今回はだいぶ難しかったです。
それでは投稿します。
彼は何処とも知れない森の中を彷徨っていた。
ここ何日間は何も食べることなく、ただただ彷徨い歩く。
何も食べなくても生きる事は出来る。
何故なら此処は現実の世界ではなく、ゲームの世界なのだから。
だが、ゲームでも人は死ぬ。
あの初日の茅場明彦の宣言で、このゲームは死を招くデスゲームへと変貌してしまったのだから。
彼はそのデスゲームを仲間と共に生きていこうと誓った。
死ぬのは怖かったが仲間と一緒なら生きていけると思った。
だがそんな日常も長くは続かなかった。
彼らの輪に一人の少年とそのパートナーの少女が加わった。
少年は相当強く、少女はそれ以上に強かった。
彼は少年達に助けてもらい、自分達の仲間に加わらないかと誘いを掛けた。
少年と少女は少し悩むが、結局は輪に加わった。
今思えばそれが間違いだった。
彼はその日家を買った。
自分達の住むための大きな家を。
金銭を全部使って家を買い、意気揚々と彼は宿へと戻る。
だが、宿に戻ってみると誰もいなかった。
不思議に思うが、その理由は意外と早く分かった。
仲間が死んだ。
たった一人の男に殺された。
あの少年と少女も立ち向かったが、結局軽くあしらわれた。
少年は彼に告白した。
自分が忌み嫌われる存在であるという事を。
彼は混乱した。
仲間が死んだ。
ナゼ?
男に殺されたから。
ナゼコロサレタ?
偶々そこにいたから。
ナゼソコニイッタ?
金を稼ぐため。
ソコガドンナトコロカシッテイタノカ?
少なくとも少年と少女は知っていた。
じゃあ、殺されたのは……
カレラノセイダ
憎い。
にくい。
ニクイ。
あの少年が憎い。
殺した男が憎い。
このゲームが憎い。
ニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイ
“何をそこまで憎む”
ダレダ
“私は誰でもない。ただのNPCだ”
ナンノヨウダ
“なに、少し君に興味があってね、君が何故そこまで全てを恨むのかを”
ヤツラハボクカラスベテヲウバッタ、ダカラニクイ
“すべてを奪われたか。だが、君は此処で何をしている?”
ナンダト
“彼らは君からすべてを奪ったのだろう、ならばそれを取り返そうとは思わないのか?”
……ヤツラハドコニイルカワカラナイ。ソレニミンナノイノチハトリカエセナイ
“違うな”
ナニ?
“君のそれは言い訳に過ぎない。君は彼らを恨んでいるがどうにかする術も知らないし、その力もない”
…
“君は彼らの位置を知る事が出来る術を以前は持っていたが、それを破棄した。即ち、自ら彼らとのつながりを断ったのだ”
ダマレ…
“それに命を取られたなら、仇を討とうと多少は思うものだ。だが君はそのために力を付けようともしない”
ダマレ…
“私には、まるで君が意味もなく命を投げ出そうとしか思えないのだがね”
ダマレ…
“君は負けて、すべてを無くした愚かな負け犬というわけだ”
ダマレェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!
“だが、私は君を助けよう”
ナンダト
“君はすべてが憎い、殺したいほど憎い、だが力がない。さて、どうする?答えは簡単だ。
願えばいい。
力が欲しいと。
すべてをなぎ払う力、圧倒的な力、奪いつくす力が欲しいと“
……ナゼソンナコトヲイウ
「君の事が心配だからさ」
ッ!…ドコカラデテキタ
「私はこれでも神父だ。人の願いには答えねばならん。さあ願いたまえ!力を欲すると」
……ボクハ……
「……さぁ」
……ボクハ、チカラガ――――ホシイ
「…」
ホシイ、ホシイ、スベテヲ、スベテヲコワシツクス、アットウテキナチカラガ、ボクハホシイ!!!
「その願い、聞き届けた。さあ見たまえ君が望んだ力だ」
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……コレガ
「……er……ar……er……」
コレガ…ボクノチカラ
「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
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彼はその日、力を手に入れた。
狂えるほど憎み、殺したいほど妬んだ結果、
彼は憎悪の海に沈んだ黒き騎士を手に入れ歓喜し、
神父は嬉しそうに口元を歪ませた。
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「悪魔っていると思うか?」
「急に何言ってんすかリーダー?」
「俺はさ、悪魔って実際にいると思うんだよね」
「どうしたんっすか、腕の模様ばっかりみて?」
「これを見てるとさ、なんか気分がこう……昂ぶってきちゃってさ、これ血の色に見えるだろ」
「それってこの間の連中を殺ってるときに突然浮かんできた模様っすよね」
「なんかこうさ……ただ殺ってるだけじゃつまらねぇなって思ってたのよ…あん時」
「……はぁ」
「そうしたら、急に腕が痛み出して、気が付いたらこれが浮き出てんだよ……これってなんか運命感じない?」
「…まあ、確かに」
「だよな!殺しても殺しても物足りないって思ってたんだよ、そしたらこいつが出てきた。マ・ジ・で、興奮したぜ」
「……そうっすか」
「……でもさぁ…あれ以来何も起きねぇし、欲求不満なんだよねぇ…、それにさ……」
「はい?」
「もし本当に悪魔が出てきたら、俺どう声かけりゃいいんだろ……」
「な…何言ってんすか?」
「いやさ、俺らみたいな犯罪者(レッド)って他の奴らから、悪魔だって言われるジャン?」
「まあ、そっすね」
「それってさ、本物の悪魔に失礼だと思わない?そこんとこなんか釈然としないっつーかさ」
「は…はぁ」
「だからさ……」
「はい?」
「もし本当に悪魔が出てきたら、お前ちょっと生贄になってくれない?」
「な……何言ってんすか!?」
「いやさ、万が一本当の悪魔が出てきちゃったらさ、茶菓子の一つ出すのが礼儀じゃん。でも悪魔に茶菓子ってのもなーんか滑稽な話だよね。だから、手っ取り早く、人間を喰ってもらったほうが、向こうにもこっちにも都合がよくね?」
「いや…それじゃ、別に俺じゃなくても……適当にそこら辺からさらってきた奴でも良いじゃないっすか!?」
「……」
「俺、あんたに憧れてこの笑う棺桶(ラフィン・コフィン)に入ったんすよ!?まだ殺したんねぇんだ…悪魔の生贄なんて……」
「……ぷ…ぷくくくく」
「……は?」
「あーーはっはっはっはっはっはっはっはっ」
「り…リーダー?」
「ごめんごめん…冗談だって。本当の悪魔なんて出てこないって。ぜーんぶ俺の妄想」
「あ……な、なんだ。脅かさないで下さいよ」
「けど、お前のおびえてる顔もけっこうそそられたぜ……」
「り、リーダー。冗談もそれくらいにしてくださいよぉ」
「悪い悪い……。でもさ…」
「え?」
「悪魔に喰われるのもけっこう貴重な体験だと思わない?」
「そりゃあ、実際にあった事ないっすから」
「だよねぇ……あーあ、本当に悪魔とか来てくんねぇかな~」
「まあ、俺もいるなら会ってみたいっすけ……っど!!」
「どした?」
「り…リーダー、部屋の真ん中が…!」
「は?……なにぃ!?」
「な……なんだこれ!?魔法陣?」
「こりゃ……痛つぅ!」
「リーダー!?」
「なんだ?急に腕が……!?」
「なんだってんだぁぁ!?」
「……な、んだこれ…霧?」
「問おぉう…我を呼び、我を求め、キャスターのクラスを依り代に現界せしめた召喚者…。
貴殿の名を此処に問う。基は…何者なるや」
「は……ほんとに出てきたよ、悪魔…」
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男は殺人に飽きていた。
飽きていたからこそ手に入れてしまった。
最も残忍で、
最も凶悪で
最も低俗な
その魔術師を。
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通達:聖杯戦争全参加者へ
只今、最後のマスターがサーヴァントの召喚を果たした。
よってこれより、正式に聖杯戦争の開始を宣言する。
サーヴァントを使い、聖杯を求めるのも自由。
攻略に使うも自由。
現時点で君達に無駄な鎖を付けるつもりはない。
ただ、君達はこれより命を掛けた闘争を行う事になる。
私からはこれだけ伝えておこう。
生き残りたければ闘え。
さあ、これより聖杯戦争を開始する。
存分に殺し合え。
今のところ明かしてもダイジョブそうなサーヴァントだけ明かしました。