問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん二世

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久しぶりに投稿します


登場!“覆海大聖”蛟魔王

 

 

“アンダーウッド”収穫祭本陣営。耀とグリフィスの騒動の後、十六夜、飛鳥、黒ウサギ、そしてリーダーのジンと特別顧問の蘭丸は揃って本陣営に足を運んでいた。そしてなぜかローズまでが付いてきていた。

“二翼”からはグリフィスが来ていた。因みに耀に吹き飛ばされた取り巻きは未だベッドに寝込んでいる。

テーブルを挟んだ両者は一触即発の険悪な雰囲気を醸し出していた。ジンは溜息を吐き、蘭丸は「折角の休暇が……」と愚痴をこぼしていた。報告書を読み終えたサラは深く溜息を吐き、

 

「………両者の言い分は分かったこの一件は両者不問にする。しかし次に問題を起こしたら強制退去だ。ーーー以上」

 

「ふざけるなッ‼︎」

 

グリフィスが怒号と共にテーブルを叩いて立ち上がった。

 

「サラ議長!此奴らは我らの同士を重傷に追いやったのだぞ⁉︎なのに処分しないとはどういう了見だ‼︎」

 

「それはお前達にも非があるからだ。私に対する侮辱は…………まあ目を瞑ってやる」

 

「馬鹿を言わないで!それが一番重要でしょう⁉︎」

 

今度は飛鳥が怒りながら机を叩く。

 

「なんで貴女が議長を退かなければいけないの⁉︎“アンダーウッド”を救った功労者である貴女が」

 

「落ち着け飛鳥」

 

「これが落ち着いていられるわけないでしょ‼︎」

 

蘭丸が宥めようとするが飛鳥は聞く耳を持たない。

 

「それは連盟の事情だ。飛鳥に話すことは何もない」

 

サラの拒絶的な反応に飛鳥は絶句してしまった。龍角を失った事で議長を退かなければならないならば飛鳥にも責任があると言っても過言ではないからだ。

 

「だがグリフィス、彼らに対する侮辱は明らかに名誉毀損だ。決闘を申し込まれても仕方がない」

 

「た、確かに決闘での負傷なら致し方がない。しかしあの小娘は問答無用に殴りかかってきたんだぞ!過剰な暴力行為だろうがッ‼︎」

 

グリフィスがくってかかる。しかしその怒りは同士を傷つけられた為ではなく、公衆の面前で恥をかかされたという利己的な理由である。

 

「君、その辺で止めときや。サラちゃんが困ってるやんか」

 

席に座らず壁際にもたれかかっていた男、蛟劉はグリフィスを嗜める。エセ関西弁でサラちゃんなどと呼ばれサラも脱力したように肩を落とす。

 

「蛟劉殿…………その、二百歳になってサラちゃんというのは、」

 

「あっはっは!僕の妹と同じこというねえサラちゃんは」

 

「蛟劉さんも相変わらずだね〜」

 

エセ関西弁で笑う胡散臭い蛟劉とクスっと笑うローズ。

 

「まあ、ぶっちゃけた話をするとやな。君の言い分も一理ある。話を聞いた限りやと、“名無し”の子らはちょっと過剰防衛気味やなぁ」

 

「な、何ですって⁉︎………そもそも貴方は何者なの⁉︎これは“ノーネーム”と“二翼”の問題でしょ⁉︎」

 

敵意を向ける飛鳥の間に大慌てで割って入った。

 

「ま、待ってくれ飛鳥!この御方は亡きドラゴ=グライフの御友人で、連盟のご意見番でもある方なんだ!決して怪しいものではない!」

 

「まあ、確かに見た目ガッツリ怪しいけどな」

 

「ちょ、蘭丸君。サラちゃんのフォローが台無しやないか」

 

サラのフォローを蘭丸が帳消しにし、蛟劉がそれにツッコミを入れる。やはりツッコミも胡散臭い。

 

「ご意見番だと?そんな輩がいるとは初耳だが」

 

怪訝そうに眉を顰めるグリフィス。彼の反応で視線が蛟劉に集まる。困ったように笑みを浮かべた蛟劉は袖から蒼海の色のギフトカードには“覆海大聖”(海を覆いし者)の文字が記されていた。

 

「ふ…………“覆海大聖”蛟魔王だと⁉︎」

 

グリフィスに続き蛟劉の正体を知らなかった全員が驚いた。

 

(やっぱりか、ローズの言った通りか………)

 

蘭丸はローズからの情報で知っていたため、大して驚いたそぶりは見せなかった。

 

「くっ……!詰まる所は穀潰しだろ。巨龍との戦いに参加しなかった分際で何故我々の間に入ってきた」

 

「まあ止めたのは俺だけどな」

 

(なぜ蘭丸さんは不機嫌なのでしょうか?)

 

やたらと揚げ足をとる蘭丸の様子がおかしいと感じた黒ウサギ。まあ理由はまたとない休暇を無駄にされたのが理由ということは誰も知らない。

 

「まあ、それに関しては申し開きもできへんけど………あの場は無理にでも止める必要があった」

 

蛟劉は目を細めて背筋が凍るような声音で告げた。

 

「なあ若いの。オマエ何処の誰に喧嘩売ったと思ってるんや?」

 

「………?何を今更。私は“ノーネーム”に」

 

「阿保、この子らは問題ない。そしてサラちゃんにも問題ない。大きな問題があったのは、白夜王の同士を侮辱したことや(・・・・・・・・・・・・・・)。あの鷲獅子は“サウザンドアイズ”の同士やぞ。同士が負った名誉の傷を侮辱されたと身内贔屓の白夜王が知ったら、ーーーーーー“二翼”は今日明日にも皆殺しやで?」

 

「ッ!」

 

「最強の“階層支配者”にして白夜の星霊。加えて恐ろしいことに太陽の主権を十四個も揃えとる御方や。身も蓋もない話をすれば、オマエ、十四体の巨龍と戦えるか(・・・・・・・・・・・)?」

 

これにはグリフィスだけでなく全員が驚いた。

 

「ま、僕が止めたのはそういう理由や。星霊とか仏様とか、敵に回すもんやないで。本当に………落日なんて若いうちから経験するもんやないで」

 

皮肉を込めた口調でグリフィスの方を叩く。グリフィスはまだ文句があるようだが、蛟劉の意見は正論であったため反論出来ず、退出しようとする。

 

しかしその背を納得できない者の声が引き止めた。

 

「おいまてよ馬肉。ふざけんじゃねえよ白夜叉一件はそっちの都合だろうが。なんで俺たちが譲歩しなきゃいけない」

 

「あのなあ少年。気持ちは分かるが先に手を出したのは君らやで本来なら裁かれてもおかくないんやからな」

 

「ハッ!ふざけんな。じゃあ何か?公衆の面前で口舌を切りつけるのは無罪なのか?口舌は刃もなく、相手の身体に痣も残らなければ血も流さないが、代わりに魂を傷つけ涙を流させる。俺から言わせればその方が悪辣で卑劣だ。畜生以下のクソッタレだ。ましてや切られた相手が、十歳のガキとあってはなおさらだ」

 

この十六夜の剣幕には同士も驚いた。普段の十六夜にはない怒りを露わにしていた。

 

「白夜叉が牙を剥くとしたら、それは同じ口上の筈だ。……違うか?」

 

十六夜に睨まれ、蛟劉も一考する。

 

「なるほど、それも一理ある」

 

「お、おい」

 

「だが耀にしてもそこの馬肉にしても収穫祭は多くの人が楽しんでるんだ。それをぶち壊すようなマネしたんだ。文句あんなら箱庭らしくギフトゲームでつけろ」

 

蘭丸がここでギフトゲームを提案してきた。ここは箱庭である。何かあればギフトゲームで白黒つけるべきである。

 

「確か、二日後の“ヒッポカンプの騎手”がこの収穫祭で一番大きなゲームだったよな。それで決着をつける。敗者は壇上で勝者に土下座だ。ーーー異論はあるか?」

 

「ふん、今から恥をかく準備でもしておくんだな」

 

「こっちのセリフだ。この馬肉」

 

グリフィスは舌打ちをしながら本陣営を後にした。

 

「すまんな少年。君の言い分は一々尤もや。よう我慢してくれた」

 

「別に、アンタのためじゃない」

 

「そ、台無しにされた休暇の分だ」

 

「そこなの?」

 

蘭丸の不機嫌の理由に軽く驚く飛鳥。

 

「けど驚いたぜ。まさかアンタが西遊記の蛟魔王だとはな。アンタの記述はほとんど無いに等しいし、一度話を聞いてみたかった」

 

「あら、それを言うなら私も聞いてみたいわ」

 

「Yes!黒ウサギも聞いてみたいのですよ!」

 

“ノーネーム”の一同が一斉に瞳を輝かせる。その輝きに蛟劉は後ずさる。

 

「あー、いやいや年寄りの昔話なんてそんな」

 

「美味い肴もあるぞ」

 

「美味しい前菜もあるわ」

 

「美味しいお酒も…………ありますけどここは果汁ジュースで「蛟劉、アンタも呑むか?」ってなんで蘭丸さんが先に飲んでるんですか⁉︎」

 

完璧な準備に逃げられないと悟った蛟劉は観念して席に着くのだった。

 

 

 

一方その頃壇上では。収穫祭の舞台を独占した白夜叉が、高らかに扇を掲げ、

 

「ーーーというわけでッ!収穫祭のメインギフトゲーム・“ヒッポカンプの騎手”の水馬の貸し出しはッ‼︎全員水着着用を義務とするッ‼︎」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ‼︎」

 

「白夜叉様万歳!!!白夜叉様万歳!!!白夜叉様万歳!!!」

 

「“サウザンドアイズ”万歳!!!“サウザンドアイズ”万歳!!!“サウザンドアイズ”万歳!!!」

 

熱い歓声で盛り上がる観衆たち。もとい酔っ払い共。白夜叉は神々しいまでに清々しい顔で両手を広げ、

 

「尚、専属審判の黒ウサギはッ!!!審判中は常時・ビキニ水着だああああああ!!!」

 

「ッシャオラアアアアアアアアアア!!!」

 

「大正義白夜叉万歳!!!大正義白夜叉万歳!!!大正義白夜叉万歳!!!」

 

「黒ウサギの水着万歳!!!黒ウサギの水着万歳!!!」

 

「フハハハハハッ‼︎諸人よ、我を讃えよッ‼︎神仏よ、我を恐れよッ!我こそは不落の太陽の具現ッ‼︎遥かな地平の支配者ッ‼︎“白き夜の魔王”白夜叉也ッ‼︎」

 

暴走していた。これは比喩では無い。

ツッコミ役の黒ウサギは不在。

“主催者”のサラは不在。

ストッパーの女性店員は酔い潰れている。

そして、

 

「うふふふ………やっぱり白ちゃんは面白いわね」

 

「雪菜…………俺もお前みたいに笑っていられる性格だったら………はぁ………」

 

雪菜は最早この状況すら楽しい余興のように笑っていた。そして最強苦労人聖騎士であるアーサーは頭を抱えていた。ここ数日白夜叉に振り回され疲労困憊の彼は白夜叉を止める気力はなかった。

収穫祭の初夜、暴走した白夜叉を止めるものはいなかった。






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