注意:少しでもニヤニヤしたら負け
〜ドイツ艦の部屋〜
着任式から一ヶ月後のまだ朝早い時間帯、ふと潜水艦U-511は目を覚ました。
ユー「…ん…」
同室のビスマルクは隼鷹達と酒を飲みに行き、プリンツは遠征に行っているため今この部屋にはユーしかいないはず…なのだが、
アリス「…あ、ユーちゃん。おはよう」
椅子に座って人形を縫っていたアリスがユーに気づき、声をかけた。
ユー「…アリス…さん…? どうしてここに…?」
アリス「昨日、ビスマルクさんに頼まれたのよ。ユーちゃんを一人にして申し訳ないからってね」
可笑しそうに笑うアリスを見て、ユーもつられて笑った。
この鎮守府に着任してから、ユーはアリスに色々と助けてもらっていた。いつも優しく、親切にしてくれるアリスは人見知りがちなユーも自然に接する事が出来る数少ない一人だ。
アリス「それにしても、ユーちゃん起きるの早いね」
アリスの問にユーも首を傾げた。確かに、いつもならこんな時間に目覚める事はない。
その時、ユーのお腹がぐぅ〜と鳴った。
ユー「あっ…」
アリス「…お腹がすいたの?」クス…
ユー「///」コク…
アリス「それじゃ食堂に行こっか」
〜食堂〜
アリス「ユーちゃん、食べたいものある?」
ユー「…特には…アリスさんの料理、どれも美味しい…から…」
アリス「ありがと、ユーちゃん。…う〜ん…じゃあ、オムライスでいいかな?」
この言葉にユーの顔が華やいだ。
アリス「…よし、できた」
アリスはできたてのオムライスをユーの前に置き、真向かいの席に座った。
ユー「…いただき…ます」
アリス「どうぞ、召し上がれ」
パク…
アリス「…どうかな…?」
ユー「…美味しい…♪」モグモグ…
アリス「ふふっ…よかった…」
幸せそうにオムライスをほおばるユーの姿にアリスも自然と口角が上がった。
ユー「…アリスさんも食べる?」
アリス「…じゃあ、一口もらおうかな?」
アリスはユーからスプーンを受け取り、一口食べてみた。
アリス「う〜ん…。ケチャップライスが少し濃かったかな…」
そうかなと思いつつ、アリスにスプーンを返してもらい、残りを食べ始める。
その後数口食べてからユーはある事に気づいた。
ユー「(…あれ? アリスさんがこのスプーンで食べて、その後私が食べた…これって…)」
―間接キス…?
そう思った瞬間、ユーの顔が真っ赤になった。
アリス「? ユーちゃん、どうしたの?」
ユー「…なんでもない…///」
アリス「?」
真っ赤になった顔を隠しつつ、ユーは残ったオムライスを食べた。
ユー「ごちそうさま…でした」
アリス「お粗末さまでした。…あら? もうこんな時間? そろそろ準備しないと…」
ユー「? …何かするの?」
アリス「今日、金剛達とお茶会をする約束をしててね…お菓子でも作って行こうかな〜って」
ユー「…手伝っても…いい?」
そう言ってすぐユーは自分自身に驚き、でしゃばった事を言ってしまったと少し恥ずかしく思って顔を伏せた。
しかし、アリスは穏やかな口調で言った。
アリス「もちろんいいよ。…そうだ。ユーちゃんもお茶会に参加する?」
ユー「…いいの?」
アリス「うん。金剛達も歓迎してくれるわ」
ユー「…Danke…」
アリス「ふふっ…じゃあ早速作ろっか」
アリス「ユーちゃん、型抜きできる?」
ユー「うん…大丈夫」
アリス「じゃあ、こっちの方から抜いていって。できたのはここに置いてね」
ユー「わかった…」
ユー「…こんな感じ…?」
アリス「うん、上手上手。少し余った生地は手で丸めて円形にしてね」
ユー「うん」コネコネ…
アリス「よし、準備完了。後は焼くだけね」
アリスはオーブンを開け、型抜きした生地を乗せたプレートを中に入れた。
アリス「ふぅ、…ユーちゃん、お疲れ様」
ユー「…楽しかった…」
アリス「ふふっ…。料理に興味もった?」
ユー「…少しだけ。まだアリスさんみたいにはできないし…」
アリス「最初は誰でもそんなものだよ。…私も最初は失敗ばっかりだったからね」
ユー「そうなの?」
アリス「うん。焦がしたり生焼けだったり…数え切れないくらい失敗したよ」
ユー「…そんなに失敗したのに、どうしてやめなかったの?」
アリス「幻想郷では、一人で生きてたから…身の回りの事は自分でやるしか無かったの」
ユー「一人で…? …寂しくなかったの?」
アリス「上海みたいな人形がたくさんいたから…特に寂しいと感じる事はなかったわ」
ユー「そう…なんだ」
アリス「…そろそろかな…よっと」
アリスはオーブンを開け、プレートを取り出し台の上に置いた。
プレートの上には、美味しそうなクッキーが焼きあがっていた。
ユー「…いい匂い…♪」
アリス「うまくいったかな…? ユーちゃん、味見してみる?」
そう言うとアリスはクッキーを一つ手にとってユーに差し出した。
アリス「熱いから気をつけてね」
ユーはクッキーを受け取り、少し冷ましてから口に運んだ。
ユー「美味しい…」
アリス「よかった…じゃあ、これに入れて…」
アリスは空の容器を取り出し、その中にクッキーを詰めた。
アリス「これでよし…っと、もうそろそろ時間ね。行こっか」
ユーは頷き、アリスの後に続いた。
〜熊野達の部屋〜
アリス「こんにちは、熊野」
熊野「あら、早いですわねアリス」
アリス「熊野、もう一人いるんだけど…大丈夫よね?」
熊野「もちろん大丈夫ですわ」
鈴谷「おっ、アリスじゃん! ちぃーす」
魔理沙「アリス、それは何だぜ?」
アリス「お茶会用に作ったクッキーよ」
アリスはクッキーの入った容器を出した。
魔理沙「おおっ! 旨そうだぜ…!」
鈴谷「アリス〜、ちょっと分けてよ〜」
アリス「はぁ、少し待ちなさいよ…。…熊野、ユーちゃんをお願い」
熊野「わかりましたわ…こちらへどうぞ」
熊野に連れられ、ユーは大人しく席についた。
アリス「あら? 金剛は?」
熊野「まだですわ。いつもなら真っ先に来るはずですのに…」
その時、勢いよくドアが開き金剛が入ってきた。
金剛「Sorry! 遅くなりマシた!」
アリス「珍しいわね、金剛。貴女が遅れるなんて」
金剛「比叡を撒くのに手間取りマシた…」
…オネエサマ-! ドコデスカ-?
ユー「探してるみたいだけど…」
金剛「比叡は少しくっつきすぎデスから…。ってアナタΝewfaceデスね」
アリス「ええ、大丈夫よね?」
金剛「もちろん、Welcomeデース!」
ユー「…よろしくお願い…します」
アリス「じゃあ、始めましょうか」
ユー「…! この紅茶、美味しい…」
金剛「Thank you! 気に入ってもらえてよかったデース!」
熊野「お茶菓子をどうぞ」
ユー「Danke…」
アリス「熊野はマカロンを作ったのね…うん、美味しい!」
熊野「アリスのご指導のおかげですわ」
金剛「このクッキーもDeliciousデスね」
アリス「それ、ユーちゃんと一緒に作ったのよ」
熊野「そうなんですか…とってもお上手ですわね」
ユー「そんな…私はほとんど…」
アリス「ユーちゃんのおかげでいつもより早く出来上がったのよ。ありがとね」
ユー「…///」コク…
金剛「(Hum…)」ニヤニヤ
熊野「金剛、どうしたんですの?」
金剛「何でもないデース」ニヤニヤ
魔理沙「おーいアリス〜、クッキーもっとくれよ〜」
鈴谷「熊野〜、マカロン持ってきて〜」
アリス「はぁ、全くもう…」
熊野「本当に世話が焼けますわ…」
アリスと熊野が魔理沙達の方に行った瞬間、金剛がユーに話しかける。
金剛「ユー、ちょっといいデスか?」
ユー「何ですか?」
金剛「…アリスの事好きなんデスか?」
ユー「!?」カアァァ…
金剛「しかもLikeでなくLoveの方デスね」ニヤニヤ
ユー「…///」
金剛「…応援シマスよ…その気持ち諦めたらNoなんだからネ!」
ユー「…うん。ありがとう…///」
そうこうしてるうちにアリス達が戻ってきた。
熊野「? 二人で何か話してたんですの?」
金剛「何でもないデース!」
アリス「え〜? 気になるじゃない! 教えてよ〜」
ユー「内緒…♪」
熊野「そろそろお開きですわね…」
アリス「次は提督さんでも誘ってみる?」
金剛「Good!そうするデース!」
ユー「次も…来ていい?」
金剛「Sure! いつでもWelcomeデス!」
アリス「…それじゃ、また次にね」
金剛「Bye!」
アリスとユーは部屋を後にした。
アリス「ユーちゃん、お茶会楽しかった?」
ユー「とっても♪」
アリス「ふふっ…よかった〜…」
楽しそうに笑うアリスを見て、ユーも嬉しく思った。
―金剛が言ってたように、私はこの人が好きだ。…まだ、この気持ちを伝えるまでには至らないけど…もう少し時間が経って、私が少しでも変わることができたら…
少しラブストーリー的な話を書いてみたつもりなのですが…いかがだったでしょうか?
アリスとユーちゃんがどうなるか…
機会があれば今後も書こうかと思います
それでは、次の話をお楽しみに…