問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ? 作:ふわにゃん二世
長きにわたる迷走と妄想を乗り越え、ついに復活しました。
まあどれだけの人が待っていてくれたかはわからないですが……
パンプキンキッシュ
“アンダーウッド”売店市場。蘭丸は収穫祭に訪れた者たちの喧騒の中を一人歩いていた。この市場では食物だけでなく地方の生地や織物、衣類なども売り出されていた。
だが蘭丸はただ遊びや買い物に来ているわけでは無くただ仕事で露店の点検や収穫祭の警備をいつも通りにこなしていた。
「ったく…。こんなに長いスパンでやる祭なんて経験したことねーぞ。日本の学園祭でも二日三日で終わるもんだぞ」
と誰に言っているわけでもない愚痴を足跡とともにそこに残しながらも自分の与えられている仕事をこなしていた。そして十三軒目の店舗の点検を終え、ふと見ると喧噪の先に両手いっぱいに荷物を持った十六夜とリリ、そして飛鳥と耀がそこにはいた。
「お、みんなお揃いか。それなりに満喫してるようでなによりだ」
「ええ、私と春日部さんは黒ウサギにあげるプレゼントを選んでいたの」
飛鳥の言葉に耀もうん、と頷き市場の小物売り場を指差す。リリも狐耳をひょコン! と立てて笑みを浮かべた。
「黒ウサギのお姉ちゃん………プレゼント、喜んでくれるかなあ?」
「それはあいつに気持ちが伝わればいい。ところでお前らは何を選んだんだ?」
「私たちは水樹の幹から削り出した、紅塗りの櫛よ」
「寝癖も一差しでシットリ綺麗になる優れもの。三人でそれぞれ違うデザイン」
フフンと自慢げに語る二人。水樹の幹ということは水分を髪に与えられる代物なのだろう。
蘭丸はへえ、と良い者を選んだ二人に関心した。
「ところで十六夜。お前は?そんなにあげんのか?」
「ちげーよ。俺はまだ決めてねえよ。そもそも市場には別件で足を運んでいたしな」
「十六夜様が、パンプキンキッシュをご馳走してくれるというので………皆さんもご一緒しませんか?」
パタパタと二尾を揺らして二人を誘うリリ。蘭丸たちは眼を丸くして驚くがすぐにニヤリと笑って頷く。
「へえ、お前が料理ねぇ。意外な趣味をお持ちで」
「本当に作れるの?」
「当然だ。きっとお前らよりも上手いぜ?」
「………それはちょっと、聞き捨てならない」
十六夜の挑発にカチンと頭にくる飛鳥と耀。しかし蘭丸は違った。
「嬉しい挑発だが、俺はまだ仕事中なんでね、審査員しかできそうにないな」
そう言い残し、蘭丸は再び仕事モードに変わり喧噪の中に消えていった。
その後十六夜たちと別れ、再び仕事に取り掛かっていると、
「うわああああ! 暴れ牛だああああああああ!!!」
遠くの方でそんな声がかすかに耳に入ってきた。蘭丸が振り向くと地響きと土埃を巻き上げ、暴れ牛が猛進してきたがそこは収穫祭の関係者として然るべき措置として
「てい」
暴れ牛の脳天にチョップをした。チョップなのにゴスッ‼︎という音を響かせたチョップで暴れ牛はその場に崩れた。蘭丸はその牛を抱える。
「さてと、露店の視察も終わったし、こいつを連れて報告書でも纏めるかな。そしてその後は………」
すでに次の仕事のことで頭を充満させている蘭丸はその牛を肩に担ぎながら市場を後にした。
**
“アンダーウッド”主賓室・晩餐。
陽も落ちて夜の帳が下りる時刻。大樹に流れる清流のせせらぎを聞きながら、“ノーネーム”一同は晩餐会を開いていた。
“六本傷”のガロロと“一本角”のサラの二人が問題児たちが腕をふるったということを聞きつけ同席している。
差し入れに持ってきたラム酒を煽りながら料理を絶賛していた。
「クッハァー! なんでえ、なんでえ! お前さんら調理も人並み以上にできるんじゃねえか。こりゃあ調理大会に出なかったのが惜しまれるなあ!」
「………馬鹿言うなよ。俺の料理スキルなんざ趣味の範疇でしかねえよ。もしもでるとしたら、春日部一択だろ」
十六夜は少し拗ねたように自作のキッシュを齧る。
「そうだな、耀のこのポトフはなかなかいい味だな。順位をつけるなら一位だろうな」
自称審査員の蘭丸も耀のポトフを絶賛している。
「そうね………まさかまさか春日部さんがこんなに料理が上手なんて知らなかったわ」
しょんぼりとした顔で告げる飛鳥。彼女も焦がしてひっくり返すというお約束をやらかしてしまったのだ。
「まあ次回やるときには俺も参加させてくれよ。俺も勝負に参加してみたくなったよ」
そう笑いながら今度は十六夜のキッシュも口に運ぶ。うん、こっちも普通に美味い。
そしてふと、リリの正面に座る十六夜が彼女の雰囲気がいつもと違うことが気になった。
「どうしたんだリリ。食べないのか?」
「………あ、はい! いただきます!」手を合わせて大慌てで食べ始める。しかしいつものリリの笑顔がない。
「本当にどうした? 何かあったのか?」
「い、いえ、そういうわけじゃないんです」
でも本当に貴女らしく無いわ。本当は何かあったんじゃない?」
身を乗り出して問う飛鳥。しばし黙り込んでいたリリだが、暫くすると話し始めた。
どうやらリリは黒ウサギのプレゼントを探している最中に見つけた奇妙な店を見つけたらしい。しかもその店はギフトゲームが関わっており“クリアした者だけに買い物を許す”という"
ガロロ曰くそれは珍しいことではないそうだ。己のコミュニティのブランドを高く意識している店ならばやっているらしい。
しかしそれはこの収穫祭には些かマナー違反であろう。キッシュを口に詰め込み、飲み込んだ蘭丸は立ち上がり
「なら、俺が少し確認してくるか?」
「いや、俺たちも行く。そんなブービートラップ紛いな店があるのは物騒だ」
「そうね。この目で見ないことには何とも言えないわ」
「うん。何より、面白そうだしね」
「結局それかよお前らは」
いつも通りな問題児三人組に呆れる蘭丸とガロロ、サラ。
「おう、議長さんよ。悪いがあんたも現場を見てきてくれねえか?」
「心得ました。もし危険な店ならば、破壊しても問題ないですね?」
「ああ、被害が出ないうちにやっちまってくれ」
晩餐を終え、問題児たちとサラ、そしてリリは席を立って主賓室を後にした。
まずはこんな感じ。
これから調子を上げていきます。
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