しかし兄には不安そうな要素はない。
兄は果たして何を考えているのか。
とある一人の中学生がいた。
名前は黄瀬涼太。
頭脳はそこそこ、器用なため出来ないことがあまりない。
今はモデルの仕事とバスケをしている。
「ただいまー。」
涼太は学校からいつも通り帰宅。
と言っても家族は仕事なのでいない。
だから「おかえり」なんて言われない。
「おかえり、涼太。」
誰かが言った。
「えっ?」
涼太はゆっくりと前を見る。
いつもは言われないことを言われた。
どこかで聞いたことがある声。
「やぁ。」
そこに居たのは同じバスケ部の赤司征十郎。
「赤司っち!?」
涼太は驚く。
「涼太、実の兄に向かって○○っちというのは良くないと思うんだが?」
「実の兄?赤司っちが?なーに冗談言ってるんすか(笑)」
「冗談だと?僕は冗談なんか言ってないぞ?今までは一緒に暮らせなかったがこれからは一緒に暮らせるんだ。」
「一緒に暮らす!?えーー!?」
涼太は驚いて後ろに下がってしまう。
「涼太、そろそろ夕飯の時間だ。なにか作りたいんだが・・・。」
「冷蔵庫にあるものならなんでも使っていーっすよ?」
「分かった。着替えて待っていてくれ、今日は僕が作ろう。」
「あっ・・・りょーかいッス。」
涼太は自分の部屋に、赤司はキッチンへ向かう。
涼太は部屋に入るなり考え事をしていた。
「赤司っちが兄・・・良いような悪いような・・・これからが不安ッス。」
それとは反対に赤司は前向きだった。
「この具材ならカレーが作れるな。煮込む時間も使ってステーキでも焼くか。」
考えても仕方がないと思った涼太は着替えてリビングに行く。
リビングからはキッチンが見えるため赤司の様子が分かる。
「赤司っちって料理出来るんすか?」
「したことはほとんどない。だが心配するな、僕に不可能はない。」
「めちゃくちゃ心配なんすけど・・・。」
数分後料理が出来上がった。
「今日はステーキとカレーだ。」
「ステーキは旨そうッス。けどカレーの色が・・・。」
カレーは黒くなっている。
「問題ない。」
「えっ?」
「早く食べなければ冷めてしまうぞ。」
「そ、そうっすね。いただきます。」
「遠慮なく食べてくれ。おかわりもあるからな。」
赤司は少し微笑んでいる。
「まずはステーキから・・・。」
ステーキを切り口に入れる涼太。
「どうだい?」
赤司が尋ねてくる。
「とても旨いッス!」
「それは良かった。ステーキは焼いたことがあってね。続いてカレーも食べてみてくれ。」
「は、はいッス。」
涼太は恐る恐るカレーを口に入れる。
「どうだい?」
「あれ・・・美味しいッス!」
色は黒いが味は美味しい。
「ソースを入れてみたんだが、少し入れすぎたかと思ってね。」
「だからあんなに黒かったんすね。」
「気に入ってもらえて良かったよ。」
「はいッス!」
これからの生活が少し楽しみになった涼太であった。