問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん二世

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今回でこの章最後です!


これにて一件落着

ーーー“アンダーウッド”階層支配者(フロアマスター)就任式。

最終日を迎えた収穫祭の夜、連日行われていた酒宴は一時取り止められ、荘厳な雰囲気に囲まれていた。

大樹の天辺ではサラ=ドルトレイクが新たな“階層支配者”として任命され“鷲龍の角”を授与されている。

蘭丸たちは地下都市からそれを見上げ収穫祭を振り返りながら斑梨のジュースを飲んでいた。

 

「これで、“龍角を持つ鷲獅子”(ドラゴ・クライフ)連盟も落ち着くかな」

 

「そうだろうな。グリフィスのやつが今回の一件で出奔したし、反対するやつなんていないんじゃないか?」

 

十六夜に蘭丸が応答する。グリフィスはサラが“階層支配者”に任命されるとすぐにコミュニティを去ったらしい。それが潔さから出た行動かは分からない。しかし、長を掛けて戦った以上、敗者が去るのはおかしいことではない。“二翼”の同士たちもすぐに現状を受け入れていた。

そして大樹の天辺で炎の嵐が吹き荒れた。それは新たな“階層支配者”の誕生を祝福するかのように。地下都市のあちこちでは乾杯の音頭が鳴り響いていた。

 

「………お疲れ様です、サラ様。黒ウサギたちも頑張るのですよ」

 

黒ウサギは羨望と祝福の意を込めた眼差しを彼女に贈った。そしていつか自分たちも、旗と名を取り戻し同士たちと再会する。そんな夢を大樹の旗に重ねる。

 

「あの、黒ウサギのお姉ちゃん」

 

「………リリ?どうしたのですか?」

 

神妙な顔のリリに、小首を傾げる黒ウサギ。リリは狐耳を紅潮させて、胸に抱きしめていた小袋を手渡した。

 

「……これは?」

 

「プレゼント。十六夜様や、飛鳥様や耀様や、蘭丸様やジン君や私たちみんなで選びました」

 

ーーーへ⁉︎とウサ耳を逆立たせて驚く黒ウサギ。視線で問いかけると蘭丸以外の問題児三人はそれぞれ別方向にそっぽを向いた。

 

「………ま、こんな面白い場所に招待してくれたからな」

 

「連盟も組んで、一つ目の節目が出来たわけだし」

 

「俺らからの感謝のプレゼントってやつだ」

 

「いつもありがとう、黒ウサギ」

 

耀が笑顔で締めると、更にそっぽを向く十六夜と飛鳥。「素直じゃないな」と茶化す蘭丸。そんな不器用な心遣いが今は心から嬉しかった。

 

「あ、ありがとう…………ございます。とても大切にするのですよ………!」

 

そう言って小袋を開けようとする黒ウサギ。しかし三人は慌てて黒ウサギの手を取り広場の中心まで黒ウサギを連れ出した。

 

「いいから、贈り物の確認なんて後でやれ」

 

「今夜は最終日よ!飲んで食べないでどうするの⁉︎」

 

「行こう!黒ウサギ!」

 

「え、ちょ、ちょっと待ってください!」

 

プレゼントをリリに預け広場に躍り出る四人。わずかに空いた中を覗くとプレゼントの他に手紙が入っていた。宛名にはこう書いてある。

 

『親愛なる同士・黒ウサギへ』と。

 

「………ふふ。十六夜様も素直じゃないです」

 

「ま、それがあいつららしいとも言えるけどな」

 

パタパタと二尾を揺らすリリとフフ、と笑う蘭丸。

 

「ほら、リリたちも楽しんでこい。今夜は最終日なんだからよ」

 

蘭丸がリリの頭をポンと触れる。リリたちや年長組の子供たちも彼らの後を追うように駆け出した。

それの背中を見送ると蘭丸は地下都市の奥にいるレティシアの元に向かった。人の気配のない外れにいた変装用のハットを深めに被ったレティシアは先ほどのことを説明を受けクスリと笑う。

 

「………ふふ、主人殿たちもまだまだ子供のようだな」

 

「ああ、まあ年食えばそのうちにデカくなるだろうよ。心も体も」

 

それはお前もだろう、と内心思っていたレティシアだがそれは口にしなかった。年不相応の言動で非問題児である蘭丸、レティシアはその蘭丸の横顔を眺める。強く、そして優しく、芯の強さを感じる双眸、気づけばレティシアは心臓が高鳴り、体温が上がっていくのを感じた。

 

(気づけば………惚れていたか………)

 

しかし、その気持ちは恥ずかしさと、後ろめたさによって押し止められていた。かつての己の魔王としての経歴、そして今回の一件、彼がそれを受け止めてくれることはわかっていた。しかし、それでも自分の気持ちを出せずにいた。しかし、その心とは裏腹に、レティシアは口を開いた。

 

「蘭丸………」

 

「ん?どうしたよ」

 

顔を紅潮させたレティシアは蘭丸を見上げる。指をモジモジとさせるその姿はどこか可愛らしいものがあった。

 

「蘭丸、私はッ……」

 

「……⁉︎誰だッ‼︎」

 

何かの気配を察した蘭丸は投げナイフを気配の方角へ投げた。ノーモーションから第三宇宙速度に到達したナイフは、彼の父、アーサーの指に挟まれた。

 

「ほお、俺の気配を察したか………いやはやすまんな、邪魔するべきじゃないんだろうが、ちょっと訳ありでな……」

 

彼の声音は本当だろうと感じた蘭丸は殺気を抑えた。

 

「すまんレティシア、すぐ戻る」

 

「あ、ああ大丈夫だ」

 

面をくらったが蘭丸を送り出すレティシア。

 

(何なんだこの胸騒ぎは………)

 

何かの前触れを予感させるその背中は既に見えなくなっていた。

 

「………また、伝えられなかった……」

 

 

**

 

瞬間移動した先には彼の母である二宮雪菜の姿もあった。

 

「あら、久しぶりね蘭丸。いつぶりかしら」

 

「白々しいぞ母さん。()()()()()()()()()()()()()()

 

「やっぱり、こいつが生きていることには気づいていたか………っといきなりだが本題に入ろうか」

 

アーサーだけでなく、いつも能天気な雪菜でさえ真剣な表情を浮かべていた。これはただ事ではないと感じた蘭丸も表情を変えた。

 

「まずはこれを見てみろ」

 

アーサーは一枚の写真を取り出した。そこには衝撃のものが写っていた。

 

「これって………俺?いや、違う、まさか………」

 

その写真には、蘭丸と瓜二つの青年が写っていた。しかし蘭丸とは違い髪の色は黒く、写真からでも雰囲気が違っていた。

 

 

 

「そのまさかだ……こいつは二宮藤、お前の双子の弟だ。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十一年前、黒瀬に奪われた時にやつが取り込めきれず彷徨っていたお前の半身だ」




これで原作第5巻は終了です。
この後にリリとコッペリア編をやってから新章に移りたいと思います。
では、誤字感想あればよろしくお願いします
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