや、すまん」
悪気はないといいかけたがどう考えても十六夜たちには悪気しかないと思い、謝る。
しかし女性店員は顔を真っ赤にさせ、口をパクパクし、固まって反応できていなかった。
「て、てててててて///」
「何語⁉︎おい!しっかりしろ!」
蘭丸は女性店員の奇行に慌てている。その原因は彼にあるのだが………それを見ていたローズはうん、と頷き。
「彼って鈍感なんだな」
「だろ?」
「でしょ?」
お前もだろ、というツッコミを心の中でした十六夜は静かに同意することにした。
**
その後女性店員が復活し、蘭丸とローズは十六夜たちと別れ、耀のいる“六本傷”の立食会場に来た時に、夢を見たと言う。
ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ!
と“斬る!”“焼く!”“齧る!”の三工程をすっ飛ばし、“食べる”といことに気迫を注ぐ耀に蘭丸たちは視線を奪われたのである。しかもこれといって行儀悪く食べているわけではない。むしろナイフとフォークのマナーを守っている。
「ば、馬鹿な⁉︎あの小さな口がこの速度で食べ続けられる筈がねえ…………!」
「まさか口の中に料理を収納するギフトを⁉︎」
「いいや、そんな小細工なんかじゃねえ!この女はただ純粋にーーーー
なっ………と料理人と観衆は息を呑んだ。耀はその間も料理を飲み込んだ。ついでに蘭丸はラム酒を飲んでいた。
「目視すら出来ないほどの…………高速の、大食漢だって…………!!!」
「ハッ、おもしれぇじゃねえか!」
「応さ!十年来の英雄を思い出させてくれる戦士だ!おい、野郎ども!食料庫からありったけ持ってこい!こうなったら全面戦争だあああああああ‼︎」
雄叫びをあげながら食材をさばいていく料理人たちを見て耀は
その戦いをラム酒を煽りながら観戦していた蘭丸とローズは
「なんか凄いことになってるね」
「まあ、あいつ、相当腹減ってたみたいだし、想像はついてたな」
ワーワーと異様な盛り上がりを見せている立食会場。
「…………フン。何だ、この馬鹿騒ぎは。“
しかしその熱気は突然の冷ややかな声によりかき消された。
「連中はアレですよ。巨龍を倒して持て囃されている猿共ですよ」
「ああ、例の小僧のコミュニティか。…………なるほど、普段から残飯を漁っていそうな、貧相な身体だ」
「“名無し”である以上、一時の栄光ですからな。収穫祭が終わる頃には皆、奴等の事など忘れております。」
「所詮、屑は屑。如何なる功績を積み上げても“名無し”の旗に降り注ぐ栄光なぞありはしないのだから」
「そんなことありません!!」
リリの叫びに観衆の視線が一斉に集まった。“ノーネーム”蔑んだ男は凶暴そうな目つきでリリを睨みつける。
「なんだ、この狐の娘は?」
「私は『ノーネーム』の同士です!貴方の侮蔑の言葉、確かにこの耳で聞きました!直ちに訂正と謝罪を申し入れます!」
真っ赤に頬を染めながらひょこんと狐耳を立てて怒るリリ。取り巻きの男が笑いながら一歩前に出る。
「ふむ。君の身分は分かった。しかし、君はこの方が誰だか分かってるのか?この御方は二翼のコミュニティのリーダーにして幻獣ヒッポグリフのグリフィス様ですよ?」
その言葉を聞いて蘭丸はローズの方を向く。
「ヒッポグリフって確か鷲獅子と馬の幻獣だよなってことはあれって人化の術か?」
「そうだね、幻獣はその術をもってるのは多いからね。ていうか助けなくて大丈夫なの?」
「いや、リリがやばくなったら助けにいく。ちょっとリリには申し訳ないが、あっちのほうが立場的には上だしな。まあサラの度量は信用しているがな」
とラム酒の飲む手を止めて何時でもリリを助けに行ける状態にスタンバイする。
**
グリフィスが“アンダーウッド”を守るために龍角を折った行為を愚かといった時だった。
「………訂正しろ」
「何?」
「サラが龍角を折ったのは、“アンダーウッド”を、仲間を守る為、私の友達を守るためだ。――サラは“愚かな女”じゃない。」
「おい小娘。いい加減に」
離れろと言う前に取り巻きの男は空高く飛んでいた。
耀が光翼馬のブーツで取り巻きの男の腹部に輝く風を叩き込んだからだ。
「輝く風…………鷲獅子と、光翼馬のギフトだと………!?」
もう一人の取り巻きは顔面蒼白にし、後ずさりする。
「もう一度だけ言う。ーーーー訂正しろ」
と珍しく本気で耀が怒っていた。圧縮される閃光と暴風の渦。それを前にしても余裕の表情を浮かべるグリフィス。
「そういえばもう一匹 馬鹿なまねをして誇りを手折ったものがいたな」
「………?」
「有翼の幻獣に取って翼は空の支配者としての象徴。鷲ならば尚更のこと。奴は元気にしているか?“名無し”の猿を助けるために鷲獅子の翼を失い愚かで陳腐な姿となった我が愚弟は‼︎」
耀は愕然とした、まさかあのグリーにこんな兄がいるとは思いもしなかったのだろう。
『思い知るがいい!まがい物の小娘!このグリフィス=グライフこそ第三幻想種―――“鷲獅子”と“龍馬”の力を持つ、最高血統の混血だと!!』
雄叫びと共に稲妻と旋風が吹き乱れる。耀もまた臨戦態勢をとった。閃光と暴風、そして稲妻。誰もこの戦いには入らない、否、入れないのだ。
「そこまでにしとけ」
「え⁉︎」
『何⁉︎』
閃光も暴風も稲妻も、その場の空間が歪み、消滅した。それをやってのけた二宮蘭丸、そして付き添いのローズは二人の間に歩み寄った。
「そこまでにしとけ、只の喧嘩ならまだしも、こんなギフトバンバン使いやがって、ガキか!周りに迷惑かけんなよ」
蘭丸はまるで子供を嗜めるように二人に説教をする。
「その子のいう通りやな」
そこに隻眼の眼帯をした細身に細目の胡散臭い笑顔とエセ関西弁の男が観衆の中から現れた。
「………あんたは?」
「ええっと確か貴方は………」
「ああ、僕はーーー」
「蘭丸、どいて!」
『ええい!何だ貴様は、そういえば貴様は見たことがある。“名無し”の分際で調子に乗るな‼︎』
と興奮状態の二人に話は聞いてもらえなかった。
「困ったなあどないしようか」
「もうどうしようもないですかね」
「『だからどーーー」』
「ちょっと黙ってろ‼︎」
と二人の声を遮り、蘭丸は二人をゲンコツで気絶させる。
「ったく、手間かけさせやがって……」
「この二人どうする?」
ローズが尋ねる。
「取り敢えず、このままサラのところに連れて行く。リリ、お前は年長組を連れて先に帰っててくれ」
「は、はい!」
リリはひょこんと狐耳を立てると年長組を呼ぶために踵を返した。蘭丸は二人を抱え、瞬間移動しようとした時に
「ちょいと待ってくれ。サラちゃんのとこに行くなら僕もついでについていってもええ?」
「構わんが………お前は?」
「僕は蛟劉と言うもんや、話は後に、さあ、いくで」
「じゃあ行くか」
蘭丸は地面に手を翳した。
そして蘭丸たち五人は瞬間のうちにそこから姿を消した。
今回は何時もより長めです。(4000文字越え)
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