side ???
僕は何処にいるんだろう。何も見えなくて何も感じられない…。あれ、僕は死んだのかな…。そうだよ、あの戦いの後に僕は…。あれ、だったらなんで僕は考える事が出来るんだろうか…。分からない…でも、分からなくてもいいや…。もう、終わったんだろうから。
「うわわわわわっ……⁈」
髪の白い綺麗な男の子の映像が僕の目の前に写っている。その男の子は牛の体をした化け物に追い詰められている。
_______助けなきゃ…彼は…こんな所で死なせてはいけない。僕が手を伸ばした瞬間、世界は急激に広がっていった。
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side ベル
あぁ、僕はここで死ぬんだな…。なんて死ぬ前の典型的な代名詞を考えながら近寄ってくるミノタウルスを見上げていた。
ダンジョンに入って一気に5階層まで降りてしまったのが運の尽きだったんだ。5階層に足を踏み入れた瞬間にミノタウルスに遭遇して追いかけ回される事になって、今現在この有様である。
浅はかで卑猥な妄想に取り付かれた僕の末路には丁度いいのかもしれない。運命の出会いに憧れた僕が馬鹿だったのだ。
ミノタウロスが僕の目の前で拳を振り上げる姿が見えた。本当に此処で終わりなんだな…。
「ごめんなさい、神様…僕はもう帰れないみたいです。」
僕は目を閉じて最期くらいは痛みを感じなければいいなと考えていた。次の瞬間、とてつもない光がミノタウロスと僕の周りを照らしあげた。何事か、と目を開けてみると其処には____綺麗な黒髪の少年が立っていた。
「……少年…もう少しだけ其処で座っていてください…。貴方を…助けますから。」
僕よりも背の低い少年から掛けられた声は少女の声と聞き間違ってしまうような程、綺麗な声音だった。彼は腰に付けていた長刀でミノタウロスに果敢に立ち向かっていた。ミノタウロスが拳を振り下ろせば、その横を転がるようにしながら避けては一撃を当てる。少年の動きは何処かぎこちないものであったが対等にやりあえて居るものだと思っていた。
「ヴゥオォォオ‼︎」
「ぐ…っ…」
均衡を壊すかのように放たれたミノタウロスの拳が少年のお腹を容赦なく打ち付ける。殴られた威力を殺しきれなかったのか、僕のすぐ横に吹き飛ばされた。
「だ、大丈夫ですかっ!なんで、こんな…君だけでも逃げて…!」
僕はとっさの事に反応しきれなかった為に、言葉だけが口から出ていく。僕の言葉を受けた彼は痛みに堪えながら立ち上がって答えた。
「僕は…人が困っていて…それを見殺しに出来るほど優しい人間じゃないから…。貴方を…助けたいから…。」
そう言って彼がミノタウロスに相対した瞬間、ミノタウロスの体に線が入っていき銀の光になって消えていった。最期の断末魔を残してミノタウロスがミノタウロスであった肉塊に変わっていた。僕は大量の血飛沫を浴びながらその先を見つめていた。
「……大丈夫ですか?」
ミノタウロスの向こう側から現れたのは、蒼色の軽装に身を包んでいた存在。それは冒険者の誰でも知っている人物。【ロキ・ファミリア】に所属している第一級冒険者__【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン。
「あの……大丈夫、ですか?」
「貴女は……敵ではありません…よね?」
弱々しい声で相手に問いかけながらも何処から出しているのか、身体中からの凄まじい殺気をヴァレンシュタインさんに少年は向けていた。
「っ……違います。」
「そう、ですか……失礼しました……。」
彼はそう言った瞬間、地面に崩れるようにして倒れた。僕は彼を咄嗟に抱き抱えるようにしてはダンジョンから、ヴァレンシュタインさんから逃げるように駆け出した。
結果的にダンジョンに出会いを求めるのは間違っていたのか?否、僕は間違っていなかった。
抱き抱えている彼の寝顔を見て、その寝顔は何処か子供のように見えた。
プロローグというか出会いになりましたね…。まぁ、初回なのでこれくらいでいいですかね。