もしかしたら分かりにくいかも知れないので、質問があればドンドン言って下さい。
では4話です。
試合開始の合図と共に、達也は一瞬で正人の背後を取る。
そのスピードは、観戦しているメンバーですら認識できないほどであった。
あとは引き金を引いて魔法を発動すれば、達也の勝ちである。
達也の勝利が確定したかに見えたその時、達也の目の前に赤い何かが迫っていた。
「クッ!?」
達也はバックステップでそれを回避する。
そして、達也が目を向けた先には・・・・・剣を持った正人が、その剣を振り切った体勢で立っていた。
その剣の刀身は赤く、そして半透明に透けている。
そしてCAD自体が剣の柄になっている。
(何だあの魔法は・・・・・剣を生成した?いや、それ以上に、あの反応速度の方が驚きだな。)
エリカの動きを見切っていたことから、達也は正人が何らかの武術の心得があると考えてはいた。
しかし、それが自分の動きを見切るほどのものであったのは、誤算だった。
すると、、正人が達也目掛けて真っ直ぐに突っ込んできた。
(何のつもりだ?狙い撃ちだぞ。)
達也は引き金を引き、サイオン波を正人へと放った。
しかし、正人が持っていた剣の刀身が突然青く光り、青い半透明の盾に変わる。
「なに!?」
そして、達也が放ったサイオン波は全てその盾に弾かれ、正人はそのまま盾で達也に体当たりを食らわす。
「クッ!?」
達也は衝突の寸前、後ろへ跳び、ダメージを最小限に抑える。
が、
「ウオラアア!」
正人は盾をもう一度剣に変え追撃を仕掛ける。
「ッ!」
正人は連続で斬り込むが、達也はそれを紙一重で避け続ける。
「ま、待って!刃物での攻撃は「大丈夫だ。」・・・・え?」
二人の攻防に唖然としていた生徒会メンバーだったが、真由美が刃物の使用を止めようとする。
が、摩利に制止された。
「見たところあの剣は刃が引かれている。ほぼ鈍器みたいなものだ。」
「ああ、それなら・・・・あれ?鈍器でも危ないんじゃ・・・・・・・」
真由美の言葉は誰にも聞こえていなかった。
(お兄さまが押されてる!?・・・・・・山田君、貴方は何者なの・・・・)
深雪は達也と互角以上に戦う正人に驚愕していた。
(クッ、思った以上に隙がないな・・・・・・仕方ない、無理矢理にでも攻める!)
達也は正人の攻撃を一発掠めながら、無理矢理懐に飛び込む。
(ゲ!この距離じゃ剣が振れねえ!)
ここまで接近されると、剣ではガードも攻撃もできない。
そのまま達也はアッパーカットを正人の顎目掛けて放つ。
「うおあああ!?」
正人は思いっきり後ろへのけ反ることで避けるが、大きく体勢が崩れる。
そして、いつの間にか距離を取っていた達也が、CADを正人に向ける。
この距離では剣が届かず、今から盾を作るのでは間に合わない。
「終わりだ。」
達也は引き金を引く。
「まだだぁぁ!」
剣が赤く光り、正人はその場で達也に向けて剣を横凪ぎに振るう。
そして、赤い斬撃波が達也に向けて飛ぶ。
「何!?グッ!」
達也に斬撃波が直撃し、大きく吹き飛ばす。
「お兄さま!」
深雪が叫び声をあげる。
そして、
ドサッ、と、正人もその場に倒れ込んだ。
「これは・・・・・相討ちか?」
摩利が引き分けと判断しようとしたとき、達也が立ち上がった。
「お、立ち上がったか・・・・・・勝者、司波達也!」
模擬戦は達也の勝利で幕を閉じた。
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「うおお・・・・・・ぐらぐらする。」
達也が自分の魔法に関する説明を済ませた時、正人が立ち上がった。
「無理に立つな、船酔いみたいなものだから少し休めば治る。」
「おお、そうか・・・・」
達也に言われ、正人はその場に座り込む。
「山田君、君が使った魔法ついて聞いてもいいかな?」
摩利が正人に話しかける。
「 え、いや、俺は達也が何したのか聞きたいんですが・・・・・」
「すまんがその話はさっき終わった。あとで本人に聞いてくれ。」
「ええ~・・・・」
正人は自分がなぜ倒れたのか分からぬまま、説明を始める。
「はあ、了解です。・・・・えーと、俺が使ったのは、疑似物質を事象改変により生成する魔法です。その物質は『仮想金属』《オリハルコン》』と呼ばれていまして、魔法名もそれと同じです。」
「オリハルコン?神話に出てくる金属が由来ですか?」
正人に質問したのは、市原鈴音だ。
「ええ、大分中二くさいですけどね・・・」
正人は苦笑いを浮かべながら肯定する。
「じゃあ、最後に達也君を吹き飛ばした魔法は?」
今度は真由美が質問する。
「俺が使ってたのはオリハルコンだけですよ。いうなれば、あれはオリハルコンの性質です。」
正人の言葉に全員が首を傾ける。
「オリハルコンは使用者のサイオンを実体粒子に変換し、纏う特性があるんです。そしてその纏い方は形によって変わります。今回は使いませんでしたが、剣の形の時は流動的に高速で動く粒子を纏い、チェーンソーのように切れ味を上げます。さらに纏った粒子を斬撃波として放つこともできます。達也に使ったのは、これの斬れないように調節したやつですね。盾の形の時は、纏った粒子を衝撃の吸収、攻撃の反発に使います。」
「ふむ・・・剣の方は『高周波ブレード』みたいなものか。」
摩利は自分なりに納得したようだ。
「このCADはオリハルコンを使用するためだけに俺の親父が作ったそうです。」
「山田君のお父様はCADの技師なのですか?」
今度は深雪が質問した。
「ああ、この魔法は母さんが考案したらしいんだけど、親父がそれに興味を持ったらしくてさ、これはほぼ親父が趣味で作ったらしい。」
正人の父親はかなりのデバイスオタクのようだ。
「成る程。とりあえず理解はできたわ。体術は誰に教わったの?」
「別に体術って程のものでもないんですが、一応組手は母親とやってました。」
「何か凄そうなお母さんね。」
真由美の質問に正人は簡単に答える。
「司波さん。」
服部が深雪に話しかける。
「・・・・・・自分であれば、恐らく最初の一手でやられていました・・・・目が雲っていたのは僕の方だったようです。先程は失礼なことを言って申し訳ない。」
服部は深雪に頭を下げる。
「私の方こそ、生意気を言い申し訳ありませんでした。」
深雪も服部に頭を下げた。
そして服部は達也を一瞥すると、部屋から去っていった。
「えーと・・・・・・結局何があったんだ?」
正人は終始置いてきぼりだった。