聖闘士流輝   作:桐生 昭雄

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第1話 蘇れ!ペガサスの翼よ! 前編

西暦で言うと2290年になる。すでに聖戦と呼ばれる伝統的な戦いは終わっていた。もうそんな時代ではなかった。

しかし気を抜く聖域(サンクチュアリ)ではない。残りも少なくなった聖闘士を育成するため、養成所パライストラを創設、若き聖闘士の育成に努めた。

一方で伝統的なスパルタ教育も忘れていなかった。強さも忘れてはいけない聖闘士の要素だからだ。それによりそだったのは主に白銀聖闘士(シルバーセイント)と呼ばれる聖闘士のなかでも中級、といった部類の者たちだ。だからこそ彼らは強く、聖闘士の身近な見本といえる存在になり得たのである。そして今、その中から新たなる聖闘士が世に現れようとしていたー。

 

 

 

 

 

 「えー、刻の神サターン?伝説の聖闘士達なら倒せるんでしょ?何度も奇跡起こしたんだし。なんであんなのに倒されたり和解したりするわけ?」

この少年の指摘は全くもっともである。はっきり言うとサターンは、ティターン神族の大神クロノスのパクリ神であり、一度は神聖衣(ゴッドクロス)を再現させた聖闘士五人なら十二分に倒せたはずなのだ。ちなみにこれは伝説である。歴史から見たらフィクションなのである。

 「まあこの伝説は、仲間とともに戦うことの大切さを言ってるんだ。だからだよ」

 「へえ、最初からリンチなのにねぇ。聖闘士は一対一が本分だろ?」

 「そりゃあね、だから批判も多いんだ。さああんな奴らにならないように座学をしっかりやるんだよ!」

この少年は7歳である。後に天馬星座ペガサスの聖衣を手に入れることとなる。

少年の師匠は鷲座(イーグル)の白銀聖闘士である。彼女も、スパルタ式訓練で聖域で育ったのだ。

その教えが、その日にはどこまで通じるか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

あれから数年、ついにこの日が来た。

教皇の言葉。

 「よくぞ今まで生き残ってくれた。流輝、ドベルグ。今ここに残っているのはもはやお前達二人のみ。勝者には、伝説の聖衣、このペガサスの聖衣を授けよう」

そう、流輝(りゅうき)少年が今まで辛い修行に耐えてきたのは、まさしくこのためであった。

 「これがペガサスの聖衣・・・、こいつを手に入れるため、日本からはるばるギリシャまで来たんだ!」

流輝は嬉しそうである。しかし

 「グフフフフフ・・・・・、デヤァァ!!!」

忘れていた。相手のドベルグは大巨漢である。手だけでも流輝を掴むに十分であった。

 「うおっ、ガァァっ!!!」

完全に不意打ちであった。

 「ドベルグ、不意を突くとは卑怯だぞ!」

 「鈴菜(りんな)、戦いではよそ見をしている方が悪いのだ。やれ、ドベルグ!!」

体を捕まれた。終わりなのか・・・。

 「聖衣は古代からギリシャの国宝だ!日本人のお前なんかに渡すか!!!」

 「う・・・う・・くっ・・・」

まだもがき続ける。

 「まずは耳から切り裂いてくれるわ!!!」

やばい!耳が裂かれたのは・・・

全員が静寂になる。誰もこの状況を見ていない。どうあっても見られるはずもないのだ。

話を戻すが、耳を裂かれたのは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウォォォォ!俺の耳がぁーーー!!!」

何と言うことか、ドベルグであった。

 「なんだって、ドベルグが?」

 「どういうことだ!?」

皆我が目を疑うと言うものだ。

 「くそっ、あの泣き虫小僧が・・・」

 「ドベルグ!今までの恨み、晴らさせてもらうぞ!」

すでに構えをとっている。ドベルグはやっとのことで立ち上がる。それはまるで星矢とカシオスの決闘のようだ。

 「何を、ウォォォォォ!!!」

突進するが、流輝は飛び上がり蹴った。

 「うあぁぁぁぁっ!!!」

 「俺はもういままでのようには行かんぞ!叩き潰してやる!ソオリャァァァ!!!」

おそらく聖闘士にしか見えないであろう高速のパンチの連発である。ドベルグは殴られるばかりだ。

 「ドベルグ!二人はともに生き残った身だ。命だけは助けてやるぜ!」

 「何を、日本人の貴様に聖衣を纏う資格はねえっ!!!」

殴りかかるが、流輝は後ろに下がる。

 「資格がないのは貴様の方だ!」

 「なんだとう!?」

 「貴様が覚えたのは聖闘士の表面的な破壊力だけだ。貴様は、体の中に小宇宙(コスモ)を感じたことがあるか?」

 「なにぃ、コスモだとぉ!?」

聖闘士にしか見えないはずのオーラがドベルグを怯ませる。おそらくコロシアムにいたもの達も感じたはずだ。

 「もう最後だ、お前に技を見せてやる」

流輝は何かを描くが如く、両腕を動かした。しばらく無言が続く。

やがて先に口を開いたのは、紫の鎧(?)を着た、ドベルグの師の女聖闘士である。

 「なんだ、流輝から感じられる小宇宙は?あまりに大きい・・・」

そして次の瞬間、驚かざるをえなかった。

 「流輝の両腕がペガサスの13個の星星を描いている!」

 「ええい、こんなこけおどしぃ!!」

迂闊にもドベルグは、前へ出てしまう。これで終わりだ。

 「やめろドベルグ!!それは・・・」

時既に遅し。

 「行くぞ!ペガサス流星拳!!!」

マッハを超えようとしている連続パンチがドベルグを襲う。

ただひたすら殴られつづける。ドベルグでも見えないようだ。

そして流輝が抜け出たとき、ドベルグはついに倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょうど夕方。

 「女神アテナは、勝者流輝をペガサスの聖闘士として認め、この聖衣を纏うことをお許しになった」

流輝には嬉しさ以外に何もなかった。

石を素手で割ったり、地獄の一万回腹筋(実際できっこない)だったりがすべて無駄にならなかったのだから当たり前だ。

 「やったやった、やったぞぉぉ!ついに聖衣を手に入れたんだ!ハハッ!」

はしゃぎすぎた。

 「なお流輝に忠告しておく」

びびってしまった流輝。まあ当たり前である。

 「聖衣は、本来アテナに危機が迫ったとき、または自身の危機にのみ纏うことが許される。決して私利私欲のために使ってはならん」

もうこれ以上ない喜びである。流輝は当然頷いた。鈴菜も仮面で良く見えないが時々目の部分が光っているように見える。

 「おのれ・・・流輝め」

納得の行かないものもいたが。




まず前編です。どうでしたか。後編はこれより少ないと思います。
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