問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ? 作:ふわにゃん二世
「ーーー以上が、サラ様とポロロからの要請を受けた内容です。“二翼”とは因縁もあります。絶対に勝ってください」
“ヒッポカンプの騎手”の開催日、“ノーネーム”の面々はジンから、優勝者が次期“階層支配者”を任命するということだった。
「やれやれ、サラも面倒ごとを持ってきやがったな」
「そうね、一言くらい相談してくれても良かったのに」
「うん。これはもうサラには美味しいものを奢ってもらうしかないね」
「まあ、やるっきゃねえな」
蘭丸がそう言うと水着に着替えていた黒ウサギの声が聞こえた。
「お、お待たせしました」
影からウサ耳だけをぴょこんと出して恥ずかしそうにしている黒ウサギ。それを飛鳥と耀が同時にウサ耳を引っ張った。
「「えい」」
「フギャ⁉︎」
引っ張られた勢いで黒ウサギの胸が大きく揺れた。
「十六夜君、エロっぽいとはこういうことを言うのよ」
「馬鹿言えこれはエロいんだよ」
「うんエロエロだね」
「ほ、他に言うことはないのですか……」
ゲンナリとした黒ウサギ。黒ウサギの頭に手を置きつつ蘭丸が、苦笑する。
「まあ、あいつらの言ってることは気にすんな。それに、その水着は黒ウサギだから似合ってるんだと思うぞ?」
「そ、そうですか///」
黒ウサギはもともと赤くなっていた顔をさらに赤らめる。その様子を見せられている三人は、
「十六夜君、彼のアレって病気なのかしら?」
「うーむ、その可能性は否定できない。あの鈍感は病気レベルだな」
「うん、蘭丸は天然タラシだね」
またもや彼に対して失礼なことを言っていた。
*
場所は変わってリリたちは斑梨のジュースやアイスを売っていた。
「レース観戦のお供に斑梨のジュースはいかがですかー!」
元気いっぱいに斑梨を売るリリ。
「………斑模様でも黒死病にはかかりませんよー」
抑揚のない声で地味に怖いことを言うペスト。
「お前がそれを言うと冗談に聞こえないからやめろ」
麦わら帽子を深くかぶり、正体がバレないかヒヤヒヤしながら売るレティシア。
「そこの金髪の嬢さん、ジュース二つもらおうか」
「はい、ただいま………」
背後からかけられた低い声にレティシアは聞き覚えがあった。
「アーサー殿………」
「久しぶりだなレティシア。いつぶりだ?ちょうど10年ちょっと前くらいか?」
レティシアに声をかけたのは四桁のコミュニティ“円卓の騎士”のリーダーであり、二宮蘭丸の父であるアーサーであった。そして、
「久しぶりねレティシアちゃん。あら?その水着可愛いわね〜」
彼の妻で蘭丸の母である雪菜の姿もあった。
「雪菜殿も……。しかし貴女が生きていたとは、蘭丸から聞いた限りだと、てっきり亡くなられたのかとばかり」
「うふふ……人を勝手に殺しちゃ、ダ・メ・よ!」
(この妖艶で、相手に恐怖を与える笑み、やはり本物の雪菜殿だ)
涼しい格好をしていたはずなのに冷や汗が止まらないレティシア。
「それでね、レティシアちゃん。一つ聞きたいことがあるの」
「はい?」
「レティシアちゃんってうちの子のどこが好きなの?」
「⁉︎///」
雪菜の発言によりレティシアは冷やしていた斑梨が暖かくなるのではないかというくらい沸騰した。
*
「それでは今より"ヒッポカンプの騎手"を始めさせていただこうかと思います! 司会進行はお馴染み黒ウサギが―」
ーーーー雄オオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!
黒ウサギの登場とともに天地を揺るがす大歓声。ひゃっとウサ耳を跳ねさせて驚く黒ウサギ。
「黒ウサギの水着姿万歳!!!黒ウサギの水着姿万歳!!!」
「白夜叉様万歳!!!白夜叉様万歳!!!」
「我ら障害に一片の悔いなし!!!」
あまりのテンションに吐血するものまで出てきた。そしてそれを順番にトドメをさしていくペスト。
そして白夜叉はマイクを手に取り開催宣言を行う。
『えー諸君。ゲーム開催前に一言、ーーー黒ウサギは実にエロいな‼︎』
「さっさと開始してください。このお馬鹿様‼︎」
ズガシュッ!と黒ウサギの投げた石が白夜叉に刺さり鮮血が吹き出ていた。そして白夜叉は気を取り直し、
『それでは本当に一言。本当に黒ウサギはエローーー』
ズガシュッ!ズガシュッ!ズガシュッ!次々に石が突き刺さる。それ以上は白夜叉も悪ふざけをやめ、真面目にし始めた。黒ウサギや女性店員は最初から真面目にやれ、と思っているに違いない。
『それでは参加者たちよ。指定されたものを手に入れ誰よりも早く駆け抜けろ。此処に“ヒッポカンプの騎手”の開催を宣言する‼︎』
扇を広げ、高らかに宣言する。
ーー刹那、魔の剣閃が広がった。フェイスレスが参加者の水着を切ったのだ。それも肌を傷付けずに水着だけを切り。水着を着られ裸体を晒すことになった参加者たちはこぞって水中に飛び込んだ。フェイスレスは近づくものの水着を容赦なく切り刻んでいった。
「チッ!面倒臭い戦法取りやがって」
水上を走りながらフェイスレスの斬撃から飛鳥を守る蘭丸は舌打ちをした。
(さしずめ範囲は二十メートルくらいか………取り敢えず序盤はギリギリの距離を維持するのがいいか)
『現在、トップ集団は六つ、トップは“ウィル・オ・ウィスプ”よりフェイスレス。二番手に“ノーネーム”より久遠飛鳥、三番手に“ブラッドソード”よりローズ四番手から六番手に“二翼”が猛追している状況です』
(フェイスやローズも厄介だが、まずは……)
黒ウサギの実況を聞き作戦を頭の中で立てる。
「耀!」
「!………うん任せて」
蘭丸の目配せで理解したのか耀は蘭丸たちとは別ルートに向かい始めた。
「さてと、俺も十六夜たちを追うか……」
「させないよ!」
突然の剣閃だが、蘭丸は難なく避けた。襲撃者を理解していたからだ。
「やっぱりお前だったか、ローズ」
「うん、君を足止めしておけば、かなりの戦力ダウンが狙えると思ってね」
ローズはニヤリと笑う。
「フランとドリーは先に進んで!彼は僕とイーベルで足止めしておく」
「「はい!」」
フランとドリーと呼ばれた女性二人はアラサノ樹海の奥へと消えていった。
「………逃がして良かったのかい?君程の実力なら僕らなんかすぐにやれたんじゃないの?」
「まさか、お前が俺くらいの実力があることなんてお見通しだぜ?」
蘭丸は先程のローズに負けないほどのニヤリと笑った。ローズは刀身が闇と見間違えるほどの黒い剣を引き抜き、イーベルと呼ばれた女性は弓を構えた。
「じゃあ行くよ蘭丸君!」
「………覚悟……」
「さあ、どんなもんか見せてもらおうか」
それに対し蘭丸も臨戦態勢に入った。
最初に動いたのはローズだった。
「たあっ‼︎」
「ふっ!」
一瞬で蘭丸との間合いを詰め、一閃。しかし蘭丸はそれを紙一重でかわす。だが、その瞬間、蘭丸は死角から何かの気配を感じ取り、体を捻り、かわした。かわしたそれは弓矢であった。
「………外した………つぎは当てる………」
ボソボソとイーベルが何かを言い、弓を引く。イーベルは矢を持たずにただそのまま弓を引くと光が矢を形へと変わり、放つと一直線に蘭丸へと向かっていく。その矢を素手で掴んだ蘭丸はイーベルを睨む。
「あの弓矢は何かのギフトか?」
「ちょっと違うかな。イーベルのギフトはイメージを具現化させるギフト、“想像なる創造”。さっきのは矢をイメージしてそれを具現したものだよ」
「なるほど、そいつは面倒臭いギフトだな」
矢を躱しながら面倒臭そうにする蘭丸。イーベルは次々に矢を穿つ。
「今だッ!」
死角ができた隙をローズは見逃さなかった。跳躍したローズは剣をしまった。ローズの右手から植物が生えてきた。
「っ!オイオイオイ、そりゃぁないぜ」
「これが僕のギフト“侵緑”だよ。僕は体の至る所や視認できる範囲に植物を生やすことができるんだ」
次々に生えてくる植物は蘭丸よ体を拘束した。蘭丸は拘束を解こうとするが、植物は完全に蘭丸の自由を奪っていた。
「チッ!こりゃあ………」
「殺しは御法度だからね、勝負ありだね蘭丸君」
ローズは左手を植物で覆い、巨大な拳を作った。振りかぶるとその拳を蘭丸へとぶつけた。蘭丸を拘束していた植物ごと蘭丸を吹き飛ばした。
「ぐっ!」
攻撃を食らった蘭丸はそのまま大河へと落下していく。蘭丸は動かなくローズは勝利を確信した。
しかし、蘭丸の体はスウッと消えた。そう、ローズが拘束し攻撃していたのは蘭丸の分身であった。
「分身⁉︎」
「やっぱりお前はなかなか強いな。だが、俺もやられっぱなしは性に合わん。反撃と行かせてもらうぞ」
「イーベル‼︎」
「………はい……」
ローズの声にイーベルも弓を構える。
序盤から大きく動く“ヒッポカンプの騎手”、しかしこのゲームの波乱はまだほんの小波。
「あーあかんわ。寝坊してもうた。今からで間に合うんかな」
眠っていた大波が目を覚ましたのを彼らは知らない
なんか今回は戦闘描写を久しぶりに書いたからか上手くいかないかも………
誤字、感想あったらよろしくお願いします