問題児たちと時空間の支配者が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん二世

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お久しぶりてす!

結局また長い間を開けてしまいました。


金銀とブローチと“踊る人形”ついでにマッチョ人形

 

ーーー“アンダーウッドの地下都市”収穫祭・前夜の市場。

収穫祭を待ちわびる参加者の喧噪で賑わう市場を抜け断崖の割れ目に辿り着いた一同はその不自然な亀裂と雰囲気に眉を顰めた。

人が通れるほどの亀裂だというのに今まで誰も気づかなかったというか、その亀裂の周囲だけは別世界のような違和感があった。

 

「この亀裂………今までどこにあったんだ? 俺がこの辺を見たときは気づかなかったぞ?」

 

亀裂の周囲を眺めながら蘭丸は眉を顰めた。

 

「恐らく人払いの恩恵(ギフト)を使っているのかもしれないな」

 

「あら。じゃあどうしてリリはこの亀裂を見つけられたの?」

 

「そ、それは、その………暴れ牛に跳ね飛ばされて………」

 

はあ? と一斉に疑問の声が上がった。

 

「おいおい………暴れ牛って、なんだそりゃ。闘牛でもやってたのか?」

 

「そうね、暴れ牛に跳ね飛ばされて隙間に………というのは少し出来すぎてるわ」

 

「うん。暴れ牛が偶然やってきて、偶然にもリラを跳ね飛ばすなんて。そんな偶然が」

 

「それってもしかして………」

 

「うわああああ! 暴れ馬だああああああ!!!」

 

ヒヒーン‼︎と嘶きを上げて暴走する暴れ馬。一番後ろにいたリリを弾き飛ばす………には至らなかった。

 

「やっぱりな………なんだよこのデジャヴは」

 

暴れ馬を前回の暴れ牛同様、地面に叩きつけた蘭丸は溜息を吐きながら分身を一人出し、分身に暴れ馬を任せてその姿を見送った。

その寸分の狂いもない作業のような動きに、十六夜たちは唖然としていた。

 

「おい何してんだよ、早く行くぞ。早い所終わらせようぜ」

 

そう言いながら蘭丸は亀裂の中に一足先に入っていった。その後少しの間をおいて十六夜らも蘭丸の後を追っていった。

 

 

地下都市の亀裂から入った一行はサラを先頭に歩いていた。頭上は大樹の根が張っているせいか辺りは真っ暗でサラが指先から炎を灯し明かりの代わりにしていた。

地盤の裂け目がまだ湿っていることから、巨龍が現れたときに出来た割れ目であろう。ならばこの店が出来たのは十日前後ということになる。

 

(これは、まさか………)

 

サラは嫌な予感に駆られながらも小綺麗に舗装された道を進む。ようやく店前にに着いた六人は話通りの黒塗りの扉の前に立つ。『ゲームクリアした者のみ売買可』という契約書類が貼られており豪奢な飾りと金箔で飾られた文様は否が応でも格式の高さを感じさせる。

 

「………へぇ………」

 

眩しいばかりの輝きを放つのは、雅な装飾品や骨董品の数々だった。その他にも黄金に紅宝石をあしらった指輪や鮮やかな天幕や絨毯。

 

「これはまた………店というより博物館だな」

 

「あら、そうでもないわよ。よく見たらどれも値札が張ってあるでしょ?」

 

何? と飛鳥に問い返してから近くにあった指輪を手に取る。貼られた値段は、“ノーネーム”の生活費十年分の値が付けられていた。どんなに眩く輝こうとも買おうという気が起こらない辺り、博物館と同じ様に見える。

一方の耀とサラは財宝には目もくれずズンズンと先へ進む。店主の椅子に座る蒼い瞳をした女性型の人形を見つけた。その人形の手にはリリの言う契約書類が握られていた。その契約書類を見た耀は目を丸くした。

 

『ー わたしはせかいいちのはたらきもの ー

 

ひとりめのわたしはせかいいちのはならきもの!

だれのてをかりなくてもうごいてうごいてうごきつづけたよ!

あまりにうごきつづけたから、はじめのとうさんもおおよろこび!

だけどあるひ、それがうそだとばれちゃった。

ひとりめのわたしととうさんは、うそがばれてこわれちゃった。

 

ふたりめのわたしはせかいいちのはたらきもの!

ともだちがてをかしてくれたから、うごいてうごいてうごきつづけたよ!

あまりにもうごきつづけたから、つぎのとうさんもおおよろこび!

だけどあるひ、それがにせものだとばれちゃった。

でもふたりめのわたしととうさんは、ともだちのおかげではたらきつづけたの。

 

さんにんめのわたしはほんとうにはたらきもの!

まだうまれてないけど、えいえんにはたらきつづけるの!

はやくうまれろ! はやくうまれろ! みんなにそういわれつづけたよ!

だけどあるひ、わたしがうまれないとばれちゃった!だからさんにんめのとうさんは、さんにんめのわたしをあきらめたの。

だけどそんなのゆるさない!たくさんのとうさんがわたしをまっている!

とみも! めいせいも! じんるいのゆめも! わたしがうまれたらてにはいる!

だからお願い………私を諦めないで………! 例え、真実が答えでも………!』

 

厳しい目で契約書類に目を通すサラ、しかし一通り読み終わるとあっさりと匙を投げた。

 

「悪いが私にはさっぱりだ。お前たちに任せるよ」

 

「おいおい、新しい“階層支配者”がそれでどうする」

 

「謎解き専門の期間に任せすぎだからだよ」

 

「なんでそれを知っている⁉︎」

 

蘭丸の言葉に顔を赤らめながら声を上げるサラ。その反応からもどうやら事実の様だ。

だがサラも後々魔王と戦う時のためにもなんとかしないといけないだろう。

十六夜と蘭丸は再び契約書類に目を通す。

 

「真実が答えでも………か。ハッ、コイツはまた残酷なゲームだな」

 

「ああ、しかもこれは………」

 

蘭丸の声を遮って店全体に地鳴りの様な音が響き始めた。何かを察知したサラと耀は警告の様に叫んだ。

 

「気をつけろ! 多分何かいるぞ!」

 

それも多分一つや二つじゃない………!」

 

地響きの震源は店の奥の扉。『従業員以外立ち入り禁止』と書かれた向こうからだった。

 

「ちっ、なんだなんだ。今までは休憩時間だったのか?」

 

「言ってる場合か! 来るぞ!」

 

蘭丸の珍しいボケにサラがつっこみながら脅威に備える。

 

「リリ。絶対に離れるな」

 

「は、はい!」

 

「………来る!」

 

耀の言葉を口火に扉の向こうから幾百もの大小様々なーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マッチョ人形が現れた。

 

「「「「うわお」」」」

 

驚きの声は四人同時に発せられた。臨戦態勢を取っていたサラも美麗な赤髪を真っ白にさせてしまうほどの衝撃を受けていた。リリに至っては怯えてすでに涙目だ。

見事な美筋肉のマッチョ人形は幾つかのポージングを取った後、白く輝く歯を見せて、

 

「………ムキッ!」

 

「ムキッ⁉︎」

 

「ムキッ⁉︎」

 

「ムキッって鳴いた⁉︎いまムキッって鳴いた⁉︎」

 

「ちょっと落ち着け女性陣。今のはきっと鳴き声じゃない」

 

「そうだ、何かの聞き間違いだ」

 

混乱状態に陥った女性陣を十六夜と蘭丸でなだめるよう。マッチョ人形群は大仰に臨戦態勢に入り、

 

「………マッチョ!」

 

「マッチョ⁉︎」

 

「マッチョ⁉︎」

 

「マッチョって鳴いた⁉︎今のは絶対マッチョって鳴いた‼︎」

 

「そうだな。今のはマッチョって鳴いたな」

 

「あはっ……ははっ……あははは‼︎」

 

混乱極まる女性陣。もはや打つ手なしと匙をなげる十六夜と女性陣のリアクションがツボにはまったのか笑い出す蘭丸。

暫くのにらみ合い、先に動いたのはマッチョだった。

 

「………雄々オオオオオオオォォォォォォォ‼︎」

 

「ぎゃああああああああああああああああ‼︎」

 

雄々しいとしか表現できない迫力で迫ってくるマッチョ軍団。マッチョ人形が通った後の貴金属は塵芥の如く木っ端微塵になっていたあの突撃を食らったらタダでは済まないだろう。

しかし女性陣の恐怖のベクトルは別のところにあった。

 

「キ、キモイ! キモイわ!」

 

「ない、アレはない!」

 

男の夢を体現したような筋肉に飛鳥と耀は顔を真っ青にしながら逃げていた。サラは既に外に避難していた。

十六夜は後ろ走りで逃げながらマッチョ人形を見つつポツリと、

 

「一体欲しいな」

 

「やめて!」

 

「ヤメテ!」

 

「や、止めてください十六夜様!」

 

ぬぅと残念そうな声を出す十六夜。そして蘭丸は算盤を弾きながらブツブツと、

 

「これその手の愛好家に売るとすると“サウザンドアイズ”発行の銀貨五枚………いや、もうちょっと高くてもいけるか………ならオークション形式の方が…………」

 

ひとしきり計算を終えると蘭丸はふうと息を吐く。

 

「十六夜………」

 

「なんだ?」

 

「捕獲を許可する!」

 

「おっしゃ!」

 

「「「断固反対‼︎」」」

 

その後も蘭丸も反論したが女性陣の圧に負けて諦めて店を後にした。

 





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