神喰らいし者 〜GOD EATER   作:超絶暇人

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No.04

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〔熾嗎コウガ、新種アラガミ『ハンニバル』の討伐に成功。フェンリル極東支部への所属歴、僅か3週間でのこの成果、やはり唯の少年とはとても思えない。以降も調査を続ける。もしかしたら、途轍もない発見になるやもしれない……〕

 

 

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「ん……うぅ、あれ?」

 

 目覚めて俺はまず驚いた、自身の今居る場所に、自身の体の状態に、そして何より"白い龍"のような『アラガミ』に……。まず場所は病室のベッドらしく、つまり極東支部に無事戻ってこれたようだ。

 

 次に自身の体の状態だが、一度目を疑ってみたものの、どうやら間違いは一切無く、何故なら包帯も禄くに巻かれていない上半身が無傷の姿を晒しているのだ。白い龍のような『アラガミ』と戦った際に"重度の火傷"と"生命線となる部位以外の全身の骨折"、トドメに"大量の出血"で失血死してもおかしくなど無いと言うのに。

 

 姿はどうだろう? 火傷や骨折や出血が重なってたのが全くの嘘であるかのようなこの無傷、もはや驚きを通り越して芸術の域である。これが人間の治癒力? いや、フェンリルの医療技術? 否、まさか────

 

 最後に"白い龍"のような『アラガミ』。サカキ支部長より承った任務なだけに、信頼は出来ると思っていたのに、まさかオウガテイルだけでは無いなんて……。危うく死に掛け、いやもう死んだ。

 

 死んだと言っても過言では無い、あれだけの怪我を負ったのだ、既に一度死んでいる。そして、あの『アラガミ』に殺され、殺し返したこの身は、あの一瞬だけ『化け物』と化していた、そう、それこそ『アラガミ』のような。

 

「全く勘弁して欲し────」

 

 不意に右手を見て僅かに力を込めた瞬間、右手首のアームドインプラントがパカッと音を立てて外れた。思わぬ出来事に俺は呟き掛けた言葉を途中で失い、右手首から外れたアームドインプラントを持って慌てふためいた。

 

「ちちちちちょちょちょちょちょちょななななななな何で外れるんだよコレ!? 一生外れないとか言ってなかったっけ!!? まさか欠陥品じゃねぇよな!? ってか、これどうやって着いてたんだよ! 装着出来ないし……!」

 

 かなり気が動転しながらもアームドインプラントを元のように装着する事に成功した、が、『一生外れない』と言う売り文句が全くの嘘と俺は確信してしまったのだ。現にこうやって俺の右手首から外れてしまっている、とんでもない粗悪品だ。

 

「取り敢えず装着出来たから良いけど、これが無きゃ神機が認識出来ないだろ、壊れて無きゃ良いけど……」

 

 俺はベッド付近に有る棚に置かれた上着服を取り、病室から出ようと出口ドアの向かって歩いていくが、ドアが俺に反応する前に誰かに反応して開いた。素早くスムーズに上にスライドしてドアが開くと、目の前には見覚えのある姿が有った。

 

「ん? よぉ、何だお前、大怪我したって聞いて来たらピンピンしてるじゃねぇか」

 

 そこには異形の右腕を持つ神機使い、リンドウさんが目を丸にして立っていた。まぁ、リンドウさんの言葉には大いに同意出来る、瀕死かもしれない仲間がまさか目の前で普通に立ってるなんて、そりゃそうだ。

 

「いやぁ、まぁその、はい、元気です。自分でも驚くほど」

 

 恥ずかしながら……そんな(てい)で呟くのだが、元気である事が理由で謝るのもなかなかおかしいので、取り敢えず否定をせずに言って退けるのだ。するとリンドウさんは病室内に入り、珍妙なモノを見る目で俺の体を回り見る。

 

「重度の火傷を負ったって聞いてたが、どこにも火傷が無いぞ? 見たところ骨折の様子も無し、血が足りないとか言ってたが貧血みたいでも無さそうだ……。再生でもしたか、お前。当初から何だか回復が早そうだと思ってたし」

 

 どれだけ人を化け物みたいな目で見るんだ、この右腕神手(おれのみぎてはゴッドハンド)……。つか人の事を言う前に自分の右腕を見てくれってんだ、ほらほら。

 

 そんな風に内面はせめて人差し指を上司に向けてみるが、まぁ実際、俺自身の謎がかなり多いのは自分でも思う程だ。前述の通り、死んでもおかしくは無かったし、何よりゴッドイーター以外が持ったら只重いだけの鉄塊に過ぎない神機だって、入る前に軽々と振るっていたって『話』だ。

 

 そう、"あの時"だって、アラガミも父さんや母さんは喰っておきながら、俺には噛り付く事すらしなかった。何故なのか考えれば考えるだけ謎は深まるばかりで、結局その到達点(こたえ)は見つからない。

 

「まぁ、良いさ。動けるんなら付いて来い、飯食いに行こうぜ。(つい)でに支部長にも話があるからな」

 

 そう言うとリンドウさんは振り返って病室内の出口に向かって行った。サカキ支部長、あの人とは確かに話がしたい、俺に嘘を吐いた事やその他諸々……事と次第に依ってはブン殴ろうかな? いや、やめとこう。

 

 さすがに暴力は駄目だよな────

 

 苦い顔を少し浮かべた後、ベッドの横に綺麗に折り畳んであった上着を取って、リンドウさんに付いて行くようにして俺は病室を出た。近く設立されてた食堂で美味しい物を食べた後、俺とリンドウさんは支部長室へと赴いた。

 

 エレベーターで最上階にまで移動し、その先のドアをノックして支部長の返事と共に開けて入った。ドアを開けて直ぐに俺の目に入ったのは、サカキ支部長が机の前でこちらを真っ直ぐ見て佇んでいる姿だった。俺は支部長の、その佇む姿に強い苛立ちを覚えた。

 

 俺から申し訳無さなど微塵も無い、向こうは向こうで悪びれる様子も無く、ただ何か話をする為だけに立っている。その様、その面構えを見て俺は、俺自身の奥に『黒いもの』を見出し、同時に感情と一緒に奥底に仕舞い込んで"無"を決め込んだ。

 

「よく来てくれた。適当に座ってくれ、話したい事がある。リンドウくんも聞いてくれ、関係が無いワケじゃないからね」

 

 言われるがまま部屋の隅に置かれたソファーに腰を掛け、隣にリンドウさん、俺の正面に支部長が座った。一体何を話すのか、そんな事は如何でも良い、この俺の苛立ちを如何にか諌めて欲しいものだ、無を決め込むにも限界がある、早々な鎮静剤たる言葉が欲しいね。

 

「さて、まずは一言謝らせてくれ、すまないコウガくん。私はキミに嘘を吐いた」

 

「でしょうね、その言葉が聞けてホッとしました支部長。もし今の一言に謝罪が無かったら俺は支部長だろうとブン殴ってたところですよ」

 

「止せコウガ────それで、話とは何ですかね? 支部長」

 

 無表情のまま苛立ち丸出しの言葉で支部長を脅すも、隣に座るリンドウさんに諌められた。一応謝罪の言葉は有ったし、一先ず許すとして、しかし本当に何の話をするつもりなんだか、リンドウさんは支部長の言葉を促した。

 

「あぁ、実はコウガくんの体についてなんだ」

 

「俺の体について?」

 

「そうだ、時と共にアラガミは進化を続けている、それは我々も同じだ。その証拠にソーマくんの様な逸材が居る。彼の話は聞いた事はあるかな? コウガくん」

 

「いいえ、全く。ただ、妙な雰囲気を感じ取りはしました。何度か道で擦れ違ったんですが、その度に耳鳴りの様なものがして……」

 

「なるほど、それは一種の共鳴だろう。実は、彼はアラガミの因子を生まれた頃から持っているんだ」

 

「アラガミの因子を、生まれた時から? それってつまり……」

 

 つまりは、ソーマとか言う人もアラガミと同じって事なのか? でもそんな風には見えないし、周りの人もソーマさんの事情を知っているんだれうけど、それで尚普通に過ごしているって事は、受け入れてるって事だろうな。

 

「そう、キミの思う通り、アラガミと同じだ、全くってワケじゃないけどね。彼は生まれる前の胎児の時にアラガミの細胞を埋め込まれ、偏食因子を自ら生成出来る体質となっている。因みにキミも同じく偏食因子を生成出来る体質だ」

 

「俺も!? どう言う事ですか!?」

 

「メディカルチェック時の結果で、キミの体内にはアラガミの細胞が有る事がわかったんだ。キミもソーマくんと同じ原理で生まれたんだろう。だが、その過程が決定的に違う。キミの場合は、ある程度遺伝子の組み替えに依ってアラガミ細胞に変異を起こし、『対アラガミ戦闘用オラクル細胞』とした上で、胎児のキミに細胞を移植した。つまりキミは対アラガミ戦闘として生み出された"未解明オラクル人類"と言ったところだね」

 

「ちょッちょっと、話が耳に入らないんですけど!」

 

「キミの両親は、研究者だね?」

 

「は、はい。そうだと聞いてましたが」

 

「ふむ、僕等以外にもこの研究をしている者が居たとは、意外だ。しかも、ずっと最先端で、ずっと優れた技術で、ずっと願いが込もっている。キミの御両親は、アラガミを根絶する為に研究していたんだね」

 

 何なんだ、全くよくわからない、父さんと母さんが研究者なのは知っていた、でもその研究がアラガミに関するモノで、その成果が俺だって言うのか? 俺は、アラガミを倒す為だけの兵器だとでも言うのか?

 

「俺の父さんと母さんは、俺を兵器として生み出したって事なのか……?」

 

「それは違う」

 

「え?」

 

「僕からは恐らくの範囲でしか言えないが、キミはこの世界を、今尚蹂躙するアラガミを、いつか一匹残らず滅ぼして欲しいと言う願いを込めただけに過ぎない。つまりキミは二人の願いなんだ、人間として、強き者として、生きて欲しかったんじゃ無いのかな? そうでなければ、キミを守って死ななかった筈だろう」

 

 そうだ……あの時、洞穴に俺だけが生き残っていた、まるで隠される様な形で、片隅に倒れていた。父さんと母さんは、洞穴の入り口で無惨に食い散らかされていたが、俺だけは生き残った。それはつまり、俺を庇って、俺にこの世界の未来を託して……

 

「────ありがとうございます。それなら良かったです、俺は対アラガミ戦闘用未解明オラクル人類なんですよね? それならその名前の通り、俺は、俺は……」

 

 

 俺は────

 

 

「俺は、この世界のアラガミを、一匹残らずぶっ倒すッ!」

 

 決心して立ち上がると同時に俺の右手首に辛うじて着いていた腕輪が外れ、それを見たリンドウさんとサカキ支部長は無言で驚いて俺を見上げた。俺の腕輪は恐らくもう必要が無い、そうで無ければ外れる事など無い筈だ。

 

 その時、リンドウさん曰く、俺の髪は黒から碧色へと変化したとか。オラクル人類としての特性なのか不明だが、俺が自身の力を知覚したからじゃないかと思うんだ。

 

 

 

 

 

 

 

続く




コウガの正体、それはソーマと同じ原理で生み出された対アラガミ戦闘に特化した"未解明オラクル人類"だった
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