Fate/ONLINE   作:遮那王

31 / 37

Fateのアニメ、戦闘描写が半端ねぇ!!
流石はufotable!!

すいません、取り乱しました。

約一か月ぶりの投稿。
それでも少し短め。
だけど、物語は大きく傾きます。




第二十八話 悪魔の契約

 

「アアアアアアアアアアアアア!!!」

 

憤怒に燃えるような叫び声が木霊する。

同時に地面に何度も拳を打ちつけ、声の主、ケイタは叫び続けた。

 

「クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!!!」

 

彼の計画は完璧だったはずだった。

 

まずは、アーチャーの主従を待ち伏せし彼等と交戦する。

現時点で自分のサーヴァントがアーチャーより上回っていると踏んでいた彼は、アーチャーなら楽に倒せるとタカを括っていた。

 

万が一、他のサーヴァントが乱入しても、彼のサーヴァントなら二対同時に相手できる。

現にセイバーが駆けつけても、有利に立っていたのはこちらのほうだった。

 

だが、その自尊心がたった一体のサーヴァントによって脆くも砕け散った。

 

赤い槍を携えた蒼い戦士。

 

彼はあの男―――――――ランサーを見たことがあった。

自分が、黒猫団を解散したあの日。

仲間が殺されたあの日。

 

彼の事は一人のソロプレイヤーとしか、見てはいなかったが、それ自身が間違いだったと今回気付かされた。

 

おそらく、奴こそが自分の仲間であった少女のサーヴァントなのだろう。

 

「――――――サチ……サチィィィィィィィィィィィィ――――――――――――!」

 

怒りで我を忘れる。

仲間と思っていた彼女が敵になった。

もはや、言葉にもならない。

 

「がぁぁぁぁぁぁぁぁッ……!!」

 

怒りと同時に苦しみも体を蝕む。

 

あの神父、監督役の男と契約した際、彼は自らの精神と直接リンクさせ、バーサーカーとの繋がりをより濃くしていた。

そうすることで、バーサーカーはより強靭な力を手に入れることができる。

 

だが、それは同時に諸刃の剣でもあった。

 

サーヴァントと直接精神を繋ぐことで、確かに戦闘能力は格段に上がるが、同時に体をサーヴァントの魔力によって汚染されていく。

 

無論この世界において肉体は存在しないため、リアルにはそこまで影響はしないが、精神に直接それらを叩き込むことで、この世界では感じられない激痛が自らを襲う。

 

ペインアブゾーバによって、痛みはなくても苦しみは想像を絶する。

 

それでも、怒りはすべてを凌駕する。

怒りの矛先は、自分からすべてを奪い去ったあの黒の剣士。

 

「……殺してやる―――――――――――殺してやるぞ」

 

呻くような声で呟く。

体が思うように動かない。

それでも引きずる様にして懸命に動かす。

 

だが、その彼を止めるような声が後方から聞こえた。

 

「ちょっと、待ってくれねぇかなお兄ぃさん」

「……なに?」

 

よろけながら声のした方向へと顔を向ける。

 

「Ha……ひっどい顔だな。好きな女にでも振られたか?」

「……っ!」

 

軽口が彼の心を逆撫でする。

今にも殺さんばかりの殺気だった目付きで男を睨む。

 

「wow……怖いねぇ。そう睨むなよ、お互い同じ穴のムジナじゃねぇか」

「同じ…だと?」

「…………見な」

 

男はそう言い、左手にはめたグローブを外す。

そこには、赤く発光する三画の紋様が刻まれていた。

 

「!?――――――お前……」

「言っただろ?同じ穴のムジナだって」

 

この世界において、それが何を意味するかがケイタには理解できた。

男が見せたそれは、自分と敵対する証。

 

「……僕を、殺しに来たのか?」

 

それは至極当然な問いであった。

お互い敵対関係にあるのなら、疑うのは当たり前。

 

「HaHaHa……疑うのは当然だろうだが―――――――今はそんなつもりは無ぇな」

「なに?」

 

目の前の男はそんな不安を一蹴する。

男の言葉で身構えていたが、予想外の答えに呆気にとられた。

 

「お前のバーサーカー、大したもんだ。あのセイバーとアーチャーを相手にもう少しで倒せたのによ」

「……」

「ライダーやあの金ピカ野郎、それにランサーが割り込まなけりゃ、勝ってたのは間違いなくバーサーカーだぜ」

 

称賛にも聞こえるが、今のケイタにはそうは聞こえなかった。

セイバーとアーチャーには勝ったが、ランサーに手も足も出なかった。

嫌味にしか聞き取れない。

奥歯をギリリと噛みしめる。

 

「そこでだ、お前に一つ提案がある」

「……なんだ」

「俺と手を組まねぇか?」

 

唐突な男の言葉にケイタは固まった。

それはつまり……

 

「同盟を組むということか?」

「oh……物分かりがよくて助かるぜ」

「……何が目的だ」

 

警戒したまま、問いを投げる。

 

「……ウチの旦那がよぉ、あの黒の剣士のサーヴァントにご執着なんだわ。なんでも昔憧れた女なんだと」

「憧れた女……だと?」

「Yeah……その通り。旦那とお前さんたちの戦いを覗かせて貰ったんだが、旦那の奴あの金髪の女サーヴァントを見た瞬間、気が狂っちまいやがったと思うほど叫んでよぉ。流石の俺もドン引きだったぜ」

 

額を抑えながら、男はため息をつく。

白々しいほど、演技じみている。

現に男の口元は、嬉しそうに歪んでいるのだから。

 

「旦那はあの女サーヴァントが運命の乙女だとか聖処女だとか騒いでいるが、要するに自分の手に入れたいとか言っててな」

 

男の目が狂喜に染まった。

 

「そこで、あの女サーヴァントを奪うのに協力して貰いてぇと思ってよ」

「……」

「ウチの旦那はインドアでな。外に出て戦うのが少ねぇンだよ」

 

だから、自分とバーサーカーにセイバーの相手をしろ。

遠回しにそう言われている。

脳裏に黒の剣士とそのサーヴァントのビジョンが浮かんだ。

 

取引に応じるべきか。

考えを巡らせる。

 

悩むケイタを後押しするように、男がもう一つ言葉を紡いだ。

 

「マスターの黒の剣士はお前の好きにしていいぜ。殺したいほど憎んでいるんだろ?」

「ッ……!」

「俺達はセイバーが欲しい。お前は黒の剣士が欲しい。悪くない取引だと思うぜ」

 

奥歯を噛みしめる。

自分の中に溜まっていた恨み辛みが、噴き出す。

仲間の命を奪い、サチの心をも奪った。

 

その怨念が彼の心を動かす。

 

「……僕は、何をすればいい」

「Ha!……いいねぇ。欲望に忠実で何よりだ」

 

男はそう言うと彼に近づき、口を耳元に近づける。

 

「それはな―――――――――――――――――」

 

男は計画の一部始終を、彼に話した。

ケイタは初めこそ、驚きに目を見開くが徐々に表情を変える。

 

恨みが彼の表情を変え。

絶望が彼の心を変えた。

 

数分後…………二人は互いの手を握り、契約を結ぶ。

 

この世界に混沌を生む、魔の契約を。

 

 





一体誰なんでしょう、この男は。

まあ、SAOファンの皆様なら普通に気付きますよね。
ぶっちゃけ、ド偉い二組が手を結んじゃいました。

聖杯戦争、激戦化必須。

一体どうなるのでしょうか。

それではまた次回。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。