ランスが征く   作:アランドロン

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第一話 起床

 好色。

 

 この世界に置いてその二つ名を関するものは多々いる物の、

 この男にかなうものは未だ存在しない。

 

 ランス。

 

 冒険者にして各国の窮地を救った、影の英雄。

 一般にこそ存在が知られてはいないが、国に関わる職を持つものならどこかで聞く名前だ。

 

 そんな好色にして英雄の男の日常は、取り立てて派手な物では無く。

 まるで一介の冒険者の様に、極めて当たり前の目覚めから始まった。

 

 

 『ランス城 ランスの部屋』

 

 コパ帝国の一角、町はずれに大きな城が立っていた。

 その城の中の一部屋、城の規模からすればとてもこじんまりとした木造の部屋で彼は目覚める。

 

 

 

「んぅ…?朝か…」

 薄く開けた目に太陽の光が差し込みランスの睡魔を強制的に追い出す。

 外から入る大気の流れがカーテンを揺らし、ベットに寝ている彼の前髪を揺らし頬を撫でる。

 

(そういえば窓、開けたままだったか…?)

 

 彼は何気なく寝返りをしようと身動ぎする。

 しかし左腕に伸し掛かる軽い重量を感じ、思うようには動けない。

 なんだっけ?と、ランスは重量の正体を確かめようと首を左に向ける。

 すると自分の二の腕の上にピンク色のヒツジの毛のような柔かなモコモコが乗っかっていた。

 ランスは腕を動かそうと力を込める、すると左腕の上のピンクのモコモコがのそりと動いた。。

 

「ふあ…、ランスさま、、、。おはようございますぅ…」

 

(ああ、そうだった。久しぶりにシィルとヤリまくったんだったな)

 

 自分とシィル、お互いに裸で、昨晩シィルを抱き満足の内に眠ったことを思い出した。

久々の充足感がランスの体を包んでいた。

 ランスは何と無く体を傾け、右手を伸ばしシィルの頭に手を置いた。

 

(…やはりこいつとのsexは気持ちいいな)

 

 モゾモゾとシィルの髪の毛で遊ぶランス。

頭を撫でられた形になった寝ぼけ眼のシィルは気持ち良さそうに目を細め、ランスの手の動きを感じていた。

 

「うふふ…。くすぐったいですよぉ、ランス様」

 

 そしてその気持ち良さそうな顔をしているシィルを見、ランスは意図しない安心感を覚える。

 それと感じると同時にシィルに対するいつもの嗜虐心をそそられる。

 

「…なぁ、シィル、」

「はい…?」

 

 未だ、シィルの眼はとろんと寝ぼけ、その視線はランスとぶつかる。

 ランスは「ふぅ」と少し息を吐くと。

 

「重いぞ」

「。はい?」

 

 シィルの寝ぼけた目がキョトンと、何を言っているのですか?と、不思議そうな眼に変わる。

まだ寝ぼけているのだろう、俺より遅く起きるとか奴隷として失格だな。

そしてランスはゆっくりと息を吸い込み、

 

「重いっつってんだろがぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「きゃああぁぁぁぁ!!!」

 

 ランスは大声を上げ、力任せに左腕を押し上げ振り抜いた。

 

 ごんっ!!

 シィルはベットから勢い良く転げ落ち、木製の床に顔から落ちた。

 

 

「いたぃ…、ひんひん」

 

 ベットの下、シィルがペタリと床に座り、床で打った鼻を手で覆い泣きべそをかいている。

 ランスはムクリと上半身を起こすと、ベットの下に座るシィルに体を向ける。

 

「…ひどいですよ、ランス様」

 

 シィルは涙目でランスに顔を向ける。

だが睨むほどの度胸の無いシィルは恨めしそうな視線を送るに留めた。

 鼻を両手で押さえ、必死に痛みをこらえている様だ。

 

「うるさい、お前が腕に乗っかって寝てるから俺様の腕が少しだるくなってしまったではないか、マッサージをしろ」

 

 ランスは涙目のシィルに左腕をずいっと差し出す。

 

「ええー…、はぃ、」

 

 逆らっても何もいいことは無い、

寧ろ悪化することを長年の付き合いで知っているシィルは鼻の痛みを堪えながら立ち上がり、ベットの上に座っているランスの左側に腰を下ろす。

 ランスの左腕を両手で掴み、丁寧にもみ始めた。

 シィルはランスの左腕を上から順に揉みながら、ランスの腕をマジマジと眺めていた。

 

「あのぉ…、ランス様?」

「なんだ」

「なんか前より怪我が増えて無いですか?」

 

 奴隷として扱われ、ランスの欲望の相手をいつでも、どこだろうと強要されていたシィルはランス以上にランスの体の傷を熟知していた、。

 そのシィルが言うように、ランスの腕には深い傷は無い物の、所々に傷跡が見て取れた。

 

「ん?あー、最近までヘルマンの馬鹿共を相手してたからな~、弱いくせに数だけは多くてうんざりだったなぁ…」

 

 ランス上を向き軽くため息を漏らした。

 意気揚々とヘルマンに出かけた物の、思い出すのはむさい男の群れと怒声。

 そんな物を見るためにヘルマンに行ったわけではないのだが…。

 

「あ…。そういえば私の呪いが解けた時にクルックーさんが言っていました、ランス様がヘルマンを救ったんだって…」

 

 (そういえば美樹の呪いが溶けて直ぐにこいつに状況を説明したのはクルックーだったな)

 

ランスはシィルの呪いが解けた時の事を少し思い出した。

 その時にランスはは席を外し、クルックーが説明していた。

 

「まぁ、そうだ、俺様がヘルマンの救世主だ。すごいだろ?」

 

 ランスは自慢げに鼻を鳴らしながらいつものドヤ顔でシィルを見る。

 

「本当…、なんですね」

 

 数々の国を救ったランスを見てきたシィルは多少驚いたものの(ランス様ならありえる)と尊敬のまなざしを向けた、もちろん手は休めていない。

 

 (だったら、クルックーさんが言っていたのは事実。?でもまさか…)

 

「…ん?」

 

 いつもなら凄いです!ランス様!と、称賛を浴びせてくるシィルなのだが、今回は様子が違った。

 マッサージの力加減を少し弱め、ほんのりと赤面しているシィルの様子にランスは少し違和感を感じた。

 

「どうした?早く褒めろよ」

 

 シィルは目をランスの腕に向けながらクルックーに伝えられた事を考えていた。

ランスの腕に所々付いた傷跡の一部は、自分のせいで付いた傷もある。

その数ある傷跡を愛おしげに見つめ、

 

「。私の体を封じてた氷を溶かすためにランス様が必死だったって、クルックーさん言ってました」

 

 ランスはその言葉を聞き、それを理解すると顔が少しずつ暑くなるのを感じた。

 その症状の原因のシィルは頬を染め、腕を優しく動かし始める。

 

「はぁ?そ、そんなわけないだろう?誰が奴隷のために必死になる主人がいるのだ、バカチンめ」

 

 と、動揺を隠す様に俯いているシィルの額に思いっきりデコピンをかました。

 べチン!という音とともにシィルはまた涙目になりながら額を擦る。

 

「ひんひん。痛いですよぉ、ランス様」

「うるさい!俺はヘルマンの女とSEXするために行ったのだ!断じてお前のためではない!勘違いするな!今度そんなこといったらぷちハニーでジェンガをさせるぞ?」

 

 ランスは腕をシィルから放すと両腕を組み「フンっ!」と少し赤くなった顔をシィルからそむけ鼻を鳴らす。

そんな顔など露知らず、シィルは、

 

「嫌ですよぉ…」

 

 と、おでこをさすり涙目でランスに訴えるがお前の意見は聞かないという態度のランスに、シィルは小さくため息を着いた。

 

「…マッサージはもういい、飯にするぞ。…っていうか今、何時なんだ?」

 

 ランスが窓の外に目を向けると、日差しが降り注ぎ、明らかに朝ではない空気を醸し出していた。

 

「えっと…、わかりません…」

「…使えない奴」

 

 シィルに振り向いたランスの表情は、いつもの残念な子を見るような表情をしていた。

 

 

 

「丁度、正午になりました」

 

 急に意識外から掛けられた声にシィルとランスの体はびくっとはね、固まる。

 

「おはようございます、御昼食の準備なら整っておりますが、こちらへお運びいたしましょうか?」

 

 声のする方向、部屋のドアへ二人が振り向くと、メイド服、メガネ、デコが似合う完璧姿勢のメイドが無表情でドアの前に立っていた。

 

「だ、誰ですか…、って!きゃぁ!!」

 

 突然の訪問者にシィルは自分が裸なことを思い出しベットのシーツを頭から慌ててかぶった。

 

「あ、あー、ビスケッタさんか、少し寿命が縮まったぞ」

 

 ランスは頭をかきながら驚いて止まっていてた呼吸を再開させた。

 

「申し訳ありません、お食事に及びに上がったのですが良い雰囲気だったものでお声をおかけするのを少し待っておりました」

「目がおかしいぞ?こいつと良い雰囲気なんかなるものか、飯は食堂に行くから準備しておけ」

 

 ふん、と鼻を鳴らしシーツに包まり頭だけを出しているシィルを見る、顔が真っ赤だ。

 

「承知いたしました、では着替えはこちらに置いておきます」

 

 ビスケッタはこちらへ近づくとベットの上に綺麗に畳まれた服を二着置き、頭を下げて静かに退出していった。

 一切無駄のない動きをぼーっと眺め、

 

「相変わらず几帳面だなぁ」

 

 と、ランスはビスケッタが置いて行った糊の効いているいつもの緑の服を手に取った。

 

「えっと、どちら様ですか?」

 

 シィルはシーツから出した頭をランスに向け、耳を真っ赤にしながら聞いた。

 

「俺様専属のメイドだ」

「メイド…、ですか?」

「メイドだ」

「メイド…、」

「そうだ」

「…なんで?」

 

 シィルは頭に特大のはてなマークを浮かべ首をかしげた。

少なくともシィルが知っている範囲ではメイドなんて雇ってはいない筈だった。

 

「あー…。そうか、そうだったなー」

 

 首をかしげるシィル。

 ランスはシィルが氷漬けにされていた間のことをまだ詳しくは説明していなかった事を思い出した。

 

「…?」

「えっとなぁ…」

「はい」

 

 シィルはいまだにはてなを頭に浮かべたままランスから服を受け取った。

 

 (説明するのめんどいな)

 

 何から説明するか迷ったが、別段説明する義務など無いことに思い至る。

 

「…とりあえず飯にしよう、」

「えぇー…」

 

 シィルは不満の声を上げながら服を着ていく。いつもの奴隷服なのだがしっかり洗濯され糊の効いた服に少し戸惑いながら。

 

「誰かに聞け」

 

 と、ランスのいつもの投げやりなセリフに「誰って誰にですか・・・?」と肩を落とした。

 ランスは立ち上がり何時もの服を素早く着るとちゃっちゃと出口に歩いていくと扉に手をかけた。

 

「シィル、行くぞ」

 

 ランスが振り向くと付き合いの長い、見慣れたピンクの奴隷が慌てて服を着ながら近づいてくる。

 

「ちょっとまってくださいぃぃ…」

 

 あたふたと慌てた様子のシィルを見てランスは鼻をフンと鳴らしながらつぶやく。

 

「…やっぱりこれがしっくりくるな」

「はい?なんですか?」

「うるさい。黙ってついて来れば良いのだ」

 

 シィルの困った顔を無視しランスは微かに笑いつつ扉に手をかけ、朝食なのか昼食なのか分らない食事を取るために食堂へ向かった。

 一歩後ろには懐かしい感覚を携えて、




どうもです、

個人的にビスケッタさん好きです、
今後、どのように進めていくか、考え中です
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