東方海戦異変   作:十文字9418

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作者「前回投稿から一ヶ月近く経ってしまった…」

霊夢「何やってんのよ…」ハァ…

作者「いや、サボっていたわけではないんだ! ただ、全くと言っていいほど話が浮かばなかったんだ」

咲夜「その割には、新しい小説のとうこ…」

作者「咲夜さん、それ言ったらアカン!」

咲夜「まあ、そんな事はどうでもいいです。作者、ちょっとこっちに来なさい」

作者「な、何する気で…」

咲夜「決まっているでしょう…血祭りにあげてやる…」

作者「ゑゑゑ!? ちょ、まっ…」


うわああぁぁァァ…!


霊夢「途中で咲夜が言っていた事に関しては活動報告を見れば察していただけるかと。
それでは、本編へどうぞ」


第二十話 壊滅

〜黒岩鎮守府〜

 

那智達が出撃してから数時間後、黒野提督が仕事をサボって惰眠を貪っているとトントンとドアがノックされ、羽黒と龍田が司令室に入って来た。

 

羽黒「…あの…提督さん……その…」

 

オドオドとしてなかなか話だせない羽黒に代わって龍田が話を引き継いだ。

 

龍田「那智さんと駆逐艦ちゃん達はまだ帰ってないのかしら?」

 

黒野提督「ああ、まだだが…それがどうした?」

 

すると、龍田はうっすらと目を開けて黒野提督を見た。

 

龍田「…おかしいわねぇ…。那智さんが言ってた海域でのレベリングだったら、これほど時間はかからないんじゃないかしらぁ…?」

 

少し微笑んだ顔とは反対に全く笑っていない眼差しに噛んで含めるような物言い…間違いなく龍田は何かに感づいている。

 

それならば…と黒野提督が居住まいを正して、龍田達に向かって言った。

 

黒野提督「…確かに少し遅いかもしれんな。龍田、羽黒ちょっと様子を見に行ってきてくれ」

 

龍田「…わかりました。羽黒さん、行ってきましょう」

 

羽黒「あっ、はい…失礼します…」

 

二人が踵を返して司令室を出ようとした時、また司令室の扉がノックされた。

 

那智「那智だ。入るぞ」

 

その声と共に那智が司令室に入ると、羽黒が目の端に涙を浮かべながら駆け寄ってきた。

 

羽黒「那智姉さん、お帰りなさい! 帰りが遅いから心配していたんですよ?」

 

那智「すまない、羽黒。少しアクシデントがあってな…」

 

龍田「…あら? 那智さん、そちらの方々は?」

 

龍田は那智の後ろにいたさとりとお空を見て那智に尋ねた。

 

那智「…私達の恩人だ。二人がいなかったら私達は全員沈んでいたかもしれない」

 

那智はさっきあった出来事をよどみなく二人に話した。

それを聞いて羽黒は目を丸くし、龍田は険しい顔になった。

 

龍田「…無事でよかったわ」

 

羽黒「…本当…です…。那智姉さんがいなくなったら…私…」

 

羽黒は手で顔を覆い、肩を震わせた。

そんな羽黒を那智は優しく抱きしめた。

 

那智「泣くな、羽黒。私は大丈夫だから…」

 

羽黒「…っ! 姉さん…」

 

 

 

その一方で、黒野提督は那智達の様子を見ながら奥歯を噛み締めた。

 

ーまた失敗か…クソッ!

 

今すぐにでも怒りを爆発させたいが、部外者がいるこの状況で癇癪を起こすのはリスクが高い。

ここは、いつものように愛想を良くして鎮守府から出ていってもらおう。

 

そう考えた黒野提督は、得意の作り笑顔を顔に貼り付け、さとり達に深々と頭を下げた。

 

黒野提督「いや〜、うちの者が世話になったようで…本当にありがとうございました!」

 

さとり「いえ、当然の事をしたまでですよ」

 

ニコリと屈託のない笑顔を浮かべるさとりを見て、黒野提督は心の中で毒づいた。

 

黒野提督「(…余計な事しやがって…)」

 

 

さとり「そうですか? それはどうもすいません」

 

さとりはさっきの顔のまま、はっきりとそう言った。

 

その言葉に黒野提督の思考が一瞬停止した。

それと同時に、背中から冷や汗がぶわっと噴き出すのを感じた。

 

黒野提督「ど、どうしたんですか? 急に謝ったりなんかして…」

 

顔を引きつらせながら、黒野提督はさとりに尋ねた。

するとさとりの顔から笑顔が消え、片眼だけ開いて黒野提督をじっと見つめた。

 

さとり「どうしたって…先ほどおっしゃっていたではないですか。『余計な事しやがって』…と」

 

黒野提督は背中をつららで撫でられるような、そんな何か恐ろしいものを感じた。

 

那智「!? どういう事だ、さとり!」

 

さとり「この人が言っていた事ですが…」

 

黒野提督「き、貴様! いきなり何を馬鹿なことを言い出すんだ! 大体、どうして俺が…」

 

なりふり構わず、黒野提督はさとりを怒鳴りつけた。

しかしさとりはそんな罵声をものともせずに、さらに続けた。

 

さとり「…那智さんが邪魔だったのですか? ですが、いくらなんでも捨て駒として扱うのはどうなんでしょうか? それ以外に何か考えられる事はなかったのですか?」

 

ジリジリと詰め寄ってくるさとりに、黒野提督は恐怖を感じた。

淡々とした口調と何もかも見透かされているような目にどんどん壁際に追い詰められる。

 

さとり「…貴方は知っていたんですね。あのあたりに行けば、那智さんが帰ってくる事はない…と」

 

那智「…貴様…!」

 

那智が黒野提督に詰め寄ろうとしたその時、黒野提督は大きく笑い出した。

 

那智「!? 何が可笑しい!?」

 

黒野提督「…可笑しいさ。さとりとか言ったな! 貴様の発言、それに根拠となる証拠はあるのか? くく…証拠がなければ、そんな発言はただの空想にすぎんだろ!」

 

さとり「…墓穴を掘りましたね」

 

大きな声でバカ笑いをする黒野提督にさとりは静かに言った。

 

さとり「那智さん、そこの机の二番目の引き出し…そこを開けてみてください」

 

黒野提督「っ!? 待て…」

 

黒野提督が机に駆け寄ろうとした瞬間、喉元に龍田の薙刀が突きつけられた。

 

龍田「それ以上動いたら…首が飛びますよぉ?」

 

黒野提督「龍田…貴様…!」

 

龍田「何慌ててるんですかぁ? 何かやましい事でもあるんですかぁ?」

 

そうして龍田が黒野提督を足止めしている間に、那智は引き出しの鍵を壊し、引き出しを開けた。

 

すると一番上に置いてある紙に目が止まった。

 

 

『…の海域にて、戦艦水鬼の目撃例多発。近隣の海域に出撃の際、十分注意されたし』

 

 

那智「…確定…だな」

 

黒野提督「ち、違う! これはたまたま…」

 

さとり「そんな言い訳は通じませんよ」

 

まだ何か言おうとする黒野提督にさとりは冷たく言い放った。

 

さとり「一番上、しかも鍵付きの引き出しに入れているのに偶然というのは筋が通ってないと思いますが? …もう言い訳はできませんよ」

 

黒野提督「…っ! …し、仕方なかったんだ!」

 

もう逃げきれないと踏んだ黒野提督は弁明を始めた。

 

黒野提督「俺はこんなところでつまずくわけにはいかなかったんだ! この前の作戦が成功していれば、確実に昇進できたはずなのに…そこにいる那智のせいで台無しになったんだ!」

 

那智「貴様…! あんな作戦、仮に勝てたとしてもこちらに多大な被害が出る事は

明らかだっただろ!」

 

黒野提督「それがどうした!? 代わりなどいくらでもいる! それに戦って死ねるのなら貴様らだって本望…」

 

その時だった。

司令室内に轟音が響き、黒野提督の隣にあった窓ガラスが砕け散った。

見ると、羽黒がいつの間にか艤装を展開し、砲身を黒野提督に向けていた。

 

黒野提督「ひ…あぁ…」

 

あまりの恐怖に黒野提督はその場にへたりこんだ。

すると羽黒は黒野提督に近づき、頭に砲口を突きつけた。

那智は咄嗟に静止の声をあげた。

 

那智「よせ、羽黒!」

 

羽黒「…どうして止めるんですか? 那智姉さんは…こいつに殺されかけたんですよ!?」

 

既に気を失っている黒野提督を見下げながら、羽黒はそう言った。

その声は那智でも聞いたことがないほど凄みがあり、怒りで満ちていた。

 

さとり「…それでも、殺すのはいけませんよ。羽黒さん、仮に貴女がその人を殺したとして…那智さんは喜ぶでしょうか?」

 

那智「そうだ、羽黒。…そんなやつのためにお前が手を汚す必要はない。そうだろ?」

 

さとりと那智が諭すように言うと、羽黒は少し不服そうにしながらも、ゆっくりと頷いた。

 

那智「しかし、どうするか…。こいつが起きた後で、憲兵や上層部の連中に言いつけられたら間違いなく不味いだろうな…」

 

さとり「あの…那智さん。『川内』、『雲龍』…『菊月』、これらの名前に聞き覚えは?」

 

羽黒「その人達なら前にこの鎮守府にいた人達です。…もう沈んでしまったはずですが…」

 

羽黒がそう答えると、さとりは眉をひそめた。

 

さとり「…沈んではいないようですよ。…『舞浜鎮守府』…というところに引き取られているようです」

 

羽黒「!? 本当ですか!?」

 

さとりは頷くと那智に話しかけた。

 

さとり「那智さん、ここは『舞浜鎮守府』とやらに行ってみるのもいいかもしれませんよ」

 

那智「…そうだな。私はここにいるみんなを集めておこう」

 

さとり「お願いします。…私はこの人からもう少し聞き出せる事がないか調べておきます」

 

龍田「あらァ、拷問をするなら私も混ぜていただけないかしらぁ?」

 

さとり「ありがとうございます。…それでは那智さん、お願いしますね」

 

那智「あ、ああ。わかった」

 

那智達はさとりの指示に従って、司令室を出た。

 

その瞬間…

 

 

ギャアアァァアアアァ…!!!

 

 

司令室から断末魔のような悲鳴が聞こえてきた。

 

那智「…殺したりしない…よな…?」

 

少し心配になりながらも、那智達はその場を離れた。

 

 

 

数十分後、那智が鎮守府にいる全員を集め終え司令室に戻ると、司令室の前でさとりと龍田が待っていた。

その傍らには黒野提督が白目を向いて転がっていた。

 

口元に泡を吹いた跡が見えるのは気のせいだろうか…?

 

那智「…随分とコテンパンにしたものだな」

 

さとり「余計な事喋らせるわけにもいきませんから…聞き出すついでにトラウマを埋め込んでおきました」

 

龍田「うふふ…。かなりキツ〜い事したからもう喋れないかもしれないわぁ」

 

嬉々として語るさとり達の姿に苦笑いしながら、那智はこれからどうするかを訊いてみた。

 

さとり「やはり、舞浜鎮守府に向かった方がいいでしょう。…ですが、ここをこのままの状態にしておくと怪しまれるかと。そこで、ここを破壊して敵に襲われたように見せかけるのはどうでしょうか?」

 

那智「えげつない事をさらっと言うな…。だが、筋は通ってる…か。憲兵が来てそいつを見たら絶対怪しむだろうしな」

 

那智は後ろを振り返り、全員に告げた。

 

那智「全員、荷物をまとめて外へ。今日でもう、この鎮守府ともおさらばだ」

 

 

 

それから約一時間後、黒岩鎮守府の外に次々と艦娘達が出てきた。

 

那智「…揃ったか? …いや、二人ほど足りないような…」

 

その時、鎮守府から大鯨と夕張が出て来た。

 

大鯨「すいません、資材とか詰め込んでいたら遅くなっちゃいましたぁ…」

 

夕張「私も、開発した物を持って来たら遅く…」

 

那智「大鯨はいいとして…夕張、開発品は置いてけ。流石に邪魔になる」

 

夕張「…せっかく持って来たのに…」

 

那智に言われ、夕張は泣く泣く開発した物を手放した。

 

 

さとり「…準備はいいみたいですね。では、行きましょうか。…お空、後始末はお願いしますよ」

 

準備を終えたさとり達は一路、舞浜鎮守府に向かった。




次回で地霊殿編は終了です。

そしてその次はいよいよ紅魔館組の話に入ります。
とはいえ、流石に最後の組だけあって問題点が山積み…
(『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』とか艦これの世界からしたら恐怖でしかない…)


これからもまた、投稿が遅れてしまう事があるかと思いますが、気長に待ってもらえると嬉しいです。



では、次回をお楽しみに…
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