支部長や教官とも会い、神機使いになるかも訊かれた。
彼は なる と言い、神機適性試験を受けたのだが…
……確か俺は、リンドウさん達と一緒に…何かに、乗ってーーあれ?
ヘリコプター…? に乗って…
何だか、凄くボーッとする…
「おい……ろ」
誰かの声…
「…きろ」
男の人…聞いた事ある声だ。
「おい起きろ!」
「え…?」
そうだった…
俺はアラガミを倒した後、リンドウさん達のヘリコプターに乗って、フェンリル極東支部に向かってたんだった。
何だか凄く眠かったから、つい寝てしまったな。
「起きたか、“目的地”に着いたぞ」
そう言って、俺を起こしたリンドウさんはヘリを降りた。
そうか、もう着いたのか。“フェンリル極東支部”に…
俺は半開きの目を擦りながらリンドウさんの後を着いて行った。
リンドウさんに着いて行くと、ヘリポートに繋がる通路に入った。やや赤っぽい色のライトが照らすその通路は、何と言うかーー“戦慄”だ。
居るだけで緊張感が走る通路を抜けると、今度は右に左に大剣や銃砲が掛けられた武器のターミナルらしき場所に入った。
その目先には巨大な扉があり、リンドウさんは扉が開いたと同時に躊躇い無くその中へ入る。どうやら巨大なエレベーターのようだ。
俺も入った途端 扉は閉まり、少し揺れてから動き出した。
エレベーターの行方が気になる俺は、リンドウさんに訊いてみた。
「リンドウさん、今何処に向かってるんですか?」
「ん? あぁ、エントランスだ。"主な集合場所"って所だ」
と、エレベーターが止まり、俺の後ろの方の扉が開いた。
エレベーターを出ると、リンドウさんは俺に話し掛けて来た。
「俺はこれから用がある。お前は暫くどっか座って待っててくれ」
するとリンドウさんは左側の別のエレベーターに乗り込んで行ってしまった。
取り敢えず、俺はリンドウさんに言われた通りにするか。
俺は適当に座る場所を探し 見つけて座った。座った直後、何故だか深い溜め息が出た。
しかし…
この場所、エントランスだっけ? 中央でコンピューター弄ってる女の人と黒いサングラスを身に着けた変なオッサンが居るだけで、特に誰か居るワケじゃない。
「意外と殺風景だな」
俺は小さく そう呟いた。
そんな時、俺が来たエレベーターの扉が開いた。
エレベーターから現れたのは青いフード付きのパーカーを着た白髪の青年。
青年は静かに俺の座ってる場所の離れた場所に座り、静かに溜め息を吐いた。
必要が無い情報かもしれないが、こう言う系統の場は役所みたいに横長スツールが主な座り場所らしい、やはり…
俺は奥の真ん中辺りに座った青年に話し掛ける事にした。
「あの…」
「……」
「あの〜…」
「……」
聞こえて無いのだろうか? 俺は少し大きい声で呼び掛けようとした。が…
「聞こえている、わざわざデカい声を出そうとするな」
聞こえてたのか…しかも俺の行動によくもまぁ気が付いたもんだ。
「あの、あなたは ひょっとして神機使いですか?」
「……だったらなんだ」
「いや、あんな重々しい武器をよく軽々振るえるなぁ って思って」
と、青年は突如 俺に目を合わせた。
「お前、神機を触った事でもあるのか?」
「はい、さっき触りました」
その瞬間、青年の顔色が変わった。が、直ぐに元の顔色に戻った。
「あの…神機を触る事に何か問題があったんでしょうか?」
俺の問いに対し、青年はブツブツと呟きながらその場を去って行った。
神器には無闇矢鱈に触ったらダメなのだろうか?
暫らくして、リンドウさんが戻ってきた。
「よう、待たせちまったな。今から支部長室に行くから、一緒について来い」
「あ、はい」
先ほどリンドウさんが出てきたエレベーターに乗り込み、支部長室へ俺とリンドウさんは移動した。
「失礼します」
リンドウさんの声で扉の向こうから どうぞ と聞こえ、中に入る。
どんな人が支部長なのかと気になったところ、やや予想外な人相だった。
「やぁ、初めまして。君がリンドウ君の言っていた“バジュラを神機の一振りのみ”で倒したと言う熾嗎コウガ君だね。僕はペイラー榊。現 支部長さ」
「は、初めまして! 熾嗎 劫迓です。よろしくお願いします」
支部長はメガネを掛けた灰の色の髪の人物。名前はペイラー・サカキ。何だか中途半端な名前だが、歴とした支部長。リンドウさん情報では、以前も今も博士だそうだ。
「そして、君から見て左に居るのが神機使いの教官の雨宮ツバキ君だ」
「私が雨宮ツバキだ、以後よろしく頼む」
「は、はい。こちらこそ」
神機使い達の教官は大胆な胸の開いた服を着た見てわかる大人の女性って人物。名前は雨宮ツバキ。恰好の露出が凄まじ過ぎて他の情報が入って来ないが、リンドウさん情報では、リンドウさんの姉だそうだ。
「しかし、他の者の神機を振るうなんて言う人物は、何処を捜しても君が初めてだよ」
サカキ支部長は俺の行った事に対し、驚いているようだ。
だが、俺には少し気になる事があった。
「あの、神機って神機使い以外が触ったらダメなんでしょうか?」
「……神機は確かに、神機使い以外は触る事は出来ない。だがコウガ君、キミは神機に触れたが何とも無かった。これは神機には適合と不適合があり、それぞれ神機使いが着けてる右手首の腕輪で確かめる。コレに適合すれば その神機を扱え、逆に適合しなければ、神機に在る“オラクル細胞”に捕食され、バラバラの肉片となり、死亡する」
サカキ支部長の話の最後辺り、神機のオラクル細胞の事を聴いたら背筋が凍りそうになった。
「そこでコウガ君、キミに訊きたい事がある」
サカキ支部長が俺に訊きたい事? 何だろう。
「神機使いに なる気はあるかい?」
「じーー神機使い…?」
俺が神機使い…
「キミが新人神機使いを助け、その為に神機を振るった事も全て聞いている。キミが もし望むのなら、今すぐに適合試験を行おう。ただ、望まないのなら、キミの為に居住区を提供する。どちらか好きな方を選んでくれ」
好きな方を選べ って言ったってなぁ…
正直、さっきの話でちょっとビビっちゃったし、それにアラガミと毎度毎度 戦わなくちゃならないなんて。
……いや、俺は誓った。死んだ父さんや母さんの為にも、生きなきゃいけない。だけど、アラガミは嫌いだ。敵討ちってヤツかもしれないが…俺は…
「俺、神機使いになります。神機使いになってアラガミと戦います!」
俺はハッキリと その意思を言葉にした。
「そうかい。では、今から神機適合試験を行おう。リンドウ君、案内してくれ」
「わかりました。行くぞ、ついて来い」
俺はリンドウさんの後をついて行き、その場所に着いた。
照合等々もあり、それを通過した後、俺一人のみが その部屋に入ったが、途轍も無く広い空間だ。そして部屋の真ん中にノコギリ状の刃の神機がある。
神機が置いてある場所には何故か奇妙な台がある。
と、サカキ支部長の声が聴こえてきた
「コウガ君、心の準備が出来たら、中央の台の前に立ってくれ」
心の準備は初めから出来ている。
俺は躊躇う事無く台に近づいた。
「では、これより適合試験を始める。台にある神機を掴んでくれ」
言われた通り、俺は台の神機の持ち手部分を掴んだ。
その瞬間……
ガシャン
台の上が降り、俺の手を挟んだ。それと同時に手首の手前辺りに何かが大量に突き刺さる。痛い…いや、これはーーーー馴染む。俺の体に馴染んでいく。突き刺さるモノから通じ、俺の全身に行き渡り、馴染んでゆく。
気が付くと、台の上が上がり、俺の右手首には赤い腕輪が着いていた。すると、神機の奇妙な“何か”から黒いモノが生え、腕輪の穴に入り込み、右手を通して何かと繋がった。
「おめでとう。合格だ」
サカキ支部長のそんな声が聞こえ、俺は少しホッとした。
しかし、また気になる事が浮かんだ…
神機が異常なまでに軽い。まるで羽のようだ。
「この神機、見た目よりかなり軽いですね」
「キミの腕輪のおかげさ」
ちょっと素振りでもしてみるか…
俺は片手で神機を構え、直後 思い切り振り始めた。
縦に振り、右斬に振り上げ、横薙ぎに振り払い、次に袈裟と逆袈裟を連続に行い、尚且つ高速で振り続ける。
まだまだ、まだ速く振れる! どんな事も、出来る気がする!!
強く振り上げ、同時に高く飛び上がった俺は落下と同時に神機を振り下ろし、瞬間に片手だけで神機を振り下ろす。
「うぅああああああああああああああああああッ!!!!!」
大声を張り上げながら片手で神機を振り下ろしたら、振り下ろした場所が大きく割れヘコんだ。
「コウガ君どうしたんだい⁉」
サカキ支部長が非常に心配そうに声を掛けた。
「いいえ、大丈夫です。体が軽いんでビックリしただけです…」
何だか力が湧いてくる。あり得ないほど、身体が軽くて、神機も軽くて…
何と言うか…とにかく……
凄い……
続く
彼は やはり"何か"が違っていた。
通常の人間とは何かが…
果たして次回の彼はどうなる?
熾嗎コウガ の神機…
新型神機
バスターブレード/バックラー/アサルト
〔ノコギリ/対貫通バックラー/50型機関砲〕
クラス…
新人
記述…
突然ゴッドイーターになった少年。他者の神機を使った一振りのみで『ヴァジュラ』を倒した経歴を持つ。
2071年にフェンリル極東支部入隊
秘めたる潜在能力は“例の人物”に相当し、また奇妙な事に適性試験時の痛みは無かったと謂う。適性試験直後にも関わらず、扱い慣れた者でも困難するバスターブレードを軽々 振るってしまった。
身体能力も何故か通常のゴッドイーターより優れ、ソーマと並ぶか それ以上の身体能力である。
腕輪の種類は『P53アームドインプラント』、通常式の偏食因子である